田中文のレビュー一覧

  • 病の皇帝「がん」に挑む(下)人類4000年の苦闘

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    現役の腫瘍医であるムカジーによるがんの治療と研究の歴史を描いた本。古代エジプトのパピルスに「この病の治療法は無い」とかかれてあったという。それほど昔から人類はがんと隣り合わせに生きてきた。がんは遺伝子の病と言われるようになった。がん遺伝子とがん抑制遺伝子の存在が明らかになり、それらの遺伝子が損傷して活性化、あるいは抑制遺伝子の場合は非活性化するとがんが発現するらしいという。それぞれの遺伝子を標的にした分子治療薬の開発が続けられている。がんはゲノムによるのであれば人類はがんからは逃れられない運命にある。

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    2018年10月19日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(上)人類4000年の苦闘

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    現役の腫瘍医であるムカジーによるがんの治療と研究の歴史を描いた本。古代エジプトのパピルスに「この病の治療法は無い」とかかれてあったという。それほど昔から人類はがんと隣り合わせに生きてきた。

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    2018年10月19日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(上)人類4000年の苦闘

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    「シクロホスファミド、シタラビン、プレドニゾン、アスパラギナーゼ、アドリアマイシン、チオグアニン、ビンクリスチン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート」
    一つの薬につき一体どれだけの人々の命、生活、そして尊厳と正気が費やされたのだろう。
    本書は単なるガンの歴史本ではなく、未知の病に対して人間がどう対処してきたのかを物語るルポルタージュだ。

    存在自体は紀元前から記録されてきたが、人間の平均寿命が延びるにつれ、その特異性が顕在化されることとなったガン。
    細胞が自発的な意志を獲得して分裂増殖する病的過形成への対策は、早期に完全に切除できなければ、
    右耳は全く傷つけずに左耳だけを完全に再生不可能に

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    2018年10月20日
  • いま、希望を語ろう 末期がんの若き医師が家族と見つけた「生きる意味」

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    本当の生とはアイデンティティを確立していく過程(意味の獲得)。決して、生物学的な生ではない。生きながら生きていない人はたくさんいる
     
     -私たちのアイデンティティとは、この先も長く生きられるという見通しと密接に結びついている(短いなら家族、中くらいなら本、長いなら外科医)

     -エマはかつてのアイデンティティを取り戻してくれたわけではなかった。新しいアイデンティティを作り出す能力を守ってくれたのだ。そして、私は悟った。新しいアイデンティティを自分で作らなければならないのだと

     -人間関係  :家族、子供
     -目的(他人):外科医、人を助ける
     -目的(自分):相対論の完成

     -優秀な脳外

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    2016年11月13日
  • いま、希望を語ろう 末期がんの若き医師が家族と見つけた「生きる意味」

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    脳神経外科医として死と向き合ってきたポール・カラニシが肺がんになる。
    症状から自分ががんであるとわかったときの気持ちはいかばかりであろうか。医師としては患者をひとつのプロジェクトと捉えることで仕事の効率化を図ることができる。しかしそれは一部分でも人間を人間として扱わないことに他ならない。
    ポールはそれを決して否定はしない。しかし医師から患者へと立場を変化させることでその残酷さを体感することになる。
    人として生きることとはどういうことか。生きる意味とはなにか。「がん患者」ポールにとって脳神経外科医の仕事はあまりに過酷だ。睡眠時間も体力も私生活も削って向き合わなければならない。
    がんから一旦復活し

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    2016年11月13日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(下)人類4000年の苦闘

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    特に印象深いページは、上165pの科学者のスタンス、下260pのスレイモンの橋を架ける、下287pのドラッカーの「みんなはただ愛想よく振舞っていただけだった」

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    2016年09月01日
  • トマス・クイック――北欧最悪の連続殺人犯になった男

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    ネタバレ

    トマスクイックと名乗り、30人以上の人間を殺し、遺体の一部を食べたと自白していたスウェーデン人の犯罪者を記者が掘り下げた話なのかな~、と思っていたら、実はそれがすべて冤罪だったという恐ろしい話。
    第1部で、トマスクイックが犯罪を自白して有罪が次々と確定していった最後に、実は自分は殺していないんだ、と作者に話す部分を読んで、鳥肌が立ちました。これが随分と昔の話というのであればまだしも、2000年代に入ってからこんな大規模な冤罪が。
    第2部は主に著者がひたすらトマスクイックの取り調べや判決について詳細に調べていくシーンが描写され、最後の第3部が、それまでの流れが覆っていくやりとりがまとめられていま

