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大正末期、大震災直後の東京にひとりの異才が登場、卓抜な着想、緻密な構成、巧みな語り口で読者をひきこむ優れた短篇を次々と発表していった。日本文学に推理小説の分野を開拓し普及させた江戸川乱歩(1894-1965)の、デビュー作「二銭銅貨」をはじめ「心理試験」「押絵と旅する男」など代表作12篇を収録。
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Posted by ブクログ
日本の近代ミステリ小説の礎を切り開いた乱歩の 代表作が多く集められている短編集で、当時日本では、珍しい探偵が主人公の作品シリーズ、明智小五郎が謎を解決していくのだが、今回の短編集には、「D坂の殺人事件」「心理試験」「屋根裏の散歩者」が、明智小五郎がでてくるのだが、全部面白かったですね。現代のミステリ...続きを読む作品にも通じるトリックなどが、この時代にもう出来上がって いるのかと、ビックリしましたね。
江戸川乱歩『江戸川乱歩短篇集』岩波文庫。 千葉俊二により編纂された12編収録の江戸川乱歩短編集。江戸川乱歩の短編は様々な出版社から様々な形式で出版されているが、何度でも読みたくなる。 『二銭銅貨』『D坂の殺人事件』『心理試験』が絶品。 『二銭銅貨』。これがデビュー作かと驚くばかりの完成度。真相...続きを読むもトリックも解りきっているのに何度読んでも面白い。作中に登場する乱歩オリジナルの暗号にも驚かされるが、ツイストの魔術師と呼ばれるジェフリー・ディーヴァーも驚くレベルの捻りには脱帽するしかない。工場から給料の5万円を盗んだ泥棒紳士と呼ばれる男を羨むほど生活に困窮していた松村武と私。★★★★★ 『D坂の殺人事件』。明智小五郎の初登場作。まだ若い、書生時代の明智小五郎が殺人犯に疑われるが、見事な推理で犯人の正体を暴く。現代では、さもありなんという事件の真相なのだが、この時代にこうした設定で推理小説を描いた江戸川乱歩という作家は稀有な存在である。中学生の時に春陽堂文庫で読んだが、中学生には刺激が強過ぎた。★★★★★ 『心理試験』。これも名作。犯人と名探偵の攻防が面白い。読者には最初から犯人が提示されており、どのような結末が待っているのかという興味が最後まで読ませる理由なのだろう。『D坂の殺人事件』に続き、明智小五郎が今度は探偵として登場する。学費にも困窮する蕗屋清一郎は友人の下宿先の主である老婆が金を貯めていると聞き、老婆を殺害し、老婆の金を奪う。綿密に計画された蕗屋の犯罪は、担当する判事にも見抜くことが出来なかった。★★★★★ 『白昼夢』。ホラー短編。ありふれた日常の中に潜む狂気と恐怖。狂気と恐怖の飼い主が、その事実について熱弁を奮うが、主人公の私以外、それが事実であることに気付かない。★★★★ 『屋根裏の散歩者』。これもまた名作。明智小五郎と知り合った郷田三良は明智から様々な犯罪について講釈を受けるうちに生来の犯罪嗜好が強くなっていく。そして、ついに殺人という重大犯罪を犯してしまうのだ。再読してみて、明智が郷田を焚き付けなければ良かったのではと思う。★★★★★ 『人間椅子』。捻りの効いた傑作。とある女性作家の元に届いた書簡。そこには身の毛のよだつような内容がしたためられていた。★★★★★ 『火星の運河』。『白昼夢』と同じような系統のホラー。描写が幻想的である。★★★★ 『お勢登場』。浮気者のお勢がチャンスとばかり、夫を亡きものにする。女は怖いという感想は差別的な発言になるのか。★★★★ 『鏡地獄』。球体の内部を鏡貼りにしたらどんな光景が見えるのだろうか。中学生の頃、この短編を読み、興味を持った。鏡に魅了された男が球体の鏡の部屋に入る。★★★★ 『木馬は廻る』。今一つしっくり来ない結末。木馬のある木馬館で働くラッパ吹きの格二郎と女車掌の少女お冬の淡い恋の物語。★★★ 『押絵と旅する男』。ある男が汽車に乗り合せた西洋の魔術師のような風采の男から彼が持つ押絵細工にまつわる不思議な逸話を聞く。世にも奇妙な物語。★★★★ 『目羅博士の不思議な犯罪』。探偵小説の筋を考えるために浅草や上野あたりを散策していた私の前に髪を長く延ばした、青白い顔の青年が現れて語った、月夜に住人が首吊自殺してしまうというビルの部屋の話。★★★ 本体価格850円 ★★★★★
