【感想・ネタバレ】ボヴァリー夫人のレビュー

あらすじ

娘時代に恋愛小説を読み耽った美しいエンマは、田舎医者シャルルとの退屈な新婚生活に倦んでいた。やがてエンマは夫の目を盗んで、色男のロドルフや青年書記レオンとの情事にのめりこみ莫大な借金を残して服毒自殺を遂げる。一地方のありふれた姦通事件を、芸術に昇華させたフランス近代小説の金字塔を、徹底した推敲を施した原文の息づかいそのままに日本語に再現した決定版新訳。

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Posted by ブクログ

読み応え十分でした。翻訳者の方の描写力が素晴らしい。引き込まれます。またまた、すごい小説に出逢ってしまった。

ボヴァリー夫人、彼女の名はエンマ。不倫街道まっしぐらに突き進む姿に、恐れおののき、「そのへんで、やめとけば!」と声をかけたくなるも、続きを知りたくなってしまう、悪魔的な面白さにハマります。相手の男性は2人。よくもまあ、人妻に手を出したなという感じ。この男性の描き方も悔しいぐらい上手いのです。

エンマの内面の葛藤を、何も気づかない夫の存在が何とも、もどかしく、一人娘が不憫です。
結婚というものに、同一歩調で歩んでいけない夫婦の末路はいかに.......

結婚、嫁姑の関係、男女の気持ちの温度差などなど、19世紀の小説を現代の今読んでも、全く古さを感じません。

ボヴァリー夫人(エンマ)、本の中だけでなく結婚前に、もっともっと実際に恋愛していればなあ....
現実を知ることって大事!しかし、小説の世界なので、とーっても面白かったです。

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2025年12月04日

Posted by ブクログ

ロマンスへの憧れから不倫・贅沢に溺れ、破滅へ。
でも「形式」や「認識」に意識を向けると、“ただ面白い”では済まない深さがあった。

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2025年04月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『ボヴァリー夫人』

「そろそろやばいかな」とかこの若妻は思いません。
元祖ゴーイングマイウェイな”ボヴァリー夫人”。

若い時の夢見がちな空想って、
いつしか現実と向き合う時間が増えるにつれ
にこやかに送り出せるものだと思うのですが、
(と言うかサヨナラせざるを得ない…?)

この妻、諦めない。
夢想で無双。

ナボコフは『ナボコフの文学講』の中で、
「俗物の中の俗物」みたいな勢いで彼女を評していましたが、今で言うと

スイーツ大好きインスタ映え命の韓流ドラマ大ファン女子って感じでしょうか。
(悪気はないです。例えね例え。)

もうね、ここまで貫かれると賞賛しちゃう。
あっぱれだよあっぱれ。
最後のほうなんてむしろちゃんとやりきってくれよって若干思ってた。

1857年の作品が、2023年に新訳で読めてるってもうやべーことだと思うのですが、
何でそこまで語り継がれているかって言うと、
当時のフランス文学をガッツリ変える革命を起こしているからなんですねぇ。

起こっている事を何もかも知っている俯瞰の第三者に語らせるという物語進行をせず(神の視点の排除)、
話者がかわるがわる交代することにより
それぞれの主観を際立たせ、感情移入を容易にしている。

つまり話者が、
誰かがこちらへ向かっているけどそれが誰かは分からないという状況なら、
我々読者も誰が来るのかわからない。

こういったミステリアスな仕掛けが、個々の文章や小説全体から受ける印象を形作っており、
まさにハラハラドキドキソワソワの追体験を読者に提供してくれています。

そして当然ストーリーとしても面白い。
これは当時のフランスで意欲作というか、
最早喧嘩腰作ですね。やるやんフロベール。

うまいなこの料理ってなって、
複雑な調理法や意外な材料を考えながら食べることもできるし、
「とりあえずうまい」とそのものの全体の味を楽しむこともできちゃう、と盛り沢山でありました。

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2023年05月11日

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最初は冗長に感じたが、読み進むうちに繊細な情景描写や感情表現にぐいぐいと引き込まれた。文学史上に残る傑作だと思う。翻訳も丁寧で読みやすい。

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2022年10月26日

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冷静で緻密な描写に終始圧巻される。
ストーリー自体は現代ではありふれた転落劇だが、これでもかと積み重ねられた情景描写が雄弁で士気迫ってくるものがある。
農業共進会でのロドルフとの逢引シーンが素晴らしい。
役者あとがきまでボリューム満点で満足度が高かった。
シャルルは何も悪いことはしていないし一貫してかわいそうではあるけど、エンマの嫌悪する気持ちもわかってしまう。

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2020年11月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どうしようもない女性の話。真っ当で愛情深い夫を退屈で凡庸だと軽蔑。夫は安定した稼ぎがあるのに、この人でなければ自分はもっと裕福な暮らしができたはず、と自惚れ。そんな女性の話でも一応の格調を保っている。文章の美しさもさることながら、女性の一途さ故に。ただ物語のような恋愛をひたすら求める様は、哀れだけども純粋である。
高評価にしたのは、主に話の筋から。予想はできながらも終結はやはり圧巻である。それと上記にみるような、低俗さと高貴さの絶妙なバランスから。
しかし、男性には不評かもしれないと思う。この女性は完全に恋愛脳で、メンヘラだからだ。

