マット・リドレーのレビュー一覧
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自分的にはマット・リドレー『赤の女王』からの二作目。
『赤の女王』がとても面白かったので。
面白さ、とっつきやすさで言えば、『赤の女王』の方が自分的には良かったかな、と思うが、本書もとても興味深い。
テーマは、「生まれか育ちか」。
人は、本テーマに関わらず、二元論が大好きで2つのうちどちらかにカテゴライズしたがる。だがどちらも影響するんだよ、というのがメインメッセージ。実例やこれまでの研究結果などとともに何故どちらもなのか、といった根拠を展開していく。
持論と書いたが、私から見ると充分に客観的で納得できる主張で、読んでいてストレスがない。
展開される過去の研究結果や実例もわかりやすく説明されているため(それは翻訳者の功績も大きいと推測される)、専門的な事柄を扱っているにもかかわらず、読者も置き去りにされることがない。
『やわらかな遺伝子』というタイトルは、とてもアイキャッチーで美しいタイトルで秀逸な言葉の選択だなと個人的には考える。
原題が『Nature via Nurture』ということで、初めこそ「全然違う!」と感じたものの、巻末の変更の理由を読んで、原題から直訳する際のもどかしさを理解をした。であれば、いっそきれいなタイトルに変更するのは一つの選択であろう。
ただ、”やわらかな”という表現が、訳者独自の理解に基づいている気がして、そこが若干モヤモヤするところではある。
だが、そういったことは些末な点で、とても面白く人に進められる良書であることは間違いない。 -
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イノベーションはどのように起こるのか、何が促進し、何が阻害するのか。ハイテクからローテクまで様々なイノベーションを検証して共通する事象を考察する。
・イノベーションは段階的で、漸進的で、集積的でどうしても避けられないプロセス
・自由と失敗の中で、実用化できるほど安価に利用できるものとなって社会を大きく変革する
→規制による弊害
→失敗できない技術のイノベーションの困難さ
・トロッコ問題のようなトレードオフを受け入れるエビデンス
・世の中の準備が整わないとイノベーションは実現できない
例)キャスター付きカバン
・変化を起こすのは発明ではなく商業化
例)マクドナルド:簡単な食事は皿やフォークなしで食べられる形式を標準にして用意できる
・集団が小さいと脱イノベーションが起こる。スキルを学習する必要があるので、テクノロジーは小規模集団内の限定された専門化によってサポートできるまでに縮小。
・セレンディピティ:もともとは探していなかったものを、偶然に深い洞察力によって発見する
例)グーグルは検索エンジンを求めて起業したわけではない。インスタグラム創業者はゲームアプリをつくろうとしていた。
・アマラ・ハイプサイクル:初期の失望とのちの過大評価のあいだに、人びとが正しく理解する瞬間がある。15年後?
