中島要のレビュー一覧

  • 口出し屋お貫

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    口入れ屋「やよいや」を継いだのは22歳の子娘だった。口入れ屋の主人は仕事を斡旋する商売だから経験豊かな年寄りが多い。なのに22歳と言う若さのお貫が年上の相談者を遣り込める痛快な話だ。
    この時代は火事で全てを失ったり、両親を幼い頃に亡くしてしまったりと不幸な生い立ちな者が沢山いる。自分だけが不幸の塊だと感じている者は捻くれがちだし、大店で恵まれ育った者はそのありがたみがわからない。22歳という若さでも苦労を重ねてきたお貫だからこそ困っている人をほっとけず、ついつい口出ししてしまう。この若かさでピシャリとものを言うお貫の物言いを楽しんで貰いたい作品です。

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    2025年07月04日
  • ひやかし

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    吉原の遊女たちがテーマの短編集。アンソロジー「おつとめ」に収録されていた「色男」が良かったので読んでみたけど、他の短編も良かった。この作家さんの作品をもっと読んでみたくなった。

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    2025年06月14日
  • 産婆のタネ

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    仕事柄、助産師さんやお産が身近にあり
    興味深く読ませていただいた。
    自身もお産を経験しているので
    大変なことは重々承知しているが
    江戸時代のお産は私の想像以上に大変
    だったんだろう。

    子どもを産む(跡継ぎを産む)ことの
    経済的な負担、嫁としての重責、世間の目
    現在に生きる私の知るところではない。

    主人公のお亀久ちゃんは札差のお嬢さん。
    訳あって産婆さんを目指すことになる
    弟子入りした産婆のタネさんやほかの産婆見習い
    の先輩方に支えられ、成長する姿が
    素晴らしい。親目線で、子供たちが巣立つとき
    支えてあげられるか?とかいろいろ考えてしまった。

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    2025年05月19日
  • 吉原と外

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    大店の主人に身請けされた元花魁の美晴と女中のお照。最初は探り合う仲だったものの、やがてお互いを頼り合う。
    美晴はお照より年下ではあれ、肝はどんと据わっている。
    美晴に振り回されてバタバタするお照とのコンビが良い。
    最後の意外な展開にはちょっとびっくりだね。

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    2025年04月29日
  • 大江戸少女カゲキ団(五)

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    ネタバレ

    五冊まとめて。
    一冊づつ読み切りスタイルかと思ったら、なんと5冊の続き物だった。
    読みやすく一気に読み終わった。
    田沼意次の時代の江戸に生きる町娘が、正体を隠して芝居をする。大店の娘たちと、長屋暮らしの娘、存在を隠さなければいけない娘など、江戸時代の女性の生きづらさが、色んな角度で描かれている。
    軽く読めるが、時代にも即していておもしろい。蔦屋も出てくる。

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    2025年03月29日
  • 大江戸少女カゲキ団

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    楽に楽しく読めるかな、と何気なく手にとってみた。実際話の運びも面白く、一気に読み終わった。
    貧乏で苦労人の芹と、裕福な町人の娘の3人の物語。お嬢さん方の不満には、イライラさせられる点もあるが、素直で可愛らしい。
    探偵ものかと思ったら、カゲキ→劇の方だったが、ゆるっとした町人の娘たちの挑戦をゆるっと読めた。

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    2025年03月04日
  • 結び布 着物始末暦(十)

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    着物始末歴シリーズもついに完結。ストーリー的には9巻がクライマックスで、最終巻である10巻はその後始末と言った感もあるが、一切手を抜かない展開できっちり落とし前をつけてくれました。

    全10巻。面白いかったです。そして着物の柄や色味に無茶苦茶詳しくなれました。時代小説初心者におすすめできるシリーズです。



    以下は備忘録的メモ(ネタバレ)。



    「刻の値打ち」
    井筒屋を訴え出ると言う余一。困った綾太郎は後藤屋大旦那の利左衛門に相談をする。

    「対決」
    後藤屋利左衛門が京に登り井筒屋の後継人になる事に。ただしそれには綾太郎と余一が井筒屋若愁介を説得すると言う条件がつけられた。見かねた古着屋の

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    2024年12月26日
  • なでしこ日和 着物始末暦(七)