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    2015年11月10日
  • トマス・クイック――北欧最悪の連続殺人犯になった男

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    少年に対するわいせつ行為、刺傷事件、ずさんな計画による銀行
    強盗事件を起こして精神病院に出入りしていた男が、ある日、突然、
    セラピストによる面談中に重大な告白を始めた。

    30人を殺害し、8件の殺人事件で有罪判決を受けたのはトマス・
    クイックを名乗る42歳の患者。本名はストゥーレ・ベルグワール。

    セラピーのなかで次々と語られる犯行はスウェーデン国内のみならず、
    ノルウェーやフィンランドにも及んだ。

    14歳から断続的殺人を続けていたというトマス・クイックは、スウェーデン
    史上初の連続殺人犯だ。8件の事件で有罪が確定し終身刑を言い渡され
    た10年後、クイックは著者との面会で切

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    2017年08月21日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(下)人類4000年の苦闘

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    「ここ二十年間のあいだの驚くべきスパートのあいだに、科学者はすばらしい新世界 ― 悪性増殖を解き放つがん遺伝子やがん抑制遺伝子や、切れたり点座したりして遺伝子のキメラをつくる染色体や、細胞死を受けつけないシグナル経路からなる世界 ― のベールを取った。」

    この後すぐに「しかし、がんの死亡率の減少につながった治療法の進歩はそうした新発見をまったく反映していなかった」と続くのだが、人間はがんとの闘いを着実に進めてきたは明白である。実際に、1990年から2005年にかけて、がんの死亡率は15%近く減少しているらしい。もちろん、その変化は、医学的治療の進歩だけではなく、ロビイングによる喫煙率の減少や

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    2014年12月31日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(上)人類4000年の苦闘

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    「がん」と、その治療に挑む医師・科学者と患者たちの間の長い物語。外科手術、化学療法、放射線療法、予防医療、など、「がん」から身体を守るための戦いの歴史が綴られる。医学的な探求だけでなく、黒胆汁がその原因とみなされていた古き時代の話から、政府やスポンサーから研究のためのサポートを引き出すためのロビイングの話も物語の中での重要なパーツとして描かれている。副題は"A Biography of Cancer"。まさしく、がんの「伝記」として成立している。著者はこの本のことを「真の意味での「伝記」であり、この不死の病の思考のなかに入り込んでその性質を理解し、その挙動を解明しようとする

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    2014年12月31日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(上)人類4000年の苦闘

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    ガンの世界を知の集大成とも言うような広い視野で語りかける大作。上巻ではハルステッドの切り取る治療がとても印象に残った。終わりなき人類のガンとの闘いを下巻でどう展開していくのか今から読むのが楽しみである。とにかく重い本なのに読み進めるたびに感心の嵐なのだ。腫瘍内科の先生であり、同い年。ジャーナリストでも歴史家でもあるような素晴らしい著書。今年読んだ本でもっとも感銘を受けた本であることは間違いない。

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    2014年11月24日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(下)人類4000年の苦闘

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    「ある特定の果物(きのこだったりもする)だけを食べれば、がん(どこのがんか特定もしない)が消滅」、みたいな、素人目にみても無茶苦茶なタイトルや帯が付いた本、雑誌が、大手を振って、書店に並んでいる現状において、「がんリテラシー」というのは非常に重要だと思う。
    本書は、その観点から、とても大切な「教科書」のひとつになるのではないか。

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    2014年09月14日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(下)人類4000年の苦闘

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    ネタバレ

    そして下巻はがんの予防、そしてついに来ましたがんのメカニズム解明。

    細胞分裂の開始と終了を司る遺伝子が変異するのが原因、てことで分裂のアクセル踏みっぱなし、かつブレーキが壊れた状態になってまうらしい。そりゃワサワサ増えるわな。。。で、その遺伝子を標的にした、副作用の少ない分子標的薬がついに出回り始めました、という現状でこの大作は締めくくられとります。

