満園真木のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
やれやれ、この作家、よくもここまで難度の高い小説を書きあげたものだ。主人公は、体は女性だが心は男性というトランスジェンダー。現代であればありがちな設定なのだろうけれど、なんと舞台は19世紀1880年のロンドン。難度に難度を重ねるチャレンジングな設定。
今年読んだ『探偵コナン・ドイル』の設定が本書とほぼ同時期で、ホームズが登場し、切り裂きジャックが夜を掻き回していた時代であり場所である。同じ、ロンドンの夜は、本作でもかなり手強い暴力や殺意に満ちており、怪しい霧に包まれて真相がなかなか見えないところも、やはり同じである。
当時の警察権力の粗暴さが際立ち、その犠牲になる誤認逮捕など珍しくもないみたいな世界で、マイノリティである検視官助手の男装の主人公レオ・スタンホープの活躍が光る。活躍と言っても体は女性であり、家族とも切れた孤独な生活なので、腕力も財力もてんでない。街の薬品店の二階に格安で住まわせてもらっている様子、そこの父娘の生きるバイタリティが微笑ましかったりする中で、極悪な犯罪の連環がレオを襲う。
ハーフムーン街の娼婦の館を舞台にした連続殺人事件。その一人は、レオが通い詰める娼婦マリアで、彼は検視局で彼女の遺体と対面することになる。売春宿の女主人、オーナー、帳簿係に加え、謎のキツネ似の男、陸軍少佐など、宿を流れるマネーや色欲、暴力と愛憎の迷路がページと共に闇をより深くより濃く演出してゆく。
女性の体をもつが自分を男と認識する若者の一人称で描く難物のミステリーだが、筆力が素晴らしい。登場人物の誰もが活き活きと印象深い。当時のロンドンの雰囲気にマッチした薄暗い霧を纏う事件の本質は、裏のまた裏へと展開し、複雑に絡み合う人間模様を解いてゆく後段は見ごたえがいっぱいである。
謎だけではなく主人公レオの経験する、異質であるゆえの痛み、絶望感は並大抵のものではない。最後まで謎を秘めているかに見える女性キャラの深さもなかなかの味わい。シリーズ化された二作目三作目と原作は上梓されているとのこと。翻訳が楽みな期待のシリーズの登場である。 -
Posted by ブクログ
1.世界No.1セールスマンは基本の中でも何を大切にしているのかを知る
真似できることがあれば実践する
2.営業とは、基本の積み重ねでしか成功しないというのが著者の意見です。下記の13のルールを自分に課し、実直に行動してきた経験が語られています。他のセールスマンと著者では何が違うのか、自分は顧客のためにどれだけ考えてきたかという熱い思いが込められている一冊です。
ジラード流13のルール
1.健康でいるための選択をする
2.常にポジティブ
3.計画をしっかり立てる
4.働くときは徹底的に
5.ジラード流厳禁リストを徹底する
6.適切な装い
7.聞き役に徹する
8.笑顔をあげる
9.連絡を絶やさない
10.真実を告げる
11.全てのチャンスをものにする
12.常に最前線にたつ
13.自分にご褒美をあげる
3.「私に売れないモノはない!」も読んでみて思ったのは、顧客のために何ができるかを考え、基本を習慣づけることでしか成功しないということです。自分の仕事に置き換えると、顧客リストの作成および地図への落とし込み、会話の想定、訪問時の記録作成、見込み客づくりのためのTELが基本になります。このようなことは地味なので毎日欠かさずやっていくことがしんどいです。しかし、これを定期的にやってくことでしか成果は上がっていかないのだと本を読んで実感しました。 -
Posted by ブクログ
殺人青春ミステリの第2弾。相変わらずリーダビリティが非常に高くページを繰る手が止まらない。前作から成長の見える主人公ジャスパーは魅力的だが、今作は掘り下げられたサブキャラのほうが魅力的である。彼女のコニーや血友病のハウイーなどが独自に動き、一般人としての視点で事件を見ているのが大きい。またジャスパーの助けとなる警察側の人間であるヒューズや美貌のFBI捜査官モラレスも前作にいなかったタイプのキャラであり、事件のスケール感を増すのに一役買っている。総じて褒める点の多い今作だが、ただストーリー面はやや難があって、犯人が明らかになるもののクライマックスの渦中で唐突に次巻に続く形で終わってしまい消化不良である。2、というよりは前後編の前編だけ読まされたような感じで、地続きなのは構わないが、せめてこの一冊は独立した事件として扱って欲しかった。ただ期待感は高いままなので次作も楽しみである。
-
Posted by ブクログ
ジャスパー・デントシリーズ第二弾。
今回はジャズがニューヨーク市警に協力を要請されて現地に飛ぶ。
相変わらず面白い!……田舎町ロボズ・ノットで猟奇的な生い立ちのジャズの恋や友情、将来や学校生活、地元の人間関係に主軸を据え、悩み多き青春を描く路線でいくと思ってたら、突然ニューヨークに舞台が飛んでのっけからサスペンス色が強くなったのでびっくり。
やっぱり犯罪捜査のメッカはNYなのか。
個人的にはYA青春路線のほうが好きだったので残念。
今回から完全にジャスパーVSビルの親子関係メインというか、親子対決にテーマがシフトしちゃった感じ。
一巻の雰囲気が好きだったので、ジャスパーの日常と並行して事件が展開していく話運びのほうが好みだった。
ガールフレンドのコニ―や親友のハウイーも大活躍。一巻よりさらに出番が増えて、積極的に動いてる。
とくにコニ―はジャスパーに付き添ってNYに行ったりアクティブすぎる。
大人しくしていてほしいジャスパーの気持ちも彼氏の力になりたいコニ―の気持ちもわかるからむずかしい……。
ビリーの存在感の不気味さは健在。
けれどジャスにだけ聞こえるビリーの囁きがうるさすぎて「シャラップ!」と叫びたくなる(笑)
終盤判明するある事実には、ぶっちゃけそこまで意外性はない。
冒頭もとい、前巻からずっと引っ張っていた伏線なので、スレた読者には予想が付きやすい。
事件の鍵となるあるゲームだが、日本人には馴染みがないので、ちょっと想像しにくいかも?
