川上量生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレニコニコ動画の会社(ドワンゴ)創業者で取締役である、川上量生氏の思考法・働き方などについてインタビュー形式で書かれたビジネス・自己啓発本。
彼は、ニコニコ動画の社長でありながら、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーに無給で弟子入り(丁稚奉公)したり、KADOKAWA(角川書店)の角川歴彦会長に気に入られて経営統合して後継者になったりと、天才だけど変人なんだろうなと、以前から興味を持っていたので、この本を読んでみた。
読んでみると、発想が斜め上過ぎて、ちょっと常人では参考になりそうもない話が多いけど、共感できるところもいくつかあった。印象に残ったのは、以下のようなこと。
ニコニコ動画の会社経営
・出勤や食事が不規則な社員(主にプログラマ)のために体操服の女性が朝弁当を無料で手渡し(ラジオ体操も)する「女子マネ弁当」
・あえて、ニコニコ動画のユーザインターフェースを使いづらくする(ユーザの共通敵となることで話題を提供)
インターネットメディアのあり方
・ニコニコはメディアとしては思想を持たず「何もわからない」というスタンスで(バカなフリをして)右も左もあらゆる情報を平等に垂れ流す。
・誰でも作品を発表できる場ができクリエイターになりやすくなれば(オープンになれば)なる程、作品の多様性は減っていく(競争が激しくなり最大公約数にウケるものが氾濫するようになるため)。
働き方
・日本の賢い人は、あまり働かず楽して儲かる仕事(省庁・商社・金融業界)をしてる。頭悪い人は夢を追いかけて「やりたいこと」をやろうとする。川上氏は、それがバカなことだと分かっていて、バカを一生懸命にやる『愉快犯』でありたい。
・バカな馬ほど良く走る。賢い馬は肉になる。
・新入社員試験に受験料制度を設け、今の就活状況(1人が何十社も気軽にノミネートして受験するせいで、ほとんど不採用)に一石を投じる。
論理思考
・川上氏の語る「理系と文系の違い」が面白かった。
「理系は論理を使って、世の中の真理を探す。文系は先に自分なりの結論があって、世の中を動かすための手段として論理を使う。」
理系と文系それぞれに論理的で賢い人は存在するが、お互いに話がかみ合わないことが多いのはそのため。
感じたこと
・川上氏は、とにかく論理的で理系でヲタクで人と違う発想をする人なのだけど、基本的には怠けたい・競争をしたくないという性格らしい。何故そんな人がここまで成功できたのかというと、やはりニコニコ動画に参加し、それを面白がる日本人のヲタク文化・ポップカルチャーという風土があればこそなんだと思う。
・ニコニコ動画(ドワンゴ)は、無機質で人を孤独にしがちなコンピュータ・ネットを、人と人・人と社会をつなげるプラットフォームとして提供し、今よりも面白おかしい社会へ変えてくれるかもしれない、貴重な会社なのだと感じた。今は若者・ヲタクの中だけの閉じた世界かもしれないけど、KADOKAWAとの統合で今後どのようになっていくのか。注目したい。 -
Posted by ブクログ
コンテンツとは現実の模倣=シュミレーションである
映像と音楽の関係に即して見たとおり、主観的情報とは増やせばいいというものでもなく、人間の脳が取り出しやすいようにメリハリをつけることが重要
コンテンツの定義
小さな客観的情報量によって大きな主観的情報を表現したもの
客観的情報量:現実>コンテンツ
主観的情報量:現実<コンテンツ
似顔絵や略画は、現実の人間や動物を模倣しているのではなく、脳のなかにいる人間や動物を模倣している
人間が似顔絵や略画を似ていると思うためには、描かれているもののイメージがあらかじめ脳に植え付けられていることが必要だということを示唆している。だから、見慣れていないものの似顔絵や略画を見せられたとしても、たとえ現実の本物の写真と見比べたとしても、「似ている」とは思えない
コンテンツとは脳のなかのイメージの再現である
コンテンツのクリエイターとは、脳のなかにある「世界の特徴」を見つけ出して再現する人なのです。でも、脳の中からそれらを見つけ出すのは、簡単なことではありません。それこそが創作の苦しみであり、苦しみの中で脳内から発見した「世界の特徴」こそがコンテンツの真理であり神秘なのではないか、芸術を生み出した人間が目指したものではないか
北斎は、人間の脳が風景のイメージをつくるとき円や直線や図形の比率が特徴として使われているので、円や直線や図形の比率を使って絵を描くと人間は理解しやすいことを発見したということになるでしょう。そう考えると「世界のひみつ」とはなんのことはない、人間の脳がどれだけはしょって世界を理解しているか、もしくは人間の脳がどれくらいの「ひみつ」だったら理解できるかという能力の限界を示しているとも考えられる
