千葉俊二のレビュー一覧
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森鴎外(1862-1922)著。
収録随筆一覧:
?:『サフラン』、『空車』、『礼儀小言』
?:『原田直次郎』、『長谷川辰之助』、『夏目漱石論』、『鼎軒先生』、
?:『我をして九州の富人たらしめば』、『鴎外漁史とは誰ぞ』、『潦休録』、『夜なかに思った事』、『混沌』、『当流比較言語学』、『予が立場』、『文芸の主義』、『俳句というもの』、『歴史そのままと歴史離れ』、『なかじきり』
付:『遺言』
以上の全18篇の随筆集。
なかでも特筆すべきは『予が立場』。これにて鴎外は自身の立場を Resignation に帰するのみと述べる。これは、軍医総監という社会的地位を有する林太郎の立場と、文学人としての鴎外の立場の葛藤の結果、この立場に関して専ら甘受してあきらめるという諦念の思想である。
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Posted by ブクログ
初めて江戸川乱歩作品に触れたのは中学生になったばかりの時だったはず。少年探偵団シリーズだったのは確かだが。そこから幾星霜。すっかりお気に入りの作者である。
掲載されている12の作品のうち10が大正に書かれ、まあ読みにくさは多少あれど現代でも十分に楽しめる。明智小五郎が初めて登場した「D坂の殺人事件」では非の打ち所のないきっちりした印象を彼の探偵に抱いていただめ、初見時に大層驚いたのは今でもよく覚えている。少年探偵団シリーズから入ったものとはして、いくつか収録してある明智探偵は読んでいて物足りなさはあるものの、変わらずの慧眼に犯人の突然突きつけられた絶望はコチラの想像以上の物なのでしょうね。 -
Posted by ブクログ
芥川は、小説から構造を廃すべきと言ったわけではない
ただ小説の前提には作家の個性がなければならず
作家は、その自己表現を面白く読ませるための技法として
構造を用いなければならない
もちろんまた一方では個性が技法となり
二代目○○、三代目○○と積み重ねられていきもするわけだが
それを扱って作品とするのはあくまでも個人だ
そうでなくては、詩はスローガンに
小説はプロパガンダに堕していくしかないだろう
それに対する谷崎は
東京と大阪の文化性の違いなど挙げて
要は受け手の個性が作品を完成させるという立場を取っているようだ
もちろんそれもひとつのあり得べき解釈である
しかしやがては
スノビスト達の鼻持ちならない閉鎖性につながってゆくものでもあろう
そこに、ある暗い可能性を見いだしてしまうのは
ちょっと意地の悪い見方かもしれないが
「日本に於けるクリップン事件」
クリップン事件は、1910年にイギリスで起きた
マゾヒストによる情婦殺害事件
日本でも起こった同じような事件をレポートするのが
この作品の主眼である
しかしマゾ男が女王様を殺すこと以外に事件の共通点は薄く
単に同じものとして並べるのはやや乱暴な気がする
「藪の中」
ひとつの殺人事件をめぐり
すべての容疑者(および被害者)が自らの犯行と主張する話
各人のプライドがそれぞれにそういう主張をさせるようで
真相はわからない
ただ、誇りのために損害を被ることをも厭わない人間の気高さ
それが主題と見ることはできる -
Posted by ブクログ
まず代表作(?)の『サフラン』『空車』『礼儀小言』が掲載され、続いて人物評が4つ。その後、(主に芸術や論壇に関する)様々な事柄に対する鷗外の所感が自由に綴られる。自分に対する世間の誹謗中傷をのらりくらりとかわしつつ痛烈に批判してみせたり、自分が書いた歴史小説のスタンス(歴史離れしようとおもって書いたのに、結局は歴史に厳密になっちゃうのよねー的な)を書き綴ったり、「何か書けって言われるから書くけど、言っとくけど俺そんなに期待通りの事かかねーよ?」と言ってのけたり、とにかく自由で囚われない印象。思いついたままを気どらずに書きたい、むしろ気取った物言いは自分の領分ではないというスタンスが感じられます。
個人的に気に入ったのは、『りょう休録』の「最近の作品は、過去の作品とは違う表現を提示する事が目的と化していて消極的」という主張と、『夜中に思ったこと』の「キチンと整理整頓された知識より、ごっちゃの混沌とした思考回路の方が大物を生む」という主張。それと、『当流比較的言語学』の「ドイツ語にあって日本語にない言葉がある、それはそういう概念が日本人には欠けているから。例として、streber(糞真面目な努力家、型にはまっている、小者)、bismarck(義憤、けしからん)」。