千葉俊二のレビュー一覧
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江戸川乱歩初読。
探偵小説は久々に読んだが、やっぱり面白い。
しかも乱歩の文体はびっくりするほど読みやすく、なめらかな文章がスッと頭に入ってくる。
こういう文章を書きたい。
乱歩の小説は探偵小説といえど、犯罪者視点で話が進むのも、独特で面白いと思った。『金田一少年の事件簿』の犯罪者視点バージョンの漫画を思い出した。また、モチーフにドストエフスキーの『罪と罰』やドイルのホームズシリーズがあったり、名探偵コナンに影響してそうな名前がいくつかあって、そういう発見も面白かった。
また、探偵小説以外にも、シンプルな恐怖小説的な作品もいくつかあって、そういうのも自分の好みに合っていた。
乱歩の短編は全部、読み切るのにちょうどよい長さで、かつどれも同じくらい面白いのだが、以下にとくに好きだった作品をメモしておく。
「D坂の殺人事件」
「心理試験」
「屋根裏の散歩者」
「人間椅子」
「お勢登場」
「木馬は廻る」
「押絵と旅する男」
「目羅博士の不思議な犯罪」
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江戸川乱歩『江戸川乱歩短篇集』岩波文庫。
千葉俊二により編纂された12編収録の江戸川乱歩短編集。江戸川乱歩の短編は様々な出版社から様々な形式で出版されているが、何度でも読みたくなる。
『二銭銅貨』『D坂の殺人事件』『心理試験』が絶品。
『二銭銅貨』。これがデビュー作かと驚くばかりの完成度。真相もトリックも解りきっているのに何度読んでも面白い。作中に登場する乱歩オリジナルの暗号にも驚かされるが、ツイストの魔術師と呼ばれるジェフリー・ディーヴァーも驚くレベルの捻りには脱帽するしかない。工場から給料の5万円を盗んだ泥棒紳士と呼ばれる男を羨むほど生活に困窮していた松村武と私。★★★★★
『D坂の殺人事件』。明智小五郎の初登場作。まだ若い、書生時代の明智小五郎が殺人犯に疑われるが、見事な推理で犯人の正体を暴く。現代では、さもありなんという事件の真相なのだが、この時代にこうした設定で推理小説を描いた江戸川乱歩という作家は稀有な存在である。中学生の時に春陽堂文庫で読んだが、中学生には刺激が強過ぎた。★★★★★
『心理試験』。これも名作。犯人と名探偵の攻防が面白い。読者には最初から犯人が提示されており、どのような結末が待っているのかという興味が最後まで読ませる理由なのだろう。『D坂の殺人事件』に続き、明智小五郎が今度は探偵として登場する。学費にも困窮する蕗屋清一郎は友人の下宿先の主である老婆が金を貯めていると聞き、老婆を殺害し、老婆の金を奪う。綿密に計画された蕗屋の犯罪は、担当する判事にも見抜くことが出来なかった。★★★★★
『白昼夢』。ホラー短編。ありふれた日常の中に潜む狂気と恐怖。狂気と恐怖の飼い主が、その事実について熱弁を奮うが、主人公の私以外、それが事実であることに気付かない。★★★★
『屋根裏の散歩者』。これもまた名作。明智小五郎と知り合った郷田三良は明智から様々な犯罪について講釈を受けるうちに生来の犯罪嗜好が強くなっていく。そして、ついに殺人という重大犯罪を犯してしまうのだ。再読してみて、明智が郷田を焚き付けなければ良かったのではと思う。★★★★★
『人間椅子』。捻りの効いた傑作。とある女性作家の元に届いた書簡。そこには身の毛のよだつような内容がしたためられていた。★★★★★
『火星の運河』。『白昼夢』と同じような系統のホラー。描写が幻想的である。★★★★
『お勢登場』。浮気者のお勢がチャンスとばかり、夫を亡きものにする。女は怖いという感想は差別的な発言になるのか。★★★★
『鏡地獄』。球体の内部を鏡貼りにしたらどんな光景が見えるのだろうか。中学生の頃、この短編を読み、興味を持った。鏡に魅了された男が球体の鏡の部屋に入る。★★★★
『木馬は廻る』。今一つしっくり来ない結末。木馬のある木馬館で働くラッパ吹きの格二郎と女車掌の少女お冬の淡い恋の物語。★★★
『押絵と旅する男』。ある男が汽車に乗り合せた西洋の魔術師のような風采の男から彼が持つ押絵細工にまつわる不思議な逸話を聞く。世にも奇妙な物語。★★★★