脳のなかで視覚情報は抽象化された少ないデータにどんどん変換されていっている。似顔絵などが成立するのもそれが理由。脳の中では現実の人物と似顔絵は似たデータとして処理されているに違いない
クリエイターとは脳のなかのイメージを再現する人である
クリエイターが創作で悩む原因
・脳のなかのイメージを再現する技術的な難しさ
・脳のなかのイメージを見つける難しさ
・自分の脳にはないイメージをつくる難しさ
ビーイングのアーティストがミリオンヒットを連発した理由はいろいろあるが、その秘密のひとつは、曲に比べてボーカルの音量を大きめのバランスに設定したこと
コンテンツとはクリエイターの脳のイメージをユーザーの脳の中に再現するための媒介物である。コンテンツによってユーザーの脳のなかにクリエイターが表現したいことを再現するためには、やはり「分かりやすさ」は決定的に重要になるでしょう。しかも「分かりやすさ」とは、そのユーザーが理解できるコンテンツの特徴の「分かりやすさ」ということになる。より多くのユーザーを対象にしようとすればするほど、コンテンツの基本となる特徴もより単純で「分かりやすいこと」が重要となる。彼らが理解できる範囲の中で、コンテンツのどの特徴を「分かりやすく」強調するかを変えるという視点が必要ではないかと思います
コンテンツのパターンが陳腐化しないための必要条件として、「分かりそうで分からないもの」になっているかどうかというのは、ちょうどいい判断基準になっているのではないか
パターンをいかにずらすか cf. 引っ掛かりがある線を描く(宮﨑駿)、ノイズを入れる(マックス松浦)、悪文(栗本薫)
コンテンツのサイクル
美術の歴史は4つのサイクルの移り変わり(高畑勲)
アーカイズム→クラシック→マニエリスム→バロック
プロップ「昔話の形態学」
昔話の構造31の機能と7つの行動領域
たいていの物語はすでになんらかのパターンの繰り返しになっている可能性が高い。表面上は新しい物語のつもりでも、実は何度も繰り返されている過去のパターンの焼き直しにすぎないということにストーリーはなりやすい
作品を見るときにはなにを見ればいいか。それはつくった人がなにをやろうとしたのか、それを見ればいい。そして、それが上手くいったのか、上手くいかなかったのか、それだけだ(宮﨑駿)
映画の構成要素は3つ
①ストーリー ②キャラクター ③世界観
ハリウッドでは、キャラクター、ストーリー、世界観
押井守は、世界観、キャラクター、ストーリー
どんな世界なのか、その説明が終わった時に物語が終わる cf.ブレードランナー、千と千尋の神隠し
映画の構造としては、「この世界はいったい何なんだろう?」という興味で引っ張っていく
人間の脳が現実よりも少ない客観的情報をとおして、現実よりも大きな主観的情報を受け取るための媒介物がコンテンツ
・クリエイター視点:自分の脳のイメージをどれだけ正確にユーザーに向けて再現できたか
・メディア視点:どれだけ効率よく、小さな客観的情報量で大きな主観的情報量を伝えられたか
・ユーザー視点:どれだけたくさんの主観的情報量を伝えられたか
「思い入れの映画」と「思いやりの映画」
感動や号泣を引き起こしやすい「思い入れの映画」、笑いや優しさをもたらす「思いやりの映画」
主人公に思い入れるのではなく、それぞれの登場人物に対して「この人はこういうことを考えているんだろうな」ということを思いやる
人間が好む究極のコンテンツとは、本能である食欲や性欲に結びついたもの cf.グルメ情報やアダルトコンテンツの市場
願いが叶ったんだから、なぜ飛べたかということに観客は疑問を感じない(魔女の宅急便の一度飛べなくなったキキ)
答えがひとつであるコンテンツの世界で、違う答えを出さなければいけないのがクリエイターの苦しみ
コンテンツの要素である「対象」と「手法」では、「手法」のほうが多様性があるので、クリエイターは最終的には「手法」にこだわること
コンテンツはユーザー側から見た場合には、コンテンツを媒介にユーザーの脳の中に再現されるイメージが、人間の情動と結びついていることが重要であること
優れたコンテンツとはいかにユーザーの情動を揺さぶるかで決まる。しかし、コンテンツは現実社会のシュミレーションであり、教材であるという性質を持っているため、同じものを何度も経験すると「学習済み」ということで、価値が下がってしまう。アダルトコンテンツのように人間の情動を動かすことだけに特化した機能的なコンテンツは、教材としては役に立たないものであるということで、機能性の部分で大きな需要があったとしても、重要なものではないと認識されるのでしょう
オリジナリティとは
・脳のビジョンを再現する能力が技術的に不足しているため、偶然に、なにか違うものができてしまう
・意図的にでたらめな要素を入れてコンテンツを作る
