【感想・ネタバレ】江戸川乱歩短篇集のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2023年08月20日

日本の近代ミステリ小説の礎を切り開いた乱歩の
代表作が多く集められている短編集で、当時日本では、珍しい探偵が主人公の作品シリーズ、明智小五郎が謎を解決していくのだが、今回の短編集には、「D坂の殺人事件」「心理試験」「屋根裏の散歩者」が、明智小五郎がでてくるのだが、全部面白かったですね。現代のミステリ...続きを読む作品にも通じるトリックなどが、この時代にもう出来上がって
いるのかと、ビックリしましたね。

0

Posted by ブクログ 2023年02月28日

江戸川乱歩短編集(千葉俊二編/岩浪文庫)
処女作の「二銭銅貨」「D坂の殺人事件」「心理試験」「白昼夢」「屋根裏の散歩者」「人間椅子」「火星の運河」「お勢登場」「鏡地獄」「木馬は廻る」「押絵と旅する男」「目羅博士の不思議な犯罪」の12篇を収録。
個人的に好きなのは「押絵と旅する男」「鏡地獄」「二銭銅貨...続きを読む」。特に「押絵と旅する男」では遠眼鏡を逆さまにしたことで見える世界により恐怖心だけでなく不思議な懐かしさを覚えます。今回、再評価したのは完全犯罪をテーマにした「お勢登場」。閉所恐怖症の人にはきついかもしれません。
編者である日本文学研究者の千葉俊二さんの解説では日本探偵小説の黎明、乱歩と時代の背景についても触れられて興味深い読み物になっています。
「芋虫」や「二廃人」を収録している新潮文庫版の「江戸川乱歩傑作選」には「お勢登場」「押絵と旅する男」がありません。「傑作選」は表紙もいいので、2冊合わせて持ってもいいと思います。

0

Posted by ブクログ 2022年06月11日

初めてしっかり乱歩作品を読みました。最高でした。

それぞれの不気味さがとても気持ちよかった。
同じ人物が複数作品に登場するのもいいですね。
彼らのその後がすごく気になる。

オチで何度も驚かされました。
さらに不気味な結末を期待している自分を裏切って来るスタイル。やっぱり作者の手のひらで転がされた...続きを読む

0

Posted by ブクログ 2021年11月14日

久しぶりの江戸川乱歩。

『D坂の殺人事件』
『屋根裏の散歩者』
『人間椅子』
『鏡地獄』
『二銭銅貨』
『心理試験』
『押絵と旅する男』
『白昼夢』
『火星の運河』
『お勢登場』
『木馬は廻る』
『目羅博士の不思議な犯罪』

12篇。
江戸川乱歩の全ての作品を読んだわけではなく、有名どころをいくつ...続きを読むか読んだだけ。

『鏡地獄』『心理試験』『白昼夢』『火星の運河』『お勢登場』『木馬は廻る』『目羅博士の不思議な犯罪』の7篇は、初めて読んだ。
中でも、『白昼夢』『お勢登場』『木馬は廻る』は、目がくらくらするくらい面白かった。

怖さと不気味さと、どことなく漂う艶美な世界。

0

Posted by ブクログ 2019年07月22日

昔から少年探偵団シリーズが好きだったのですが、この短編集は読みやすくて、かつ、驚き、うっとりし、げんなりし、恐ろしくなる、とてもいろいろな感情が味わえる、今読んでもおもしろい物語ばかりです。
この発想は本当にすごいなー。

0

Posted by ブクログ 2018年12月24日

江戸川乱歩は短編が面白い

江戸川乱歩の小説は長編だと途中でだれてくるのですが、短編はどれもすっきりまとまっていてかなり熱中して読める印象です。

変態の変態による変態のための変態小説と呼ぶべきでしょうか。

0

Posted by ブクログ 2014年03月27日

「屋根裏の散歩者」と「人間椅子」が有名らしく、後世にも様々な著作での引用がされているため、どのようなものか一度読んでみようと思った。
すぐに分かったことは、本格と言われる推理小説とは全く別物であること。これが探偵小説や怪奇小説というものだろうか。なんて雰囲気がおどろおどろしいのかと。トリックや細かな...続きを読む雑学などは全てこの雰囲気の為に用意されていると感じるほどに。
この中毒性が今も愛される所以であることは間違いない。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年09月17日

