宮野美嘉のレビュー一覧
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“「お嬢様、その男から離れて下さい」
墓地への立ち入りを禁止されているヴォルグは、鉄柵の前まで来ると、ガシャンと音を立てて手をかけた。
「コルドン伯爵、何お嬢様に色目使ってんですか。あんたは頭の線が切れたあの女と、よろしくやってりゃいいんですよ。大体何ですか?あんたはお嬢様みたいに凹凸のない幼児体型が好みなんですか?幼女趣味ですか?」
悪い目付きで鉄柵越しにジェイクを睨み、ヴォルグはどう考えても、フィナに対して失礼としか言いようのないことをまくしたてる。
『ヴォルグ、あなたは人のこと言えないと思うの』
フィナが穏やかに言うと、ヴォルグは自信満々な顔でフィナを見た。
「ご安心下さい。俺はお嬢様に -
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“「では、参りましょうか」
最後に愛らしく微笑んで、サアラはエリオスに歩み寄り、腕を取った。
「何するんだよ!」
エリオスは、すごい勢いでサアラを振り解く。
「何って、そのためについて来て下さったのでしょ?」
にっこりと微笑んで、サアラは再びエリオスの腕に手を回した。
「それとも、お父様が傍にいないと不安ですの?」
「なっ……そんな……わけないだろ」
仏頂面に戻り、ぷいと顔を背ける。しかし、もう腕を振り解こうとはしないあたり、扱いやすい少年だ。サアラは可笑しそうにくすくすと笑う。
「頼もしいですわね。もしも私が怖い人に苛められたら、どうか守って下さいな」
「そんな命知らずが、この世のどこにいる -
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“「承知しています。ですが、私が主と同じく、サアラお嬢様とジェイク様の行く末を、心から気にかけているのだということは、どうかご理解下さいませ」
サアラは笑みを引っ込めると、曲げた指を口元に当てて、マリエッタを見やる。
一見女性らしい柔らかさを持ちながら、実は大変男前なこの侍女を、サアラはどうも嫌いではないのだった。男性の好みが近いせいだろうか?
「あなたは、おじ様が好きなのですわね」
尋ねるわけでもなくつぶやくと、マリエッタは虚を衝かれたように一瞬動きを止めた。
「主に忠誠を尽くすのは、当然のこと。それ以上のことなどありません」
「おじ様はとても素敵な紳士ですから、あなたが心を奪われるのも、無 -
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“「それは無理だ」
ジェイクは今までにないほど、強くはっきりと即答した。完全な無表情を貼り付けて、何を考えているのかなど欠片も覗かせなかった。言葉の強さに驚いたのか、エリオスも驚いた顔でジェイクを見上げた。
「私はきみを幸せにはできないよ。私は人を不幸にする性質の人間だ」
ジェイクはそう続けた。サアラは自分の言葉が、歪んで伝わってしまったことに少しがっかりして、口を尖らせた。
「私は幸せにしてほしいなんて、一言も言っていませんわ。私は幸せになりたいのではなくて、幸せでありたいんです」
言葉遊びのようで意味が分からなかったのか、ジェイクの無表情に少し不可解な色が混じった。サアラは胸に片手を当てて -
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試し読み
購入済みヒロインいい人
ヒロインがいい人過ぎです。ヒーローがわかりにくいキャラクター設定だったけど、もう少しヒーロー側の感情を一人称でも匂わせてくれたら、もっと面白く読めたかなぁ。最後の方は ヒーローの感情がちゃんとわかって良かったです。もちろんハッピーエンド。