・分権・都市・脱物質化
・規制はイノベーションを遅滞させ、特許はイノベーションを促進しない。 -
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イノベーションがいかに人類に豊かさをもたらしたかについてで、蒸気機関や電球などのエネルギー、ワクチンや水道などの公衆衛生、鉄道や飛行機などの輸送、ジャガイモや遺伝子編集などの食料、0やS字パイプなどのローテク、通信とコンピュータ、農業や家畜化なと先史時代といったそれぞれの分野の代表的なイノベーションを紹介。そしてイノベーションの本質、経済学、偽物、抵抗、現代における欠乏について論じている。
イノベーションには信じられているような瞬間的なものではなく、漸進的で段階的である。誰かがいないとなかったイノベーションはなく、他の誰かが辿り着いただろうというものがほとんど。原子力発電は安全性が求められ、イノベーションに不可欠な幾度もの実験ができないのでイノベーションが起きにくい。政府の形は社会学的シーラカンスといえるほどイノベーションがない。特許を巡る法廷での争いに多くの貴重な時間とお金が浪費されている。
前著に比べるとやや悲観的なトーンが見えるのは、Covid-19の影響か。 -
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エネルギー、公衆衛生、輸送技術、コンピュータ技術など、これまでに人類が起こしてきたイノベーションの歴史を説明しつつ、それらの共通点やイノベーションの本質に迫る内容。
一般的に「イノベーション」というと、優れた天才発明家による突然の閃きや革新的アイディアによる技術の進歩というものを思い浮かべてしまうが、
実際には生物界における「進化」のようなゆるやかなプロセスであることが多いということがわかった。
アイディアを発見する人だけではなく、それを広める人、コストを下げる人、流通を確保する人が必要で、
技術的な突破口を開き、それらを大量に製造する方法を考え出し、安価に広く普及させるという一連のプロセス全てが「イノベーション」の要素である。
また、イノベーションが起きる原動力となるのは自由な環境と、異種間の積極的な交流、多くの失敗が許容される環境で早く、たくさん失敗しながらとにかく実験を繰り返す事だということが、多くのイノベーションの歴史を振り返る事で理解することができた。
とにかく多くの実例が紹介されているので、この本を読めば世間でイノベーションと言われているものの歴史にある程度触れる事ができ、そこから自分の興味のある分野を広げるきっかけにもなると思います。
本棚に置いて定期的に読み返したい本です。
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今こそイノベーションが大切。
破壊的イノベーションこそが閉塞した現状を打破する為の云々かんぬん…
といったフレーズは巷でよく聞かれるが、そもそもイノベーションって何?
今までイノベーションとされてきたモノはどうやって産まれたのか?
というのを考察した内容。
本著で語られている様に、イノベーションは一人の天才・一つのひらめきから産み出されるのではなく、知識の交換、数多の失敗やそこからの小さな改良や改善の積み重ねによって産まれるという話は興味深い。
つまるところは、『繁栄』でも語られていたようにアイデアの交配こそがイノベーションの産みの親ということかな。
技術、経験といったものが積み重ねることでイノベーションが産まれるという話を聞くと人類の歩みの深さの様なものを感じら壮大な気分になる。
だかこそになるのか、特許による技術の保護が逆にイノベーションを阻害しているという後半の下りは知的財産の保護が以前に増して叫ばれているが現代において中々に考えさせられる内容と思う。
物事を長期的に俯瞰して見る事で、一般的なイメージとは異なる視点で語ることができる著書の洞察力は素晴らしいの一言。
読む度に新しい世界を開くようで、知的好奇心をくすぐられます。
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先史の農業革命から、電球・飛行機・水道といった有名な事例、さらには遺伝子編集といった最新のものまで、人類の歴史におけるイノベーションの数々を丁寧に掘り下げることで浮かび上がるイノベーションの本質的なメカニズムや阻害要因などを明らかにした一冊。
著者は、過去のイノベーションの分析を通じて、それらの事例に共通するのは”一握りの天才の閃きによる画期的な発明がもたらした成果”などではなく、むしろ「偶然の発見」や「既存のアイディア同士の新たな組み合わせ」、さらにはそれらを「試行錯誤」を繰り返しながら漸進的に進化させることにより、やがて安価で実用的かつ信頼性の高い製品やサービスとして定着していく一連のプロセスであるとして、そのようなイノベーションを育むためには、リスクテイクや失敗に寛容で、実験と学習を繰り返すことができる環境が不可欠であると主張する。
イノベーションこそが人類の発展を支える礎と信じて疑わない著者からすれば、イノベーションはこれまでも常に既得権益との戦いの歴史であり、今日でも遺伝子組み換え作物や原子力発電に対する否定的な見方、GDPRのような「予防原則」に基づく規制、さらには知的財産保護までもが、イノベーションを減速させ、社会の健全は発展を阻害しているとして、イノベーションを取り巻く欧米各国の状況に警鐘を鳴らす。”イノベーション・レッセ・フェール”ともいうべき「一方の極論」として耳を傾ける価値はある。 -
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イノベーションに対する認識を改めることができる本.