『二銭銅貨』
強盗団の隠した5万円の行方。「私」が手に入れた2銭銅貨に興味を持った松村武。2銭銅貨に隠された暗号。発見された盗賊団の5万円。松村のいたずら。

『D坂の殺人事件』
明智小五郎シリーズ

D坂にある古本屋の主人の妻が殺害される。喫茶店からの目撃者、裏の目撃者からの証言で現場に出...続きを読む入りしたものがいない。妻の持つ全身の傷の秘密。ソバ屋の妻の身体の傷の秘密。

『心理試験』
明智小五郎シリーズ

大家の老婆の隠し持つ金を狙った藍屋。大家を殺害し大家の財布の金を半分盗み財布を拾ったと届け出た。翌日、大家殺害犯として逮捕された親友・斎藤。事件に疑問を持った判事・笠森の心理試験。心理試験の結果から犯人を推理する明智小五郎。

『白昼夢』
妻との喧嘩を演説する男。男のさらした人形を見た「私」恐怖。

『屋根裏の散歩者』
明智小五郎シリーズ

人生に退屈した男・郷田三郎。明智小五郎との出会いにより犯罪というもに興味を持つ。引っ越したアパートの屋根裏に侵入し人々の生活を覗き見るが・・。次第に起こる殺人への誘惑。

『人間椅子』
女性作家・圭子の元に届けられた一通の手紙。ある男の異常な欲望の体験。椅子の中での生活の物語。

『火星の運河』
暗い森に迷い込んだ男。脱出できない迷路。

『お勢登場』
寝たきりの格一郎。妻であるお勢は外に愛人をつくり家を空け好きに暮している。息子の友人たちとのかくれんぼ。長櫃の中に隠れた格一郎と帰宅したお勢。長櫃の中で死んだ格一郎とお勢の秘密。

『鏡地獄』
鏡を愛し鏡に取り付かれた男が発狂した。凹面鏡に隠された謎。

『木馬は廻る』
少女に恋したラッパ係の物語

『押絵と旅する男』
記者の中で出会った老人の持つ押絵。美しい少女と老人の押絵。老人が語り始めた押絵の中の2人の話。陵雲閣に通う男の兄と絵の中の少女の恋。押絵に隠された秘密。

『目羅博士の不思議な犯罪』
住んだものが自殺する不思議な部屋。向かいの部屋に住む目羅博士の犯罪。

0

Posted by ブクログ 2012年07月20日

面白かった!少し気味の悪いお話が癖になってしまいそう。
乱歩の書く幻想小説が思いのほか好きでした。文章もとても読みやすかった。人間椅子良いです。

0

Posted by ブクログ 2012年05月13日

友達に紹介されて、江戸川乱歩の本を手に取った。
推理小説は久しぶりに読んだが
グイグイと入り込める本は久しぶりだ。
人間の奇行、抜け出た想像力、明智のひとひねりある解読。
自分も主人公になって、犯罪をしているような気分になる。

0

Posted by ブクログ 2016年05月10日

不気味だけど引き込まれる、怖くて面白い。やっぱり乱歩はいい!
「二銭銅貨」と「心理試験」「人間椅子」「目羅博士の不思議な犯罪」がお気に入り。時々作者の言い訳(?)が書かれてるのがちょっと笑えた。
明智小五郎の、トリック云々よりも心理的に犯人を追い詰めていくところが面白いなぁと思いました。昔児童書で少...続きを読む年探偵の話は読んだことがあるけど、また今読み返したくなりました。

0

Posted by ブクログ 2024年01月20日

近年では使わなくなった表現もレトロだと思えば新鮮。読みづらい漢字にはルビもふってあり、漢字の知識も習得できる!

