田中文のレビュー一覧
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ネタバレサブタイトルは「末期がんの若き医師が家族と見つけた「生きる意味」です。先日読んだ、「最高の老後」の中にあった推薦図書です。カラニシ博士は脳神経外科医。当然医師としても生死というか、患者の生きる意味を考える立場にいた。手術のリスク、場合によっては何か障害が残るかのうせいがある、障害によって何かができなくなる場合、その何かは生きることよりも意味があることなのか?そういうことですね。そういう彼が、これからという時に自らの病を認識した。自分にとって生きる意味とは何か?それは、「手術をして人を救いたい」ということだった。家族を残したいということだった。そして、再び手術室に立つために、どういうリハビリをしなければいけないか。簡単にいえばそういうことなのだけど、人間は死を意識した時、考えるのは死ぬことではなく、何のために生きるのか、生きる上で何が大切なのか、生きる上での価値観ということだったということ。つまり、自分の死を考えることは生きることを考えることなんだということでした。
人間はいつかは死ぬ。それは変えられない事実だし、誰もが知っているけど、その割に何のために生きるのか、生きる上で何が大切なのかを改めて考えることなく過ごしてしまっていないか。こういうことを機会に、自分の価値観、生きる上で大切なこと、そのために何をすべきかを考えるべきと改めて思いました。 -
Posted by ブクログ
多くの登場人物の名前が非常に似通っている。
特に厄介な箇所は、同名の病院関係者と警察官が絡む場面。本書の容疑者のファミリーネームとそのセラピストのファーストネームが似通っている場面(この二人は絡みが多い)。
他にも似通った名前(たとえば容疑者の弁護人と、その共同会社設立者など)が多いし、そもそも馴染みの薄い北欧の人物名が難しく、人物関係が混乱して非常に読みにくい。昔読んだドストエフスキーを思い出す。
但し内容は非常に素晴らしく、面白い。
翻訳のルールなど考えずに登場人物の表記を日本人に分かりやすく変更出来れば、本書は名著になるのでは。
「シリアルキラー」「冤罪」「心理学」「ジャーナリズムの勝利」など日本人に大人気のテーマだし。 -
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ネタバレがんの分子標的薬は、がん遺伝子を直せく不活性化するものと、がん遺伝子によって活性化されるシグナル経路を標的とするものがある。
現在は、がんゲノム解析プロジェクトが進んでいる。
がんゲノムの変異には、ドライバー変異とパッセンジャー変異がある。ドライバー変異はがんの増殖を直接誘発しており、当該がんの標本上で繰り返し起きている。パッセンジャー変異はランダムで無害だ。
また、これらの変異による繋がりを「がん細胞の活性化経路」として分類し直すと、11~15(平均13)種類の経路となる。
今後がんのメカニズムが明らかになると、がん医療には三つの大きな方向性がもたらされる。
一つめは治療の方向性で、13種類の経路のうちいくつかを標的とした阻害剤は既に臨床で利用されている。
二つめはがん予防の新たな方向性で、活性化経路への影響を調べることで新たな発がん物質の検出方法が発見される可能性がある。
三つめはがんの挙動全体の説明で、異常遺伝子と経路に関する知識を統合することで新たな知識と発見ひいては治療的介入のサイクルを一新させる可能性がある。具体的には、がんの不死性は造血幹細胞のような正常な生体の再生を真似ているという説がある。 -
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・患者相手のトライアル&エラーがすさまじい。しかし著者は患者を埋もれさせず、臨床医として関わったがん患者の話を何度も織り交ぜていてすばらしかった。特に最終節。著者の温かい人柄が伝わった。
・個々の科学者も敗北し続けながらも、全体としては少しずつ謎が解明されていくのが壮大で感動した。ひとりの成果は小さくても、そのおかげで前進していると見なせる。まさに「何一つ、無駄な努力はなかった」。
・葉酸類似体や化学兵器マスタードガスやX線やラウス肉腫のように、別分野のことを端緒に新しい攻め方が開発されていくのもおもしろい。
・米国の科学政策も興味深かった。基礎研究が無いのにマンハッタン計画やアポロ計画のような目的指向型はだめだな。 -
