田中文のレビュー一覧
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ネタバレガンがエジプト/ペルシアなど古代文明で認識(ペルシア王妃が乳がんを切除)されて、そのかにのような固さ、広がった形からcancerと名付けられてから、現代までの経緯を著者自身の臨床経験と交えて熱く語る今年一番の力作。
特に20世紀は寿命が伸び、タバコなどの発がん性物質もより一般化して来たガンの世紀となった。一方治療も手術は過激ともいえる、できるだけ切除する方法、化学療法は大量のカクテル療法を行い、正常細胞を死ぬまで追い込むあるいはがん化させるリスクを十分冒して対抗した。その背景は、遺伝子に異変を引き起こすガンの仕組みが明らかではなく、対処療法にとどまったことだ
21世紀の後半にかけて
1.増殖シ -
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Posted by ブクログ
上巻を読み終えてから、下巻のレビューを書くまでに時間が空いてしまった。読むのに時間がかかったのではなく、単に私がサボっていただけだ。下巻も面白い。生命を「分割可能な最小の単位=細胞」として捉えたとき、身体という複雑な現象をどこまで理解できるのだろうか。引き続き、そんな問いに挑んでいく。
CAR-T療法やiPS細胞の可能性と限界、CRISPRを用いた遺伝子編集技術など、「細胞」における最先端の医療事情に触れながら、他方でテクノロジーへの盲目的な礼賛に陥らず、倫理的な側面との葛藤を描く。ここからメモ書きを振り返りながらとしたい(期間があくと記憶が曖昧になるので)。
― 生物学では、「器官」とは -
Posted by ブクログ
余談だが、ドラゴンボールのセルの名前の由来は「細胞」であり、人間たちを吸収していくキャラクターとして、文字通り「セル=細胞」を体現していた。キャラ設定がストーリー開始当初からの登場人物たちの要素を組み込んだ悪役だったから、私はアニメ界のメタ的なポジションとして、セル画が語源だと思い込んでいた。
「細胞」は、すべての生物を構成する基本単位であり、細胞膜で囲まれた細胞質と、その中に含まれるDNAやRNAなどの遺伝物質、タンパク質、その他の分子で構成されている。
本書は、この「cell(細胞)」にまつわる歴史、哲学、倫理、そして未来を描き出す。冒頭のドラゴンボールのセルとは関係ない。何となく私が -
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下巻では、1970年以降から現在までの科学研究や遺伝子に関する医療その他の技術の進展が描かれる。
第四部は、人類遺伝学が語られる。
妊娠中絶の合法化と遺伝子解析技術の発展により、人間に対する新しい種類の遺伝的「介入」、つまり新しい形の「優生学」が登場する。ただ、疾病遺伝子を見つけるためには、まずは遺伝子のゲノム上の位置を突き止めなければならないが、1970年代当時にはその技術は欠けていた。様々な苦労を経て、ハンチントン病を引き起こす遺伝子、嚢胞性線維症の原因遺伝子が特定されるなどして、1990年代前半には、遺伝子の地図が作られ、遺伝子が単離され、解読され、合成され、クローニングされ、組 -
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ネタバレなかなかの大部だが、著者の経歴(Nature Geneticsの初代編集長)もあり、非常にわかりやすい。関係者に対するインタビューも詳細だし、論文発表の先陣争いの裏側なども臨場感がすごい。
前半はCRISPER配列の発見から、ダウドナとシャルパンティエ、フェン・チャンらのノーベル賞争い、特許争いの様が描かれる。かなりマイナーな人にも十分なインタビューをしており読み応えもある。
中盤は賀建奎によるCRISPERベイビーの話が中心。これも突然発表された話だと思っていたが、業界内では随分前から話題になっていたことらしい。
「犯罪行為というものは起きるものだ。法律によって禁止されているにもかかわらず -
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末期の肺がんとなった脳神経外科医 Paul Kalanithi の記録。
これからと言うときに、自分の命の限りを突きつけられた。でも、希望を捨てず、医療現場への復帰を目指し、現に復帰したポール。そして、激務に身を置く。そんなに頑張らなくてもいいじゃない、と思った。体によくないんじゃないか、と。
でも、彼は言う。
「奮闘しない命を描くことは、縞模様のない虎を描くのと同じ」
「最も楽な死が必ずしも最良の死ではない」
小さくなっていた癌が再び大きくなったのは、もしかしたらあの激務も大きな要因なのではないかと思ってしまう。自分の病状にあわせて生きてもよかったのではないか。でも、どう生きる -
