中島要のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
今回は面白かった。
あちこちの有名作家のキャラクターの似姿がちらほらとはいっても、それぞれの個性がしっかり出てきたように思える。
最初の話の若旦那だけではなく、その新妻、さらにはそのおつきの女の子に至るまで、成長が見られるところが話を面白くしている。
何より大きいことは主人公の着物の始末屋の考え方が柔らかくなりつつあることだろう。
金持ちが嫌い、金持ちは悪者という単純な頭で動いていた彼が、甘ちゃんだと馬鹿にしていた若旦那や軽蔑の対象だったその母親にもそれぞれ矜持や事情があることを少しは考えられるようになり、自分に好意を抱く少女たちを近寄らせはしないまでも突き放すことはなくなった。
彼の成長と共 -
Posted by ブクログ
リアル本屋に行ったら丁度改装中で、文庫本は全部が平積み状態。その中でこの表紙が目に入りました。「初々しい。これがこの本を読んだときの、第一印象だった」そんな解説を読んで買ってみました。中島さんは初読みです。
表題の刀圭は医者や医術を意味する言葉。江戸の長屋で貧しい人を相手に無料に近い医療を続ける若い医者・圭吾を主人公に、青臭い理想論と挫折、そして復活が描かれます。
確かに「初々しい」かな。悪く言えば稚拙さのようなものも感じます。人物の発言や直接的な言葉での心の動きの説明など。しかし、読後感は爽やかでなかなか良いものです。
「爆発的な著者の伸長」と解説にあったので、さらに何冊か読んでみたいと思い