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    5巻から続いてきた大隈屋を巡るゴタゴタがひとまず決着します。決着させたのは若旦那の綾太郎。1巻では唐橋花魁の手のひらでいいように踊らされていた綾太郎が、と思うとその成長ぶりは胸に来るものがあります。
    そう言えば今回は唐橋出なかったな。それを言うなら余一とお糸も登場シーン少ないな、など思うところは多数ありますが、話の中心にいるのは綾太郎と綾太郎を取り巻く大隈屋の人々のようです。
    今巻で主人公余一とお糸の関係もやっとゴールが見えてきましたが、次巻では主役の座を取り戻すことが出来るのか、今後の展開が気になります。

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    2024年12月19日
  • 錦の松 着物始末暦(六)

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    着物始末歴シリーズ第6巻。4話収録。
    タイトル作の「錦の松」は呉服問屋『大隈屋』の若旦那、綾太郎を中心とした話。どうやら作者は、主人公二人が恋の病で腑抜けになっている間は大隈屋で話を回すことに決めたらしい。
    前巻に引き続きわちゃわちゃした話かと思いきや急にシリアスな展開に。そして前巻の感想で少し小馬鹿にしてしまった綾太郎が男を見せます。
    その他、かつてお糸に助けられた11歳の達平やお糸と余一の主人公二人もそれぞれ、、
    今回は『成長』の巻です。

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    2024年12月15日
  • なみだ縮緬 着物始末暦(五)

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    前巻がシリアスだったのに、普通にわちゃわちゃした話に戻れるのがこのシリーズの良いところ。
    わちゃわちゃの中心は綾太郎だ。
    この呉服問屋の若旦那を、ワガママな母や花魁の唐橋が愛情を持って弄る。
    綾太郎は真面目であたまが固く、融通が効かない上に、無駄にプライドが高いという面倒臭い男だ。
    一見嫌われそうなこの男を読者も愛情を持って見守れるのは、これまで丁寧にエピソードを積み上げてきた作者の力である。解像度が高いのだ。
    長編も良いものだなと思わせる第5巻でした。

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    2024年12月14日
  • 雪とけ柳 着物始末暦(四)

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    着物始末歴シリーズ第4巻。4話収録。

    中弛みを感じさせないどころか、「そろそろ本筋に入ろうかしら」って作者の余裕すら感じさせる第4巻です。

    以下、各話の感想など

    「禁色」
    満を持しての悪役登場。こいつは手強そうだ。

    「歳月の実」
    主な人物はあらかた出尽くしたと思っていたのだが、端役と思っていた大隈屋の御新造お園(綾太郎の母)が踊り出る。金持ち嫌いの余一と、生粋のお嬢様育ちのお園の会話が楽しい。無口で頑固な余一の塩対応を軽く受け流す『大人のお嬢様』の余裕。

    「雪とけ柳」
    「とっつぁんが立派なひとだったら、おれはとても近寄れねぇ。いい加減ななまけものだから、こっちは言いたいことが言えるの

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    2024年12月08日
  • 藍の糸 着物始末暦(二)

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    着物始末歴シリーズ第2巻。1巻と同様、場違いな吉原にいる綾太郎から話が始まり思わずニヤリとする。
    一巻では花魁道中が描かれただけだった唐橋花魁がようやく登場する。
    「この唐橋を前にして別の女を思うとは。真面目な顔をして、隅に置けないお人でありんす」「わっちらのような金で縛られた者でさえ、かりそめの恋に身を焦がすもの。あやさまのような立場のお人が意気地のないことをおっせぇすな」「恋のひとつもしないまま嫁をとっても不幸の元でござんすよ。年をとってからの麻疹と恋はこじらせやすいと申しんす」
    中島要さんの描く花魁はいつもカッコいいですね。
    主人公余一の生い立ちに不穏な影をチラつかせながらも、まだまだ平

