川上量生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
インターネットが社会に与える影響を様々なサブカテゴリーにおいて予想した本であり、題名とは少しニュアンスが異なる。
前提として、現在のインターネットは昔からインターネットを使っているリアルとは距離を置く先駆者(ネット原住民)が大きな影響力を有しているが、デジタルネイティブが多勢になるにつれてそれは小さくなるだろう。
ネット原住民のイデオロギーとして、自由、オープンというのがあり、実際オープンが勝利を多くもぎ取ってきたが、任天堂、アップルのモデルはクローズドであり、今後もセキュリティーなどを考えるとクローズド化が進み、プラットフォームの力が増そう。
コンテンツは配布コストは低下するのは確かだが、クリエーションにはコストがかかり、これを賄うためにはプラットフォーマーがコストを払うか、コンテンツプロバイダーが有料コンテンツを軸にプラットフォームあるいは一気通貫のサービスにより顧客を囲い込まないと賄えなくなる。
プラットフォームの力が強くなると、国家よりもプラットフォーム内の契約やルールが優先されてしまい、どこかで力を失いつつある国家が介入してくるだろう。徴税権もBitcoinやポイントで支払えば、回避することがかなり可能になってしまう。
電子書籍は長期的には勝つが、一世代くらいはかかるかもしれない。
テレビの強みはマスへの一斉配信であり、これはあと10年は継続する強み、またそのノウハウもテレビ局は持っており、これを生かすのが生き残りのキー。 -
Posted by ブクログ
まずタイトルがおもしろい。この人にとってはジブリのプログラマーさん個人に書いている設定なのね笑
内容も川上さん独自の考え方が盛り込まれていてかつネットを説明的に理解することができる。
第一章
ネットをツールとして使う人と居場所として使う人の二種類いて立場が違うからあらゆる議論が起こるのは当然、それでいて近年居場所にしていたいわゆるネット原住民の肩身は狭くなりつつあるが依然声は大きい。
第二章
ネット右翼は確かに存在していて新聞、テレビより自民支持多め。またテレビでは維新支持多め。あとテレビの情報は何らかの思惑が働いて信用したくないからネットを利用していたのに確かに情報提供の多様性は生まれたが今やヤフーニュースやまとめサイトをはじめとしたネット情報にも広告は働いているわけで正しい情報が得られるようになったわけではないようだ。
第三章
コンテンツは無料にならない。必需品ではないから依存度で決まる。ある種、中毒みたいなもの。コンテンツ好きの自分にはまさにこの説明がはまったなー。
第四章
コンテンツとプラットフォームの関係。ちょい見せからの購入へが効果的だからシュガーソングとビターステップが急激に売れたってのもあるんかな。
第五章
ネットサービスの主流は定額の月額料金でサイトすべて無料で利用できるというもの。個別課金はもう古い。これって七つの大罪の1つ怠惰を生かしてるよね。登録したときにはしたくてしょうがないやろうけど、数ヵ月もすれば退会するのめんどいからそのままって人いっぱいおる気がせんでもない。
第六章
クローズドのほうが儲かるなかでどれだけオープンにしていくか。そしてWindowsとインテルの裏切り合い。
第七章
「カラオケ法理」。インターネットに国境はない。だから緩い国が産業的に成功する。たとえばアップルが携帯会社に音楽業界を巻き込ませたように、日本でもクールジャパンがあるのだからポルノ規制のゆるさはそのままに自由で民主的な創作活動をを!
