田中文のレビュー一覧
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下巻では、1970年以降から現在までの科学研究や遺伝子に関する医療その他の技術の進展が描かれる。
第四部は、人類遺伝学が語られる。
妊娠中絶の合法化と遺伝子解析技術の発展により、人間に対する新しい種類の遺伝的「介入」、つまり新しい形の「優生学」が登場する。ただ、疾病遺伝子を見つけるためには、まずは遺伝子のゲノム上の位置を突き止めなければならないが、1970年代当時にはその技術は欠けていた。様々な苦労を経て、ハンチントン病を引き起こす遺伝子、嚢胞性線維症の原因遺伝子が特定されるなどして、1990年代前半には、遺伝子の地図が作られ、遺伝子が単離され、解読され、合成され、クローニングされ、組 -
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ネタバレなかなかの大部だが、著者の経歴(Nature Geneticsの初代編集長)もあり、非常にわかりやすい。関係者に対するインタビューも詳細だし、論文発表の先陣争いの裏側なども臨場感がすごい。
前半はCRISPER配列の発見から、ダウドナとシャルパンティエ、フェン・チャンらのノーベル賞争い、特許争いの様が描かれる。かなりマイナーな人にも十分なインタビューをしており読み応えもある。
中盤は賀建奎によるCRISPERベイビーの話が中心。これも突然発表された話だと思っていたが、業界内では随分前から話題になっていたことらしい。
「犯罪行為というものは起きるものだ。法律によって禁止されているにもかかわらず -
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末期の肺がんとなった脳神経外科医 Paul Kalanithi の記録。
これからと言うときに、自分の命の限りを突きつけられた。でも、希望を捨てず、医療現場への復帰を目指し、現に復帰したポール。そして、激務に身を置く。そんなに頑張らなくてもいいじゃない、と思った。体によくないんじゃないか、と。
でも、彼は言う。
「奮闘しない命を描くことは、縞模様のない虎を描くのと同じ」
「最も楽な死が必ずしも最良の死ではない」
小さくなっていた癌が再び大きくなったのは、もしかしたらあの激務も大きな要因なのではないかと思ってしまう。自分の病状にあわせて生きてもよかったのではないか。でも、どう生きる -
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ノーベル化学賞を受賞したCRISPRによるゲノム編集の功罪をドキュメンタリータッチで綴った一冊。
特にニュースでも大きく取り上げられ世界中で大きな非難が沸き起こった、若い中国人研究者による人体へこの技術を使い、双子の誕生という事態になった部分は、その衝撃が文章からも熱量高く伝わってくる。
パンドラの箱を開けてしまったと言われるこの暴挙は、しかしながら知らないところでさらに進んでいるかもしれないし、「デザイナーベイビー」として進んでしまうのか、恐怖すら感じる。
世界で倫理観の共有は中々難しいのかと考えさせられる。
宗教など色々な要因もあるかも知れない。 -
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ネタバレサブタイトルは「末期がんの若き医師が家族と見つけた「生きる意味」です。先日読んだ、「最高の老後」の中にあった推薦図書です。カラニシ博士は脳神経外科医。当然医師としても生死というか、患者の生きる意味を考える立場にいた。手術のリスク、場合によっては何か障害が残るかのうせいがある、障害によって何かができなくなる場合、その何かは生きることよりも意味があることなのか?そういうことですね。そういう彼が、これからという時に自らの病を認識した。自分にとって生きる意味とは何か?それは、「手術をして人を救いたい」ということだった。家族を残したいということだった。そして、再び手術室に立つために、どういうリハビリをし
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多くの登場人物の名前が非常に似通っている。
特に厄介な箇所は、同名の病院関係者と警察官が絡む場面。本書の容疑者のファミリーネームとそのセラピストのファーストネームが似通っている場面(この二人は絡みが多い)。
他にも似通った名前(たとえば容疑者の弁護人と、その共同会社設立者など)が多いし、そもそも馴染みの薄い北欧の人物名が難しく、人物関係が混乱して非常に読みにくい。昔読んだドストエフスキーを思い出す。
但し内容は非常に素晴らしく、面白い。
翻訳のルールなど考えずに登場人物の表記を日本人に分かりやすく変更出来れば、本書は名著になるのでは。
「シリアルキラー」「冤罪」「心理学」「ジャーナリズムの勝利 -
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ネタバレがんの分子標的薬は、がん遺伝子を直せく不活性化するものと、がん遺伝子によって活性化されるシグナル経路を標的とするものがある。
現在は、がんゲノム解析プロジェクトが進んでいる。
がんゲノムの変異には、ドライバー変異とパッセンジャー変異がある。ドライバー変異はがんの増殖を直接誘発しており、当該がんの標本上で繰り返し起きている。パッセンジャー変異はランダムで無害だ。
