開高健のレビュー一覧

  • パニック・裸の王様

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    大衆社会、官僚制化。これら現代社会の特徴を個別に追究するのではなく、これらを(ネズミと人間に擬して)「大衆vs.大衆」、「大衆vs.官僚組織」と対決させてしまうという独創的なアイディアが光る「パニック」は傑作。また、官僚制化を始皇帝による秦国建国という壮大なスケールの歴史的事業に乗せて描く「流亡記」も傑作。「巨人と玩具」、「裸の王様」は(少なくとも今となっては)平凡な作品だと思う。

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    2021年10月19日
  • キス・キス

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    『誕生と破局―真実の物語』

    凄く、いい、酷い、話。
    本を読んでいて珍しく、泣きそうになった。

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    2009年10月04日
  • 【電子特別版】オーパ!

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    言わずと知れたサントリーの元広報部出身の冒険小説家であり高い教養も備えた文化人、開高健の壮絶フィッシング旅行記。単なる釣りの話だけでなく、その当時の少しレトロになったうんちくなども満載で、そのセンスの良さには脱帽です。

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    2009年10月04日
  • 【電子特別版】オーパ!

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    釣りはあまりしたことがないし、食に特にこだわる方でもない私が、ちょっと興味を持ってしまうような、文中にもあるが、いい年した大人をそそのかす、ワクワク、ムズムズさせてくれる。旅先に持っていきたい1冊。

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    2009年10月04日
  • 裸の王様・流亡記

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    芥川賞の「裸の王様」はなんとなく勧善懲悪的な痛快譚のように思えるが、よくよく考えると、いくつも「?」が浮かんでくる。なぜ殿様のフンドシ姿の絵が素晴らしいのか、その絵と太郎の心模様がどう関係するのか、スポンサーの子息の作品であることを種明かしすることで主人公が勝ち誇るような流れも、おかしなスカッと感に騙されているように感じてしまう。
    「パニック」は鼠の異常発生を巡り混乱する社会を役所のいち担当者の目線で描く。先手を打とうとする進言を斥けられてもなお孤軍奮闘する主人公の姿は昨今のお仕事小説にも通じるものがある。
    「なまけもの」は終戦直後?の二人の大学生が主人公。穴倉の中でほぼ裸で生活している人が出

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    2025年12月13日
  • 瓶のなかの旅 酒と煙草エッセイ傑作選

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    酒と煙草、ばっかりだ。
    どちらもやらないものにとっては、本当にどうでもいい話である。
    しかし、なぜか、面白い。
    パイプがいかに芸術的で、吸うのにも技術と時間が必要なのか。
    ライターへのこだわり。私はタバコも吸わないのに、この本に触発されて「イムコ」という元々オーストリアで作られていて、今は日本で作っているライターを買ってしまった。
    酒の種類も数多い。アブサンやそれに似たものなど、聞いたことのない、飲むことのない、飲んだとしても違いも味わいも値打ちもわからないものが出てくる。
    あまりに酒、煙草の連発なので、どちらもやらない、どちらかというと嫌いな人間には、本当に堪能した作品であった。

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    2025年09月27日
  • 日本三文オペラ

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    重厚な文章であるが会話はコテコテのなにわ言葉、舞台は今の大阪城公園付近で展開される人間生き残りドラマ。

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    2025年06月04日
  • 【電子特別版】オーパ!

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    作者の出発地点である1978年の日本が既に私の知らない世界なので、異世界から異世界人が別の異世界に行く冒険記として面白かった。異国情緒をもはや掻き立てなくなったものがあったり、逆にもう身近に感じられなくなったものがあったり…

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    2024年12月25日
  • パニック・裸の王様

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    短編4篇。大江健三郎の流れから。皮肉の効いた作品集。裸の王様は面白かった。読んだタイミングが悪くダラダラ読書になって入り込めなかった。いつか再読したい。

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    2024年04月05日
  • 私の釣魚大全

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    文化的な、伝統的な釣り(魚捕り)。
    外国での、離島での冒険心くすぐる釣り。
    釣れた釣れなかったに留まらない、釣りの面白さを改めて感じ、そして旅に行きたくなる、エッセイであった。

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    2024年01月05日
  • パニック・裸の王様

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    パニック、非常に面白かった!
    開高健の作品を最近読み始めたばかりで、先に血生臭い作品を読んでいたため、こんな作品も書くのか・・・!と驚いた。
    序盤はちょっと残虐な描写もあるが、読み進めていくと作品の世界にどんどん引き込まれる。
    裸の王様も同じく、読んだ後に一息ついて余韻を楽しんだ作品。
    一人の少年の心に寄り添い救いたいという主人公の想いと行動は、こんな大人がいたら子供は嬉しいだろうなぁと思った。
    一方、その主人公は大人だけを相手にしている時はまるで別人。そこがまたこの作品の魅力かと思う。
    巨人の玩具、これは熾烈な企業競争の世界に引きづり込まれる主人公の奮闘が面白かった。