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物語の主人公は結婚して子供もいて仕事もしているとゆう何不自由ない環境にいるが実は夫とは距離を感じ始めている
。そこへ不思議なメールが届く。。。不思議ってゆうより怪しげなメールだろっ!と、つっこみたくなるが読み進めてゆくとけっして夫婦愛がなくなったわけでなく、関係を修復したい気持ちがあるのがわかる。なのにこの怪しげなメールを送った相手に恋をしてしまう。会いたいと思って出かけてゆくも相手は当然来ず。物語の最後は意外な結末。(でもなーんとなく相手の正体がわかる)。メールでのやりとり以外の描写がほのぼの(?)していてアメリカの生活ってこうなんだ(中産階級のだけど)って思った。夫婦愛の一つの形。 -
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ネタバレ後半は喫煙やアスベストなど、公衆衛生学上の知見によるがん予防、バップテストなどによる早期発見など、本格化するがんとの戦いが描かれる。
HBVなどのウイルスやピロリ菌などの細菌による、環境因など、様々な要因によってがんが起こる原因として、細胞の分裂をつかさどる遺伝子の変異(がん遺伝子)や、暴走を制御する遺伝子(がん抑制遺伝子)の変異が明らかになり、これらは数百も見つかる。がんを起こすのは通常、こうした遺伝子一つのみの異常ではなく、複数の遺伝子が障害されることによる。一つの遺伝子異常を抱えたまま静かに増殖する細胞群の中に、2つ目の異常が起き、3つ目がおき、、、がんになる。
タモキシフェン、ハーセプチン、グリベックなど、薬物療法の開発は進み、がんゲノムシークエンスにより、複数の遺伝子が障害されてがんが発生するメカニズムも明らかになっている。現状はまだ、がんは手強い存在であるが、今後は明るい(?)と思わせる書きぶり。
・がんのウイルス(鳥に肉腫をおこすウイルス)を最初に見つけたのはペイトン・ラウスであった。30歳の時に見つけたが、当時はその発見を冷笑され、87歳になってようやくノーベル賞を受賞した。
・乳がんの手術は時代とともによりラジカルな術式に移っていき、それはより広範で、身体的な代償を支払う手術であったが、1981年に大規模な臨床研究の結果が発表され、単純乳房切除術と長期予後は差がないことが示された。今日では、根治的乳房切除術が施行されることはほとんどない
・スクリーニング検査の指標として生存期間を設定するのはよくない。全く同じ時期にがんが発生した場合、鋭敏なスクリーニングでがんがみつかり、5年後に亡くなったケース、スクリーニングを受けずに同じ時期に亡くなったケース、二例を比較すると一見、スクリーニングにより5年、余命が伸びたように見えるがこれは間違い。このバイアスをリードタイムバイアスという。 -
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ネタバレ現役の腫瘍内科医によるがんの解説書。副題の「人類4000年の苦闘」はちょっと盛りすぎで、ここ100年のがん研究の歩みが語られる。
著者の背景を反映してか、化学療法の話がメインで手術はちょっぴり、放射線の話はほとんど出てこない。また、普通はあまり触れられないが、経済も重要なトピックとして出てくる。寄付金を集めたり、政府の資金を振り向けさせたり、研究資金を集めることも重要だ。
・ホジキンはリンパ腫について初めての発表を行ったが、その発見は全くといっていいほど相手にされず、研究からも身を引いて静かに亡くなった
・がんを一緒くたに扱う考え方こそが、がんは多様な疾患ではなく単一の疾患なのだというゆるぎなき信念こそがエネルギーを注ぎ込んでいた
治療法が確立されれば、それはあらゆる種類のがんに効果のある包括的な治療法となる
・人類が長寿、不死を求める以上、がんはつきまとう。「ほかのあらゆる殺し屋が殺されて初めて、がんはありふれた病となったのだ」
・「魔法の弾丸」という呼称を最初に使ったのはサルバルサンを開発したエールリヒ -
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癌と人間の壮大な歴史。上下700㌻と大部だが様々なエピソードを織り交ぜて退屈しないし,しっかりした通史として学べるので時間をつくっても読む価値がある。
下巻では癌の予防の発見,癌のメカニズムの解明,そして分子生物学の進展による分子標的薬の獲得を扱う。
