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残酷で、皮肉で、冷徹で、透明な、ロアルド・ダールの短篇世界。一度味わえば、その味わいは二度と忘れられないものとなる。「女主人」「誕生と破局」「ウィリアムとメアリイ」など、忘れ得ぬ11篇を収録。
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Posted by ブクログ
ロアルド・ダールの軽妙さは寝しなに聞く物語の愉しさのような感慨を呼び覚ます。そしてまた星新一のショートショート(そう言えばそんな言葉を最近はめっきり聞かなくなったけれど)を読んでいた頃の愉しさも呼び起こす。一つ読んでしまうと次から次へと幾つも幾つも読まずには居られなくなる愉しさでもある。中毒症状のよ...続きを読むうなものだ。そんな愉しさにふと耽りそうになる。子供の頃はそんな風にしてただなんとなく楽しんでいたっけな、と。けれど、今は少し警戒感のようなものも同時に頭をもたげる。その愉しさの根源は世の中に対して斜に構えずには居られないシニカルなものの見方と気付いているから。 シニカルなものの見方は中毒のような効果がある。一旦そういう見方に染まってしまうと後戻りはできない。教師の言うこと聞かなくなって学ランの釦をわざと外すようになる。胴着と袴で竹刀を抱えて浜辺を走る青年を理解できなくなる。人間なんてららららららららと歌うことに酔いしれるようになる。果ては盗んだバイクで走り出す(こんな例えばかりだと歳が知れるが)。シニカルな視線は真面目な人のやることをすべからく揶揄する心が生み出す怪物だ。 けれどロアルド・ダールの軽妙さが描き出すのは、シニカルさとは反対の(関係ない話だが、真逆という言葉がどうも好きになれないのは、それを連呼していた人がいまひとつ好きではなかったせいなんだろう)真っ直ぐに信じた道を突き進むような人ばかり。表の顔で追従笑いをしながら心の裏で舌を出すような人は余り出てこない。ドリフターズやコント55号のお笑いが人を馬鹿にした笑いではなかったように、ロアルド・ダールの可笑しみは真面目な人が真面目に働くことによってどうしようもなく引き起こされてしまう悲劇的な喜劇を、少しばかり大袈裟に描いたものなのだと理解する。笑いながら読み進め、ついでに自分自身も笑い飛ばしたくなってくる。そうすると、ぐるっと回って汗臭い胴着を着て面や胴や小手を着けて大声を出しまくっていた自分が、案外好きになる。 でもちょっと待って、と、ロアルド・ダールは言うに違いない。その真面目さがどんな悲劇を生み出しかねないのか、少し考えて欲しい、と。例えば、原理主義は究極の真面目さだとも言えると思うが、最近は何かと批判の対象になりがちだ。けれども本当は主義主張が悪いのではなく、それを他者に強制することが問題な筈だ。ところが人は自分が是とするものを他人にとっても良いものであると考えがち。竹刀を振り回していた頃の自分もそうであったように。そこにロアルド・ダールの目線はあると思う。 そんなことを考えていたら、谷川俊太郎の「真面目な顔つき」を思い出した。真面目なひとが真面目に歩いていたら悲しいし、泣いていたら可笑しいし、謝っていたら腹が立つ。けれど真面目な人は真面目に人を殺す、それは恐ろしい。やっぱり世の中多少シニカルな位でちょうどいいのかも知れないね。
面白かったー。最初の数ページで読者を世界に引き込み、中だるみさせずにいったいどう転ぶのかドキドキさせ、最後の1ページで一気に落とす。これぞショートショートなスタンダードの作りだけど、その全部がとにかく上手い…。執拗な愛着だと語る阿刀田氏がそう評したのも頷ける完成度の高さだった。感じたことは大体解説に...続きを読む書かれちゃってるんだけど、それでも言いたいのはやっぱオチまでの持っていき方の巧みさ。個人的ベストは「牧師のたのしみ」「天国への登り道」「豚」かな。いやほかも良かったな…w 短編好きにはぜひ読んでもらいたい作家。
