あらすじ
暴力団専門ライターの著者が、ジャーナリストでは震災後初めて作業員として福島第一原発に潜入。高濃度汚染区域でいきなり4ミリシーベルト食らったり、熱中症で昏倒したり、汚染水で作ったセシウムスイカを食べたり……。著者ならではのヤクザと原発の密接すぎる関係も全部暴露。フクシマ50の中に3人の暴力団幹部がいることや、作業員派遣で暴利をむさぼる親分など、ヤクザにとって「最大のシノギ」としての側面もたっぷりと伝えます。
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Posted by ブクログ
福島原発の裏側。マスコミの情報からは伝わってこない現実の重さ。タイトルの通り、ヤクザと原発は密接な関係がある。ヤクザ=暴力団は大きな間違い。また、反社会勢力でもない気がする。ヤクザは必ずしも悪いものではないということと、福島第一の実態をとことん知れる名ノンフィクション。著者はぶっ飛んでる。
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知らなかった事実があり、それはやはり東電が隠蔽しているもののひとつであった。
こういった地元に根付く事業だからこそ絡んでくる伝統的な村の体質。まさに昔よく言われていた村八分のようなしがらみ。
今もう原発はできてしまっていて、誰が悪いかとかいう話ではない。
ただわかりきっているのは、もう原発は終わりにしようということ。
例えば、原発を再稼働しないと決めた自治体には政府もしくは県がなんらかの優遇をする。そうをしてでも止めるべきだと想う。
マスコミは「線量」の話しかしてないけど、実際にそれよりも問題なのは「汚染」。この言葉が深く心に刻まれる。
日が経つにつれ、どんどんこの汚染のレベルも緩和され、きっと将来的に汚染された車などが全国各地に広がって、それがまた将来的に被ばくを広げる。
ありえないくらいの汚染をされているのに20キロ圏外を走る車。それはもう汚染を散布しているのと同じであろう。
原発をみなの力で無くそう。地震や台風など自然災害が多い日本にはもはやあってはならない。
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福島第一原発の事故後作業員としてマスコミ関係者として潜入に成功。被曝しながらの命がけのルポである。
最も衝撃的だったのは最後の最後第二原発の汚染の程度を書いた部分である。第2原発はぎりぎりセーフだったと聞いているが、本当にぎりぎりだったことがわかる。
本書のタイトルはヤクザとついており、著者も長年ヤクザ関係のルポをしてきただけあり、今回もヤクザルートでの潜入となったのだが、実は本書はヤクザヤクザしていない。むしろ原発原発である。
原発というものがいかに嫌われ者でかついかにお金を生み、そして他の巨額の公共工事と同じ性格をおびているかがわかる。
税金がドンッと投入されるところに政治家もヤクザも地元財界も参集するそれだけのことである。
そして原発は経済的弱者をつくり、経済的弱者により支えられ、メーカーもお国のためにやっているという矜持だけが支えとなり、誰のためにもならない原発がつくられていたのであった。
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3.11の震災後、様々な地震・原発関連の本を読んできたが、この本はまた異色。筆者渾身の潜入ルポは、ありのままの福島第一原発の姿を映し出している。語り口はやわらかいが、内容はかなり深刻。こうした状況で本当に福島第一原発は大丈夫なのかと真剣に不安をかきたてられた。
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普通の人では発想しない切り口でとても興味深い。しかも、実際に著者自身が原発の作業員として潜入して、作業現場をリアルに著している。
原発に限らず、また、今も昔も、人がやりたがらないものがシノギとしてのうまみがあるということだろう。
「これは原発だけの話じゃない。…火力でも水力でも原子力でも、やり方としちゃ変わらない。民間の工場が建設される場合でもそうだ。規模のでかいみかじめ料ってヤツだ。」
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○ルポライターの鈴木智彦氏の著作。
○暴力団関係のルポを得意とする著者による、福島第一原子力発電所事故処理に関わる暴力団組織の役割について、自ら潜入調査をすることでルポにまとめたもの。
○徹底した取材で、原発に関わる人々の裏も表詳細に描いている。
○時系列で記載されているため、潜入前の下りなど、やや冗長な部分も多いが、原発を取り巻く状況について知るには大変面白い。