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ノーベル化学賞を受賞したCRISPRによるゲノム編集の功罪をドキュメンタリータッチで綴った一冊。
特にニュースでも大きく取り上げられ世界中で大きな非難が沸き起こった、若い中国人研究者による人体へこの技術を使い、双子の誕生という事態になった部分は、その衝撃が文章からも熱量高く伝わってくる。
パンドラの箱を開けてしまったと言われるこの暴挙は、しかしながら知らないところでさらに進んでいるかもしれないし、「デザイナーベイビー」として進んでしまうのか、恐怖すら感じる。
世界で倫理観の共有は中々難しいのかと考えさせられる。
宗教など色々な要因もあるかも知れない。 -
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ネタバレサブタイトルは「末期がんの若き医師が家族と見つけた「生きる意味」です。先日読んだ、「最高の老後」の中にあった推薦図書です。カラニシ博士は脳神経外科医。当然医師としても生死というか、患者の生きる意味を考える立場にいた。手術のリスク、場合によっては何か障害が残るかのうせいがある、障害によって何かができなくなる場合、その何かは生きることよりも意味があることなのか?そういうことですね。そういう彼が、これからという時に自らの病を認識した。自分にとって生きる意味とは何か?それは、「手術をして人を救いたい」ということだった。家族を残したいということだった。そして、再び手術室に立つために、どういうリハビリをし
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多くの登場人物の名前が非常に似通っている。
特に厄介な箇所は、同名の病院関係者と警察官が絡む場面。本書の容疑者のファミリーネームとそのセラピストのファーストネームが似通っている場面(この二人は絡みが多い)。
他にも似通った名前(たとえば容疑者の弁護人と、その共同会社設立者など)が多いし、そもそも馴染みの薄い北欧の人物名が難しく、人物関係が混乱して非常に読みにくい。昔読んだドストエフスキーを思い出す。
但し内容は非常に素晴らしく、面白い。
翻訳のルールなど考えずに登場人物の表記を日本人に分かりやすく変更出来れば、本書は名著になるのでは。
「シリアルキラー」「冤罪」「心理学」「ジャーナリズムの勝利 -
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ネタバレがんの分子標的薬は、がん遺伝子を直せく不活性化するものと、がん遺伝子によって活性化されるシグナル経路を標的とするものがある。
現在は、がんゲノム解析プロジェクトが進んでいる。
がんゲノムの変異には、ドライバー変異とパッセンジャー変異がある。ドライバー変異はがんの増殖を直接誘発しており、当該がんの標本上で繰り返し起きている。パッセンジャー変異はランダムで無害だ。
また、これらの変異による繋がりを「がん細胞の活性化経路」として分類し直すと、11~15(平均13)種類の経路となる。
今後がんのメカニズムが明らかになると、がん医療には三つの大きな方向性がもたらされる。
一つめは治療の方向性で、13 -
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・患者相手のトライアル&エラーがすさまじい。しかし著者は患者を埋もれさせず、臨床医として関わったがん患者の話を何度も織り交ぜていてすばらしかった。特に最終節。著者の温かい人柄が伝わった。
・個々の科学者も敗北し続けながらも、全体としては少しずつ謎が解明されていくのが壮大で感動した。ひとりの成果は小さくても、そのおかげで前進していると見なせる。まさに「何一つ、無駄な努力はなかった」。
・葉酸類似体や化学兵器マスタードガスやX線やラウス肉腫のように、別分野のことを端緒に新しい攻め方が開発されていくのもおもしろい。
・米国の科学政策も興味深かった。基礎研究が無いのにマンハッタン計 -
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物語の主人公は結婚して子供もいて仕事もしているとゆう何不自由ない環境にいるが実は夫とは距離を感じ始めている
。そこへ不思議なメールが届く。。。不思議ってゆうより怪しげなメールだろっ!と、つっこみたくなるが読み進めてゆくとけっして夫婦愛がなくなったわけでなく、関係を修復したい気持ちがあるのがわかる。なのにこの怪しげなメールを送った相手に恋をしてしまう。会いたいと思って出かけてゆくも相手は当然来ず。物語の最後は意外な結末。(でもなーんとなく相手の正体がわかる)。メールでのやりとり以外の描写がほのぼの(?)していてアメリカの生活ってこうなんだ(中産階級のだけど)って思った。夫婦愛の一つの形。 -
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