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    2024年12月01日
  • しのぶ梅 着物始末暦

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    この後10巻も続くことになる着物始末歴シリーズの第1巻。
    後にキャラ立ちして勝手に動き出す主要人物たちの初々しさが面白い。最初に登場するのは呉服太物問屋の若旦那綾太郎。シリーズを通して最も成長する一人であるが、初登場時はこんなに頼りなかったのかと微笑ましくなる。
    このシリーズは何より「着物の始末屋」という職業を見出した(創造した?)事が素晴らしい。着物は衣食住の一要素でもあり、貧乏人にも金持ちにも欠かせない必須品ではあるが、時には贅沢品であったり、身分や家柄を示す記号であったり、思い出の品だったりする。その着物を通して物語が紡がれていく。
    僕はこれを通して着物の柄や色味に詳しくなりました。

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    2024年11月30日
  • 産婆のタネ

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    亀久は自分の身代わりに死んだ時見た 血と男の人が苦手になり引きこもりに成る、許婚が、山で死に自身の身を投げようとするが、弟に助けられ、その後、産婆の仕事に就く良い所のお嬢様は、務まらないと言うが、最後までその仕事を燕抜き通す (許婚は、山の奥で生きていた)

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    2024年11月28日
  • うき世櫛

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    ネタバレ

    奢侈禁令があった中で、御法度である女髪結が、さまざまな事情の女性の髪を結う。そんな女髪結の弟子になった結の物語。
    「この人の前では可愛くいたい」と思えた恋愛、あったかな。

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    2024年10月17日
  • 刀圭

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    電車で読むのに最適。でも、夢中になりすぎて降り損ねそうになったので、注意は必要。
    余一とお糸の始末屋シリーズでハマり、他の作品もと手にした一冊。
    初の長編とは思えないおもしろさだった。
    とはいえ、疫病の流行、永代橋の崩落事故、貧しい人々の日々の苦難など、暗い側面もしっかり描かれていて、印影の深い作品だった。

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    2024年03月29日
  • 錦の松 着物始末暦(六)

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    読み終えて、あーよかった、とニヤニヤしてしまう。
    お糸と余一の恋の行方。
    お玉と綾太郎夫婦も好ましく、出てくる人をみんな応援したくなる。井筒屋を除き。
    次巻も楽しみ。

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    2024年02月19日
  • 雪とけ柳 着物始末暦(四)

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    怖いもの見たさで読んでしまうけど、怖い。
    井筒屋に近づくな。
    余一とお糸は、この巻では一本取ったけれど、ここからのやり口が恐ろしい。
    まっとうな始末屋、そして一膳飯屋、土手の古着屋、みな平穏に過ごしてほしい。
    次も楽しみ。

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    2024年01月19日
  • 夢かさね 着物始末暦(三)

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    着物始末屋シリーズ第三弾。
    余一やお糸、他の登場人物のその後が気になって、楽しく読んだ。余一の真っ直ぐな、真っ当な、濁りのない言葉がまた聴けて嬉しい。
    手を動かし、ものを活かし、丁寧に大切に生きていきたいな、と思えるのがありがたい。
    次も楽しみ。

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    2024年01月17日
  • うき世櫛

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    嗚呼、私の中のお夕が
    目覚めちまいました。

    起きちまった事に文句
    を言っても、どうにも
    ならない。

    そうでございましょう


    こうなる運命だったと
    思ったほうが生き易い。

    そら、ぶつくさ文句を
    言ってる暇があるなら、

    やるべきことをやって
    さっさと寝ちまう方が
    良うございましょう。

    しっかりした時代考証
    のもと、

    女の粋がよく描かれて
    います。

    人心は外から見えない
    ようで案外よく見える
    もの。

    窮地に陥ったときほど、

    ジタバタ必死に外聞を
    取り繕うよりも、

    スッと背筋を正すが粋。

    何か一つうまくいった
    とて調子にのらない。

    たまに一つしくじった
    とて気に留めない。

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    2023年12月05日