    流亡記、グロい。残虐

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    2023年04月27日
  • パニック・裸の王様

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    芥川賞受賞の初期作品集。
    社会的な喚起を伴う堅真面目な文体。
    言葉選びや話の運びが凄まじく上手いが、流石に真面目すぎで読み疲れしてしまった印象。

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    2023年01月19日
  • 魚の水(ニョクマム)はおいしい 食と酒エッセイ傑作選

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    この作家の食べ物と釣りの話は大好きなんですが、やっぱこれって金をもってる人の豊かな道楽なんですかねぇ。凡人には思い切れないですもん、ここまでは。
    そして最後のエッセイが目を覚まさせる、確か『三国志』でもあの逸話があった記憶がありますが、そうか、ほんの100年前程度でもそういった風習があったんですね。
    世界は広いというか何と言うか、こういうのは良い悪いを超えた何物かがありますなぁ。。。

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    2022年03月06日
  • 瓶のなかの旅 酒と煙草エッセイ傑作選

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    同じ題材が複数回出てくるが、まあエッセイなので良いかな。
    サントリー出身の作家なら山口瞳のほうが好みかな。

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    2021年07月17日
  • 魚の水(ニョクマム)はおいしい 食と酒エッセイ傑作選

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    食べ物と女性を描写できないようでは、なんのための作家か。と標榜するだけあって、周到に描かれる主にアジアの食は、垂涎…を飛び越え、あまりに生々しくせまってくる。
    今の時代から見ると「ええっ」と驚く比喩・暗喩にも満ち満ちて、時代の遠さも心に迫るなり。

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    2021年02月05日
  • 魚の水(ニョクマム)はおいしい 食と酒エッセイ傑作選

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    日本文学史上に残る傑作『輝ける闇』などベトナム戦争を巡る一連の作品を遺した開高健。彼がベトナム時代に経験した食や酒などに関する文章などから、食と酒にフォーカスしたエッセイを集めたアンソロジー。

    この手の本は酒も片手にしながら読み飛ばしていくのが私なりの読み方であり、感想というほどの大袈裟なものもないのだけど、それでもベトナムにおいてパイナップルに唐辛子をかけると (゚д゚)ウマー、が記憶に残る。現地では有名な食べ方なのだろうか、いつか試してみたい。

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    2020年12月13日
  • パニック・裸の王様

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    ネズミの大発生による街の混乱、それを予見していた役人による奔走、そして現実を直視しようとしない官僚による保身。おそらく21世紀においても、現代の寓話と読めてしまう「パニック」。主人公の男性は、よくある近年の小説(いわゆる「お仕事小説」)における公務員のように奮闘をするのですが、どこか事態を――そして自身すらを――冷めて見てもいます。

    後年になって作者は、初期の作品を「遠心力」だけで書いたと述べていたそうです。なるほど、作者の視線は主人公の感情よりも外側の社会に向いていますし、それはつづく「巨人と玩具」においても類似しています。子ども向けの製菓産業を舞台にして、主人公が勤める会社の悪銭苦闘と、

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    2020年10月04日
  • 【電子特別版】オーパ!

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    PLAY BOYで連載されていたためか写真の多い釣り紀行。開高健が書いているので、当然ながら活き活きとした臨場感で、自分もそこにいてその風景を見てきたかのような錯覚に陥る。”深夜特急”や"日本の川を旅する"を読んだときのように、あー旅に出たいと思わなかったのは多分に年をとってしまったせいかと自嘲的に思う。今の僕と同年代の頃にこんな旅をこんなに楽しそうにする作者を尊敬と憧憬の眼差しで、あるいは嫉妬に駆られた目で見てしまう。続編読むかなぁ、読んじゃうかなぁ。

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    2020年07月26日
  • 私の釣魚大全

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    何と言っても文がすばらしい。
    語彙の豊富さとウンチクは、これぞ文筆家といった様。

    読むと釣りを趣味にしたくなる。
    海外に出るとオーパーになるのねと、一人で納得。

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    2019年12月10日
  • パニック・裸の王様

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    開高健 短編集。「裸の王様」「パニック」は 読みやすく、モチーフの本来の意味 と 小説のテーマを リンクさせた構成が 面白い。「なまけもの」「流亡記」は 落ちていく人生 という感じ

    「 裸の王様 」アンデルセン「裸の王様」をモチーフに
    *権力の虚栄と愚劣
    *主人公 太郎の子供らしい感情の回復(鋳型の破壊)
    を描いた短編

    「 パニック 」ネズミの大群によるパニックをモチーフに
    *ネズミの大群が持つ 巨大で 妄信的なエネルギー
    *官僚組織(人間の群れ)が持つ 腐敗体質
    を描いた短編

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    2018年11月08日