と副次的な話から入りましたが、内容はもちろん傑作揃いで、しっかりと怪しげな雰囲気・「乱歩ワールド」を堪能できます。

0

Posted by ブクログ 2019年10月10日

この世界観は嫌いではない。探偵小説としては、やはり心理試験が秀逸。人間椅子は想像してたストーリーよりも面白かった。最後は想定外。偏執モノとしては鏡地獄だなぁ。実写では見たくない。

0

Posted by ブクログ 2018年03月30日

初めて江戸川乱歩作品に触れたのは中学生になったばかりの時だったはず。少年探偵団シリーズだったのは確かだが。そこから幾星霜。すっかりお気に入りの作者である。
掲載されている12の作品のうち10が大正に書かれ、まあ読みにくさは多少あれど現代でも十分に楽しめる。明智小五郎が初めて登場した「D坂の殺人事件」...続きを読むでは非の打ち所のないきっちりした印象を彼の探偵に抱いていただめ、初見時に大層驚いたのは今でもよく覚えている。少年探偵団シリーズから入ったものとはして、いくつか収録してある明智探偵は読んでいて物足りなさはあるものの、変わらずの慧眼に犯人の突然突きつけられた絶望はコチラの想像以上の物なのでしょうね。

0

Posted by ブクログ 2016年02月13日

屋根裏の散歩者が最高に面白かった。
心理試験は罪と罰を参考にしていると思ったが、それ以上に面白かった。
人間椅子の最後には唖然とさせる驚きも。
とにかく最高だった。

0

Posted by ブクログ 2017年01月03日

変態的な発想の人間椅子から正統なミステリーである心理試験、狂った雰囲気の鏡地獄や火星の運河(後者は乱歩の釈明付き)など幅広く収録されている。どれもエロく感じてしまう。

0

Posted by ブクログ 2014年09月29日

授業の課題として読んだのですが、非常に面白かったです。
江戸川乱歩を今まで読んだことがなかったので、これをきっかけに色々と読んでみたいと思いました。




大正末期、大震災直後の東京にひとりの異才が登場、卓抜な着想、緻密な構成、巧みな語り口で読者をひきこむ優れた短篇を次々と発表していった。日本文学...続きを読むに探偵小説の分野を開拓し普及させた江戸川乱歩(1894-1965)の、デビュー作「二銭銅貨」をはじめ「心理試験」「押絵と旅する男」など代表作12篇を収録。(BOOKデータベース)

0

Posted by ブクログ 2014年04月14日

岩波文庫の江戸川乱歩短篇集。その中から、二銭銅貨、D坂の殺人事件、心理試験、白昼夢、人間椅子を読んだ。いずれも、展開は違うのであるが、主人公の視線での見方や事件を見る周りの人間、それをつなぐ語り、落語を聞いているような感じで、味わいがある。
これらの作品が、大正12年から14年に発表されたというから...続きを読む驚きである。
現代のミステリーのような、いろんな仕掛けや派手さはないかもしれないが、一人の人間から出た行動や精神状態を描く、心理描写が面白い。
素晴らしい。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年11月15日

「人間椅子」: よくこんな話、考えついたな!と思う。 

個々の物語の後についている注釈(言い訳)が面白いっ。江戸川乱歩の時代に生きていてこれらの作品の連載を読んでいたら、目新しさにすごくハマっただろうな。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年05月25日

乱歩のデビュー作二銭銅貨から始まり、明智小五郎が活躍するD坂の殺人事件、心理試験、屋根裏の散歩者や、鏡を題材にした幻想的なお話まで多岐に渡って乱歩ワールドを楽しめます。
白昼夢、鏡地獄、押絵と旅する男、目羅博士の不思議な犯罪が面白かったです。
編集の千葉俊二さんの解説も興味深く、他の乱歩作品も読みた...続きを読むくなりました。

0

Posted by ブクログ 2013年04月29日

はじめての乱歩の本。
なるほど確かに明智小五郎シリーズは面白い。

探偵小説の走りでもあるし、怪奇小説の走りでもあるし、
現代のエロ・グロにつながっているということが
よく分かる一冊だった。
閉じ込められた扉に引っかき傷の中に名前とか
今でも描かれることが多いと思う。

全部を書かずに余白を残し、読...続きを読む者の想像力を掻き立てる。
語り口が淡白だけど、うっかり、その様子を思い浮かべてみたら
うげぇ…!!!ってなることも。

しかし、文末に飄々と乱歩が、
「探偵小説じゃなくてごめんね。(テヘペロ)」
みたいなことが書いてあるのがお茶目だ。

0

Posted by ブクログ 2012年11月16日

読みやすく淡々としながらも、不気味で面白かった。
人間椅子も鏡地獄も押絵も目羅博士もヤバかったけど、お勢さんの、ふと通り物が訪れたかんじがリアルで恐ッろしかった……。
追記で作者が言い訳してるのが面白すぎた(笑)木馬(笑)

