鈴木智彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ヤクザの取材を専門とする記者が、ヤクザについて語ったもの。15年にも及ぶ取材歴をもち、ヤクザに密着しながらさまざまな経験をしており、説得力があるとともに興味深い。ヤクザの実際の姿を知らない者にとっては、内容の真偽を判断することはできないが、著者の積極的な取材方法や正直な語り口から、そのほとんどは真実を語っており、核心をついているものと推察する。ヤクザは怖い存在ではあるものの、古き良き日本の伝統を踏襲した、よい人たちの集まりだと思えた。印象的な箇所を記す。
「歌舞伎町で発砲事件が起きたとき、警察は遠巻きにそれを見ている。ほとぼりが冷めるまで待っていて中に入ることはない。アメリカのようにやれとはいわないが、もうちょっと根性を入れてやってほしいよ」
「暴力団規模:1山口組(神戸)45%、2住吉会(赤坂)、3稲川会(横浜)」
「本当は相手を殺した後、死んでくれるのが一番助かる。そうすれば金もかからず捜査も終わる」
「元ヤクザの3割は覚せい剤の密売人となり、もう3割は窃盗団となり、これに加えて2割が暴力団の下請け、もしくは生活保護、女への寄生で生きているだろう。まっとうな仕事をしているのは、1割いればマシと思う」
「一般誌の暴力団記事は、どの程度まで書けばいいのかさじ加減が難しい。差し障りのない記事→面白くない→仕事がこない。踏み込んだ記事→面白い→でもトラブルになったら仕事がこない、となるからだ。例外は突出して硬派な記事だろうが、それだけの記事を記名で書く勇気と、書かせてもらえる信用を持ち合わせているのは溝口敦しかいない」
「(暴力団について)言動のすべては道徳的で、正当なものに思えた。印象に残っているのは、誰もが「地域のために、日本のために力を尽くしたい」と力説していたことだ」
「カタギさんを絶対に泣かしちゃ駄目なんだ。いつも弱い者の味方となり、強い者と喧嘩するのがヤクザの心意気だ」
「金の力は絶大で、同時に怖いものだと思い知らされた。(金をもらうと)当日は相応の罪悪感があっても、翌日になるとそれが半減し、もう一日たつと、当日の10分の1程度しか後ろめたさを感じなくなる。その蓄積は暴力団に対する遠慮に変換され、そのまま文章に反映される」
「芸能界と暴力団の繋がりはいまも続いている。相撲界にせよ、いまさらなにを大騒ぎしているのか、と不思議でならない」
「その賭博には関西のほとんどの博徒が来てた。そのとき、ある組織が関西でも名うての仕事師を連れて行ったんや。おそらく、関東の賭博なんてたいしたことあらへんという意識があったんやと思う。そのとき使うたのが、シャッターいうて、バタバタと目の変わるイカサマ札。せやけど稲川会の合力はすごかった。一発でパシッと見破り、そっと注意したからな。向こうの合力はみな達者やな、思うたわ」
「とにかく、昔の親分はどこの組であろうがみんな器量の大きい人ばかりやった。喧嘩も強いし、根性も情けもある。とくに代紋頭という人は、一種特別やったよ。若い衆がさらわれたとき、白い着物を着て乗り込んで助け、自分が殺されたなんて親分もいるんやからな。組織の大小やない。みんなそのくらい器量があったんや」
「社会の裏側で暗闘を繰り返し、それなりの立場に上り詰めた親分や組長には、苦労の歴史がある。内部闘争を勝ち抜き、他団体との抗争をくぐり抜け、ときには破門となって辛酸をなめながら、幾多の困難を乗り越えていまの立場にのし上がったのだ」
「これまでの社会は暴力団という存在を内包したまま、彼らに一定の役割を与え、それなりに上手く機能させてきた。犯罪者たちの重石となり、反共運動の防波堤となり、バブル期には企業の尖兵となって地上げという汚れ役を引き受けた」
「暴力団が害悪しかまき散らさない完全悪というのは嘘っぱちである。売春、ドラッグ、違法賭博、取立て、会社整理、様々なトラブル解決等々、日本の社会は今のところ暴力団を取り込んだまま、それなりにうまく機能している。汚れ役を切り捨てるなら相応の対価がいる」 -
Posted by ブクログ
10年以上ヤクザを取材し続けてきた著者が語る。ヤクザの実態と未来について。
取材対象とお近づきになるために、
