あらすじ
【オリジナル写真満載!】何かの事情があって野外へ出られない人、海外へいけない人、鳥獣虫魚の話の好きな人、人間や議論に絶望した人、雨の日の釣師……すべて書斎にいるときの私に似た人たちのために。──開高健は本書巻頭にそう書いた。南米の大河アマゾンの釣魚・冒険・文明論ノンフィクション。稀代の文章家の猛烈な表現力で記されたこの伝説の旅は、その驚き(オーパ!)の豊かさ、深さ、面白さで、また、その文明論の射程で、いまだ他の追随を許さない。追うのは巨大魚ピラルクー、肉食魚ピラニア、黄金のドラド、名魚トクナレ……。旅程はアマゾン河口の街・ベレン、冒険の基地・サンタレン、大湿原の入口・クイヤバ、砂漠の人工都市・ブラジリア……。その美、その食、その壮大。心躍る紀行文学の古典がオリジナル写真満載の電子特別版で登場。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
1977年、70日間のブラジル・フィッシングの旅。文章も、写真についたキャプションも、いきのよい魚のように踊る。もとは「月刊PLAYBOY」連載。読者ウケするツボをこころえた、臨場感あふれるルポルタージュ。
章扉には、いろんな形の多彩なルアー3個4個。その上に章のタイトル。8つの章、順にあげると、神の小さな土地、死はわが職業、八月の光、心は淋しき狩人、河を渡って木立の中へ、水と原生林のはざまで、タイム・マシン、愉しみと日々。それぞれ、コールドウェル、メルル、フォークナー、マッカラーズ、ヘミングウェイ、シュヴァイツァー、ウエルズ、プルーストの作品名。形式は定番だが、しっかり決まるのが開高健のダンディズム。
旅の最後は次のように締めくくられる。「暗くなりかけた木立のなかをゆっくり歩く。土が匂い、葉が匂う、これからさき、前途には、故国があるだけである。知りぬいたものが待っているだけである。」「膨張、展開、奇異、驚愕の、傷もなければ黴もない日々はすでに過ぎ去ってしまった。手錠つきの脱走は終った。羊群声なく牧舎に帰る。」ああ、恐妻の待っている日常へ。別のアマゾネスへ。
Posted by ブクログ
一大ドラマ。
旅行して、そこで暮らし、そこの飯を食べる。それだけで十分。
本当に幸せになりたかったら釣りを覚えなさい。
その時の記憶を文字とともに残す。
Posted by ブクログ
開高 健 という小説家は、俺にとって特別だ。
子供の頃、釣りが大好きだった俺。
父さんの本棚にあった「オーパ!」をよく眺めていたっけ。
そのころは文章は読まず、写真を眺めていた。
その後、大学生になった時に本屋でこの「オーパ!」を見つけて
懐かしくって思わず手に取った。
そして、初めてその文章も読んだ。
一瞬で引き込まれて開高健にはまった。
Posted by ブクログ
連載のために用意された旅行がベースとなっているため熱量はあまり感じないが、それでも十分に面白い。著者が限られた期間での旅行だと認めた上で書いているので、嫌味がないところもいい。活き活きと釣りを楽しむ一方、ブラジルの首都の成り立ちを冷静な目線で論じるところもあって全く侮れない。
Posted by ブクログ
世代の違いなのか、上手く言えませんが、沢木耕太郎の方が文体含めてスッと入ってくるのは否定できないけれども、まぁ何と言うか生命を感じるという意味ではこっちの方に分があるかな。
釣りが本題だったのかもしれないけれども、それはたまたまの手段で、まさに全てに「喰らいつく」感じ。写真がその猥雑さというか、生命力をさらに際立たせて、とにかく凄いの一言。
有名な本なんでしょうが、一読の価値ありです。ってほんと、当方レベルが言う話ではないんでしょうが。
Posted by ブクログ
開高健がブラジルで釣りをする本。表紙でもお分かりかとおもいますが、ピラーニャの恐ろしさを改めて知りました。それと、釣りは楽しそうだと素直に思いました。
作者については、今あまり見ないとてもおしゃれな言葉遣いをする方だと思う。雲塊とか。
当時のブラジルの様子も分かりますが、今またどうなっているのか、確認するためには自分で行ってみるしかないでしょうか?
Posted by ブクログ
菊谷匡祐の解説によると、この作家はテーマを展開していくプロセスの文章表現に非常な情熱を注ぐからで、言葉が言葉と連結し、重層的に重なり合い、おそろしく密度の濃い文体ができあがります。
そんな感じでブラジルフィッシング70日間の旅を描く!
Posted by ブクログ
言わずと知れたサントリーの元広報部出身の冒険小説家であり高い教養も備えた文化人、開高健の壮絶フィッシング旅行記。単なる釣りの話だけでなく、その当時の少しレトロになったうんちくなども満載で、そのセンスの良さには脱帽です。
Posted by ブクログ
釣りはあまりしたことがないし、食に特にこだわる方でもない私が、ちょっと興味を持ってしまうような、文中にもあるが、いい年した大人をそそのかす、ワクワク、ムズムズさせてくれる。旅先に持っていきたい1冊。
Posted by ブクログ
作者の出発地点である1978年の日本が既に私の知らない世界なので、異世界から異世界人が別の異世界に行く冒険記として面白かった。異国情緒をもはや掻き立てなくなったものがあったり、逆にもう身近に感じられなくなったものがあったり…
Posted by ブクログ
PLAY BOYで連載されていたためか写真の多い釣り紀行。開高健が書いているので、当然ながら活き活きとした臨場感で、自分もそこにいてその風景を見てきたかのような錯覚に陥る。”深夜特急”や"日本の川を旅する"を読んだときのように、あー旅に出たいと思わなかったのは多分に年をとってしまったせいかと自嘲的に思う。今の僕と同年代の頃にこんな旅をこんなに楽しそうにする作者を尊敬と憧憬の眼差しで、あるいは嫉妬に駆られた目で見てしまう。続編読むかなぁ、読んじゃうかなぁ。
Posted by ブクログ
初開高健。面白い。軽妙なテーマと雰囲気、しかし密度の濃い硬骨な文体が妙にマッチしている。
作品のせいではないが文章と写真の構成が悪く読みづらい。また高橋曻氏の写真は迫力があり素晴らしいのだが気色の悪いエグい写真も多く、ライトな内容の本の割には喫茶店や電車など人混みのなかでは読みづらい。
Posted by ブクログ
豪華絢爛な文章の旅行記です。あまりにも豪華な文章は合わないという個人的趣向がはっきりわかった本です。写真が沢山でそれを眺めている方が好きでした。