G・フローベールのレビュー一覧

  • ボヴァリー夫人

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    装丁が水色で夫人の後ろ姿の後毛まで。
    フローベールの文章に忠実に訳してあるそう。


    ルルー氏のとりたてが執拗で、上乗せしてたんじゃないかなどど思った。378
    エンマは、いいようにおだてられてしまったけど、このルルーの悪党ぶりには天罰でも降らないかと思ってしまう。

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    2022年03月26日
  • 感情教育(上)

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    冒頭は、これでもかというぐらい当時の様子が描写されている。
    まさに、もう一つの主人公は19世紀(改造前の)パリ。

    主人公フレデリックが、超賢くもとんでもない阿呆でもなく、ごくごく普通な(時に失敗する)人間なのが良い。

    これから面白くなるー!というところで下巻に続く。

    今のところ回収見込みが無さそうなお金の貸し借りと、見込み薄の恋愛と決闘しかしてないよ、フレデリック!

    あと、光文社古典新訳文庫の表紙絵は、作品を読んで膨らんだイメージを描いているらしいんだけど、この青虫のような人間の絵は一体何を表してるんだろう。
    あ、、もしかして蝶(成熟した中年男性)になる前の、青くさいフレデリック自身を

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    2022年02月03日
  • ボヴァリー夫人

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    吉田健一の『文学人生案内』第一章「文学に現われた男性像」に小説には女性が華やかに、かつ悲惨に焦点を当てられ中心になって描かれているのが多い、男性には光が当てられてない、 という記事にはわたしは目をひらかれる思いだった。

    吉田氏はこの本の中で「フローベルの『ボヴァリー夫人』」という章で詳しく、文学論のような感想をも書いていてらっしゃるのだけど、第一章のように副主人公の男性ボヴァリー氏については掘り起こしていない。

    ただ、「フローベルは人生など何ものでもなく、充実か虚無かのふたつであると思っている思想のもとに描いた」と結論付けている。

    しかし先の「文学に現われた男性像」に吉田氏が触れられてい

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    2020年02月09日
  • ボヴァリー夫人

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    ネタバレ

     ボヴァリー医師の妻、美しいエマが、姦通を重ね、虚栄に溺れ、借財に追われ身を滅ぼす話。目の前の誘惑に負ける、強欲で愚かなエマ。遺された者のことを考えない、身勝手で卑怯なエマ。でも、およそ500ページにも及ぶ彼女の半生を辿ると、同情してしまう自分もいる。
     エマは根から倫理に反した人間ではなかった。ただの夢見がちな少女だった。親や周囲に決められた結婚だったが、夢を見るだけに止まっていた。参事官の演説中、ロドルフがエマを口説く場面では、その行間にエマ(天使)とエマ(悪魔)の会話が隠れているみたい。彼女の葛藤が見事に現れていた。そして、彼女の人生の転落へ扉が開かれる印象的なシーンだった。一度身を持ち

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    2017年06月15日
  • 感情教育(下)

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    フレデリックとともに二月革命のパリを体験する第3部だけど、後半一気に展開する。それに合わせて一気に読み進めてしまった。それにしてもフローベールの文章は読み落としを許さない文章で、読み落とした文章が重要だったりする。今でも読み落とした文章はあるだろうから、もう一度読まないとと思う。

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    2017年04月10日
  • 感情教育(上)

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    19世紀フランスの革命期の激動の中、主人公のフレデリックは立身出世、社交界で一目置かれる存在となることを夢みて行動。ウブなフレデリックと一緒に読者もまた当時のパリおよびその近郊での生活を体験する。会話や自然描写など、極めてフランス的な作品。

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    2017年03月26日
  • 感情教育(上)

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    さすがは光文社新訳文庫!
    訳注がとても親切な上、随所に画像が挿入されていて非常にわかりやすいです。さらに訳者まえがきでは、時代背景が解説されており、巻頭には地図、巻末には年表までつけられています。しかもしおりには、主な登場人物の簡単な紹介が。
    このようないたれりつくせり、非常に快適そうな書なのですが、その入り口はなんだかとっても敷居が高いです。