歌舞伎町のヤクザマンションに住むまでして、
取材をつづけた著者が書いた本だけあって、
情報の生々しさはさすがだった。
流行りのコメンテーターがさらっと書き上げたような新書とは情報の密度が全く違う。
過去、現在のエピソードを通じて、
普通の人には実態がよく分からない
ヤクザ・暴力団について、
活動の輪郭、組織の性質が、
おぼろげながら見えてきて、
非常に面白い。
昔は羽振りのよかったヤクザも、
暴力団排除の条例で
今は日本での活動はかなり厳しいようだ。
(著者はヤクザは今や斜陽産業だと言っている)
ただし、最近のヤクザは海外展開にも力を入れてるようで、今後も根絶はされないだろう。
犯罪組織と一口に括られるヤクザだが、
社会、地域社会の中で一定の
役割を担っている事も事実のようで、
必要悪とまでは言わないが、
彼らの存在をどのように捉え、
コントロールしていくかというのは、
社会にとって難しい問題だと思った。
まぁ一個人で言えば、
一生関わり合いを持たずに生きていければ、
それで良いと言うことにはなるのだが、、、 -
Posted by ブクログ
筆者は週刊実話などでヤクザ記事を執筆しているヤクザ専門ジャーナリストである。本書は、この特殊な分野を専門としている筆者の仕事の裏側を記したもので、ヤクザとのつきあいとか、ヤクザに対する筆者の考えとか、を読みやすく書いている。
マスコミ報道では分からない裏の世界の一部が見えてきておもしろい。怖いもの見たさの興味だが、筆者はごくふつうの一般人の視線を持っており、眉をひそめるような記述はない。
法律のよる引き締めでヤクザも減少方向で筆者の仕事も減っているそうだ。博打や任侠など日本文化のあだ花であるかもしれないヤクザは、昭和の映画でしか見られない時代も近いようだ。 -
Posted by ブクログ
ヤクザジャーナリストによる暴力団の裏表を書いたノンフィクション。
面白かった~。
この著者は、本当にヤクザが好きなんだな~。
読んでて、私までが洗脳されてしまったのか「ヤクザって只者じゃね~。かっこい~」と思ってしまった。
怖いけど、義理人情礼儀はかたく、幹部になるとそりゃも~すごい。
何年か前に、暴力団絡みが理由で突然引退した芸能人がいたけど、実は暴力団なくして政治や芸能、地元の商いは成り立たない。のかと考えさせられる。
どうやって、上手く共存していくかで、その後の安泰に響くんだよね~。
暴力団たちは「自分たちは『暴力団』ではなく『任侠団体』だ」と言ってたけど、読んでて「そうだよな~」と思ってしまった。
そんなヤクザも今はいろいろ厳しい情勢になってきてるみたいで、読んでて「がんばれ」って応援したくなる。
そんな気にさせた本でした。
やっぱり、洗脳されたかな。。。? -
Posted by ブクログ
ネタバレ■原発は大型の公共事業であり、その仕事配分や、利権の分捕り合いにヤクザがからむという話が印象的。
■FUKUSHIMA50
著者を案内した佐藤(仮名)はFUKUSHIMA50の一人で3号機の水素爆発後志願してF1(福島第一)入りしている。佐藤のインタビューを見る限り、使命感やヒロイズム、現実感の無さなども感じる。彼の会社のボスは死んでも良い人間を用意してくれと言われ派遣をためらっていたが、佐藤の携帯に東電関係者から直接現場作業の要請があり、
「うちらが行きますよ。誰も行かないのはまずいでしょ」と受けた。ここで逃げ出さずに受ければ東電は恩義を感じるはずだと言う計算もあったと言う -
Posted by ブクログ
ヤクザの話というより、ヤクザ・ジャーナリスト入門的な本。ヤクザ専門のジャーナリストがいるというのもちょっと驚きだったけども、実話系雑誌が実はヤクザ業界紙だとは知らなかったよ。ヤクザの懐に飛び込みながら、ジャーナリストとしての距離感を保つ難しさ。メンツを何より尊ぶ文化の連中を相手することの厄介さ。それでもヤクザへの取材に拘る著者の執念には恐れ入る。ヤクザをことさら肯定するわけでもないが、そのアンダーグランド化に危惧を頂く著者の主張は説得力があり、願わくは、一般の新聞・雑誌でも著者の論説が読めるようになって欲しいなぁ、と思う。なんで、週刊誌しかヤクザについて報道しないんだよ。