大企業や政府機関で「イノベーションを起こすぞ」なんて呑気に言っている御仁に読んでいただきたい.
イノベーションは「ある一人の天才が突然のひらめきで完成されたイノベーションを誕生させ一夜にして世界を変える」的なイメージがあるけど,本当は違う.
歴史で辿ってみると一人の天才,英雄で完結したわけでもなく,一夜にして誕生したわけでもなく集合的・漸進的な活動が後から振り返ってイノベーションと言われているんだということがわかる.
イノベーションは進化のように「アイデアの生殖」の繰り返し.ゆっくりと進行する,時間が経ってその分岐,差異を認識されるに過ぎない.
イノベーションを仕掛けようと思ったら,「イノベーションを起こそう」と偉い人が掲げるのではなくそれが起きた環境や状況,経済を理解してその環境に近い環境を与えることが必要だなあと思う.
自由(交換,実験,想像,失敗),失敗の許容,時間的猶予,非計画性(一見無価値と思われる試行への許容),見返り,助成金ではなく懸賞金
では,なぜイノベーションは誤解されるのかー>知的財産権と人間の本性(単純化,偉人が欲しい)
普段の日常生活で見聞きすること,大したことないと思っていることも後から振り返れば大きなイノベーションだったと言われるものがあるんだろう.(数年前のブロックチェーンとか).著者はイノベーションが人々に理解されるのは15年と見積もっている.
本の構成としては,エネルギー,公衆衛生,輸送といった分野でのイノベーション誕生物語が最初に展開されるが,正直枝葉末節に興味がない人にとってはだるい… そんな人はまず第8章を読もう.
ただこれらの膨大な事例は無駄ではない.イノベーションとはこうであると説明しようと思ったら帰納的に事例を並べて説得力を守らせるしかないだろうから.
大企業や帝国,国家ではイノベーションは起こしにくい.保守的,失敗を許容,予防原則を張るから.
規制は大企業に恩恵がある.参入障壁となりそれを乗り越えられる力を持つ組織だけが生き残るから.製薬,農薬,GDPR
知的財産権もイノベーションを阻害する.アイデア(イノベーションに必要な配偶子)を閉じ込める.アイデアの生殖(セックス)がおきない.
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イノベーション:
アイデアを実用的で頼りになる,手頃な価格の現実にすること
1週間の40時間を誰かに提供し,睡眠を除いた72時間を誰かにさあさえてもらって消費できる.人類の相互依存の強化.個々の専門化・消費の多様化
ー>論理的でマクロないい捉え方だ.でもITで1の仕事で100の成果が出せるようになっているのに人類はそれに比例して楽になっているとは言えない.やはりその恩恵は投資家やイノベーション企業の経営者が多くとっているんだろうか.
イノベーションはその時代時代で現れるべき時に同時多発的に発生.「孤高の天才発明家」はいない.エジソンの電球ですらそう.象徴的でない人は忘れ去られる
イノベーションは段階的・漸進的・集積的,後から振り返ってまとめられるだけ.
原子力産業が斜陽なのはトライアンドエラーができないから
アメリカの成功理由は「財産権」と「試行錯誤」
天然痘 感染者の膿を取っておいて,非感染者に移植(肌に傷をつけ塗り合わせる)ー>ワクチンの先駆け?