    「しばらくの間、辛抱強く読みすすめていただくことを願っています」だとか、「ともあれ、これから『感情教育』の大洋に乗りだす読者が、つつがなく航海を終えることを祈ってやみません」なんてなことが、いきなり、訳者まえがきに書かれているではないですか。
    どうも

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    2014年11月19日
  • ボヴァリー夫人

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    想像したよりもずっと楽しんで読めた。
    エマはゾラのナナのような根っからの奔放な女性では無かったように思う。では誰が犯人か?夫であるボヴァリー医師その人だろう。社会的に高い立場にいながら(この職を得ることが出来たのも母のお陰なのだが)、誰からも尊敬をえられず、その自らの立場にも気づかず、何とか起死回生を狙った手術のただ一回の失敗に自信を無くし、あげくに最後まで妻の不満や不貞にも気づかない愚鈍さ。エマは結婚という契約に縛られながら、自分を決して満たすことのない夫から離れ、女としての憧れや夢を外の愛人達に求める。結果、期待は裏切られ、最後には自滅へと至る。無知と田舎者特有の富や贅沢への憧れ故に悲劇的

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    2014年09月02日
  • ボヴァリー夫人

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    ネタバレ

    細部まで磨き上げられた作品。トルストイ『アンナ・カレーニナ』を意識させられた。悲しい話だが、文学の良さを再認識させてくれる。数多くの作家に影響を与えた作品。

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    2014年03月01日
  • ボヴァリー夫人

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    面白かったー!

    話の内容としては美人な妻が夫とのありきたりな生活に飽きてしまい、不倫を繰り返すと言う
    単純なお話なのですが、もう描写が凄い!

    細かくて丁寧で、それでいて飽きない。
    長く読まれている理由がわかります。

    ボヴァリー氏、滑稽ではあるけど、愛すべき人だと私は思うけどなぁー。

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    2013年07月28日
  • 紋切型辞典

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    『紋切型辞典』これがまた面白い。ついでにフラ語の勉強にもなる。

    岩波さんの書物案内によると
    --ここに編まれたおよそ1000の項目は,衣服,飲食物や動植物に関するもの,礼儀作法の規範,身体と病気についての俗説,芸術家,歴史的人物の逸話と彼らの評価など,多岐にわたる.フローベール(1821-80)はその記述に様々な手法を駆使して,当時流布していた偏見や言葉の惰性,硬直した紋切型の表現を揶揄し,諷刺してみせた--

    と、まぁ、このとおりなのであるが、『紋切型辞典』の着想をフローベールは早くから抱いていたらしい。
    ジュリアン・バーンズが『フロベールの鸚鵡』という本を20年ほど前に書いているが、この

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    2012年02月02日
  • ボヴァリー夫人

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    いいひとなんだけどすごくつまらない人っている。
    善良すぎて毒気がないというか。
    そういうひとと結婚したら退屈だろう。
    エマのように、刺激が欲しくなって、
    異常な量の贅沢な買い物に走ったり、
    舞踏会に繰り出したり、不倫愛に狂ったり。
    そういう気持ちもわからないではない。

    けれど人生のほとんどは舞踏会とか熱い恋愛で
    構成されているわけではなく、
    生活で構成されているわけであって。
    その生活を人々は愛し、あたたかな気持ちを持つ。
    そういう気持ちがわからないと
    ずっと現実逃避を続けることになるのかなと思った。

    でもエマは逃避しきって終わったから
    それはそれでいいかと思う

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    2010年12月16日
  • ボヴァリー夫人

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    エマの人生を一言で表すとすれば、現代の昼メロドラマ。出版当時は風紀上の問題を引き起こしたようだが、不倫も浮気も珍しくない今となっては、内容はそんなにすごいというわけではない。でも、全体的に綺麗なのと、本能の赴くままに突き進むのは少しばかりうらやましい。

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    2010年04月03日
  • ボヴァリー夫人

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    昼ドラ好きにオススメ。学校の講義で読まされた本ですが、当時流行ってた『真珠夫人』思い出しました。

