あらすじ
ネットネイティブの10代が「通いたい」と思える学校を創ろう――門外漢だった著者が、N高を成功に導いた秘訣は?
通信制のN高校はあえて不登校生向けを謳わず、未来のエリート育成を目標に掲げ、今や在籍生徒数日本一。出身者にはアイススケートの紀平梨花、テニスの望月慎太郎、女流本因坊の上野愛咲美らの著名人がいるほか、海外、東大、芸術系大学など多彩な進学実績を誇る。Eスポーツや投資部などユニークな課外活動も有名。
「教育は善をなすことが、成功につながる幸せなビジネス」という著者の次の一手は、ZEN大学の開学だ。格差社会やAIの進歩を問題意識に据えた「日本発の本格的なオンライン大学」である。
教職員リクルートの顛末や、生徒や学生のメンタルケアなどの赤裸々な舞台裏を明かしながら、「実体験は不足しないのか」等々の疑問に答える。
ビジネス目線だからこそ、教育、そして日本社会の課題が見えてくる!
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Posted by ブクログ
通信制高校の「N高」が話題になったドワンゴの顧問の著者が、
同じく通信制の大学、ZEN大学を興す背景を語る新書。
通信制大学といえば、私の心の師匠大前研一氏が興し、
今も学長を務めるたBBT大学だが、最近はあまり勢いがない。
というか知らない人がいまだ多いのが現実。
そこに話題のN高、続いてZEN大学、と勢いづくドワンゴ、、、
少し悔しい思いもあるが、しかし、著者が言うことは非常に納得ができるものだ。
今の日本の教育の問題を鋭く突き、それを立て直すためにN高、ZEN大学があると、
言い切っている。
しかしそれでいて、文科省を責めるわけではない。
むしろ文科省のゆとり教育や、その後発信する施策の意義を見出し、
N高でそれを実現しているという。アクティブラーニングなどがその例。
むしろ施策をすぐに批判し、改良ではなくやめさせてしまう日本社会に問題ありと。
さらに、今の受験には警鐘を鳴らす。
以前は普通に高校生活を送って、3年の夏から勉強して、一浪して東大に入れたと。
それが今は小学校から勉強できる収入の高い家庭の子が、学費の安い国立に入ると。
学生生活も謳歌せず、ひたすら受験勉強だけして東大に入って、
それでいて大学を出たらサラリーマンになる、、、それでは意味がなかろうと。
日本の弱体化はこの辺に原因があると私も常々言っている。
偏差値エリートが官僚や社長になってはろくなことにならない。
地方の地頭のいいやんちゃな人材がホントのエリートとして活躍してほしい。
加えてドワンゴはネットの会社。その優位さを高校教育でもいかんなく発揮、
DX人材を生み出しているようだ。
ただ、、、教育コンテンツについてはこのくらいしか触れていない。
くだんのBBTはそのあたりは折り紙付き。優れたコンテンツを有する。
そのあたりをもっと知りたかった。
しかし、いずれにしても、N高、ZEN大学の動きは応援したい。
学校教育を変え、日本を変えてほしい。
ちなみにN大としなかったのは、日大みたいだからだと。
もともとZ高にしたかったが、それだと他に類似した塾があったのでやめたと。
名前って難しいものだ。
1章 「未来のエリート校」のつくり方(ドワンゴ風土が生んだN高の独自性;「ネットの高校」は生徒の人生を変える ほか)
2章 十人十色の武器を育てる(自己肯定感と友だちづくり;オンラインだからこそできること ほか)
3章 キャンパスは無限大―ZEN大学がめざすこと(格差だらけの大学進学;なぜ「N大学」ではなく「ZEN大学」なのか ほか)
終章 教育とビジネス(過熱する受験熱;理論武装の必要性 ほか)
Posted by ブクログ
教育の問題、過熱しすぎた受験問題については多くの識者が様々な問題提起をしていると思うが、具体的な解決策を提示し、実践していて、かつ、ニッチではなくスタンダードを作りにいっている。
すごく意義のあることをやっていると思うので、もうちょっと世間的にも騒がれてもいいと思う(私が気付いてないだけか?)。
川上さんの装飾のない言葉は好感が持てるし、何よりすごくわかりやすい。もっともっと本を出してほしい。
Posted by ブクログ
ZEN 大学のめざす教育。
教育についての問題点を考えさせられる。
オンライン大学の良いところ。
経済的な問題、インターネットがつながればどこでも学べる。
学生のレベル、目的に合わせた専門性の高い授業。
授業を何度でも視聴できる。
現在の格差だらけの大学進学。
地方格差
世帯年収による進路の格差
男女の格差
大学生活にかかる費用の負担の格差
学費が安い国公立大学に進学する学生の多くは、世帯年収の高い家庭の子供たちであるという。
小学生の時から塾に通い、中学受験など教育にお金がかけられる。
1番お金がかかるのは私立大学の一人暮らし。
学費だけでなく生活費の負担も大きい。
これからの大学として、既存の大学ではできない領域のカバー、地方の教育を支える役割、
子どもたちにとって良い教育を受けられるだろうと期待している。