庄野潤三のレビュー一覧

  • P+D BOOKS 貝がらと海の音

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    老夫婦の穏やかな日々を淡々と語る。
    季節の移ろいを花鳥風月と共に生きる姿、家族隣人友人との関わり方をゆったりとした気持ちで読ませていただいた。
    自分たちがおじいさんおばあさんになった時に、こうありたいなと思う。
    日々をどう感じ、どう彩るかは自分の心次第なんだよな。

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    2023年10月27日
  • 夕べの雲

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    なんて事のない日常が淡々と描かれているのだが、花や木、果物、虫などの描写が季節を感じさせ、自然と関わりながら生活する家族の様子が理想に思えた。何気ない家族の行動や会話の描写がおもしろく、読みながらクスっと笑えたり、あーそうそうと同感できたりして、心が温まる一冊だった。各章のタイトルも素敵だった。

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    2023年05月03日
  • インド綿の服

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    長女との手紙のやり取りなどで綴られる、著者とその家族の記録。

    著者とともに7年間の年月を過ごしているかのような気持ちになった。
    7年の間には決してよいことだけではないのだけれど、それでも温かい気持ちで読み続けられるのは、著者一家のあり方のおかげなんだろうなと思う。まさに"無上の喜び"読書体験だった。

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    2022年01月09日
  • 夕べの雲

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    ネタバレ

    一周回って、ここまでのたわいない日常を小説にできるのはすごいことだ。大きな荷物を手に下げて歩く時に地面に擦ってしまって「またやった」と思うだなんて、そんなこと、執筆しながらよく思いつくと思う。こんな日常こそが幸せなんだなと思う。

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    2021年04月30日
  • 明夫と良二

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    「絵合せ」の続編的作品。長女の結婚式前後の家族の生活が、いつもの筆致で綴られる。『昭夫と良二』というタイトルが表すように、結婚という一大事よりも、兄弟のふざけ合いやけんか(といっても、いつも弟が一方的にやられるのだが)の話題が目立つ内容になっていて、この辺りにも、日常を描くことへの作者のこだわりが感じられた。

    もともと岩波書店の児童書シリーズの1冊とのことで、のちに少年文庫にも入っている。で、小学6年生以上を想定していることもあってか、文芸文庫版『絵合せ』収録の諸作品よりも、読みやすい。とはいえ、この淡々とした作品を当時の小中学生がどう受け止めていたのかを、知りたく思った。小学生の私には、読

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    2021年03月21日
  • 絵合せ

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    1967~71年に執筆された10作品を収録。65年の『夕べの雲』と比べると、自然の描写が少ないように思われたが、それだけ周囲の開発が進んだということだろうか。長女結婚間近の日常を綴る表題作が最も読みやすく、最も印象深かった。

    「静物」や『夕べの雲』に登場した小道具やエピソードが時々再登場していて、気づいたときは「おっ」となる。そして、時の移ろいが心に深く入り込んでいく。

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    2021年03月08日
  • 夕べの雲

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    なんということもない日常なのに、心惹かれる。
    私がこの当時の世俗を知らないということを抜きにしても滋味深い小説。

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    2020年06月29日
  • 夕べの雲

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    おそらく何周もしないとたどり着けないだろう普通さ。高等な普通さとでも言うべきか。小津『お早う』なども連想した。

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    2019年09月20日
  • ザボンの花

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    昭和30年頃に、大阪から東京の田舎に引っ越してきた矢牧家5人の物語。巻末の解説には平凡な家族の生活の底に渦巻く「不安」や「危機」といった難しいことが記されている。しかしそれらは重要なことではないのではないだろか。昔よりも今の方が民主的で平等でいい世の中になっていると思う。でも抑圧され閉塞された当時の時代の中で、貧しいがゆえに豊かで伸び伸びした人々の心が、時代を超えて伝わってくる。それが大事だと思う。

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    2019年09月17日
  • 夕べの雲

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    須賀敦子が日本を説明するのにということでイタリア語訳したという。

