野村進のレビュー一覧
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この本の構成は日本にいる韓国・朝鮮人を描く為に一旦国外にいる韓国・朝鮮人以外の差別・被差別を表すことにより、在日の問題を浮き上がらせこれからの生き方を示唆している”日本人手による”貴重なノンフィクションです。このような本が出てくる時代に感謝するとともに全エネルギーを込めた本作品を作成した著者に万来の拍手を惜しみません。私の息子は現在日本人公立高校へ通称名で通っております。この本と新井英一の「清河への道」CD1枚をそっと手渡すつもりです。
「抱きしめるべき家族がいなくなっても、生活をとものしない家族というものを、もういっぺん深いところで成立させる」高史明 -
Posted by ブクログ
つい先日読んだ「コリアン世界の旅」(野村進著)
在日韓国・朝鮮人と本国の韓国人や在米コリアンとの生き方考え方の違い、韓国籍同士でも出身地域によって考えの違いや差別もあること、日本に対する愛憎半ばの思いなど、マスコミの表層的断片的な情報ではわからなかった在日韓国・朝鮮人の実相は眼からウロコだった。
今週読んだ「アジア 新しい物語」は、同じ著者がアジア9カ国で生きる9人の日本人に同行取材したルポタージュ、ノンフィクション。
飲食店主、牧師、園芸家、柔道教師、不動産屋など活動分野は様々だが、大企業の駐在員とかNPOなど組織の一員ではなく、全員縁あってそれぞれの国に出会い身ひとつで現地の人と溶け合いあるいは闘って、自らの意思で苦闘しながらもイキイキと人生を送る人たちである。どの人物の話も全部面白く、巻末の解説で川上弘美さんが書いているようにひとりの物語だけでも一冊の本になるほど、夢と笑いと涙と冒険の物語ばかりである。
全篇面白かったが、ひとつだけ抜粋
フィリピンで生きる牧師の西本さんは説教やミサをするだけの牧師ではない。スラムの貧しい人たちからとんでもない大金持ちまでいろんな人と付き合い、大酒飲みでギャングとも酒を酌み交わす。フィリピン人や在比日本人社会のよろず相談世話係の親分みたいな人で、日本の個人福祉団体とフィリピンの架け橋のようなこともしている。
フィリピン人の土の上をはだしで歩くような貧しくも豊かな人間社会のなかで生きる彼は、
「いま日本は道路だけでなく、心もコンクリートで舗装されたみたいになっているんだな。心がかたくなだから、感謝とか畏敬とか神から蒔かれた種が心に入っていかない。」と言い、「フィリピンから見ていると、日本の社会は病んでいるのに、日本人はなかなかそのことに気づかない。経済的に豊かだから、自らの心を見つめ、その「貧しさ」に気づくのが難しくなっている。本当はどん底かその瀬戸際にいるのに、お金で代償行為や慰撫に逃げるから、自分の置かれている場所がどこなのかわからなくなっている。」と語る。
すべての登場人物の生き様は、結果として「ボランティア」の要素をもっている、あるいはボランティアそのものである。最初から「貧しいアジアの人たちを救うんだ!」みたいな声高な使命感から始まった人はひとりもいない。自分の夢ややってきたことが、定義するとボランティアでもあったということ。彼ら自身に「ボランティア」という意識はない。素晴らしいのはそこである!
「ボランティア」の言葉の語源はラテン語の「自発」「志願」であるらしい。
「「ボランティア」とは他者のための「奉仕」や「貢献」ではなく、自己を生かすことがそのまま他者を生かすことにもなる「自発的な無償の行為」と定義することができるかもしれない。」
自分を生かし他者を生かせば、結果としてお金だけでは得られない大きなものを手にする。それは、体の心底から満ち足りる思いという人生でいちばん大きいプレゼントである。
不況、年金不安、ワーキングプアなど、今の日本の社会には閉塞感が強く、とくに若者たちは縮こんでいる。グローバル化にも色々あるだろうが、アジア共同体構想などアジア諸国との連帯共存は今後の日本にとって大命題である。最近若者の海外旅行が減っているというが、日本だけに閉じこもらずアジアのどこかで自分がやりたいことを探すのもひとつの生き方ではないだろうか?竜馬が脱藩したように、今は脱国の時代かもしれない。
そう言うおまえはどうかって?