その後も川上さんなりのこれからのエンタメの展望を窺うことができ、なるほどなぁーと感心させられる。
なんというか今生きている時代が楽しいものに思えてくる本。 -
Posted by ブクログ
なかなかいい内容だと思いました。
若いネット系の経営者のなかで、この人は、個人的
には面白いと思っているのですが、今回もネット
の成り立ち、そこでおこっていること、コンテンツとは
ネットとリアルの対立・融合などの説明は、独自の
観点もありなかなか読みごたえのある内容になっている
と思いました。やはりこの人はだいぶ頭がいい人だと
思います。
ただ、ジブリの鈴木さんに本当にこの内容で理解
してもらえるのかどうかは少し疑問というか
本の題名にするにしては、その観点について
考慮されている内容が見えないように思えるのは
いかがなものかと思います。
でも、現在のネットの世界についての解説本としては
充分で分かりやすい内容だと思います。 -
Posted by ブクログ
ニコニコ動画を興したドワンゴ会長が、スタジオジブリの機関紙「熱風」に連載したインターネット論をまとめた1冊。
インターネットに対するスタンスの世代間対立、ネット世論の性質、コンテンツ業界で稼ぐ業界の未来、集合知の知性。
連載モノだけにテーマが多岐に渡る。
「I T業界にあって正しいとされている多くの概念は 、本当に正しいかどうかは理屈ではよく分からなくて 、宗教のように信じ込むものだという感覚を I T業界の中の人自体がみんな共有しているのです 」
と冒頭で述べられているとおり、
本書の論考の多くも川上さんの経験と分析から導き出された主張。これがインターネットの真実だと頭から信じ込んでしまうのは、よろしくないかもしれない。
しかし、あの鈴木プロデューサーに語るというスタンスゆえ、
ネットの外のひとに、ネットの本質を説明する姿勢として、とても慎重かつ誠実に言葉選びをしているので、安心して読み進めることができる。
コンテンツ市場がこれからどう動くか考えるのは、
商売の仕方はもちろんのこと
ひとが生み出す文章や絵や漫画が、社会といかにコミットしていくかの未来を考えることでもある。 -
Posted by ブクログ
コンテンツとは何か、クリエーターとはどんな人なのかを筆者がジブリで体験したことを元に考察した本である。
コンテンツについては、「現実の模倣である」と定義。さらに、アニメにおける情報量という言葉に着目する。youtubuで著者の対談を見ることがあり、へんなやつだなあ、とい印象があったのだが、本書については至ってまじめな論考でありました。
アニメ界では情報量という言葉をよく使うそうだ。アニメの情報量とは端的に言って描かれている線の多さである。元来、実写では情報量が多すぎるのをこどものために情報量を落としてわかりやすく物語るのがアニメであったものが、近年ではいかに情報量を多く盛り込むかということが重視され、そのために大人の鑑賞に耐えうるものになったという事らしい。
現実を単純に模倣するのであれば、情報量において実写に勝るものは無い。著者は「小さな客観的情報量によって大きな主観的情報量を表現したもの」と考え「人間の脳が現実よりも少ない客観的情報をとおして、現実よりも大きな主観的情報を受け取るための媒介物がコンテンツ」と定義し直す。コンテンツはクリエータの脳の中の主観的情報の発露であり、アニメであれば「らしい動き」を描くと、それだけで目が引き寄せられて、コンテンツとして立派に成立すると述べる。
クリエーターについては、「ある制限のもとでなにかを表現する人」とし、脳の中にある「世界の特徴」を見つけ出して再現する人→脳の中のイメージを再現する人とする。
再現されるのは、あくまでも脳の中の「現実」であり、それをいかに「らしく」表現できるかがクリエータの技量なのである。 -
Posted by ブクログ
ニコニコ動画の視聴者層が平均年齢21歳、視聴している中でもコメントを投稿している人の平均年齢が14歳と聞いて、ニコ動の根本を知りたくて読んだ。
ニコ動に関しては自分も黎明期からのユーザーとういこともあり、詳しいつもりでいたが、あの意味不明な改悪と揶揄されたアップデートや、ドワンゴ内で行われていたユニークな施策に関しての認知は甘かったと感じた。
川上さんの考え方は非常に理系的でありながらも、オタクが持つ闇の部分を押さえているため、妙に人間味があると思う。世間ではオヤジキラーと称されるなど、出世上手な人間なのかと思いきや、変に取り繕わないところからも、尋常じゃないオタク臭が放たれている。
人材育成など、自分の現状と合わない話も何故か見入ってしまう一冊でした。