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■原発は大型の公共事業であり、その仕事配分や、利権の分捕り合いにヤクザがからむという話が印象的。
■FUKUSHIMA50
著者を案内した佐藤(仮名)はFUKUSHIMA50の一人で3号機の水素爆発後志願してF1(福島第一)入りしている。佐藤のインタビューを見る限り、使命感やヒロイズム、現実感の無さなども感じる。彼の会社のボスは死んでも良い人間を用意してくれと言われ派遣をためらっていたが、佐藤の携帯に東電関係者から直接現場作業の要請があり、
「うちらが行きますよ。誰も行かないのはまずいでしょ」と受けた。ここで逃げ出さずに受ければ東電は恩義を感じるはずだと言う計算もあったと言う
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暴力団専門ジャーナリストの著者が、原発作業員として事故後の福島第一復旧作業に潜入したルポ。
あくまでも作業員目線でのルポだけに、それは違うだろうとツッコみたくなる箇所もチラホラ。現場にいるからこそわかることもあれば、現場にいるからこそわからないこともあるのだろう。
なんにしてもフクイチ内部の状況を伝えた数少ないルポとして貴重。
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自己造血幹細胞の保存を呼びかけた谷口プロジェクトの被験者になったこと、放射線医学総合研究所の呼びかけが気になったこと、実際の1Fでの作業のこと、米仏の装置の実態。
高汚染地域(1Fとその周辺)から人や物の動きとともに拡散する放射性元素、地域で働き暮らす人たちの今後のこと。気になることはたくさんある。著者が身をもって体験したことは外の誰にもできないことで、その体験は意味あるものだと思う。
Posted by ブクログ
潜入記というだけあって、筆者が体験したことと筆者が直接話を聞いたことしか書いていない。その視点の限定のされ方が新鮮。いったん当事者となった人の書くものならでは。
筆者の興味は事故後だけではなく、事故前は福島第一原発や原発そのものがどういう位置づけだったのかについても及んでいて、少しだけ裏側が覗けた気がした。
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どこかの書評を見て読んでみた。ヤクザ取材の専門家が、原発とヤクザの繋がりを確認するためにも、原発で働く体験記。メディアで言われていることとの相違も多く、おもしろい。現場は、思っていた以上に過酷な環境で、思っていた以上にいい加減。原発での体験もおもしろいが、ヤクザを取材対象としてつき合っている作者の言動、行動もおもしろい。
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普通の経済・法律の枠組みに収まらない反社会勢力は一体どういったロジックで上手く回っているのかといったことがずっと気になっている。単なる怖いもの見たさもあるが、自分がそういったことをしないにせよ、悪意を持ちルールを破る覚悟をしている場合にどういった手段が存在するのかということを知っておくことは、自衛のためにもなるのではないかと考えている。「サカナとヤクザ」という本を知り、読みたいと思ったが電子書籍が出ていなかったので、同じ著者のこの本をまずは読んでみた。
最初は反社会勢力と原発の関係は一体どんなものなのかと想像もつかなかったが、本書で取り上げられている接点は、そこまで特別なものではないように思った。まず、原発に限らず巨額の公共工事は反社会勢力が儲ける絶好のチャンスである。地元の意見をまとめ、街を代表し電力会社やゼネコンと交渉する。また、工事のための人員を出す。福島の事故の後は、事故現場に入るような人間を派遣するようなことろでも反社会勢力が出てきているようだ。原発にはタブーが多く、そのような性質は反社会勢力と相性が良い。
正直、タイトルから想像した内容からすると、個人的には期待はずれだった。原発作業員として事故後の福島第一復旧作業に潜入したレポートは貴重であり、ずさんな被爆量管理など、なかなか面白かった。一方で、反社会勢力との関係の話はそこまで多くない。本人も終盤で、もっと良い潜入取材が出来たのではないかとやや反省している部分がある。
Posted by ブクログ
実際に原発作業員として潜入し、あくまで作業を第一に考えつつも
同時に取材をしていく。
当然に被ばくすることになるため命がけの取材であり、その点に感服せざるを得ない。
考えさせられることは、原発に関係する人々はそれぞれの事情(正義)を持っている、ということである。それが東電だろうが下請けだろうがヤクザだろうが。
原発廃止~やら原発推進~を議論するには表面だけ考えるだけでなく、現実問題に対してどう落とし所を見つけなければいけない。