イノベーションは偶然から始まることが多い.もしくは偶然という要素が必要不可欠なことが多い.(エジソンのフィラメント発見,シェールガス採掘技術の発見,天然痘の対処方法の発見,蒸気機関機器の不備etc)
偶然からイノベーションへの昇華には膨大な実務(PoC)が必要
蒸気機関車:誰もが馬の方が良いと持っていた
イノベーションは長期的な影響が理解されない
イノベーションは集合的で漸進的
18世紀,聖職者は教区民にジャガイモを食すことを禁じていた.聖書に書いていないという理由で.(ジャガイモはスペインがアンデス山脈から持ち帰ってヨーロッパに広まる
アンモニアの生成法は偉大なモチベーション
植物の成長に窒素は欠かせない.ー>空気中の窒素から窒素化合物を生成できるようになることで農業にプラス(火薬の材料でもある)
鳥糞石(グアノ) 太平洋の海鳥のフンが長年堆積してできた石.尿素,アンモニア,リン酸塩,カリウムなどの養分を含み
アンモニア生み出す細菌が発見.最近,植物に撒く粉末肥料として販売された.ハーバーボッシュ法は過去のものになるかも知れない
トイレのS字パイプ ローテクなイノベーション
通信 情報を電気で伝えること,情報伝達の即時化
犬の家畜化,農業の誕生,そして生命の誕生も自然が起こしたイノベーション.イノベーションは40億年前から連続して緩やかに続いているだけでつい数千年は人類が人工的にそれを引き起こすようになったに過ぎない
帝国ではイノベーションが生まれにくい 保守化 上層の抵抗,変化への不寛容.
イノベーションんが越えなければいけない試練. 役に立つこと,価値が低コストで実現されること.(宇宙開発は芸術) -
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Astrobiology Clubで東大の市橋伯一先生が勧めていたので。
生物の生存戦略を性の観点から書いた本。
面白かった。
著者のマット・リドレーという方は学者さんではなく、ジャーナリストだそうです。
素人でも読みやすいのはそういう理由もあるのかな。
また最後に、「ここに書かれている説の多くが誤りであろう」、とあるのにも好感を感じるし、知性を感じる。
説は常に覆されるし、一時真実味があるように見えるものも、時間が経てば否定される事も多い。
それをきちんと踏まえている。
ちなみに赤の女王とは、『鏡の国のアリス』に登場する女王で、彼女の国はものすごいスピードで動いているので、同じ場所にとどまるためには自身もすごいスピードで移動しなくてはならなく、常に移動している。
ある説では、(生物の)種は、常に競争に晒され安住することはない。種を変わらず保ち続けるには、ライバルに打ち勝つために変化し続けなくてはならない。
そこで、生物学界ではこの説を鏡の国のアリスの赤の女王に見立て、「赤の女王説」と呼ぶ。
マット・リドレーは比較的この赤の女王説に賛同しているようだ。
しかし、昨今は奇妙な平等主義が蔓延しているけれど、やはり性に違いはありそれぞれ得手不得手がある、というのが私の持論だけど、この本を読んで改めて思ったことだよ。
男女は違うのですよ。
そして人間ってやはり特殊な点が多いんだな…。
種の進化の謎。
ちょっと厚いけど、面白い。
そして読みやすい。
マット・リドレーという人は主に生物学系の本が多そうだけど、ほかもちょっと読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
まず読み切った自分褒めたい 笑
人類は交換と専門化によって発見や発明を繰り返して進化してきた。今、世界的な社会問題としてある貧困や人口爆発、地球温暖化だって、乗り越えられるはず。
このことを大量のデータや過去の前例を踏まえて理論的に説明した「合理的楽観主義」の本。
読み終わって思ったのは、社会全体が変わっていくことを恐れてはいけないということ。状況は変わっていくのに自分たちが変わらなければ当然自分たちが苦しくなっていく。その変化に対応する、むしろ、その変化を自分で引き起こすくらいの気持ちと力が求められてる気がした。
少なくとも、今の自分の周りの人たちは安定を求める人が多い。きっとその価値観から1歩も出れない人は繁栄していく社会の変化に追いつけないのだろうし、自分自身、貪欲に進化しなければならないと感じた。
人類の繁栄は個人の安定を保証はしないのだから。
きっと医療の世界も繁栄のために変わっていく。その中で個人として生き抜くためにはただ漫然と仕事をしていくのではダメなのだろう。
具体的な話をすれば、AIと比較した自分の利点となる技術を身につけるとかね