ロアルド・ダールは、19年前の1990年11月23日に74歳で亡くなったイギリスの小説家・脚本家ですが、そもそも彼と最初に接触したのが、筒井康隆を通してのブラックユーモア経由だったのか、『チキ・チキ・バン・バン』や『007は二度死ぬ』などの映画の原作や映画化された『チャーリーとチョコレート工場』(原...続きを読む作「チョコレート工場の秘密」)からだったのか、それともサン・テグジュペリ好きが高じてのパイロット関連だったのか、奇妙な味のサキに味を占めてのアナロジーからだったのか、いったいどこからなのか、今となってはまったく藪の中です。 『あなたに似た人』や『魔女がいっぱい』もそうですが、そんなにしょっちゅうというのではなく、何か一冊を読んで満足してお腹いっぱいになって、でもそれで終わることなく、しばらくしてまた違う著作を読みたくなって、読むとまた異なる顔が見えて充二分に満たされるという奇妙な存在です。 この本は、あの開高健が訳した全11編で、翻訳のことはよくわかりませんが、ひょっとして名訳の気もしますが、ロアルド・ダールの毒はことさら過激なものではなく、チクリと刺されてあとからもジーンと響いてくる感じの心地よいものです。 この感想へのコメント 1.のほほん堂 (2009/11/23) 薔薇★魑魅魍魎さん、こんにちは。 ロアルド・ダール、『チョコレート工場の秘密』と他に数作しか読んでいないと思います。 こんな短編集が出ているのですね。機会があれば読んでみたいと思います。 感想、ありがとうございました。 2.薔薇★魑魅魍魎 (2009/11/25) コメントありがとうございました。またぜひお越しくださいませ。 そういえば『チョコレート・・』は、映画の方をまだ見ていませんでした、DVDあるのに。近々見ようと思います。
予期せぬ出来事が日常の扉を開き、あなたをさりげなく訪れる…。全篇に漂う黒いユーモア、微妙な残酷さ、構成の巧みさ、豊かな文章力を特徴とするダールの短篇集。「天国への登り道」ほか全11編を収録。
一昔前、BBCで放映、日本でも放送されたロアルド・ダール劇場予期せぬ出来事の原作が幾つか収録されている。 ちょっぴり怖い作者のユーモアとストーリーテリングが光る佳品集。
ブラックユーモアたっぷりの短編集。 ロアルド・ダールは児童書「チョコレート工場の秘密」しか知らなかったが わたしは風刺やブラックユーモアに満ちた短編小説のほうが好きかも。 想像力をかきたてるような文章がたまらない。
久しぶりにロアルド・ダールを読んだ。ピリリとしつつヒヤッとする楽しい短編が詰まっていてとても楽しめました。
映画化された怪作「チャーリーとチョコレート工場」など、特に児童文学で有名なイギリスの作家・ダールの短篇集。 素朴なユーモアストーリーと見せかけて、毒と恐怖をほんのり混ぜてくる所が素晴らしい。幼少期からこんな人のこんな話ばっかり読んでりゃ、そりゃイギリスジョークもバリバリになるわな。感想を読んで興味...続きを読むを惹かれた方は、ぜひお子様に読み聞かせていただきたい。 1.女主人 下宿を探しにやってきた小さな町で学生の少年が出会った女主人。台帳に書かれた失踪者の名前と動物たちの剥製が嫌な展開を想起させるが、想起させるところで終わりの掌編。 2.ウィリアムとメアリイ 難病で死んだウィリアムが妻メアリイに残した手紙には、脳を取り出し生き長らえる実験に参画するまでの経緯が記されていた…。脳だけになった夫を前に、抑圧され続けた妻の歓喜が溢れるラストは、自分が「どちら側」にいると思っているかで感想が変わる。