私も何らかのかたちでアジアと繋がって生きることを考え、だいそれたことはできなくても少しずつ実行しようとひそかに思っております、ハイ。
この著書の取材時期は1990年代の後半だが、今読んでも新鮮である。
ただこの10年余りのアジアの変化も大きい。著者には「続・アジア新しい物語」の出版を望みたい。 -
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1.ラジオパーソナリティになり、事前準備が必要だということを実感しました。ライターは記事で、パーソナリティは放送で伝えることになります。その下積みとして学ぶにはとっておきだと思ったので読むことにしました。
2.ライターとして活躍されてきた著者がどのようなやり方で記事を書いてきたのかを述べています。人に伝えるためには調べることが前提となっていきます。調べ尽くしたことを凝縮し、書くという作業に移していきます。これをするためにはどのような手順を踏めばよいのかがこの本を読んでわかります。
3.色々なことが学べる一冊でしたが、「対人であること」を忘れてはいけないということです。インタビューとなるとどうしても用意してきた原稿を書きがちですが、それではいみがありません。当日、会話を重ねることで新しく出てくる知見があります。それが意外と面白く、良い記事に繋がるのだと思うと、準備が大切なのはもちろんですが、アドリブの楽しさを伝えられるのも大切だと思いました。 -
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ネタバレ・日本には、100年以上続いている会社の数が、10万以上と推定されている。少なくとも、東京商工リサーチの調査では、2017年の段階で、3万3千にのぼった。
・金を10マイクロメートルという細さで製造し、世界中で使われている田中貴金属。
・ケータイの心臓部と言える「人工水晶」をつくっている、エプソントヨコム。
・世界中のケータイで使われている電気的にメッキされた銅箔を製造している、福田金属箔粉工業。
・ケータイ等の機械のゴミの山を溶かして、金や銀を取り出している秋田の小坂製錬。
・羊の皮膚に注射することで、羊の毛が抜ける薬を製造しているのは、ヒゲタ醤油。キッコーマン、ヤマサと並ぶシンセで、首都圏のそば屋ではシェア8割に及ぶ。
・ロウを取り扱うセラリカNODA、トレハロースの大量生産に初めて成功し、インターフェロンの量産化を行った林原は、本当にアクティブに動き回り、研究と営業を繰り返して、様々なプロダクトを世に生み出している。
・林原健。「研究開発に10年、20年かかっているものも珍しくない。こういう10年とか20年とか、あるいは30年とか、それだけの期間をかけないとできない研究って、山程あるわけですよ。そして、大企業にはできないんですよ」
・老舗というと、「不動」や「停滞」をイメージする人も多いかもしれないが、長く歴史のある老舗企業は、「動」である。
・侵略されたり、内戦に見舞われた期間が短い国ほど、企業は継続できない。アメリカは200年以上続く企業が14社あるが、中国には9社、インドには3社しかない。 -
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ざっくり言えば『ノンフィクションを書く人、これから書きたいと思っている人向けのハウツー本』。
でも、私はノンフィクションに限らず、全ての物書きさんが一度は読んでも良いんじゃないかなーと感じた。この“全ての物書きさん”とは小説、ブログ、或いはレポートも含め……ジャンルや媒体は問わず、兎に角何かしらの文章を書いている人のことである。対象に関する資料を集めて整理したり、誰かから話を聞いたり聞き出したり、そうやって集まった情報から必要なものを取捨選択して文章化していく作業って案外やる機会があると思うので。
まあ、全然そんな機会ないわー!という人もいるかもしれないけれど。それでも『書く』ではなく『喋る』機会はあるだろうから。誰かに何かを伝えたい時(特に事実を伝えたい場合)には、本書に記されている心構えやテクニックが役立つのではと思った。
あと単純に、とても読み易い。少しでも興味を持った人は気軽に手に取って読んで欲しいです。