また、これらの変異による繋がりを「がん細胞の活性化経路」として分類し直すと、11~15(平均13)種類の経路となる。
今後がんのメカニズムが明らかになると、がん医療には三つの大きな方向性がもたらされる。
一つめは治療の方向性で、13 -
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・患者相手のトライアル&エラーがすさまじい。しかし著者は患者を埋もれさせず、臨床医として関わったがん患者の話を何度も織り交ぜていてすばらしかった。特に最終節。著者の温かい人柄が伝わった。
・個々の科学者も敗北し続けながらも、全体としては少しずつ謎が解明されていくのが壮大で感動した。ひとりの成果は小さくても、そのおかげで前進していると見なせる。まさに「何一つ、無駄な努力はなかった」。
・葉酸類似体や化学兵器マスタードガスやX線やラウス肉腫のように、別分野のことを端緒に新しい攻め方が開発されていくのもおもしろい。
・米国の科学政策も興味深かった。基礎研究が無いのにマンハッタン計 -
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物語の主人公は結婚して子供もいて仕事もしているとゆう何不自由ない環境にいるが実は夫とは距離を感じ始めている
。そこへ不思議なメールが届く。。。不思議ってゆうより怪しげなメールだろっ!と、つっこみたくなるが読み進めてゆくとけっして夫婦愛がなくなったわけでなく、関係を修復したい気持ちがあるのがわかる。なのにこの怪しげなメールを送った相手に恋をしてしまう。会いたいと思って出かけてゆくも相手は当然来ず。物語の最後は意外な結末。(でもなーんとなく相手の正体がわかる)。メールでのやりとり以外の描写がほのぼの(?)していてアメリカの生活ってこうなんだ(中産階級のだけど)って思った。夫婦愛の一つの形。 -
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ネタバレ後半は喫煙やアスベストなど、公衆衛生学上の知見によるがん予防、バップテストなどによる早期発見など、本格化するがんとの戦いが描かれる。
HBVなどのウイルスやピロリ菌などの細菌による、環境因など、様々な要因によってがんが起こる原因として、細胞の分裂をつかさどる遺伝子の変異(がん遺伝子)や、暴走を制御する遺伝子(がん抑制遺伝子)の変異が明らかになり、これらは数百も見つかる。がんを起こすのは通常、こうした遺伝子一つのみの異常ではなく、複数の遺伝子が障害されることによる。一つの遺伝子異常を抱えたまま静かに増殖する細胞群の中に、2つ目の異常が起き、3つ目がおき、、、がんになる。
タモキシフェン、ハー -
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ネタバレ現役の腫瘍内科医によるがんの解説書。副題の「人類4000年の苦闘」はちょっと盛りすぎで、ここ100年のがん研究の歩みが語られる。
著者の背景を反映してか、化学療法の話がメインで手術はちょっぴり、放射線の話はほとんど出てこない。また、普通はあまり触れられないが、経済も重要なトピックとして出てくる。寄付金を集めたり、政府の資金を振り向けさせたり、研究資金を集めることも重要だ。
・ホジキンはリンパ腫について初めての発表を行ったが、その発見は全くといっていいほど相手にされず、研究からも身を引いて静かに亡くなった
・がんを一緒くたに扱う考え方こそが、がんは多様な疾患ではなく単一の疾患なのだというゆ -
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試し読み
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癌と人間の壮大な歴史。上下700㌻と大部だが様々なエピソードを織り交ぜて退屈しないし,しっかりした通史として学べるので時間をつくっても読む価値がある。
下巻では癌の予防の発見,癌のメカニズムの解明,そして分子生物学の進展による分子標的薬の獲得を扱う。
医療といっても科学や技術一辺倒でないのは,人々の高い関心やどろどろした既得権益を反映していて,上巻同様政治運動の側面も見逃せない。強い発癌性が発覚した煙草をめぐる論争や,新薬を切望する末期患者たちによる「悠長な」臨床試験への批判,目覚ましい効果を挙げた化学療法が幻と消えた論文捏造事件などが読みどころ。
高齢化が進みより癌への関心が深まる中で,これ -
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癌の伝記。特に医療の近代化(19世紀)以降の癌と人間の闘争の歴史が詳しく明快に語られる。
麻酔と消毒で外科手術が行えるようになり,染料研究から薬剤の合成が派生し,放射線が発見され,癌治療のお膳立てが揃って迎えた20世紀。しかし患者にとっても医者にとってもそこからが苦難の連続だった。
転移を警戒して乳房を根こそぎ切除する乳癌の手術。強力な細胞毒を何種類も大量投与する化学療法。それらがどのように発展してきたのか,このような苛酷な治療に代わるものはないのか,アメリカを中心にその模索の様子が描かれていく。
近代化を経て,癌治療は科学になったが,研究の進展には政治も欠かせない。小児癌患者を使ったお涙頂戴