月原渉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
第一次世界大戦末期のルーマニアの戦記物だと思ったらミステリーだった。
登場人物の一人が別のシリーズの主人公だと読み終わったあとに知り、またやってしまったと思いつつ面白かったから良しとしよう。
単発で読んでも充分楽しめる内容だけどシリーズを読んでいればもっと楽しめたかも。
舞台は第一次世界大戦末期のルーマニア、
「やんごとなき一族」の古い屋敷で妹エマのために主人公リサは看護師として働くことになり次々と奇怪な事件に巻き込まれていく…
ミステリーはあまり読み慣れていないのでトリックの善し悪しはあまり良く分からないけど、次々に起こる奇怪な事件や謎が気になりぐんぐん引き込まれ夢中で読んでしまいました -
Posted by ブクログ
その蛾は脚が欠けていた。それでもなお、鱗粉を散らしながら光を求めて力強く羽ばたいた───。
月原氏が描く物語のバックボーンは、やはり少し重め。過酷な環境下でも、懸命に日々を営む彼女達でまたも起こる不可解な死。
真相が全て明らかになった時、その罪の本当の所在を深く考える。真に断罪されるべき人間は誰か、はたまた社会なのか。この物語に於いて夏季屋肇と言う人間がいた事、それだけは救いであったと思う。そして彼が陶芸に見せた狂気的な想いは、情熱なのか、それとも贖罪なのか。
「鏡館の殺人」を読んだ際に感じたトリックへの物足りなさは本書ではなく、この物語の流れを大いに汲む、とは言え予想の出来ぬ巧みなレト -
Posted by ブクログ
時代背景と言い、世間から隔絶された豪奢な洋館と言い、僅かに感じる横溝正史風味から、まずはこの謎に吸い込まれて行った。
月原渉氏の著作は先日読んだ「九龍城の殺人」に次いで、これで二作目になるのだが、とても登場人物同士の関わりと、それに伴う感情の動き、そしてその背景の描き方が綿密だなぁ。と言う印象。
鳥が鳥でいられるには、外の世界に向かって飛んでいくしかないんだよ───。
籠の鳥に自由は、手の届かない夢ってことか───。
わたしたちに人権なんてない。出荷される家畜と同じなんだ───。
本能のままに子を為した奔放な父親。そして本来なら恋に友情にと最も輝けるであろう年頃に、潤沢な資産の元とは -
Posted by ブクログ
舞台は戦時中のルーマニア
そこにリサとエマという姉妹がおり、リサは看護師としてロイーダ家に雇われる事になる
リサの他にシズカという医師も専属としてロイーダ家に雇われたとのこと
2人はロイーダ家に向かうが、そこでは奇妙な事件が待ち受ける
医師や看護師が不要な健康体の当主
リサと瓜二つの顔をもつ少女
奇妙な仮面をつけた死体
そして何か秘密をもつであろうロイーダ家の人達
使用人探偵シリーズの外伝的なものかな?
久しぶりにシズカに会えて嬉しかった
今回もシズカの推理っぷりはテンポ良くあっという間に読み終えた
戦争や歴史ある家ならではの苦悩や葛藤があるんだろう
戦争はありとあらゆるものを奪っていく