    中井久夫の言によると、「家族の日常を描いて筋があるかなきか」の小説。しかし、ここには筋はなくとも家族のかおりのようなものがある。私自身の子供時代とは20年くらいのずれがあるものの、なつかしい気分にさせられる。これから私の家族にも、時代こそ違えどこんな情景が訪れるだろうか。

    冒頭の萩の成長、ラストの切り開かれた山とお墓は移ろいゆく時間の象徴か。

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    2018年11月05日
  • 絵合せ

    購入済み

    温かな家庭

    本の根底に流れているものがとても丁寧な暮らしを営む温かな暮らし。読んでいるこちらまで善い人になって行くような貴重な暮らし。 昭和のとても丁寧な暮らしぶりが浮かびます。
    家族のその後が知りたくなる本です。爽やかとは違う温かさを感じます。

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    2017年09月21日
  • 夕べの雲

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    静かだけど、毎日変化している 自然と 家族を リンクさせて記述した短編集。各章のタイトルが出てきたところを起点に 物語が転じる


    「うまくいかないことは目立つが、うまくいっていることは案外 目立たない」が この本のテーゼ



    風は 大きな変化、自然破壊、戦争 を意味するのではないか。そんな中でも 静かに 毎日変化している自然と家族は 案外うまくいっている というふうに 解釈した

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    2017年03月11日
  • 陽気なクラウン・オフィス・ロウ

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    ロンドンにチャールズ・ラムゆかりの場所を尋ねる紀行集。庄野夫妻の旅行の記録と自在に引用されるラムのエッセイ、手紙、ラムの研究者福島燐太郎の文章が溶け合い、絶妙な効果を上げている。

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    2012年01月23日
  • 夕べの雲

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    ずっと読んでみたかった本、読み終えてしまった。
    少しイメージとは違った。
    何となく緊張感があり、少しカタさもあった気がする。
    もっとも、一気読みする類の本ではないだろうから、
    読み返したら印象も変わるだろうけど。

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    2010年05月14日
  • ザボンの花

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    かなり穏やかなサザエさんみたいな小説。

    一つの家族の日常風景。
    戦争を体験した人(多分)だから、当たり前の日常が非日常的幸せだと感じたりしたんだろうなと思った。

    読んでいてほのぼのした気持ちになって、読書として楽しめたけど、私にはただそれだけの小説だった。

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    2024年10月29日
  • 庭の山の木

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    今より、ゆったりと時間が流れていた頃のエッセイ集。日々、もう少し丁寧に生きなくちゃと思って、なんとも言えない穏やか気持ちになる。

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    2024年09月22日
  • 野鴨

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    家族との日常を細やかに記述しながら物語が進む。物語という程の特別な出来事がおる訳でもない。それが心地よい。

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    2024年03月22日
  • 夕べの雲

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    家族の日常を淡々と綴っているだけなのに、なんでこんなに沁みるのか。描かれる山の道、家の周りの木々、子どもたちの姿、なぜか懐かしく、情景をありありと思い浮かべることができてしまう不思議。なにも特別なことは起きないけれど、忘れたくないことがたくさんある日々。
    庄野潤三 は、たまに読むと心が柔らかくなる、気がする。

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    2023年11月05日
  • 明夫と良二

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    ネタバレ

     9年前に崖の上に引っ越した井村一家。井村と細君、3人の子ども。5月に結婚する和子、4月から予備校の明夫、中3の良二。本書は明夫と良二を中心とした家族小説です。庄野潤三「明夫と良二」、1974.3刊行、2019.2文庫。

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    2023年06月28日
  • 世をへだてて

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    ネタバレ

     庄野潤三さん、1985年、64歳の11月13日、靴を片足だけ履いて散歩に行くのを妻に止められ、脳出血で緊急病院に。12月2日リハビリ専門の病院に転院し、12月27日杖なしで退院。その間の様子を語ったエッセイ。「世をへだてて」、1987.11刊行、2021.2文庫。著者は、85歳で2度目に倒れ、ついに動けなくなるまでの20年間、毎日数度の散歩、1万5千歩より少ない日はほとんどなかった。歩ける喜びと仕事ができる喜びを生涯忘れなかった。1921.2.9~2009.9.21。なお千寿子夫人は2017年に没。

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    2023年06月23日