千葉俊二のレビュー一覧
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大正・昭和期の日本の児童文学選集。「赤い鳥」に掲載された芥川竜之介「蜘蛛の糸」(1918)から新美南吉「牛をつないだ椿の木」(1943)までの21編を収める。「赤い鳥」には、お伽噺から脱し、鈴木三重吉の審美眼によって選ばれた数々の童話が掲載された。とても流行したようで、この選集にも8編が収録されている。とはいえ、宮沢賢治を選ばないのは今から見るとちょっと偏ってると思うし、トムやハックを野卑なものとして排斥するなんて、三重吉と私は絶対気が合わないな…。
芥川竜之介「蜘蛛の糸」(1918)「赤い鳥」掲載時の鈴木三重吉が手を入れたバージョンを収録。青空文庫が元の版なのかな、読み比べてみたが、改行や -
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明治、大正期の日本の児童文学選集。文語体に漢字も難しく、自分の子ども時代は絶対に読もうとしなかったと思うが、巌谷小波の「こがね丸」などは当時の子どもたちに熱心に読まれていたらしい。全体の印象として、明治期は書物を青少年の教育の近代化に使おうと、教訓的な話を積極的に取り入れた感があり、「赤い鳥」が出てくる頃は、自分の芸術の表現として「童話」という型を使ったのかなという印象を受ける。自分はすでに子どもではないので、大人の視点からの感想になってしまうので、児童がどう思ったかは児童たちに聞かないとわからないが、西洋の物語のローカライズなど工夫を凝らしており味わい深い。
福沢諭吉が紹介したイソップ物語は -
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特に印象に残ったものを幾つか。
「礼儀小言」〜鷗外らしい、典拠を示しながら自らの意見を少しずつ展開させていくやり方。
・今はあらゆる古き形式のまさに破棄せられんとする時代である。…人は何故に昔形式に寓してあった意義を保存せんことを謀らぬのであろうか。何故にその弥縫に労する力を移して、古き意義を盛るに堪えたる新たなる形式を求むる上に用いぬのであろうか。(42頁)
「原田直次郎」〜ドイツで鷗外と知己であった洋画家。「うたかたの記」の主人公巨勢のモデルとのこと。世に入れられなかった友への鷗外の心情がかなり前面に出た追悼文。
「鷗外漁史とは誰ぞ」〜かなり斜に構えた感のする。
「歴史そのまま -
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「江戸川乱歩」の短篇集『江戸川乱歩短篇集』を読みました。
先日、NHKの番組で『二十の顔を持つ男~没後50年・知られざる江戸川乱歩~』を観て、久しぶりに「江戸川乱歩」作品を読みたくなったんですよね。
二十の顔を持つ男~没後50年・知られざる江戸川乱歩~
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大正末期、大震災直後の東京にひとりの異才が登場、卓抜な着想、緻密な構成、巧みな語り口で読者をひきこむ優れた短篇を次々と発表していった。
日本文学に探偵小説の分野を開拓し普及させた「江戸川乱歩」(1894‐1965)の、デビュー作『二銭銅貨』をはじめ『心理試験』 『押絵と旅する男』など代表作12 -
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1923(大正12)年から1931(昭和6)年にかけての作品を収めた江戸川乱歩の短編小説集。「探偵もの」は半ばほどで、明智小五郎が登場するものも数編含まれる。
驚いたのは、明智小五郎のクセとして「髪をもしゃもしゃとかき回す」というのがあったことで、なんだ、横溝正史の金田一耕助はこれのマネジャないか。と判明したことだ。しかし描写された人物像としては金田一耕助の方が魅力的である。
乱歩のミステリも面白いと言えば面白いが、横溝正史作品ほど「追い込まれるように読んでいく」急迫感はなかった。
江戸川乱歩の小説世界は、やはり、いかにも嘘くさく観念的である。作者の思い浮かんだアイディアが流麗に展開さ -
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巌谷小波、幸田露伴、押川春波、小川未明、鈴木三重吉、小泉八雲、他が執筆した、明治~大正時期頃の児童文学モノを集めたもの。
面白かったのは、巌谷小波『こがね丸』。馬琴調の伝奇仇討ち物なのですが、子供向けなので登場人物が全部動物になっており、話のテンポと物語の展開が、歌舞伎の舞台を見ているようで。
それと、教科書で読んだことがある小川未明の「野薔薇」。子供の頃は授業受けを意識して読んでしまうため、ハイハイ教訓モノね-、ぐらいの気持ちで読んでいましたが、この年齢になって読むと、この短さの中でこれだけのモノを描ききってるということに驚き、凄い作品だなあと改めて思いました。