0

Posted by ブクログ 2015年06月02日

江戸川乱歩の初期短編集。
有名どころと明智ものと幻想小説。
子供に頃読んだ少年探偵団の「明智先生」とイメージ違う!!金田一っぽい。

締め切りに間に合わなかったからこれで我慢してね、とか、書いてるうちに探偵小説じゃないなにかになっちゃったよ、と、ゆるいんだかゆるくないんだかわからないのが混じっている...続きを読むのが面白い。
幻想小説や怪談といった趣のものが好きだ。

「心理試験」における心理学の使い方がまっとうで驚いた。
なんでも見抜く魔法じゃなくて、種も仕掛けもある手品。
いまだに人を好きに操る妖術かなにかだと勘違いしている人が多いと言うのに、大正期に書かれたこれは限界のある技術として正しく使っている。

「鏡地獄」は「オペラ座の怪人」を思い出す。

全体的に、怖さの質が怪談風。
世界への疑いに一度気づいてしまったら、きっかけとなった問題が解決しても元の無邪気な信頼は戻らない。
なんちゃって、冗談ですよ、と言われてもなお拭えない不気味さが残る。

0

Posted by ブクログ 2023年07月05日

乱歩特有の気味の悪さはあるものの、気味が悪すぎることはなく、ギリギリのラインを攻めてくるので、これはこれで興味深く面白い。

ミステリーに関しては、現代のミステリー作品が参考にしたと思われる作品もチラホラあり、この時代にこの発想はすごいなと思う反面、ちょっと物足りなさを感じます。

0

Posted by ブクログ 2022年09月03日

「江戸川乱歩」の短篇集『江戸川乱歩短篇集』を読みました。

先日、NHKの番組で『二十の顔を持つ男~没後50年・知られざる江戸川乱歩~』を観て、久しぶりに「江戸川乱歩」作品を読みたくなったんですよね。
二十の顔を持つ男~没後50年・知られざる江戸川乱歩~

-----story-----------...続きを読む--
大正末期、大震災直後の東京にひとりの異才が登場、卓抜な着想、緻密な構成、巧みな語り口で読者をひきこむ優れた短篇を次々と発表していった。
日本文学に探偵小説の分野を開拓し普及させた「江戸川乱歩」(1894‐1965)の、デビュー作『二銭銅貨』をはじめ『心理試験』 『押絵と旅する男』など代表作12篇を収録。
-----------------------

「江戸川乱歩」作品は2008年に読んだ『江戸川乱歩傑作選』以来なので7年振り、、、

本書には以下の12篇が収録されています。

 ■二銭銅貨
 ■D坂の殺人事件
 ■心理試験
 ■白昼夢
 ■屋根裏の散歩者
 ■人間椅子
 ■火星の運河
 ■お勢登場
 ■鏡地獄
 ■木馬は廻る
 ■押絵と旅する男
 ■目羅博士の不思議な犯罪
 ■解説 乱歩登場 千葉俊二

