見城徹のレビュー一覧
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編集者、知り合いにも何人か、おりますが。
だいたいは単なる「ロマンチスト」だけで終わってしまう気がする。本書は「ロマンチスト」と。売上が全てという「現実主義」が同居している、そしてその二者間の振れ幅がものすごい編集者によるテキストの集成、というのがこの本で、す。
まったくその現場の熱にも当てられない読者からすると「暑苦しい」とも「病的」ともとられそうな様子ではあるけれども、一方で現場の端くれにいるものとして、このくらい仕事に対して熱量のある人がシーンの先駆者である、というのもまた事実です。
熱量の差、という点において読者であるあたしなんぞとは次元の違う感があるなぁ。 -
Posted by ブクログ
幻冬舎社長の見城徹氏のコミュニケーションアプリ755に書かれた言葉をもとに氏が熱く書いた思いを集めた一冊。
氏についてはサイバーエージェント社長藤田晋氏との共著で読んだことがあるのですが、本書でもぶれずに熱い生き様は健在でヒリヒリする刺激を受けながらページをめくりました。
角川書店時代や幻冬舎での色々な作家の方々とのエピソードや755のアプリに関係する藤田氏や堀江氏の話など普段見ることの出来ない著者からみた人間像を知ることができました。
本書では本音でぶつかることの大切さや死と向き合い懸命に生きること、本気で一人一人と向き合い圧倒的努力をし、熱い生き様をぶつけることの重要性を学びました。
著者が多感な学生時代は学生運動が盛んだった時代背景もあるとは思いますが、斜陽産業になりつつある出版業界でこれほどまでの圧倒的な結果を出すには、氏のように熱く生きること、そして、それこそが今の日本に欠けているものではないかと本書で感じることが出来ました。 -
Posted by ブクログ
何かを極めた人の言葉は、示唆に富む。氏がよく言葉にするのは、過剰、圧倒的、繊細さ、独占欲、愛、悲惨、暗闇…全体的に暗い。病という語は、このような言葉を集約したものだろう。では、なぜ成功するためには病が必要なのだろうか。
氏の人間関係は深く、濃い。あなたのためならと言わせるほどに相手を縛り、同時に相手から縛られる。編集者としてビジネスを成功させるためには、この関係が必要だった。しかし、そんなことはどの編集者も知っていることだ。氏でないとこの関係を構築できない理由こそが重要だ。
氏の孤独の深さに端を発しているのではないかと思う。他人とは分かり合えないという絶望感がある。だからこそ、理解されることを求めてしまう。頂上の凍えた豹になれ、勝者には何もやるな、悲惨の港を目指せ、という孤独を讃える言葉と同時に、他人への執拗なまでの執着は矛盾しているようで、表裏一体の関係にあるのだ。その根の深さが、氏の病であり、強さなのだと思う。 -
Posted by ブクログ
「聞きなれない名前だけど最近よく目にするなぁ」というのが幻冬舎という出版社に対する第一印象。あまりそれ以上に意識したことはなかったのですが、「編集者という病い」見城徹(太田出版)を読んで見城さんという1人の男の生き様=幻冬舎だということがわかりました。
正規の面接では入れなかった大手出版社にアルバイトとして入り込み、そこから実績を積み上げていって正社員に、そしてベストセラーを飛ばしながら常に最年少で昇格して42歳で角川書店の役員に。その後、角川春樹社長のコカイン事件を機に退社し、幻冬舎を設立。「新参の出版社が書店への流通システムに乗ることさえ難しい」という出版業界にたった6人で挑み、「話を聞いた百人が百人、失敗するから止めろ」といわれた中で、いきなり五木寛之、村上龍、吉本ばなな、山田詠美、北方謙三、篠山紀信の書き下ろしの同時刊行を皮切りに業界の慣行を次々に打ち破りながらベストセラーを大量に連発、10年で株式上場を果たす。
こうとだけ書くと凄腕のサラリーマンの成功談にしか聞こえませんが、そうではないところがこの本の面白さであり壮絶さです。一般のビジネスでは良い商品を作って売れば良いのですが、編集者という仕事は作家と一般の読者の間に立って「人さまの精神を商品化するという非常にいかがわしい」商売であり、商品を供給する側の作家は単なるビジネス勘定だけでは本は書いてくれません。ましてや、参入障壁の高い出版業界でカドカワの看板を捨てて始めた名も無い出版社に対してはなおさら。では、見城さんはどうやって数多くのベストセラーを角川書店時代に生み出し、そして幻冬舎を短期間で一大ブランドに育て上げて株式上場にまで至らしめたのか?
