野村進のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ノンフィクション作家がインタビューの仕方や文章の書き方を自分の経験から教えてくれている。
まず、なるほどと思ったのは、なぜチャップリンがあれ程までにインパクトがあったのか!それはステッキの活用であり、もしそれがなかったら普通の喜劇役者と変わらなかったのでは。つまり、そこが差別化のポイントであり、普段の企画にも通じるヒントだと思う。一方で自分は何が出来るのか!も重要だとのこと。これも何をしたいのかと同様に今一度確認することが大切だと思う。
数多くのインタビューをしている経験からか第一印象はあとで振り返ると人物の本質に近いときが多いという言葉を読むと日頃から身だしなみ含めて気をつけないといけないなと思ってしまった。
また、声に出して読むことで文章は肉体化される点は何となく分かる気がする。読むと何か感覚的に引っかかる部分が明らかになり修正が可能になる。
一手間かけることが全てにおいて大きな差となっているような気がする。面倒く下がらず地道にやり続けることが大事だと改めて気づかされた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『調べる技術・書く技術』というタイトルだが、内容は、著者である野村 進さんの生き様だった。
調べる技術・書く技術 >> ノンフィクションライターは、伝えたい、もしくは伝えられるべき事実を持つ他者と、その事実を知りたい、もしくは知るべき読者とを結びつける「仲介者」徹すべきではないか。
人は、知らないことを知ることによって、自分自身を見つめ直し、あるべき姿を模索し始めるのではないだろうか。伝えたい、伝えられるべきことが、より正確な事実に基づいて、知りたい、知るべき読者に伝わることによって、読者はもちろん、その読者が所属する家族、コミュニティ、社会に何らかの良い変化が起こる。そこには、ノンフィクションライター自身が、その事実に立ち向かうことによって、成長し、視点が高まって行く軌跡も不可欠だ。決して楽ではないが、世界を変えて行く原動力に繋がる仕事だと思った。
ノンフィクションライターという仕事は「読者の代わりに現場に入り、五感で感じたことをなるべくそのまま読者に差し出す。」こと。事実を可能な限り正確に記述するためには、取材される側にとって辛いことも聞かなければならない。また、事件の取材では、関係した人の動機を推察するのではなく、事実をありのままに受け止めることによって、より明瞭な真相に近づくこともあるという。雑誌に掲載された記事は、いずれも作品と言ってもよい完成度だった。
「ノンフィクションの書く仕事にとって最大の敵は無関心である。何かに驚いたり何かをおもしろかったりする気持ちこそ、大切だ。」この言葉は、そのまま人生そのものに当てはまると思う。私たちが「生きる」ことを妨げる、最大の敵は無関心である。自分自身に対する無関心、社会に対する無関心。何かを知りたい、何かを知ることによって、自分を知り、自分の行動を変えて行ける、成長して行く、ということが生きることなのだと思うから、
≪人に会い、話を聞き、文章にする。たくさん読み、たくさん観(み)、たくさん聴く、こんなことを繰り返すうち、知らず知らずに自分が豊かになっている。多少なりとも、ましな人間になっている。≫ どんな仕事にも言えることだと思うが、仕事に真摯に取り組むことによって得られるものは、自分自身を豊かにする経験なのではないかと思う。 -
Posted by ブクログ
救急の精神病院?そんなの有るのか?
と言う興味と疑問から手に取った一冊。
精神病院を扱ったものは、高校時代に「ルポ・精神病棟」という文庫本(たしか朝日新聞社だったと思う)を読んで以来である。この本には、当時の劣悪な精神病院の実態が描かれていて、少なからず衝撃を受けたんだが、この「救急精神病棟」はどうだろうか。
日本で始めて救急の精神病患者を専門に受け入れる病院を3年にわたって取材した本書だが、様々な問題を提起しており、なかなかに興味深く読めた。
ここに入院している患者たち、その治療にあたる医師や看護師の姿を通して、現代の精神病医療に関する問題点を投げかけてくる。
医療に携わる医師の問題、精神医療行政の問題、そして普段は精神病患者(病院)と縁のない我々の意識の問題・・・。
本書に書かれている事の受け止め方は、人それぞれで違うだろうし、自分自身も「昔からの」考えに変化は無いけれど、こういう取り組みもあるのだなと理解はできる記述は好感がもてた。
やたらと作者の考えを押し付けてくるルポやノンフィクションもあるが、抑制のきいた本書の書き方は良いと思う。
映画「カッコーの巣の上で」は好きな映画なんだけど、その映画についても少しだけ触れられていた。ロボトミー手術など、日本の精神医療の過去の闇についても、もう少し記述されていると、もっと良かったかもしれない。
☆4個 -
Posted by ブクログ
調べる事・書く事について、技術とマインドの両面から、全く書くことに興味のない自分でもかなり深く理解できる。さらに、「教養人とは?」「良い生き方とは?」ということまで教えてくれる本だった。
学びは3つ。
①取材・インタビューの方法