『二銭銅貨』、『D坂の殺人事件』、『心理試験』、『屋根裏の散歩者』、『人間椅子』、『鏡地獄』の6篇は『江戸川乱歩傑作選』にも収録されていましたが、、、

さすがに7年前に読んだ作品… 断片的にしか記憶に残っていなかったので、十分愉しめました。



『二銭銅貨』は、二銭銅貨の中に隠されていた「南無阿弥陀仏」の暗号を解くまでの展開も愉しめますが、、、

泥棒紳士が隠した大金が手に入ると期待させておいて、おもちゃの紙幣しか手に入らない… という、最後のどんでん返しが愉しめましたね。



『D坂の殺人事件』は、名探偵「明智小五郎」の初登場作品、、、

密室っぽい殺人の謎解きと「明智小五郎」が犯人と疑われる展開が面白かった… 殺された古本屋の細君の身体に残された傷跡が推理のヒントになっています。

真相は、ちょっと倒錯的な内容で「江戸川乱歩」っぽさを感じさせられますね。


『心理試験』は、心理試験により殺人犯を特定しようとする判事と容疑者の駆け引きが愉しめる作品、、、

心理試験の裏の裏を行こうとした真犯人… 「明智小五郎」は、更にその裏をかいて真相を暴きます。

殺害実行時についた屏風の傷が命取りになりましたね。



『白昼夢』は、見物人を前に自分は妻を愛していたが、妻が浮気者だったために、殺して死骸を5つに切り刻んだと証言する男の物語、、、

見物人は狂言だと思い笑いながら聞いているが、男の経営する薬屋には女の屍が… ゾクっとするエンディングでした。



『屋根裏の散歩者』は、犯罪に心惹かれる男「郷田三良」は、下宿の屋根裏を這い回って、隠された他人の生活を覗き見するうちに気に入らない下宿人の殺人を思い立ち、自殺にみせかけて殺人を犯す、、、

倒錯者による完全犯罪を狙った事件ですが… 自殺したと思われた下宿人が翌日の朝、目覚まし時計をセットしてことから「明智小五郎」は他殺ではないかとの疑いをもち、「郷田三良」の無意識な行動の変化から真相に気付きます。

相変わらず見事な推理でしたね。



『人間椅子』は、小説家「佳子」のもとに届いた謎の手紙にまつわる物語、、、

自身のことを世にも醜い容貌を持つ椅子職人と紹介する手紙の送り主は、自分の作った椅子の中に自分が入り込める空間を作ることを思い付き、それを実行に移したところ、自分の入り込んだ椅子の上に他人が座ることに倒錯的な喜びを感じていることが告白されていた… そして、その椅子は「佳子」の愛用している椅子だった。

いやぁ… このオチには巧く騙されましたね。



『火星の運河』は、幻想的な世界(音もなく暗い森、油のようにトロリとした液体で満たされた沼)を彷徨う男を描いた物語、、、

うーん… ちょっと理解できませんでしたね。

最後に著者から「片々たる拙文、何とも申訳ありません。一言読者の寛恕を乞う次第です。」とのお詫び文付きでした。



『お勢登場』は、悪女「おせい」が偶然を利用して夫「恪太郎」を殺める物語、、、

「恪太郎」は、子どもたちとかくれんぼをしていて、自らが隠れた押入れの中の長持に閉じ込められ窒息死寸前… そこに不倫相手との密会から戻ってきた「おせい」は、助けを求め大声をあげる「恪太郎」に気付き、一度は長持を開けたものの、咄嗟に悪事を思い付き、再度、長持を閉じてしまう。

いやぁ… 怖いなぁ、、、

一瞬助かったと思った後に、再度、閉じ込められて窒息死した「恪太郎」の無念さは想像できないですね。

そして、犯罪は暴かれないままエンディングを迎えます… 最後に(附記)として、

「他日明智小五郎対北村お勢の、世にも奇妙なる争闘譚をお目にかけることが出来るかもしれない」

と続篇を期待させるひと言が記述されていました。

続篇は存在するのかなぁ… 気になります。



『鏡地獄』は、物の姿の映る物(ガラスやレンズ、鏡 等)に異常な執着を見せる男の物語、、、

両親が亡くなり、莫大な遺産を相続した彼は、自分の趣味の研究に財産をつぎ込み、望遠鏡で他人の家を覗いたり、顕微鏡で微生物を観察したり、上下左右すべて鏡でできた鏡の部屋を建設して中に閉じ籠り、小間使いの娘を連れ込んで遊んだりという生活を続ける… うーん、何度読んでも好きになれない作品ですね。

登場人物に感情移入できないからだろうなぁ。



『木馬は廻る』は、メリーゴーランドのある木馬館で働く50歳を越えたラッパ吹きの「格二郎」と、「格二郎」が淡い恋心を抱いているメリーゴーランドの女車掌(切符切り)の18歳の少女「お冬」の物語、、、

メリーゴーランドに乗っていた若者が「お冬」のポケットに封筒を入れたのを目撃した「格二郎」は、恋文だと思い、「お冬」が気付かないうちに、その封筒を「お冬」のポケットから奪います… なんと、その中には現金が。

