鈴木智彦のレビュー一覧
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知らなかった事実があり、それはやはり東電が隠蔽しているもののひとつであった。
こういった地元に根付く事業だからこそ絡んでくる伝統的な村の体質。まさに昔よく言われていた村八分のようなしがらみ。
今もう原発はできてしまっていて、誰が悪いかとかいう話ではない。
ただわかりきっているのは、もう原発は終わりにしようということ。
例えば、原発を再稼働しないと決めた自治体には政府もしくは県がなんらかの優遇をする。そうをしてでも止めるべきだと想う。
マスコミは「線量」の話しかしてないけど、実際にそれよりも問題なのは「汚染」。この言葉が深く心に刻まれる。
日が経つにつれ、どんどんこの汚染のレベルも緩和され -
Posted by ブクログ
ネタバレ福島第一原発の事故後作業員としてマスコミ関係者として潜入に成功。被曝しながらの命がけのルポである。
最も衝撃的だったのは最後の最後第二原発の汚染の程度を書いた部分である。第2原発はぎりぎりセーフだったと聞いているが、本当にぎりぎりだったことがわかる。
本書のタイトルはヤクザとついており、著者も長年ヤクザ関係のルポをしてきただけあり、今回もヤクザルートでの潜入となったのだが、実は本書はヤクザヤクザしていない。むしろ原発原発である。
原発というものがいかに嫌われ者でかついかにお金を生み、そして他の巨額の公共工事と同じ性格をおびているかがわかる。
税金がドンッと投入されるところに政治家もヤクザも地 -
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筆者は「殺し屋1」も舞台のモデルとなった歌舞伎町のヤクザマンションに事務所を構え、加納貢氏を居候させ、関西の手本引きの賭場に潜入、果ては九州の抗争事件を追いかける…。体を張って書かれた貴重な記録です。
筆者はフリーライターとして独立する前に業界誌として名高い「実話時代」にて修行を重ね、姉妹誌(もしくは兄弟誌?)にあたる「実話時代BULL」の編集長をやっていらしたという「筋金入り」の方で、フリーとなってからは自ら彼らの懐に飛び込むために「殺し屋1」という漫画の舞台になった通称「ヤクザマンション」のモデルになったといわれるマンションに仕事部屋を借り、日常的に彼らの生態や行動原理、そして暴力の現 -
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誰も住んでいない実家に何年も調律もされないまま置かれているピアノを思い出した。
今もピアノを日常的に弾いている友人が複数いる。その人たちは大学で専門的に勉強した人たちだから、そもそも自分と比較はできないが、自分はどこでピアノと離れてしまったのか。
この本を読んで、再びピアノを弾きたくなった。でも著者ほどの情熱はないから、思ってるだけになるだろう。
自分とピアノの関係を考えたことがなかったので、なんか寂しい気持ちになった。
歳をとって、ずっとやりたかったことを始めるということはとても素晴らしい。一歩踏み出す勇気というかきっかけがある人は幸せだと思う。勇気はもちろんその人自身から出たものだし、継続 -
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著者の名前は知っていたが、本は初めて読んだ。
徹底的に取材をしようとすると次々にすることが出てきて、なかなか本を書き上げることができないという話が初めの方にあって、この本に関してはピアニストとか調律師とか、音楽教室とか、ピアノメーカーとかに取材をしないでください!と編集者に釘を刺されているので、短めに収まってはいるが、それでも参考文献は30冊(全てピアノ、音楽関係の本)。これが取材OKだった日にはもっと読んだに違いない。このような本を書いても一冊も読まずに書くライターもたくさんいるわけで、著者の書く上での姿勢を感じて、「この人は信用できる」と思った。
音楽のことなのに比喩がヤクザになっているの -
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「ヤクザときどきピアノ」(鈴木智彦)
届いてからずっと読みたかったけど、他にも読まねば本等があり、手がつけられてなかった。
やっと読めた。
ヤクザの世界のルポルタージュを専門に書いていた作者が、ピアノへの想いを断ち切れずに50歳を超えてから「ダンシング・クイーン」を弾くためにピアノを習い始め、弾けるまでに至る過程を描いたエッセイ。
「ピアニストの多くは師弟関係を築くので、〜〜。ドイツでもっとも大きな系譜の、ヤクザでいえば初代組長にあたるのが、〜〜ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンである。」
ユニークな表現に笑ってしまった。
ピアノへの愛、弾くことを習い始めてからの数々の感動体験、楽し -
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税金で買った本という漫画の中で登場していた本で、興味深かったので読み始めました。
ピアノの先生とヤクザ潜入で培われた独特な言葉の言い回しが非常に格好が良く感じました。
「練習すれば、弾けない曲などありません」
「我々が世界に一つだけの花であるなら、才能も状況も全員が違う。その点を、無視する自己啓発本は本来ただの気休めにすぎない」
また、レイコ先生に注意された「通しで練習するのはちょっとにしてね」の理由にハッとする感覚があった。
何度も同じ場所で間違うと脳が間違いを記憶してしまうことと、通してばかり弾いていると楽譜の最初だけかず多く繰り返すことになり、前半と後半で練度に差が出て後半がメタメ -
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ネタバレ強面な中年ヤクザライターが映画のピアノ演奏に感動してピアノを学ぶノンフィクション。
すでに字面だけで面白い。
また、中年ヤクザライター鈴木氏と対で描かれるピアノ講師もまたキャラが強い。
若くて美人なお嬢様なレイコ先生だが、鈴木氏の
「『ダンシング・クイーンが弾けるようになるか?」
という質問に対して、
「練習すれば、弾けない曲などありません」「ピアノ講師に二言はないわ」
とスパッと返す。
レイコ先生でなければ鈴木氏という熱量のこもった生徒を受け止めきれなかったのかもしれない。
文章もいちいち面白い。
ピアノの話なのに、表現のベースが極道なのがギャップが大きすぎる。
ピアノ演奏で受けた感動を -
Posted by ブクログ
「ドを押す。音が鳴る。」
ピアノ経験がほとんどない50代著者が、数ヶ月先の発表会を目指して『ダンシングクイーン』に取り組む。
ヤクザ取材ばかりしてきた作者が、発表会までの様子を軽妙に描いてますが、この作品は発表会の演奏をYouTubeで観ることで完結する気がします。
ピアノをやったことがある方なら、色んなワードが刺さる…
「練習すれば上手くなる。練習しなければ一切上達しない。やればできる。やらねばできない。そして、練習しない言い訳にはなんの意味もない」
「他人の技量に恐喝される必要はまったくない。他人がどれだけ上手に弾いても、引け目を感じる必要はない。」
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音楽の棚にありました。このタイトル見た瞬間に手に取るでしょ。
ヤクザな方ではなく、ヤクザを取材する側の方。
ヤクザ専門誌の編集長の経験もある、フリーライター。
子どものころからあこがれ、でもずっと諦めていたピアノを弾くということを、
50になってから叶える。
大きな本を書き上げたライターズハイの時に出くわしたABBAの『ダンシングクイーン』。
それを弾くために、ピアノ教室を探し、自分に合う先生に出会い、練習を重ね、発表会に出る。
陳腐な表現ですが、何かを始めるのに年齢は関係ないんですよね。
好きの原動力に、年齢を重ねたからこその経験値。
思うように体で出来なくても、頭では、できる可能性を広げる