マット・リドレーのレビュー一覧
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自分的にはマット・リドレー『赤の女王』からの二作目。
『赤の女王』がとても面白かったので。
面白さ、とっつきやすさで言えば、『赤の女王』の方が自分的には良かったかな、と思うが、本書もとても興味深い。
テーマは、「生まれか育ちか」。
人は、本テーマに関わらず、二元論が大好きで2つのうちどちらかにカテゴライズしたがる。だがどちらも影響するんだよ、というのがメインメッセージ。実例やこれまでの研究結果などとともに何故どちらもなのか、といった根拠を展開していく。
持論と書いたが、私から見ると充分に客観的で納得できる主張で、読んでいてストレスがない。
展開される過去の研究結果や実例もわかりやすく説明され -
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イノベーションはどのように起こるのか、何が促進し、何が阻害するのか。ハイテクからローテクまで様々なイノベーションを検証して共通する事象を考察する。
・イノベーションは段階的で、漸進的で、集積的でどうしても避けられないプロセス
・自由と失敗の中で、実用化できるほど安価に利用できるものとなって社会を大きく変革する
→規制による弊害
→失敗できない技術のイノベーションの困難さ
・トロッコ問題のようなトレードオフを受け入れるエビデンス
・世の中の準備が整わないとイノベーションは実現できない
例)キャスター付きカバン
・変化を起こすのは発明ではなく商業化
例)マクドナルド:簡単な食事は皿やフォ -
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賛成派と反対派に知識人を分けて、ディベート開始!その内容を記録したエキサイティングな本で面白い。知識人同士が対談すると、妙に気を遣い合って議論にはならず、相互補完的な意見交換に終始する。そんな日和見な論壇風景が生温いと感じるなら、この本は最適だ。ひろゆきの論破シリーズも本にしてみては?と思い付いたほどだ。お題は、「人類の未来は明るいか」さて自分はどちら側で参加しよう。
と、上記が読み始めた前半。で、読み進めると、ディベート特有の噛み合わない空中論争。テレビタックル読書編。意味のない揚げ足取りと一方的主張にだんだん辟易してくる。あー、そうか。ディベート番組のエンタメとしての醍醐味は、揶揄中傷、 -
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イノベーションがいかに人類に豊かさをもたらしたかについてで、蒸気機関や電球などのエネルギー、ワクチンや水道などの公衆衛生、鉄道や飛行機などの輸送、ジャガイモや遺伝子編集などの食料、0やS字パイプなどのローテク、通信とコンピュータ、農業や家畜化なと先史時代といったそれぞれの分野の代表的なイノベーションを紹介。そしてイノベーションの本質、経済学、偽物、抵抗、現代における欠乏について論じている。
イノベーションには信じられているような瞬間的なものではなく、漸進的で段階的である。誰かがいないとなかったイノベーションはなく、他の誰かが辿り着いただろうというものがほとんど。原子力発電は安全性が求められ、イ -
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エネルギー、公衆衛生、輸送技術、コンピュータ技術など、これまでに人類が起こしてきたイノベーションの歴史を説明しつつ、それらの共通点やイノベーションの本質に迫る内容。
一般的に「イノベーション」というと、優れた天才発明家による突然の閃きや革新的アイディアによる技術の進歩というものを思い浮かべてしまうが、
実際には生物界における「進化」のようなゆるやかなプロセスであることが多いということがわかった。
アイディアを発見する人だけではなく、それを広める人、コストを下げる人、流通を確保する人が必要で、
技術的な突破口を開き、それらを大量に製造する方法を考え出し、安価に広く普及させるという一連のプ -
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今こそイノベーションが大切。
破壊的イノベーションこそが閉塞した現状を打破する為の云々かんぬん…
といったフレーズは巷でよく聞かれるが、そもそもイノベーションって何?
今までイノベーションとされてきたモノはどうやって産まれたのか?
というのを考察した内容。
本著で語られている様に、イノベーションは一人の天才・一つのひらめきから産み出されるのではなく、知識の交換、数多の失敗やそこからの小さな改良や改善の積み重ねによって産まれるという話は興味深い。
つまるところは、『繁栄』でも語られていたようにアイデアの交配こそがイノベーションの産みの親ということかな。
技術、経験といったものが積み重ねるこ -
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先史の農業革命から、電球・飛行機・水道といった有名な事例、さらには遺伝子編集といった最新のものまで、人類の歴史におけるイノベーションの数々を丁寧に掘り下げることで浮かび上がるイノベーションの本質的なメカニズムや阻害要因などを明らかにした一冊。
著者は、過去のイノベーションの分析を通じて、それらの事例に共通するのは”一握りの天才の閃きによる画期的な発明がもたらした成果”などではなく、むしろ「偶然の発見」や「既存のアイディア同士の新たな組み合わせ」、さらにはそれらを「試行錯誤」を繰り返しながら漸進的に進化させることにより、やがて安価で実用的かつ信頼性の高い製品やサービスとして定着していく一連のプ -
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イノベーションに対する認識を改めることができる本.
大企業や政府機関で「イノベーションを起こすぞ」なんて呑気に言っている御仁に読んでいただきたい.
イノベーションは「ある一人の天才が突然のひらめきで完成されたイノベーションを誕生させ一夜にして世界を変える」的なイメージがあるけど,本当は違う.
歴史で辿ってみると一人の天才,英雄で完結したわけでもなく,一夜にして誕生したわけでもなく集合的・漸進的な活動が後から振り返ってイノベーションと言われているんだということがわかる.
イノベーションは進化のように「アイデアの生殖」の繰り返し.ゆっくりと進行する,時間が経ってその分岐,差異を認識される -
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Astrobiology Clubで東大の市橋伯一先生が勧めていたので。
生物の生存戦略を性の観点から書いた本。
面白かった。
著者のマット・リドレーという方は学者さんではなく、ジャーナリストだそうです。
素人でも読みやすいのはそういう理由もあるのかな。
また最後に、「ここに書かれている説の多くが誤りであろう」、とあるのにも好感を感じるし、知性を感じる。
説は常に覆されるし、一時真実味があるように見えるものも、時間が経てば否定される事も多い。
それをきちんと踏まえている。
ちなみに赤の女王とは、『鏡の国のアリス』に登場する女王で、彼女の国はものすごいスピードで動いているので、同じ場所にと -
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まず読み切った自分褒めたい 笑
人類は交換と専門化によって発見や発明を繰り返して進化してきた。今、世界的な社会問題としてある貧困や人口爆発、地球温暖化だって、乗り越えられるはず。
このことを大量のデータや過去の前例を踏まえて理論的に説明した「合理的楽観主義」の本。
読み終わって思ったのは、社会全体が変わっていくことを恐れてはいけないということ。状況は変わっていくのに自分たちが変わらなければ当然自分たちが苦しくなっていく。その変化に対応する、むしろ、その変化を自分で引き起こすくらいの気持ちと力が求められてる気がした。
少なくとも、今の自分の周りの人たちは安定を求める人が多い。きっとその価値