『目羅博士の不思議な犯罪』。探偵小説の筋を考えるために浅草や上野あたりを散策していた私の前に髪を長く延ばした、青白い顔の青年が現れて語った、月夜に住人が首吊自殺してしまうというビルの部屋の話。★★★
本体価格850円
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江戸川乱歩短編集(千葉俊二編/岩浪文庫)
処女作の「二銭銅貨」「D坂の殺人事件」「心理試験」「白昼夢」「屋根裏の散歩者」「人間椅子」「火星の運河」「お勢登場」「鏡地獄」「木馬は廻る」「押絵と旅する男」「目羅博士の不思議な犯罪」の12篇を収録。
個人的に好きなのは「押絵と旅する男」「鏡地獄」「二銭銅貨」。特に「押絵と旅する男」では遠眼鏡を逆さまにしたことで見える世界により恐怖心だけでなく不思議な懐かしさを覚えます。今回、再評価したのは完全犯罪をテーマにした「お勢登場」。閉所恐怖症の人にはきついかもしれません。
編者である日本文学研究者の千葉俊二さんの解説では日本探偵小説の黎明、乱歩と時代の背景についても触れられて興味深い読み物になっています。
「芋虫」や「二廃人」を収録している新潮文庫版の「江戸川乱歩傑作選」には「お勢登場」「押絵と旅する男」がありません。「傑作選」は表紙もいいので、2冊合わせて持ってもいいと思います。 -
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ネタバレ読みたかった作家が何人もいた。長いお話だと容易に手が出せないけれど、本作は児童文学を集めた名作集ということもあり、とても読みやすかった。色々な作家への入り口を作ってもらえてうれしい。
作品のはじめに各作者の紹介文が入ってるのも個人的にはありがたい。このへんは岩波書店さまさま。
菊池寛、有島武郎、室生犀星、島崎藤村、宇野浩二、内田百閒、椋鳩十、こんなふうに並べて書いてみて、改めてこの一冊を読めたことの収穫が大きかったのをひしひしと感じる。
一作、とても好きだったものを挙げるとしたら、椋鳩十の「月の輪グマ」。作中の子グマがとても可愛らしく、また読み終わった後に通りすがる切なさが心地よい。 -
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久しぶりの江戸川乱歩。
『D坂の殺人事件』
『屋根裏の散歩者』
『人間椅子』
『鏡地獄』
『二銭銅貨』
『心理試験』
『押絵と旅する男』
『白昼夢』
『火星の運河』
『お勢登場』
『木馬は廻る』
『目羅博士の不思議な犯罪』
12篇。
江戸川乱歩の全ての作品を読んだわけではなく、有名どころをいくつか読んだだけ。
『鏡地獄』『心理試験』『白昼夢』『火星の運河』『お勢登場』『木馬は廻る』『目羅博士の不思議な犯罪』の7篇は、初めて読んだ。
中でも、『白昼夢』『お勢登場』『木馬は廻る』は、目がくらくらするくらい面白かった。
怖さと不気味さと、どことなく漂う艶美な世界。 -
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児童文学とはいえ、格調高く深読みすればするほどはまっていく。当時の地域や時代なども伺えて民俗学的にもおもしろい。
芥川龍之介『蜘蛛の糸』、菊池寛『三人兄弟』、小島政二郎『笛』、有島武郎『一房の葡萄』、江口渙『木の葉の小判』、秋田雨雀『三人の百姓』、室生犀星『寂しき魚』、島崎藤村『幸福』、佐藤春夫『蝗の大旅行』、宇野浩二『でたらめ経』、豊島与志雄『手品師』、浜田広介『ある島のきつね』、宮沢賢治『水仙月の四日』『オツベルと象』、千葉省三『鷹の巣とり』、内田百閒『影法師』、坪田譲治『魔法』、水上滝太郎『大人の眼と子供の眼』、壷井栄『がきのめし』、椋鳩十『月の輪グマ』、新美南吉『牛をつないだ椿の木』 -
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若い頃に既読済みながら、資料として取り寄せたが、読み出すとまた違う読み方ができて非常に楽しめた。作者略歴、挿絵もありテキストとしても秀逸。
