庄野潤三のレビュー一覧

  • 夕べの雲

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    昭和39年9月から40年1月まで日経新聞夕刊に連載された家族の日常を描いた小説。
    丘の上に家を建てた著者と家族を、大浦家の5人家族として表し、淡々と描いているが、家族のユーモラスな会話が散りばめられ、全体的に温かくほのぼのとしている。     四季の自然が詩情豊かに描かれているのも特徴。
    長男で中学生の安雄が帰り道、毎日、梨売りの爺さんから梨を買う話、大浦の細君が刺されたことから広がっていくムカデの話、細君が、次男の正次郎の風邪を大根おろしと梅干し入りのお茶で治そうとする話など、興味深く面白かった。
    今のように贅沢な物が溢れる時代ではないからこそ、生き物や自然に目が向き、素朴ながらも家族の団欒

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    2023年05月29日
  • P+D BOOKS 鉛筆印のトレーナー

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    本当に家族って本来はこうやって色々行き来して生活するものなんだろうな、と思った。でも姑がこんなにことあるごとにやってくるって大変じゃないのかな?、とも思ったり(笑)

    なんとなく古き良き家族を思い浮かべて読んでいたけど、そんなに、むかしのことでもないのかな?ひとつひとつのことをこうやって日記にして生きていくっていいなぁとも思った。

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    2023年03月12日
  • 世をへだてて

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    岸本佐知子さんのおすすめにあったので。
    闘病(?)エッセイ。溝口とか虎の門とか、知っている地名がいろいろ出てきて親しみがわく。
    PTとかOTってこういうことしてるんだな、というのが詳しくわかって面白かった。逆に言えば、お手玉をつかんで運ぶことができなくなる、というのが麻痺なのだ。
    目線が温かくて優しい気持ちになれる。

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    2023年01月01日
  • 夕べの雲

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    何気ない日常を描かせると、確かに神様。引っ越した先が丘の上で、とても風が強い。昔から住んでいる人々はちょっと引っ込んだところとか、風よけの林を背負っているところに住居を構えている。昔の人はえらいもんだと感心し我が家も木を植えねばと思いつつ、面倒になって後回しになる。そのうちに予想もしなかったバラなどが生え、庭が賑やかになる。家を守らねばという思いと、いざやろうとすると面倒で、なんとかなるだろうという怠け心。これ、いろいろな場面で思い当たるところがあり、うまいこと表現するもんだなあと感心。さすが小説の神様。

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    2022年06月19日
  • 絵合せ

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    1967年から71年にかけて発表された、著者の短編作品10編を収録しています。

    長女の和子と、明夫、良二という二人の息子とともに暮らす家族のすがたがえがかれています。最後に収録されている「絵合せ」では、和子が他家に嫁ぐことがきまっている家族の一コマがえがかれていますが、それ以外の諸編でも、二人の息子の成長していくようすがうかがわれます。いつまでも変わることのないように見える、何気ない家族のひとときのなかにも、意識に上ることのない無数の変化をはらんでいることに気づかされます。

    「星空と三人の兄弟」や「さまよい歩く二人」では、家族の日常の出来事を、グリム童話の話になぞらえつつ語られているところ

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    2022年04月11日
  • 庭の山の木

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    1973年刊行のエッセイ集。1957~73年の70編が収録されている。後の作品になるにつれて、だんだんと文体がゆったりしてくる感じ。大きな甕など、著者の小説に登場する道具や光景が登場するのもうれしい。

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    2021年07月01日
  • P+D BOOKS 前途

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    戦時下の人々の、とりわけ若き文学青年たちの日々が描かれる。
    〝歴史〟の裏側で、確かに存在していた市井の人々の暮らし。そこには多少の不便はあれど、今と変わらぬ若者の姿。

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    2018年12月24日
  • 愛撫 静物 庄野潤三初期作品集

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    晩年の作品に慣れ親しんでいたので、同じ作者かと戸惑う。ページが進むにつれ、ようやく後のシリーズに通じるものを感じた。

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    2012年01月18日
  • 夕べの雲

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    息子達の小学校の新聞で、校長先生が紹介していた本です。

    私が住んでいる地区のむかしの頃の様子を書いたお話です。
    日々の生活が書かれているのですが、何か優しい感じがして楽しく読めました。
    庄野潤三さんは今でも、この地区にお住まいで私が良く行くスーパーにもお買い物にいらっしゃるそうです。

    長男の同級生のママが、
    「庄野潤三さんを見かけたら、教えてあげるわね」と言われて楽しみにしているのですが・・・
    なかなか、タイミング良くお会いできません。

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    2009年10月04日