川上量生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
KADOKAWA・DWANGOの代表取締役会長である川上量生氏がネットの未来について自身の所見を書いた一冊。
ネットの世界やコンテンツとプラットフォームについて、コンテンツのオープンとクローズドの問題などネット業界に精通する氏ならではの視点での指摘が満載で読み応えのある一冊でした。
ネットの世界についてのことが理解でき、また電子書籍やネットとテレビの関係の話やビットコインは非常に興味深いものでした。
また氏の手がけるニコニコ動画の話なども面白かったです。
本書を読んで、業界の第一人者が語るネットの業界のワンランク上の知識の得ることのできた有用な一冊だと感じました。 -
Posted by ブクログ
面白かった。ジブリの鈴木プロデューサーに弟子入りした
ニコ動ドワンゴ川上さんの魅力的なコンテンツとは何かという分析。
まずアリストテレースの詩学から紐解いて、①異なった媒体によって、②異なった対象を、③異なった方法で再現、していればそれは違うコンテンツだと。つまり、映画とTVとDVDは異なるコンテンツなんですね。
それで、ジブリのようなアニメがどうして実写より人気が長続きするのか。それは、写実よりも脳にとって真実に近い再現をしているのではないか、と言うんです。
風立ちぬの飛行機は実際の縮尺より大きく描かれている。それは宮崎駿監督が飛行機が好きだから。でも実は彼にとっては本当に飛行機が大 -
Posted by ブクログ
・任天堂のような自分でコンテンツを作っているプラットフォームは、コンテンツの値段を下げません。むしろゲーム機本体を安く売って、ソフトの売上で回収しようとする。
・多くの人は少ない理屈でビジネスをしようとするから、競争相手がたくさん現れてうまく行かないんじゃないでしょうか。
・どんなコンテンツ市場も、成熟していくと、コンテンツそのものではなくてブランドが評価されるようになるんです。
・プラットフォーマーにとって一番いいのは、突出したクリエイターがいなくて、取り替えられる消耗品としてのクリエイターがたくさんいるという状態です。
・プライドや自尊心がなくなったら、人は起きて飯を食って寝るだけの生き物 -
Posted by ブクログ
ネタバレドワンゴ会長の川上さんのインタビュー集。
この人を見ていて思うことは、技術や知識に明るいこともそうだが、洞察力、思考力、表現力が抜群に高いということ。また、理系出身らしく自説を論理的に伝えるのが得意である。書籍の内容自体も秀逸で興味深かったし刺激的ではあったが、それ以上に、1つのテーマに対する着眼点、分析の仕方、そして表現の仕方などに唸らされることが多かった。私などは普段多くの情報に接しても、それらの情報を大して考えもせず鵜呑みにしてしまい、疑いを持たず、そのまま取り入れてしまうようなところがある。しかし、彼はそのように一筋縄で納得する人間ではない。常識とされているようなこと、世間で言われてい -
Posted by ブクログ
川上さん自身がはじめにで言っている通り、この本はジブリプロデューサー見習いの卒論という言葉がしっくりくる。
個々の具体的な話は面白いけれど、それを理論化する部分は正直、陳腐で面白味がないなぁと。
いくつか面白い話があったので、メモ。
・UGCのようにコンテンツが膨大な数集まったときに起こるのは、多様化ではなく一極集中。例としてなろうの異世界テンプレや一皮剥ぐと違いのあまりないソシャゲがあがってて、思わずなるほどと思った。
・ビーイング創業者の販売戦略。歌詞の聞き取りやすい声質の歌手を起用し、さらに街頭でもすぐ耳に入るよう歌声の音量をバランス以上に上げていた。
・音はいらないと考えていた宮 -
Posted by ブクログ
川上量生監修。執筆者は他にばるぼら、佐々木俊尚、小野ほりでい、荻上チキ、伊藤昌亮ほか。
日本におけるネットカルチャーの歴史について。特にリア充と非リア充の対立、炎上、コピペ文化に頁を割く。既知の事が多いので斜め読み。90年代の忘れていたネット文化が思い出され興味深い。
小野ほりでいさんの章が少し浮いていて面白かった。文化史というよりはルサンチマンとの戦い方についての文章。インターネットで色々なものが可視化されるとルサンチマンが増大してしまいがち。それをいかに上手く発散させるかが最近の自分の課題でもある。
テーマが重複する章は不要な気も。