庄野潤三のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
まず前提として、本書は“純文学”であるということを分かっていなければならない。決してエンタメ小説ではない。基本、“退屈でつまらない”、それが純文学である。人を楽しませるために書かれた本ではない。
前情報なく、本書を読み始めると、「何だこの退屈な小説は」と思い、途中で投げ出してしまうかもしれない。なので、巻末の解説を最初に読むことをおすすめする。
「幸せとは何でもない日常にこそあるのだ」
確かにそうだろう。そう思って読んでいた。退屈を愛でること、それこそが幸福であると。
しかし、どうやらそんな単純な話ではないことに途中気づいた。
当たり前の日常は、当たり前“だけ”ではない。退屈な日常は、実は、退屈ばかりではない。
そこには必ず、“危うさ”が潜んでいる。
当たり前も、退屈も、いつそれが消えてなくなってもおかしくない。実はとても不安定で、危ういものである。夕べの雲のように、いまの形は次の瞬間には変わっている、言い換えれば、いまの形は次の瞬間には“消えている”のである。そう考えると、いまの平凡な日常が、“いま”であるはずなのに、どこか懐かしく思われてくる。
ただただ退屈を愛でるだけでは、退屈な日常を真に理解しているとはいえない。
「幸せとは何でもない日常にこそある」
確かにそうであるが、その裏側に潜む“危うさ”もセットにして日常を捉えること。
「懐かしい」には、「哀しい」が含まれている。懐かしいと思うとき、そこにはどこか哀しい気持ちも含まれている。そのような、懐かしくて哀しい気持ちをもって、今を、日常を、見つめる。ありふれた日常がまた違って見えてくる。私は退屈を愛でるだろう。
私の幸福は、不幸と表裏一体であることで存在している。常にそういった気持ちでありたい。
最後に。
小説なのだが、どこか詩的な感じがした。詩を読んでいるような気持ちになった。
また、途中、「梶井基次郎の作品っぽいな」と感じたのだが、作家案内にもあったように、やはり影響を受けているのかなと思った。
少々長く感じたので、『静物』くらいの長さでもよかったかも、というのが正直な感想。 -
Posted by ブクログ
「絵合せ」の続編的作品。長女の結婚式前後の家族の生活が、いつもの筆致で綴られる。『昭夫と良二』というタイトルが表すように、結婚という一大事よりも、兄弟のふざけ合いやけんか(といっても、いつも弟が一方的にやられるのだが)の話題が目立つ内容になっていて、この辺りにも、日常を描くことへの作者のこだわりが感じられた。
もともと岩波書店の児童書シリーズの1冊とのことで、のちに少年文庫にも入っている。で、小学6年生以上を想定していることもあってか、文芸文庫版『絵合せ』収録の諸作品よりも、読みやすい。とはいえ、この淡々とした作品を当時の小中学生がどう受け止めていたのかを、知りたく思った。小学生の私には、読み通せなかったな、きっと…。 -
購入済み
温かな家庭
本の根底に流れているものがとても丁寧な暮らしを営む温かな暮らし。読んでいるこちらまで善い人になって行くような貴重な暮らし。 昭和のとても丁寧な暮らしぶりが浮かびます。
家族のその後が知りたくなる本です。爽やかとは違う温かさを感じます。