救急精神病棟

救急精神病棟

小説・文芸
921円 (税込)

4pt

4.4

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緊急治療を要する精神病患者に24時間取り組む病院の真実! 日本初、救急の精神病患者を専門に受け入れ治療する千葉県精神科医療センターを3年間にわたり密着取材。「精神科救急」と呼ばれる医療の現場をあますところなく精密に活写した。24時間態勢で最前線に立つ医師、看護師たちの闘いと苦悩と喜び、新薬の登場、そして精神科医療の大変革を描く渾身のノンフィクション。

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救急精神病棟 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    2000年10月から2003年8月まで、著者は「千葉県精神科医療センター」で密着取材を行った。
    救急といえば怪我や病気で瀕死の人を治療するものだとばかり思っていましたが、見た目ではわからない命の瀬戸際で戦っている人が、私が思っているよりもはるかに多くいることがこの本でわかりました。

    精神病というと人里離れた場所にある精神病院の鍵のかかった個室に押し込め、そんな人間などいなかったかのようにしてしまう従来の対応から、今は、どう地域に戻して治療していくかを試行錯誤している状況のようです。
    10年以上前の本ですが、多分今も劇的な状況の変化はないと思います。

    精神病と一口で言っても、症状は様々です。妄想、幻聴、自分を責める人、周囲に対して攻撃する人。
    外に表れる症状は様々でも、心の中は恐怖でいっぱいなのだそうです。
    「やさしさもふれあいもない、競争と弱肉強食原理の支配する荒涼とした世界、その中の孤独で無力な自己」

    この本はノンフィクションです。
    でも、患者の名前は仮名ですし、患者が特定できないようにエピソードなども変えてあるそうです。
    そのくらい神経を使って書かれたこの作品は、しかし決して情緒的なものではありません。
    淡々と事実を(多少の変更はあるにせよ)書いているのに、対象を突き放してはいない文章に人としての温かみを感じるのです。

    現代の生命倫理学を語る上で必須の言葉は「オートノミー」=「自律性」
    「自分自身について考える能力であり、人生の自分自身による計画を設計し、修正し、追求する能力」と定義されています。

    千葉県精神科医療センター院長の計見医師は精神病に対して「開かれた医療」であるべきだという。
    “開放化の「共に、外へ」という指向は、まちがいなく正しい。精神病患者が各々の地域で、差別や偏見を受けずに暮らせるようになることにこそ、精神医療の不変の目標があるからだ。”

    精神科と心療内科の違い。
    心の問題と脳の機能。

    患者の抱える心の苦しみ。
    それは、人間だからこそ持ち得る苦しみなのだから、見てみぬふりでなかったことにすることは出来ない。

    0
    2016年03月09日

    Posted by ブクログ

    ー表現したいのに表現できない人に代わって、おまえが表現してあげるんだよ。患者さんの気持ちをすくい上げて、言葉にしてあげる。それが治療の第一歩だよ」
    「ーそうやって、まず行動をまとめていく。言葉はそれからでいい。行動がまとまっていけば、自然に言葉もまとまっていくから」

    0
    2026年05月31日

    Posted by ブクログ

    20年近く前の精神科を赤裸々に綴るノンフィクション。個人が特定されないよう加工はしてあるものの、これはかなりリアル。制度改正に伴い、精神に障害を有する人の地域移行支援は遅々たる歩みながらも進みつつある。制度ではなく他者の、地域の理解が進まない限り、いつまで経っても「キチガイ」のレッテル、スティグマは拭いされないのだろう。

    0
    2019年07月25日

    Posted by ブクログ

    救急の精神病院?そんなの有るのか?
    と言う興味と疑問から手に取った一冊。

    精神病院を扱ったものは、高校時代に「ルポ・精神病棟」という文庫本(たしか朝日新聞社だったと思う)を読んで以来である。この本には、当時の劣悪な精神病院の実態が描かれていて、少なからず衝撃を受けたんだが、この「救急精神病棟」はどうだろうか。

    日本で始めて救急の精神病患者を専門に受け入れる病院を3年にわたって取材した本書だが、様々な問題を提起しており、なかなかに興味深く読めた。
    ここに入院している患者たち、その治療にあたる医師や看護師の姿を通して、現代の精神病医療に関する問題点を投げかけてくる。
    医療に携わる医師の問題、精神医療行政の問題、そして普段は精神病患者(病院)と縁のない我々の意識の問題・・・。

    本書に書かれている事の受け止め方は、人それぞれで違うだろうし、自分自身も「昔からの」考えに変化は無いけれど、こういう取り組みもあるのだなと理解はできる記述は好感がもてた。
    やたらと作者の考えを押し付けてくるルポやノンフィクションもあるが、抑制のきいた本書の書き方は良いと思う。

    映画「カッコーの巣の上で」は好きな映画なんだけど、その映画についても少しだけ触れられていた。ロボトミー手術など、日本の精神医療の過去の闇についても、もう少し記述されていると、もっと良かったかもしれない。

    ☆4個

    0
    2015年08月08日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    日本初の救急精神病棟を3年間にわたって丁寧に取材したドキュメント。

    かなりフィクション、編集の強く入ってそうなドキュメンタリーだけど、患者、家族、医師、看護師など、満遍なく語られている。取材先が病院なので、在宅の患者、作業所へ通っている障害者については語られていないが、それでもバランスが良い本だと思う。

    衝撃的な言葉に彩られることの多い精神病棟だけど、患者も含めてなるべく多くの関係者の「思い」を掬い取ろうとしているのが好感が持てる。

    0
    2011年06月07日

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