福沢諭吉『イソップ物語抄』、呉文聡『八ツ山羊』、『不思議の新衣装』(『女学雑誌』「子供のはなし」欄、執筆者は不明だが巌本善治の可能性大)、若松賤子『忘れ形見』、巌谷小波『こがね丸』『三角と四角』、幸田露伴『印度の古語』、石井研堂『少年魯敏遜』、押川春波『万国幽霊怪話抄』、国木田独歩『画の悲み』、竹久夢二『春坊』、小川未明『赤い船』『野薔薇』、吉屋信子『鈴蘭』(『花物語』)、鈴木三重吉『ぽっぽのお手紙』『デイモンとピシアス』、小泉八雲(内藤史朗訳)『ちんちん小袴』 -
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ネタバレ【本の内容】
「天災は忘れた頃にやって来る」の名言で有名な寺田寅彦の、地震と津浪に関連する文章を集めた。
地震国難の地にあって真の国防とは何かを訴える色あせぬ警告の書。
寺田寅彦が漱石門下の友人小宮豊隆に送った「震災絵はがき」のカラー図版十葉を収める。
[ 目次 ]
断水の日
事変の記憶
石油ランプ
地震雑感
流言蜚語
時事雑感
津浪と人間
天災と国防
災難雑考
地震の予報はできるか
大正十二年九月一日の地震について
地震に伴う光の現象
震災日記より
小宮豊隆宛書簡(大正十二年九月-十一月)
無題
[ POP ]
寺田寅彦(1878~1935)が漱石門下の友人、小宮豊隆に送った関東大震災の「絵はがき」のカラー図版十葉を収めた本書を読み、あの言葉を思い出す。
「天災は忘れた頃にやって来る」。
寅彦の名言は、残念ながら当たってしまった。
〈文明が進めば進むほど天然の暴威による災害がその劇烈の度を増す〉という予言も、原発事故で実証されてしまった。
〈咽喉もと過ぎれば熱さを忘れ〉〈文明という空虚な名をたのんで……経験を馬鹿にし〉〈愚を繰り返している〉。
進歩したのは“物質”だけで、人間は少しも利口になっていない――。
「忘れる」という、前向きではあるが浅はかでもある〈人間界の自然の法則〉を明察する寅彦の見方は、いよいよ今日的だ。
いつまでも覚えていることが出来ない相談だとすれば、少しでも災害を忘れぬよう努力し、教育を徹底させるほかない。
これも寅彦の言だ。
『吾輩は猫である』の理学者、水島寒月のモデルになった物理学者の存在を忘れてはなるまい。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
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ネタバレ『二銭銅貨』
強盗団の隠した5万円の行方。「私」が手に入れた2銭銅貨に興味を持った松村武。2銭銅貨に隠された暗号。発見された盗賊団の5万円。松村のいたずら。
『D坂の殺人事件』
明智小五郎シリーズ
D坂にある古本屋の主人の妻が殺害される。喫茶店からの目撃者、裏の目撃者からの証言で現場に出入りしたものがいない。妻の持つ全身の傷の秘密。ソバ屋の妻の身体の傷の秘密。
『心理試験』
明智小五郎シリーズ
大家の老婆の隠し持つ金を狙った藍屋。大家を殺害し大家の財布の金を半分盗み財布を拾ったと届け出た。翌日、大家殺害犯として逮捕された親友・斎藤。事件に疑問を持った判事・笠森の心理試験。心理試験の結果から犯人を推理する明智小五郎。
『白昼夢』
妻との喧嘩を演説する男。男のさらした人形を見た「私」恐怖。
『屋根裏の散歩者』
明智小五郎シリーズ
人生に退屈した男・郷田三郎。明智小五郎との出会いにより犯罪というもに興味を持つ。引っ越したアパートの屋根裏に侵入し人々の生活を覗き見るが・・。次第に起こる殺人への誘惑。
『人間椅子』
女性作家・圭子の元に届けられた一通の手紙。ある男の異常な欲望の体験。椅子の中での生活の物語。
『火星の運河』
暗い森に迷い込んだ男。脱出できない迷路。
『お勢登場』
寝たきりの格一郎。妻であるお勢は外に愛人をつくり家を空け好きに暮している。息子の友人たちとのかくれんぼ。長櫃の中に隠れた格一郎と帰宅したお勢。長櫃の中で死んだ格一郎とお勢の秘密。
『鏡地獄』
鏡を愛し鏡に取り付かれた男が発狂した。凹面鏡に隠された謎。
『木馬は廻る』
少女に恋したラッパ係の物語
『押絵と旅する男』
記者の中で出会った老人の持つ押絵。美しい少女と老人の押絵。老人が語り始めた押絵の中の2人の話。陵雲閣に通う男の兄と絵の中の少女の恋。押絵に隠された秘密。
『目羅博士の不思議な犯罪』
住んだものが自殺する不思議な部屋。向かいの部屋に住む目羅博士の犯罪。