Posted by ブクログ
2013年10月15日
本書は出版とIT。その最先端を突っ走る業界で親子ほど歳の離れた二人の経営者によるベストセラーの第2弾を文庫化したものです。『熱狂』することの重要さを深く考えさせられると共に示唆に富んだ話が満載でした。
いまや飛ぶ鳥を落とす勢いでベストセラーを連発する出版社、幻冬舎の見城徹社長と、IT企業、サイバー...続きを読むエージェントの藤田晋社長によるベストセラー『憂鬱でなければ、仕事じゃない』に続く第2弾を文庫化したものです。文庫化に当たってタイトルを変更したのだそうですが、それは正解であると思っております。
年齢こそは親子ほどに離れているものの、お互いに山あり谷ありのビジネスマン人生を歩んできているだけあって、その内容は前作同様、とても示唆に富んでいるかと思われます。僕は本書を読んで初めて知りましたが、藤田氏はかつて小説家を志していたことをここで告白しており、とてもびっくりしてしまいました。僕は藤田氏が大学時代にミュージシャンを目指していたり、麻雀にのめりこみ、一時期はプロの雀士として白川道の『病葉流れて』のような時期を送っていたというエピソードは聞いたことがあったのですが。しかし、そう考えてみると、『書く』ということがメインであるブログというメディアに藤田氏がそれこそ自分の進退を賭けて取り組んでいた理由もここで納得がいったような気がしました。
二人が書いているものを読み比べてみると、ビジネスマンというよりは、何かの競技におけるアスリートの書いたものを読んでいるようでありました。二人とも自分の手がけるビジネスというものを「考えて、考えて、考え抜いて」おり、その中でも見城氏がビジネス上で勝負をかけるときの会食は現在でも自らセッティングするという話や、出版とITという、実に目まぐるしく状況が変わる中での『朝令暮改』はむしろ当たり前という、仕える側にしてみれば少々しんどいと思うようなことでも、断行しているという姿勢は読んでいて『なるほど、そういうことだったのか』という当時の自分が抱えていた疑問が氷解したような思いでありました。
さらに、休日の過ごし方や、ギャンブルについてもビジネス上のヒントになるという話や、生と死という人間にとって根源的な問題にいたるまで、二人の『熱狂』した語り口に引き込まれて一気に最後まで読み終えてしまいました。本書に記されてきたことを見城、藤田両氏は徹底的に実行し続けてきたからこそ、現在があり、これからも走り続けていくのだろうと、そんな読後感を持たせてくれました。