自分がウィリアムの立場なら発狂モンだなー。 3.天国への登り道 「待ち合わせ時間に間に合うか」を必要以上に気にする神経過敏の妻に対し、主人が嫌がらせを働く話。読みきったときにタイトルの皮肉に気づく。この作者は本当に亭主への意地が悪いな。 4.牧師のたのしみ こち亀ばりのベタなコント。田舎で掘り出し物の骨董品を買い叩き高値で売りさばく男がど田舎のボロ屋で見かけた極上のアンティーク箪笥。朴訥フェイスな住人と口八丁で何とか購入契約を結ぶが…。主人公の灰化シーン直前で物語を打ち切る構成がクール。 5.ビクスビイ婦人と大佐のコート 大佐との不倫を楽しんでいた妻が、手切れにと貰ったミンクの高級コートを我が物とするため四苦八苦する、これまたジョーク心満載のいいコント。「アメリカは、女性が恵まれている国である。」から始まる、アメリカ人男性の悲哀を淡々と語る冒頭のシークエンスが最高。この話は夫勝利エンドだが、それも基本的には「酒場で男同士で語られる空虚な慰め話」であると釘を刺されているのが辛すぎる。 6.ローヤル・ジェリィ ミルクを飲まない赤ちゃんに、養蜂研究が趣味の夫が与えたものとは…。今じゃすっかり有名なローヤルゼリーだけど、調べたら栄養補助食品としての効果を裏付ける科学的研究は発表されていないらしい。へー。そもそも赤ちゃんにハチミツ与えちゃダメ、ってのも、当時はあまり知られてなかったのかなぁ。現代だとそっちへのツッコミが入って物語趣旨へのノイズになっちゃうんで、さすがに「賞味期限切れ」の物語かなぁ。 7.ジョージイ・ポーギイ 超奥手な若神父(でもムッツリ)の苦闘。シュールなオチより、彼の幼少期のトラウマ「お母さんから授かった性教育でウサギの出産を見てたら母ウサギが生まれたての子ウサギを食べちゃって絶叫」のハイレベルさが際立っている。そりゃ心折れるよ。 8.誕生と破局 「ある男」が産まれた直後の病室を切り取った数ページの掌編だが、実在人物である「ある男」の正体が明らかになるシーンは戦慄。 9.暴君エドワード 迷いネコの前世が大作曲家のリストだと言い張るプッツン嫁と、そのネコを火にくべるプッツン夫とのやりとり。これまた「貴方はどっちに感情移入できる?」が試される。 10.豚 不条理ノワールの傑作にして、グリム童話の新作として子供に読ませたいけど読ませたら絶対ヤバい大問題作。くっだらない事故により生後数日で両親を失ったレキシントンは、田舎に住む超ベジタリアンの叔母の元で料理の才能を開花させていく。彼女の死後都会に出たレキシントンはレストランで初めて豚を食し…。それまでの写実的な展開から一変、ラストの不条理さはぶっ飛び過ぎて何度もページを読み返してしまうほど。 11.ほしぶどう作戦 領主の禁猟区で雉を大量ゲットするべく、冴えない2人組が一大作戦に挑む。干しぶどうを使ったこの作戦、実際に効果ってあるのかなー。
「女主人」「ウィリアムとメアリイ」「天国への登り道」「牧師のたのしみ」 「ビクスビイ夫人と大佐のコート」「ローヤルゼリー」 「ジョージイ・ポーギイ」「誕生と破局―真実の物語」 「暴君エドワード」「豚」「ほしぶどう作戦」 友達からのススメで読みました。 エレベーターのある家に住んでいる夫婦の話がコワ...続きを読む面白かった。 あとローヤルゼリーも単純だけど怖い。
シニカルで黒い…だから好きです、ロアルド・ダール。「ウィリアムとメアリィ」が一番好きだなぁ。メアリィの感覚がよく分かるというか…確かに抵抗できぬ相手にわざと嫌がることをするっていうのは、なんというか加虐心が疼きますよね…ニヤリとするよね。しかも相手が今まで自分を抑圧してた人なら尚更。ゾクゾクする。
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