残虐なシリアルキラーが多く登場するが、その生い立ちは深く掘り下げられずドライに描写されるので、「殺人鬼の不幸な生い立ちは耳タコだよ!同情なんていらねーよ!」って人にはおすすめ。 -
Posted by ブクログ
女性の皮膚が無数に剥がされた遺体、連続殺人。D・D・ウォレン刑事は捜査の過程で怪我をし、痛みのコントロールのため精神科医アデラインにかかる。その医者は無痛症であり、父親ハリーは連続殺人鬼で既に死んでいる。そした姉シェイナも殺人犯として長年刑務所にいると分かった。そして今回の事件は40年前のハリーが起こした事件と似ている・・・
おぞましい。久しぶりに激しくおぞましい話を読んだ。
これの続編が「棺の女」だそうなので、翻訳は出るのが逆になってしまっているけれど、あまり問題はないように思う。
父親も姉も殺人犯であるアデラインの苦悩たるや。かなり我儘なシェイナのキャラクターもいい。一つの時間が本人たち以外に、周囲にも深い影響を与えるんだなーと深く思った。
※ネタバレ
真犯人は、40年前の被害者のいとこ、チャーリー。ゲイでいとこに襲いかかり殺してしまったが、シェイナのせいにした。今回の事件は、昔の事件で本を書いて金を稼ごうとして起こした。 -
Posted by ブクログ
この本は表紙にも書いてあるように、車のトップセールスで12年間ギネスに認定された男の自叙伝である。
はっきりいって、うるさいぐらいの頭ごなし口調笑
私の座右の書「営業の魔法(中村信仁著)」と180度違う書き方で、章立て構成のよくある営業啓発本である事に違いはないのだが、なぜか共感でき読み進めて行くことができるのが不思議。
恐らく、上司が部下に対して営業はこうあるべきだ!といった内容ではなく、孤軍奮闘してきたジラートの自慢話なので、客観的に受け取る事もできて、書いてある事にも納得できるからなのかも知れない。
万人にオススメできないが、神様からの思し召しと受け止められる本だと理解すれば、かない良い作品だといえる。 -
Posted by ブクログ
高校生のジャスパー(ジャズ)は祖母と二人暮らし。友人も血友病患者のハウィーと、恋人のコニーだけ。彼の住む街 ロボス・ノッドの人たちはジャズには近づかない。なぜなら、ジャスの父親のビリーは100人以上を殺したシリアルキラーで、ジャズは幼いながらもその手伝いをさせられていた、シリアルキラーの息子だからだ。
そんなジャズの暮らしに大きな異変が起きる。ロボス・ノッドで女性の他殺死体が発見された。
ジャズは生まれた時から父に仕込まれたシリアルキラーとしての感覚から、これは連続殺人事件の始まりだと直感する…
設定が秀逸である上に、ストーリー展開もうまく、読み始めるとどんどん読ませる。
しかも主人公のジャズは、単なるシリアルキラーの息子というだけでなく、彼自身も自分はシリアルキラーとしての思考プロセス、行動原理を父親から受け継いでおり、時にそのように行動してしまう(秩序型のシリアルキラーは外交的で人付き合いもよく、周囲からは善人として慕われていたというケースが多い。これは当人が人の心理を読み、行動できる才能に恵まれているからだと言われている)自分自身の身についた素質に苦悩しつつも、時にはそれを使って親友や恋人さえも欺いてしまう不安定さを持つキャラクターとして描かれているため、読者の共感を得やすいからだろう。
この作者はいわゆるヤングアダルト小説でヒットを出した作家で、これもYA系として扱われているらしいが、通常のミステリーとして充分面白い。 -
Posted by ブクログ
連続殺人鬼を父親に持つジャズの住む街で起きる凄惨な殺人事件。
父親は既に逮捕済みだけれど、幼少期の本人の自覚すらない頃から人を殺すノウハウを叩き込まれていたジャズはその知識を使って犯人の行動をトレースし、その目的と次の被害者を予測する。
自然と『殺人鬼の思考』が出来てしまうジャズの過去と彼を縛る呪いはどこまでもずっしりと重い。
意外な人物が犯人とかではなかったし事件そのものよりはジャズの苦悩がメインで、青春物という前評判も納得。
恋人と親友を縁に必死に足掻くジャズが早く解放されて欲しいと思いながら読み進めたのに、最後に飛び込んで来るニュースが衝撃的。
これは三部作全部読まねば。