医療といっても科学や技術一辺倒でないのは,人々の高い関心やどろどろした既得権益を反映していて,上巻同様政治運動の側面も見逃せない。強い発癌性が発覚した煙草をめぐる論争や,新薬を切望する末期患者たちによる「悠長な」臨床試験への批判,目覚ましい効果を挙げた化学療法が幻と消えた論文捏造事件などが読みどころ。
高齢化が進みより癌への関心が深まる中で,これからも様々な物語が語られるだろう。中にはこれまでの癌研究の流れや基本的な事実をねじ曲げるようなものもあるだろうが,そういったものへの免疫をつける上でも本書は役立つに違いない。 -
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癌の伝記。特に医療の近代化(19世紀)以降の癌と人間の闘争の歴史が詳しく明快に語られる。
麻酔と消毒で外科手術が行えるようになり,染料研究から薬剤の合成が派生し,放射線が発見され,癌治療のお膳立てが揃って迎えた20世紀。しかし患者にとっても医者にとってもそこからが苦難の連続だった。
転移を警戒して乳房を根こそぎ切除する乳癌の手術。強力な細胞毒を何種類も大量投与する化学療法。それらがどのように発展してきたのか,このような苛酷な治療に代わるものはないのか,アメリカを中心にその模索の様子が描かれていく。
近代化を経て,癌治療は科学になったが,研究の進展には政治も欠かせない。小児癌患者を使ったお涙頂戴のキャンペーンや,議会へのロビイング活動も癌と闘うために重要な役割を果たしてきた。必ずしも順風満帆ではなかったが,癌は社会問題化し,研究を後押しした。
そして上巻の最後では,その闘争の中で長らく見落とされてきた緩和ケアの問題,予防の問題を指摘,下巻へ引き継いでいく。 -
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遺伝か環境か、の答えが出た、という触れ込みの本。現代の遺伝研究は、ますます遺伝によって「その人のその人らしさ」が規定されているという結論に至っている、という。人が生きる環境も遺伝の影響を受けており、かつ環境への感受性の違いも遺伝の影響を受ける。
とはいえ、各SNPが数多くの影響を及ぼし(多面発現)、かつ各形質が数多くのSNPから影響を受けている(多因子性遺伝)のため、遺伝子と複雑な形質とのあいだの経路を追跡するのは難しいという。このふたつの原理は重要である。
遺伝研究の成果からは、精神疾患が疾患単位として分類されるべきでなく、スペクトラムとして認識されるべきであるということ、したがって「異常は正常である」(要は程度問題であるということ)という認識も極めて重要であろう。
とはいえ、著者の遺伝研究の成果の誇張(その人らしさを生み出す遺伝子の関与の過大評価)や、プロジェニックスコアの研究とその展望は、グロテスクなもので、西洋的知性の合理性への礼賛、人間を操作する方向に向かう指向性に警戒すべきものを感じた。 -
Posted by ブクログ
プロローグから、著者に関わるかなりショッキングな事情が語られる。著者の伯父2人と従兄が精神疾患の病にかかっていて、祖母はその一生を通して彼らを守り続け、父は身近に彼らの姿を見て苦しんできた。そのため、遺伝、病気、正常、家族、アイデンティティといったテーマが、著者の家族の会話の中に繰り返されていたという。そのような個人的事情をも抱えた著者が、「遺伝子」の誕生と、成長、そして未来について、物語ったのが本書である。
上巻の第一部から第二部では、メンデルのエンドウ実験による遺伝法則の発見とダーウィン進化論との交差、ゴールトンによる優生学の提唱、アメリカにおける断種手術、そしてナチスによる民族浄化へ。これらの歴史的流れについては他の本でも読んだことがあり、比較的知っていることが多かった。
ナチスのユダヤ人等の大量殺戮について現在その措置が肯定されることはないだろうが、劣等な人間に子孫を残させないようにすることは良いことだという優生学の考え方自体については、結構な数の当時の著名人が賛同していた訳で、下巻になるが、新優生学のことを考えると、今は違うと必ずしも言えないことが恐ろしい。
また第二部では、これまた有名な話である、ワトソンとクリックによるDNA二重らせん構造の解明、遺伝子の調節、複製、組み換えの機能等の解明について語られる。
第三部では、遺伝子クローニングによって、”人間”に大きな影響を与える可能性が出てきたことが説明される。
ある発見がきっかけとなって、次から次へと新しい発見がなされ、未知の領域が解明されていくところはとてもスリリングだし、また病気の治療にも役立つようになってくると、莫大な金銭の問題が絡むことになるなど、綺麗事では済まない生々しいことも率直に語られている。