江戸川乱歩短編集(千葉俊二編/岩浪文庫) 処女作の「二銭銅貨」「D坂の殺人事件」「心理試験」「白昼夢」「屋根裏の散歩者」「人間椅子」「火星の運河」「お勢登場」「鏡地獄」「木馬は廻る」「押絵と旅する男」「目羅博士の不思議な犯罪」の12篇を収録。 個人的に好きなのは「押絵と旅する男」「鏡地獄」「二銭銅貨...続きを読む」。特に「押絵と旅する男」では遠眼鏡を逆さまにしたことで見える世界により恐怖心だけでなく不思議な懐かしさを覚えます。今回、再評価したのは完全犯罪をテーマにした「お勢登場」。閉所恐怖症の人にはきついかもしれません。 編者である日本文学研究者の千葉俊二さんの解説では日本探偵小説の黎明、乱歩と時代の背景についても触れられて興味深い読み物になっています。 「芋虫」や「二廃人」を収録している新潮文庫版の「江戸川乱歩傑作選」には「お勢登場」「押絵と旅する男」がありません。「傑作選」は表紙もいいので、2冊合わせて持ってもいいと思います。
初めてしっかり乱歩作品を読みました。最高でした。 それぞれの不気味さがとても気持ちよかった。 同じ人物が複数作品に登場するのもいいですね。 彼らのその後がすごく気になる。 オチで何度も驚かされました。 さらに不気味な結末を期待している自分を裏切って来るスタイル。やっぱり作者の手のひらで転がされた...続きを読む。
久しぶりの江戸川乱歩。 『D坂の殺人事件』 『屋根裏の散歩者』 『人間椅子』 『鏡地獄』 『二銭銅貨』 『心理試験』 『押絵と旅する男』 『白昼夢』 『火星の運河』 『お勢登場』 『木馬は廻る』 『目羅博士の不思議な犯罪』 12篇。 江戸川乱歩の全ての作品を読んだわけではなく、有名どころをいくつ...続きを読むか読んだだけ。 『鏡地獄』『心理試験』『白昼夢』『火星の運河』『お勢登場』『木馬は廻る』『目羅博士の不思議な犯罪』の7篇は、初めて読んだ。 中でも、『白昼夢』『お勢登場』『木馬は廻る』は、目がくらくらするくらい面白かった。 怖さと不気味さと、どことなく漂う艶美な世界。
昔から少年探偵団シリーズが好きだったのですが、この短編集は読みやすくて、かつ、驚き、うっとりし、げんなりし、恐ろしくなる、とてもいろいろな感情が味わえる、今読んでもおもしろい物語ばかりです。 この発想は本当にすごいなー。
江戸川乱歩は短編が面白い 江戸川乱歩の小説は長編だと途中でだれてくるのですが、短編はどれもすっきりまとまっていてかなり熱中して読める印象です。 変態の変態による変態のための変態小説と呼ぶべきでしょうか。
「屋根裏の散歩者」と「人間椅子」が有名らしく、後世にも様々な著作での引用がされているため、どのようなものか一度読んでみようと思った。 すぐに分かったことは、本格と言われる推理小説とは全く別物であること。これが探偵小説や怪奇小説というものだろうか。なんて雰囲気がおどろおどろしいのかと。トリックや細かな...続きを読む雑学などは全てこの雰囲気の為に用意されていると感じるほどに。 この中毒性が今も愛される所以であることは間違いない。
面白かった!少し気味の悪いお話が癖になってしまいそう。 乱歩の書く幻想小説が思いのほか好きでした。文章もとても読みやすかった。人間椅子良いです。
不気味だけど引き込まれる、怖くて面白い。やっぱり乱歩はいい! 「二銭銅貨」と「心理試験」「人間椅子」「目羅博士の不思議な犯罪」がお気に入り。時々作者の言い訳(?)が書かれてるのがちょっと笑えた。 明智小五郎の、トリック云々よりも心理的に犯人を追い詰めていくところが面白いなぁと思いました。昔児童書で少...続きを読む年探偵の話は読んだことがあるけど、また今読み返したくなりました。
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江戸川乱歩短篇集
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