僕は作家でも、ミュージシャンでも、無名の人でも、まずその人たちと同列に切り結ぶ。その人たちが無意識に隠し持っているもの、葛藤しているものを引き出し言語化させる。心に傷があればそこをえぐって、僕の場合は、塩を塗り込んででも書いてもらう。そこまでやって、書き手自身も気づかぬようなかたちで生きていたものが、初めておのれをあらわにしてくる。僕にとって、問題は肉薄度。精神や存在の深いところに肉薄しない限り、表現は生まれない。(中略)作家は書くことによって、治癒されるか、救済されるか、開放されるか、なんです。そうしたものが出てない本は読み手の心を打たない。(中略)編集者が葛藤をむき出しにしないで、書き手におまえさんだけ裸になれ、と言ったって土台無理な話で。これは人間関係の基本だと僕は思っている。僕は一人の作家を落とす時には、体重かけて徹底的にやる。徹底的にその人の全著作物を読む。一週間かけて10枚くらいの依頼の手紙を書く。「これを読んで落ちなかったらおかしい」と自分に言い聞かせてね。
(p.226 常識って僕より無謀です 『New Paradigm』 NTTデータ 99年夏号)
こうして時には自分自身が自殺にまで追い込まれるほど作家と向き合い、信頼関係を築いていった結果として、出来るべくして出来るべく時に1冊の本という形で世に出て行くのが彼にとっての出版。彼の場合はスティーブ・ジョブスが言うような「好きな仕事」を見つけられたというよりも、編集者という仕事でしか生きていけないという持病のような深さで仕事と向き合っています。ただ、それを単なる情熱だけで突き進むのではなく、一方でビジネスとして「売れる」本に仕立てるためのマーケティングや周到な準備ができるのも事実であり、この右脳と左脳のバランスというか、天性の持ち味が活かされて今の彼があるのだと思います。
そして、もう1つ、同書を読んで彼から受け取ったメッセージは変わり続けることの大切さ。
会社というのはつねに自分の隠れ家なんですよ。それが本拠地になってしまうとダメだと思う。一匹のヤドカリが、角川書店という大きな宿から出て、小さな幻冬舎といういつ崩れてもおかしくない宿に移っただけなんですよ。僕にとって、所属する組織はいつも隠れ家じゃなきゃダメなんです。その場所が自分のアイデンティティになってしまうと、自分の存在価値は全くなくなってしまう。人間は、会社が大きければ大きいほどそのレッテルに頼ってしまうものなんです。そうなってしまうと、もう終わりだと思う……
(p.186 安息の地からの脱出 『F&E特集』 <不良の隠れ家>)
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人間は、年を取ったり社会的な地位や評判が上がってくると、なかなか自分をゼロに戻すことができなくなる。現状維持がいちばんラクだからね。自分をゼロに戻すのは極めて難しい。僕自身、そうした危機感をずいぶん前から覚えるようになっていたんですよ。このままではいい仕事はできなくなる。(中略)その時、自分が腐っていることをいつも感じていた。吐き気すら催すほどに、「このままじゃ駄目だ。自分をゼロにして、また新しい一歩を踏み出さなければ」と、心の中で叫んでいた。
(p.244 見城徹の編集作法 『編集会議』 03年6月号)
僕自身、今を振り返ると大きな転換期に差し掛かっているように感じます。居心地の良い仕事に安住して適当にタスクをこなすようになっていないか?我を忘れて没頭できるような仕事をしているか?仕事を通じて新たな出会いや発見があるか?自分は今でも成長できているか?
僕に言わせれば、自分の責任において事態を引き受けないことや、そういう自分を主張することこそ、実は無謀であって、事態の根拠を問わずに腑に落ちたとしてしまうような、そんな無謀な常識に居住まいを正しちゃっていたら間に合わない。現実はそんな常識をとっくに凌駕しちゃっているんだから。(中略)僕は本質こそ常に新しい、と思っている。で、その本質というのは、自分の体重をかけたところからしか立ちあらわれてこない。本が売れないっていうだけの狭い話に限ったことじゃなくて、社会だってその姿勢と実践によってしか進まないし、新しく始まらないからね。僕はそう思って、やっている。
(p.228 常識って僕より無謀です 『New Paradigm』 NTTデータ 99年夏号)
自分の内面と時代の流れ行く方向性、物事の本質を見極めること。ここさえ押さえておけばそうそう外れない、結果は後から必ずついてくるはずというポイント。忙しい毎日に流されず、その先に視線を上げて自分のやるべき仕事に一歩ずつ近づいていきたいものです。 -
Posted by ブクログ
尾崎豊に気が狂いそうになるまで全身全霊を注ぎ
角川では書かなかった作家たちを次々と篭絡しては
社長逮捕に伴い人脈だけを頼りに幻冬舎を立ち上げた。
売れるコンテンツの必要条件は
1.オリジナリティがあること
2.明解であること
3.極端であること
4.癒着があること
先を見据えて付き合い相手の刺激となる言葉を吐く。
必要なのは劣等感と行動力、そして相手に入れ込むこと。
3枚のカードを切るために著者に100のことをしてあげる。
出版不況は書き手に体重をかけない出版社の体質のせい。
臆病で用意周到に徹しても迷ったときは前に出ろ。
生半可な覚悟じゃいい編集者になんかなれないと身に染みる本。
いろいろな所に掲載していた記事をまとめたものだから
話の内容もだいぶかぶりますが、でもそれだけ見城さんの核が
そこにあるのだということが伝わってきます。
装丁:タカハシデザイン室