ここまでの展開は、今後、どうなるんだろう… と期待させるのですが、、、

その現金を使って、「格二郎」が仲間に奢ってやるところでエンディング… 中途半端感だけが残る作品でした。



『押絵と旅する男』は、ある男が、たまたま汽車で乗り合わせた西洋の魔術師のような風采の男から、彼の持つ押絵細工にまつわる不思議な逸話を聞くという物語、、、

押絵の少女に憧れる兄が、自ら押絵となってしまう… という、世にも奇妙な物語系の展開でしたね。

ぞくっ… とさせられる作品でした。



『目羅博士の不思議な犯罪』は、探偵小説の筋を考えるために、浅草や上野あたりを散策していた私(「乱歩」のようです…)の前に、髪を長く延ばした、青白い顔の青年が現れ、月夜に住人が首吊自殺してしまう、あるビルの部屋の話を聞くという物語、、、

その原因は… 裏側に隣接する全く同じ形のビルから、「目羅博士」という医学博士が行っていたある行動だった。

幻想的な殺人ですが… うーん、そんなに都合良く行くもんですかね、、、

ブラックなファンタジーという感じかな。



読み終えて感じたのは「江戸川乱歩」作品って、好みの作品とそうじゃない作品に大きく分かれるってことですねぇ、、、

執筆された当時、奇抜な発想や斬新な発想で作品を創造し、探偵小説の地位を築いたという意味では尊敬できる作家だし、本作品に収録された短篇も興味深い作品ばかりなのですが、リアリティを感じられない作品には、どうも入り込めないんですよね。

0

Posted by ブクログ 2021年10月21日

 1923(大正12)年から1931(昭和6)年にかけての作品を収めた江戸川乱歩の短編小説集。「探偵もの」は半ばほどで、明智小五郎が登場するものも数編含まれる。
 驚いたのは、明智小五郎のクセとして「髪をもしゃもしゃとかき回す」というのがあったことで、なんだ、横溝正史の金田一耕助はこれのマネジャない...続きを読むか。と判明したことだ。しかし描写された人物像としては金田一耕助の方が魅力的である。
 乱歩のミステリも面白いと言えば面白いが、横溝正史作品ほど「追い込まれるように読んでいく」急迫感はなかった。
 江戸川乱歩の小説世界は、やはり、いかにも嘘くさく観念的である。作者の思い浮かんだアイディアが流麗に展開されてゆくが、そこに日常的な生活現場にあるはずの質感が全く無い。大地に足の付いていない、ちょっと青臭いような観念的遊戯なのだ。大正モダニズムというものは、そうした傾向をもつものだったかもしれない。後の三島由紀夫の多くの小説にも、このような現実感ゼロの嘘くささがある。
 観念の遊びを読むのも悪くはないが、自分の好みとしてはそれだけでは物足りなく感じる。
 本短編集においては、探偵小説よりもそれ以外の分野の短編の方に面白いものがあったように思う。たとえば「白昼夢」のような掌編は、さっと場面が切り拓かれる刹那的な散文詩のようで美しかった。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年12月20日

「押絵と旅する男」、「白昼夢」、「お勢登場」、「木馬は廻る」を読んだ。
「お勢登場」はどうやらお勢を今後明智先生を対決させる予定だったらしい。あの場で明智先生いたら違う展開になってたろうなあー。
「白昼夢」は気味の悪い話だった。みんなご冗談で笑っているけれど実は……。路上で話す男は罪の告白か、酔い狂...続きを読むっているのか。
「木馬は廻る」はとりあえずハッピー?なエンド?回転木馬に乗っている間は夢心地だからいいのか。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年04月10日

目羅博士の不思議な犯罪が一番好き。

『D坂の殺人事件』
『屋根裏の散歩者』
『人間椅子』
『鏡地獄』
『二銭銅貨』
『心理試験』
『『押絵と旅する男』
『『白昼夢』
『火星の運河』
『お勢登場』
『木馬は廻る』
『目羅博士の不思議な犯罪』

0

Posted by ブクログ 2015年04月10日

特に二銭銅貨の暗号については、ビブリア古書堂で少し読んで知っていたけど、改めてその巧妙さに驚かされた。探偵小説を求められながら、思いつかないとそのまま普通の小説を書いて注釈でフォローする、ある意味潔さが、江戸川乱歩の人間性を表していて、おもしろいなぁと思った。

0

Posted by ブクログ 2011年09月22日

人間椅子は読んでいて鳥肌たった。
趣味の悪い面白さでした。
附記にある、明智小五郎対お勢さん、読んでみたかったなぁ。

0

「小説」ランキング