    結局、一番おいしいのは薬剤師。

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    2009年10月04日
  • 感情教育(上)

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    下巻を読むまでに時間が経ってしまい、上巻の内容をすっかり忘れていて、再読。
    フレデリックが、異性関係でふらふらしているのが、女性読者からは嫌われそうです。
    19世紀のロマン主義的物語で、社交界やら、恋愛やら宴会やら、フランスっぽい大衆文化の描写が盛りだくさんで、終始キラキラしたイメージでした。
    下巻の方が面白いとのことですが、前半の内容を忘れないうちに、すぐ読みます。

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    2025年11月11日
  • 三つの物語

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    ネタバレ

    小説についての本で紹介された。3つが順々ではなく別々の小説であった。最後のヘロディアスについてはユダヤの物語よりキリストの物語であろう。解説が50ページあり、最初に小説を読んでからネタバレである解説を読むようにと書いてあったが、解説を先に読んでもどうということもないと思われる。

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    2025年09月01日
  • ボヴァリー夫人

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    ネタバレ

    レオンとの関係が冷め、しかし借金はかさみ、のっぴきならなくなり、薬剤師の鍵付き倉庫を開けさせて、無理やり砒素をあおる。
    自らが招いた、破滅。
    夫である医師シャルルは、後に、手紙を発見し、妻の不倫を知る。その後しばらくして亡くなる。

    前半は、退屈で、挫折しそうになった。後半から急に話が動き出し、次第に追い詰められていくエンマの様子に夢中でページをめくった。エンマが亡くなって即、物語が終わると予想していたんだが、その後の描写も予想外に長かった。そして、あっけなくシャルルが亡くなったのには、ビックリ。

    あとがきを読んでビックリしたのは、実際にあった話を元に小説が書かれた、ということ。こんなことが

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    2025年04月15日
  • 紋切型辞典

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    フローベールから見た世界・社会が辞典形式で書かれた本。
    当時の世相や偏見がシニカルに表現されていておもしろい。

    ・「ハーレム(harem)あらゆる中学生が夢みるもの」

    に笑ってしまった。確かに!大人だったら酒池肉林はいいなあと思っても、まず経済的なことを考えちゃうもんね。

    ・「ワクチン(vaccin)ワクチン接種していないひととは交際しないこと」

    昔から反ワクの人っていたんだなー。

    ・「マキアヴェリ(Machiavel)たとえ読んだことがなくても極悪人と見なすべし」

    もおもしろかった。

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    2025年01月28日
  • 感情教育(上)

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    きぃみらフランスブンガクなんてよま〜ないとおも〜いな〜がら〜♪
    あとすこ〜しぼくにぃちかづいてほしくて♪

    あいみょ〜ん

    はい、モーパッサンやゾラの師匠的存在でフランス文学の巨匠、写実主義の確立者ギュスターヴ・フローベールの代表作『感情教育』です

    とにかく延々と続く情景描写を読みやすく訳すって大変だったと思うな〜
    すごいな太田浩一さん

    そして本作はなんとその訳者太田浩一さんの「まえがき」から始まります
    こんな構成珍しい
    で、その「まえがき」を要約すると…

    とにかく上巻は我慢せい!ってことらしいw
    下巻はめちゃくちゃに面白いから我慢せい!ってことらしい

    いやいや簡単に言うけど上巻だ

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    2024年06月08日
  • ボヴァリー夫人

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      主人公エンマは自分が既に持っているもの、手を伸ばせば届くものには幸せを見出さず、だからこそ遠くにあるもの、かけ離れたもの、失ったもの、身分不相応のものを追い求める。その気質は奇しくも彼女の忌み嫌う市民的な平凡さそのものとして描かれているように感じた。おそらくフローベールもそのように意図して書いているのだろうと思われた。
     対して夫シャルルには特別の同情を禁じ得なかった。ただただ可哀想だった。
     また文体や自然描写は悪くはないけれど、一文一文が長くて難解なため、もう一回読まないと全然分からないと思う。フローベールは自由間接話法を初めて小説に取り入れたとされているそうだ。私は語り手と登場人物が

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    2024年03月19日