    最後まで読んでふと思ったのが、実は"がん"って病気とは違うんとちゃうか、と。もちろん発がん物質のような外部要因もあるけど、普通の細胞分裂でもDNAのコピーミスが発生して、そこからがん、ってのも確率的にありうる話やからなあ。

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    2014年02月28日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(上)人類4000年の苦闘

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    実は4000年の昔からあったけど、ほとんどの病気を克服して寿命が延びだしたとたん、やな感じに存在感を増してきた、がんと人間のお話ですよ。

    で、上巻はがん治療と、社会運動について。原因とメカニズムがなかなか解明できないので、ほんの30年ほど前までは力押しの治療がメインで、効果の割には患者さんの負担が大きかったそう。将来悪くなりそうなところ含めガッツリ摘出してまうか、命の限界まで抗がん剤を投与して、正常な細胞もろともがん細胞を焼き尽くすか。これはキツかったやろうな(-_-;;;

    著者は現役バリバリの腫瘍医さんやけど、書いた理由が2つあるらしく、
    ①患者さんから受けた「がんとは何か」という質問に

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    2014年02月25日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(上)人類4000年の苦闘

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    主にアメリカにおけるオンコロジーの発展を物語として読ませてくれます。トピックごと、章ごとに時代が行きつ戻りつするのがやや難点ですが、それでも、とてもおもしろい。少なくとも、血液内科医、臨床腫瘍医は必読です。

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    2014年01月24日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(下)人類4000年の苦闘

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    下巻は、予防の占める割合が多い。特に、喫煙と発癌の関連が今まで感じていたよりもはるかに強いことを知らされた。
    その差の原因は政治的な情報制御としか考えられず、自分で情報収集しなければならないことを痛感した。
    癌がいずれ克服されるというような薔薇色の夢は描けないが、個々の癌に対して治療法がみつかって行くことには率直に感動させられる。

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    2014年01月17日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(上)人類4000年の苦闘

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    癌の治療と原因・仕組の探求の歴史がまとめられていて、大変よかった。
    上巻は、後から無意味とわかった治療の歴史が多くの部分を占めるため、痛々しい。

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    2014年01月17日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(下)人類4000年の苦闘

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    とんでもなく面白かった。
    疫学的、分子生物学的、
    腫瘍遺伝学的アプローチのお話もわかりやすく、
    他分野でもそうだが、
    科学の進歩と人類の探究心のすごさを思い知った。

    2011 年 ピューリッツァー賞一般ノンフィクション部門受賞作品。

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    2014年01月02日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(下)人類4000年の苦闘

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    がんはどうやってできるのか?最初のヒントは1775年のロンドン。クライミング・ボーイと言う煙突掃除夫に陰嚢がんが多発した。チムチムチェリーはすてきな歌だが実態は病気の温床だった。1761年素人科学者のジョン・ヒルは噛みタバコが口腔がんなどを引き起こすと発表した。タバコの消費は増え続け1855年頃クリミア戦争を契機に爆発的に拡がった。イギリス、フランス、ロシアの兵士が紙巻きタバコの習慣を持ち帰り、アメリカにも伝播した。1870年に一人当たり年間1本未満だったアメリカのタバコ消費量は30年後にはアメリカ全体で35億本のタバコと60億本の葉巻を消費した。しかしタバコと発がん性の関係が調査されたのは1

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    2013年12月17日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(上)人類4000年の苦闘

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    紀元前2625年頃活躍した古代エジプトの偉大な医師イムホテプの教えた書と言われるパピルスの写本には48の症例がのっている。その一つが乳がんで「治療法はない」この後がんは古代医学史から姿を消した。次に現れたのは紀元前440年頃、ヘロドトスの「歴史」にペルシアの王妃アトッサの同じく乳がんの記述が出てくる。アトッサはギリシャ人の奴隷医師に摘出手術をさせどうやら成功したらしい。故郷に帰ることを願う医師の訴えを聞きアトッサはギリシャを攻めるよう夫に進言し、ギリシャ・ペルシア戦争が勃発した。

    がんの歴史の特徴は古代にはほとんどがんが見つかっていないことだ。しかし、がんが文明病だとは言えない。平均寿命の伸

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    2013年12月16日