あらすじ
磊落な浪人生の兄と、気立ての優しい中学生の弟。男の子二人のおかしみに満ちたやりとりを見守る姉は、間もなく嫁いでゆく。自然に囲まれた丘の上の一軒家に暮らす作家一家の何気ない一瞬に焼き付けられた、はかなく移ろいゆく幸福なひととき--。著者没後10年。人生の喜び、そしてあわれを透徹したまなざしでとらえた家族小説の傑作、初文庫化
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Posted by ブクログ
地元のアルバイトしていた書店の古本屋コーナーにあった。先生が解説を書いている!と思い、880円ですこし高いけど買った。
何回も声を出して笑ったなあ。明夫と良二のやり取りは兄と弟によくありそうな出来事ばかりなのに、つい笑ってしまう。ちょっかいをかける兄とそれに困る弟の姿をこんなに楽しく読ませることができるのすごい。今年読んだ小説のなかで三本の指に入るくらい好きだったかもしれない。
解説を早く読みたくて買ったところもあったのに、小説が好きすぎてむしろ落ち着いた気持ちで先生の解説を読めた。長女・夏子さんの文章も書かれていて、すごくよかった。
Posted by ブクログ
日常の一コマを丁寧に綴る。
明夫と良二という兄弟を中心に、姉の和子、子供達を優しく見守る父母。5人が暮らす井村家。
温かい家族の日常は、いつまででも浸っていたい空気に包まれている。
〝翌日〟を〝あくる日〟と言うのが、なんとも言えずやわらかい。
Posted by ブクログ
「絵合せ」の続編的作品。長女の結婚式前後の家族の生活が、いつもの筆致で綴られる。『昭夫と良二』というタイトルが表すように、結婚という一大事よりも、兄弟のふざけ合いやけんか(といっても、いつも弟が一方的にやられるのだが)の話題が目立つ内容になっていて、この辺りにも、日常を描くことへの作者のこだわりが感じられた。
もともと岩波書店の児童書シリーズの1冊とのことで、のちに少年文庫にも入っている。で、小学6年生以上を想定していることもあってか、文芸文庫版『絵合せ』収録の諸作品よりも、読みやすい。とはいえ、この淡々とした作品を当時の小中学生がどう受け止めていたのかを、知りたく思った。小学生の私には、読み通せなかったな、きっと…。