鈴木智彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
10年以上ヤクザを取材し続けてきた著者が語る。ヤクザの実態と未来について。
取材対象とお近づきになるために、
歌舞伎町のヤクザマンションに住むまでして、
取材をつづけた著者が書いた本だけあって、
情報の生々しさはさすがだった。
流行りのコメンテーターがさらっと書き上げたような新書とは情報の密度が全く違う。
過去、現在のエピソードを通じて、
普通の人には実態がよく分からない
ヤクザ・暴力団について、
活動の輪郭、組織の性質が、
おぼろげながら見えてきて、
非常に面白い。
昔は羽振りのよかったヤクザも、
暴力団排除の条例で
今は日本での活動はかなり厳しいようだ。
(著者はヤクザは今や斜陽 -
Posted by ブクログ
筆者は週刊実話などでヤクザ記事を執筆しているヤクザ専門ジャーナリストである。本書は、この特殊な分野を専門としている筆者の仕事の裏側を記したもので、ヤクザとのつきあいとか、ヤクザに対する筆者の考えとか、を読みやすく書いている。
マスコミ報道では分からない裏の世界の一部が見えてきておもしろい。怖いもの見たさの興味だが、筆者はごくふつうの一般人の視線を持っており、眉をひそめるような記述はない。
法律のよる引き締めでヤクザも減少方向で筆者の仕事も減っているそうだ。博打や任侠など日本文化のあだ花であるかもしれないヤクザは、昭和の映画でしか見られない時代も近いようだ。 -
Posted by ブクログ
ヤクザジャーナリストによる暴力団の裏表を書いたノンフィクション。
面白かった~。
この著者は、本当にヤクザが好きなんだな~。
読んでて、私までが洗脳されてしまったのか「ヤクザって只者じゃね~。かっこい~」と思ってしまった。
怖いけど、義理人情礼儀はかたく、幹部になるとそりゃも~すごい。
何年か前に、暴力団絡みが理由で突然引退した芸能人がいたけど、実は暴力団なくして政治や芸能、地元の商いは成り立たない。のかと考えさせられる。
どうやって、上手く共存していくかで、その後の安泰に響くんだよね~。
暴力団たちは「自分たちは『暴力団』ではなく『任侠団体』だ」と言ってたけど、読んでて「そうだよな~」 -
Posted by ブクログ
ネタバレ■原発は大型の公共事業であり、その仕事配分や、利権の分捕り合いにヤクザがからむという話が印象的。
■FUKUSHIMA50
著者を案内した佐藤(仮名)はFUKUSHIMA50の一人で3号機の水素爆発後志願してF1(福島第一)入りしている。佐藤のインタビューを見る限り、使命感やヒロイズム、現実感の無さなども感じる。彼の会社のボスは死んでも良い人間を用意してくれと言われ派遣をためらっていたが、佐藤の携帯に東電関係者から直接現場作業の要請があり、
「うちらが行きますよ。誰も行かないのはまずいでしょ」と受けた。ここで逃げ出さずに受ければ東電は恩義を感じるはずだと言う計算もあったと言う -
Posted by ブクログ
ヤクザの話というより、ヤクザ・ジャーナリスト入門的な本。ヤクザ専門のジャーナリストがいるというのもちょっと驚きだったけども、実話系雑誌が実はヤクザ業界紙だとは知らなかったよ。ヤクザの懐に飛び込みながら、ジャーナリストとしての距離感を保つ難しさ。メンツを何より尊ぶ文化の連中を相手することの厄介さ。それでもヤクザへの取材に拘る著者の執念には恐れ入る。ヤクザをことさら肯定するわけでもないが、そのアンダーグランド化に危惧を頂く著者の主張は説得力があり、願わくは、一般の新聞・雑誌でも著者の論説が読めるようになって欲しいなぁ、と思う。なんで、週刊誌しかヤクザについて報道しないんだよ。
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Posted by ブクログ
幼少期からヤクザに関しては「悪」「世の中の厄介者」としてしか受け取っていなかった。
20代以降、チラホラと、そんなヤクザにも必要悪的なポジションがあったと目に、耳にすることはあったが、そうした意見も発言は憚れるような風潮があるためか、どこかフィクションのように感じていた。
入念な取材をもとにしているというマンガ『闇金ウシジマくん』を読んで大分意識が変わってきたが、本書で私の対ヤクザ意識としてはある程度の結実を得た気がする。
暴力性が取り柄という特性を持つ連中、一人減の、生き延びていく上での一つのスタイルがヤクザであって、その捉え方の変化の方がむしろ劇的で、現在のヤクザ観を形作っているのだ