大瀧啓裕のレビュー一覧
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ラヴクラフトの代表である「クトゥルフ神話体系」が恐らく全集の3巻に集約されていると思われます。
ただ、ラヴクラフトにはパターンがあります。不気味さを出すための工夫ではあるんですが、このパターンがとてもわかりにくくしているので、要注意です。以下の3つにパターン分けします。
1.副詞の多用と唐突な自動詞。
→「名状し難い」などから始まる、修飾語やら副詞、形容詞の乱発が始まったら、固有名だけ見つけて読み飛ばしても大丈夫です。ただし、唐突に自動詞で終わったら、いったん読み返すのもありです。完了系は重要な要素である場合がほとんどです。
2.クトゥルフ神話に代表される名称は眷族が言う
→明確にアザトース -
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久しぶりにラブクラフト全集の続き。これは当たりの巻。
訳者による解説にも書かれているが、「ピックマンのモデル」以外は、科学的な話というか、分析がキーとなる話になっており、出てくる物質の名前が古いのを除いて、全く現代でも通用するような話ばかりだ。
名作「インスマウスの影」を彷彿とさせつつ、得体のしれない謎の物質(生物?)の恐怖「宇宙からの色」、何故か体を冷やし続けないといけない「冷気」と、南極に氷漬けになっていた宇宙からの生物をめぐる「狂気の山脈にて」そして超名作で怪談風の「ピックマンのモデル」など、硬い文章ながら、読書なれしていない人でもゆっくり読めば映画のように脳内で映像化されてくるはず -
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著者はキリスト教やユダヤ教に詳しい翻訳家。その訳書も魔法や天使・悪魔や錬金術などが多い。そんなアニメには全く興味が無かった著者は、友人から勧められた、新世紀エヴァンゲリオンに第壱話から虜にされてしまう。そして2年かけて430頁二段組でテレビ版から劇場版まで全話の詳細な解説本を書いてしまった。エヴァの解説本は数多出ているが、これが最上級ではないだろうか。この本は10年前に一度読んではいるが、すっかり忘れてしまったので、2ヵ月後に迫る新劇場版3.0公開前に再読したのである。しかし、その宗教的な事項の解説はとても難解であり、すんなりと理解できるものではない。セフィーロート体系図ひとつとっても詳しく解
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あとがきに書いてあるとおり本作は後にダーレスがクトゥルー神話作る際に大いに参考にしたと思われる作品を集めたものとなっている。面白いのは、冒頭そのように書き始めたのにもかかわらず本書のあとがきの主題は「ラヴクラフトの作品とクトゥルー神話との相違点」であるという点だ。
ラヴクラフトの作品のみを愛し、クトゥルー神話は否定的な人が少なからずいる。本書のあとがきを読めば理由がわかるはずだ。
本作品集には、下手に首を突っ込んでえらい目に合うという話が非常に多い、相変わらず緻密な情景描写でありながらも肝心な異世界のもの達に関しては曖昧としてうまく表現できないという手法で書かれている。
とはいえ、「イ -
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ラヴクラフト全集1巻を読み終わった時、ラヴクラフト氏の作品は、情景を推理小説が如く性格に描いているにもかかわらず、肝心な恐怖をもたらすそのものについては曖昧にしか書かれていないという話の構成であると感じた。つまり、都市伝説のように嘘にきまっているが、もしかして・・・と思わせる一人称的恐怖感があった。
現在のところ3巻とこの4巻を読み終わったが、その認識を変える必要がある。3巻もそうだが特にこの4巻では、もう個人の幻覚や幻聴として片付けられないほどに、異型の者達を描写しているのである。科学的に判別不能な物質が出てきたり、公式な記録として異世界人らしきものが見つかったと記録されていたりである。 -
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ネタバレ1989年6月23日発行の11版。
訳者の大瀧啓裕氏はダーレスのことが嫌いなのか……。
「不肖の弟子」扱いなど個人的感情がくどいほどにじみ出ている。
あなたのエッセイじゃないのだから解説に個人的感情を入れるべきではないだろうに。
「ダゴン」
窓に! 窓に!
「家のなかの絵」
人肉食で無限のパワーを。
「無名都市」
狂える詩人アブドゥル・アルハザード。
「潜み棲む恐怖」
この巻で一番好きなお話。
怪奇!土竜男!
「アウトサイダー」
寓話的。
新たな物語の話型となっている点ですばらしい。
「戸口にあらわれたもの」
ほんとインスマウスの住人はろくなことをしない……。
結末を冒頭に持ってき -
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[宇宙からの色]
今考えると、これってラヴォスかな。「インスマウスの影」なんかと比べるとあまり恐いという気はしない(実体が出てこないからか? 挿し絵は恐いものなあ)。ラヴクラフトの宇宙的恐怖というやつは、恐さという面では実は大したことないのかもしれない。
[眠りの壁の彼方]
これはホラーなのかなあ。どちらかというとファンタジーじゃないかという気がする。恐くはないけど、眠っていたときに見たことを、現実では新聞で超新星の爆発として確認するというラストは結構いい。
[故アーサ・ジャーミンとその家系に関する事実]
これもあまり恐くはない。まあ最後にちゃんと落としてくれるから、そこのところは安 -
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ネタバレ『イラノンの探求』
好き!夢を追い続けている間は肉体も意識も若々しいままなの、若さの持つエネルギーとか愚かさを象徴しているようだし、全てが水の泡になった後の急なわびしさ、むなしさも味わいがあって好ましい。
イラノンのことを知っている人がいなくなる前に夢から覚めることができてよかったのかもしれない。
『眠りの神』
分かりやすいオチがある分かりやすい話だった。薬物乱用者に寛容な時代だったんだなあとかあんまり関係ないことを考えたり。
しかし友人の声を音楽と評するのはすごい。喋る全てが旋律であり詩であるように感じられるなんてこれ以上の褒め言葉ある?熱烈だなあ。
『忌み嫌われる家』
家の来歴をとんで -
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媒介、夢に。身近な場所や未知の地にも現れる恐怖の存在。
宇宙からの色・・・始まりは隕石。妖しい色彩に浸食されたモノたち。
眠りの壁の彼方・・・眠りの中に現れる壮絶な風景は記憶か?
故アーサー・ジャーミンとその家系に関する事実・・・祖先の秘密。
冷気・・・冷気を求めるあの男の正体は?そして、その死。
彼方より・・・機械に触発された未知の感覚器官で観た無限の果て。
ピックマンのモデル・・・画家が描いた醜悪な生き物は実在するのか?
狂気の山脈にて・・・南極探検隊が到達した未知の山脈で見たモノ。
資料:怪奇小説の執筆について・・・ラブクラフト自身の考察。
不可解な存在、憑かれた人々、そして異形の存在。