・パッチワーク的に、自分がつくっていない要素をパーツとして利用する結果、自分がつくっていない要素が原因で、奇跡が生まれる
・いままでの自分が知っているパターンを切り貼りして、新しい組み合わせのパターンをつくる -
Posted by ブクログ
角川ドワンゴ会長の川上量生氏のニコニコ動画についてや生き方や働き方の哲学についてかかれた本。
氏自身論理物理学者になりたいという意向もあって非常に深い心理や論理の話がありました。
常人とは違う考えだと感じることは多々ありましたが、ニコニコ動画という他社には真似できない独自性の強いサービスはこの哲学から生まれたのだということを強く感じました。
本書のなかで印象に残ったのは、ニコニコ動画はクレームを問題としない組織を作ることや思想を持たない場を設けることを念頭に置いて運営されているということや
クリエイターとプラットフォームの関係をよくするためのブランド構築はなるほどと感じました。
また、今後のネット社会を担う上で国家とネットの関係についてグーグルやフェイスブックが支配する世の中になると社会福祉やインフラ整備がなく腐敗していくのでローカルな政府が統治すること、インターネットに国境をつくる規制を国家がすることがのぞましいと考えていること
直感と論理の関係や結論から論理を構築していき、理系では真理を探求し、文系は論理を使えるものにしていくとの考えは深いと感じました。
またドワンゴ時代に起きたクリエイターの大量退職の件や入社試験の受験料の件にも言及されており、非常に氏の考えがつまった一冊だと感じました。
巻末のニコニコ宣言を読んで、テクノロジーと人間についての共存について真剣に考えてると思わせておいて、寝たい欲望と夢との間で作られたことを知ると、滅びゆく人類の歴史のなかで氏なら最期まで抵抗できるだろうと感じました。
凄く深い方だと感じるとともに経営哲学だけでなく、人類や未来まで考えさせられる一冊でした。 -
Posted by ブクログ
個人的には、ニコニコはあまり好きではない。でも
経営者の川上氏は割と嫌いではない。その川上さんと
Cakesの加藤氏との対談本。
川上氏は、すごく頭が切れて本質的な内容まで
頭で考える。具体と抽象を往復できる非常に
頭がいい人だと思いました。いろいろなマスメディア
にての発言は以前から面白いと思っていましたが。
ただ、惜しむべくところは、やはりご本人も言われ
ているように、根本が”オタク”なので、教養というか
物事を考える際のINPUTみたいなものが足らない
気がしました。
ただ、コンテンツのクリエーターとしての考え方
については非常に高邁な部分があると思います。
愚にもつかない議論を繰り返している人
他者を攻撃して何ものも生み出していない人
何も考えていない人、自分が一番考えている
と勘違いしている人が多い中。。。。
もっと彼らのアウトプット(こういう本であったり
彼らが生み出すコンテンツ・文化)をもっと見るべき
だと思います。 -
Posted by ブクログ
ニコニコ動画が好きでない。UIがどうにもがさつで趣味が合わないので見る気がしなかったのだが、経営者の川上量生さんには興味があった。会長職にありながらスタジオジブリの鈴木プロデューサーに押しかけ弟子入りしたり、就活のあり方に異議を唱えてエントリーを有料化したりと、その行動には驚かされ、その背景を知ると非常に理詰めで納得させられてきた。本書を読むと、その思考法、論理の立て方がよくわかる。やはりとても頭のいい人なので、説明されるとそれしかないと思えてしまうくらいに簡単な話になってしまうのだが、常人に思いつけるものではないと思う。本人は運がいいだけというが、やはりその直感力と直感を実行するための綿密な検証と論理立ては凄まじい。天才のすることはいともたやすく見えてしまうという好例といえる。本人は否定するだろうけど。
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Posted by ブクログ
ZEN 大学のめざす教育。
教育についての問題点を考えさせられる。
オンライン大学の良いところ。
経済的な問題、インターネットがつながればどこでも学べる。
学生のレベル、目的に合わせた専門性の高い授業。
授業を何度でも視聴できる。
現在の格差だらけの大学進学。
地方格差
世帯年収による進路の格差
男女の格差
大学生活にかかる費用の負担の格差
学費が安い国公立大学に進学する学生の多くは、世帯年収の高い家庭の子供たちであるという。
小学生の時から塾に通い、中学受験など教育にお金がかけられる。
1番お金がかかるのは私立大学の一人暮らし。
学費だけでなく生活費の負担も大きい。
これからの大学として、既存の大学ではできない領域のカバー、地方の教育を支える役割、
子どもたちにとって良い教育を受けられるだろうと期待している。