これから社会人になるにあたって、私自身多くの人に会って話すという機会が増えてくる。彼らからいかにいい情報を引き出すかという意味では、インタビュー術はとても重要だと感じた。
印象に残ったのは、
A.事前の情報集めの重要性とその方法
「貪欲に、幅広く」情報を集めることで、相手をいらだたせることなく、身を乗り出して話させることが出来る。また、情報集めの方法としての、本からの情報の取り方も参考になった。
B.取材の依頼から取材後のお礼状までのアクション
取材を断られても「いやみのないしつこさ」でしつこく依頼する、というのは一流のノンフィクション作家に作者がなった大きな理由だと感じた。周りを固めて再度お願いすること、足が進まない場所にもエイッと足を踏み入れること、、これはとても大事だと感じた。
また、取材中の質問の仕方は、「遠慮は禁物」「話しやすい環境を作る」という2つの視点が重要だと感じた。聞きたいと思った質問を聞かずじまいだと必ず後悔するからこそ嫌われてでも質問する。また、話しやすい環境を作るため、レコーダーの置き方や服装にも気を付ける、というのは説得力があった。
一度会った相手の事を細かく覚えておく、相手へのお礼状を書くということももう一度取材をするといった時に大切になってくることだろう。
②テーマ設定の重要さ
・時代を貫く普遍性
・未来への方向性
・人間の欲望に関するもの
・テレビじゃ表現できない
・テーマを聞いて第三者が身を乗り出すか
自分の面白かったことを軸に書く、というのはシンプルだが一番大事なことだと感じた。「書かなければならない」という使命感で書いてしまうことも多いが、自分の面白いと感じたものでないと、人も面白いと感じない。
③嗅覚、好奇心
取材の仕事は悩んで立ち止まってはいけない。まずは体験してみる、入り込んでみるという姿勢がないとこの仕事は出来ないというのは、取材人だけでなく普通の人にもいえることではないか。また、テーマの決定には「一人旅をすること」がお勧めと書いている。「日常とは違うう風景や人々の中に身を置いてみると、自分の輪郭がくっきりとしてくる」からと書いていて、自分が日ごろ持っている感覚を客観化する体験は自分には足りないことだ。
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作者のメッセージは、作者も最後に書いているが、「豊かになるとはどういうことか」ということに収れんされる。沢山のものに貪欲に触れて、入り込んで、そうしてたまった「貯水池」があふれ出して表現になる。そうして、他社や世の中から受けて物を返していく、というノンフィクション作家の生き方は、世の人一般に参考になる生き方ではないかと感じた。 -
Posted by ブクログ
出版されたのが2002年、さらに題材として挙げている人たちのところを著者が訪問したのが、だいたい1990年代後半。その時代性を考えると既に「新しい物語」と呼ぶには無理があるけど、当時も今も大して変わらないところも散見されます。
10人ほどの「アジア在住の日本人」をピックアップしてますが、基本的には「大会社の社員としてアジアに派遣されている人」ではなく、「何かの拍子でその国やその土地が気に入ったり気になったりしたので、そこで商売始めちゃった人」たちばかり。当時で既に現地在住30年なんて人も出てくるので、アジアに飛び出した日本人の先駆けに焦点を当てていると言っても、言い過ぎではないでしょう。
後半は3人ほどをピックアップして、当時の視点での「個人のボランティア」についても触れています。やり方は人それぞれだけど、ボランティアの根幹を貫く部分は今も昔も変わらない。
「個人の」ボランティアとは、「他者のための奉仕や貢献ではなく、自己を生かすことで他者を生かす自発的な無償の行為」なのではないかと論じた著者は鋭い。団体として、組織として、プロとしての社会貢献とはまた違う、個人の力の強さを感じたパートでした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「コリアン世界の旅」で在日の人々の声を拾った著者が在日中国人の実情を豊富な取材を基に探った本である。
反日感情が中国で、嫌中感情が日本で高まるのと比例するように年々中国から日本にやってくる人数は増えている。
劇団四季も、文壇も、保育園でももちろん働き手として日本社会は中国の人に頼っている。様々な感情を抱きながら日本に住むという選択をする中国人。その人たちの顔をどれだけ見ているだろうか、そして声を聴いているだろうか。他人の状況を慮ることが減ってきた日本社会にあって、なんとか適応しようと頑張る中国人の姿に胸がうたれる。
今旬の本。
楊逸の小説をぜひ読みたくなった。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
食、危険回避の方法、常識の違い、日本との関わり、ボーダレス化するいまの姿など、アジアの「真実」が見えてくる。
[ 目次 ]
プロローグ 旅立つ前に
第1章 ディープ・アジアの旅
第2章 されど渡る世間に鬼はなし
第3章 意地でも同じものを食ってやる
第4章 私のアジア事始め
第5章 “アジアはひとつ”なんてわけないだろ
第6章 どれがいったい“日本”なんだ
第7章 それぞれのアジア
第8章 定住する日本人
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]