Posted by ブクログ
結局はあらゆる利権にヤクザが群がってるんだなという印象。
原発作業員にヤクザがいるという噂のウラを取りに行ったけど、あらゆる縛りで、わかったことを全部書くことが出来ないというジレンマが感じられる文章。
Posted by ブクログ
原発の作業現場にヤクザが介入しているという噂は知っていたがルポ形式で読むと改めて衝撃。こういう社会の裏側は政府もマスコミも見ないふりをしているだろうなあ。納得の星3つ
Posted by ブクログ
全体像が掴めないもどかしさはあるが、ライターなので文章は読みやすい。
ヤクザ、村社会、土建業者、メーカーのどんよりとした繋がり、
漠然と思っていたこと、そのまんま「ああ、そうなんだな」と知る。
事実は違う、わけでもなく、もっと大きな真実があるわけでもなく、ただ、思った通りであるという虚脱感。
Posted by ブクログ
おもしろいし
価値ある本だと思う
でも残念ながら
僕に原発の知識がなさすぎた
やくざの知識もないけど
それ以上に原発のこと
原発の報道がどうなされたか
そんなことがわからない
やくざがいまどんなことしているかというおもしろさ
原発がどうなっているかというおもしろさ
それは十分楽しめる
やくざと原発の関連も衝撃だ
労働者の生態を描いたものとしても
おもしろいかもしれない
書けない部分もあったのだろう
なんとなく明快ではないのだ
Posted by ブクログ
いや原発が此処までヤクザ屋さんの食い物になっていたとは知らなんだ。文春で読んだ内容を膨らませた感じかな。裏側を垣間見れてなかなか興味深かった。
Posted by ブクログ
「原発と暴力団は共同体の暗部で共生している」。本書は福島第一原発への潜入取材の記録。被曝労働者の手配から土地の買収に至るまで「原発はどでかいシノギ」というヤクザのホンネと共依存構造を明らかにするドキュメンタリー。戦慄する暗部のレポート。
Posted by ブクログ
暴力団専門のライターが,事故後の福島第一原発に作業員として入り込んで書いた潜入ルポ。原発労働者の陰には暴力団が見え隠れするそうだが,福一での聞き取りでそのあたりも追及。タイトル通り。
福一への就職が決まってから,原発・放射能関連本を読み漁ったそうだが,それにしては知識があまり身についていない風だった。一応現場に入る前に研修があってテストも通らないといけないようだけど,他の作業員はもっとそんな感じ。なので,収録されてるそれ関係の証言は真に受けない方が良さそう。
実際に福一に身を置いて書かれただけあって,現場の雰囲気や,作業員たちの周辺の人々の感覚が何となく伝わってくる。規定の場所でしか喫煙できないというようなルールはなし崩しに守られなくなるとか。こういう管理って難しいのだろうけど,危機は続いているわけだし,なんか不安だな…。
Posted by ブクログ
著者はヤクザ専門ライター歴20年の鈴木知彦。暴力団幹部らに協力してもらいながら福島第一原発(1F)作業員として内部に潜り込んだ、現場からの迫真ルポ。
古くからヤクザを取材対象として付き合ってきたからこそのアプローチは、裏社会を垣間見るかのようで面白い。
メディアにはなかなか出てこないであろうコメント、あるいは、報道との相違も多く、話半分に読んだとしても十分にインパクトがある。
原発を取り巻く組織・人間模様は、想像以上にドロドロとしている。そして、管理体制はあまりにも杜撰。
Posted by ブクログ
原発を巡るビルトインされた構造の中に、組み込まれているヤクザの役割。原発が田舎に建てられるのは、事故の際に被害を限定的に留めるためでなく、地縁・血縁でがっちり結ばれ、故に情報を隠蔽するのが容易で、村八分が有効な田舎でなければならなかった、という部分が重く感じられた。
Posted by ブクログ
福島第一原発での復旧作業の潜入レポ。
原発反対や東電批判を世論に合わせて奇麗事だけを言うだけでは済まされず、誰かが汚染された原発で復興作業を行わなければならず、復興で発生する利権に群がる人達の報道されない事実が書かれてる。
復興バブルで町の住人達が助かっているということも感慨深い。
原発は国の一大プロジェクトで、設置、運営、復興するのにも莫大な利権が発生する代物で、自分さえよければそれで良いという考えの人間がいる限り、これはなかなか停止できない訳だなと思えた。
Posted by ブクログ
文章の質はさておき、単なるヤクザものルポでも原発ものルポでもなく、このライターでなければ書けない内容だったのが興味深い。国策としての原発の重要な一面を知れる。そしてFukushima50の人々だけでなく、今現在も命懸けで対応している人々の活動も知れる。ここにも当然ながらダブルスタンダードがあるのだと改めて気付く。