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2019年01月17日

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でたらめな父親と、気位の高い母親にふりまわされて
シャルル・ボヴァリー氏は自分では何もできない男だった
親の言うまま勉強して医者になり
親の言うまま資産ある中年女を嫁にとった
しかし患者の家で出会った若い娘と恋におち
初めて自らの意思を持ったシャルルは
熱愛のさなか妻が急死する幸運?にも恵まれ、これを成就させるのだった
この第2の妻が、物語の中心人物エンマ・ボヴァリー夫人である

シャルルは自分の意思を達成したことに満足していたが
エンマはすぐに幻滅を味わった
彼女をおそう退屈は、ただの退屈ではない
娘だった時分、小説を読み過ぎた彼女にとってそれは
自尊心を貶め、つまらない女であることを強要する暴力の日常であり
そして彼女はその凡庸さに仕える自分を被害者と信じていた
自分ではなにも決められないという部分で
実はエンマもシャルルも似たものどうしだったが
ただ曲がりなりにも巡ってきたチャンスを掴み
自己実現を果たしたシャルルの余裕に対し
エンマはわけもわからず焦れていた
美しさは人並み以上だったので、不倫の相手に恵まれるが
相手との温度差にも気づかず、真剣にのめり込んでいく始末
悲しい人だった
夫の凡庸さを軽蔑することで自意識を保ち
また自分を高めようとショッピングにのめり込み、散財を重ねれば
あとは破滅への道をまっしぐらに突き進むのみであった

エンマのそういう有様は
ひょっとするとあり得たかもしれない若き日のシャルルの
人生の可能性でもあった
その運命を分けたのは神のみわざか作者の意図か

少なくとも語り手は、観察者の立場を逸脱しないよう配慮している

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2017年10月15日

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ネタバレ

ボヴァリー夫人ことエンマは、元々このような道に進む性だった。夫シャルルは真面目で優しいにも関わらず、夫や田舎を馬鹿にして自分を不幸と思い、常に夢見がちで浪費家だった。
そんな彼女の心に火をつけたのがロドルフ。不倫し借金で首が回らなくなり、エンマは最後自殺する。後半、彼女の欲望の激しさは凄まじく、破滅へと追い立てる。エンマは自業自得だが、ひたすらシャルルが気の毒だった。そしてロドルフに天罰が下されないのが悔しい。
エンマが暴走していく様子がありありと描かれ、当時、問題作と言われたことにも納得の恐ろしい作品だった。

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2025年06月29日

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配偶者や恋人以外の男女に心が傾くことを浮気と呼ぶのは実に言い得て妙だ。足が地につかず、まさに気持ちがフワフワと浮き立つ如きその感覚は、恥ずかしながら私自身にも経験がある。以前読んだ桐野夏生著「柔らかな頬」のなかで、不倫相手と密会する主人公が「このまま彼と生きていけるなら子供を捨ててもいい」と考えるのだが、これは誇張でも何でもなく実際そんな風に思えてしまうものなのだ。本書の帯に記された「甘い恋の毒が人妻を狂わせる」のキャッチコピー通り、悦楽と陶酔さらには高揚感をもたらす浮気の作用はもしかすると麻薬に似ているのかもしれない

少女の頃から数多の小説を読み耽り、劇中のヒロインが胸焦がす洒落たロマンスに夢中だったエンマにとって、恋愛や結婚とは美しく魅惑的なイメージを伴う出来事のはずだった。従って、ほぼ成り行きで契りを交わす運びとなった夫シャルルの鈍感さや野暮ったさを激しく嫌悪し、どうにも我慢ならなかった彼女の気持ちは何となくわかる。だからって不倫をしていいとは言わないけども、あまりにも理想と現実のギャップが大きかったのは事実だ。夫はおろか、娘も顧みず(娘は乳母が養育)、手練手管の色男ロドルフや年下の青年レオンとの情事に溺れ、嘘と借金を重ねたエンマの行いは良識ある方々からすれば浅薄でふしだらにしか映らないだろう。しかしながら、そんな彼女のことを映画「リトル・チルドレン」のなかでは、良妻賢母などという如何にも男本位の社会が仕立てた枠組みを一蹴し、自分の好きなままに生きた、前時代におけるフェミニストと言及しており、個人的にその見方はあながち間違いではないようにも感じられる

最後にエンマは服毒自殺を遂げるのだが、文字通り彼女にとっては結婚が人生の墓場となってしまった。エンマの死後、シャルル・ボヴァリーとロドルフが偶然顔を合わせる場面は出てくるものの、レオンについての描写は一切ない。彼が元愛人の選択をどう受け留めたのか、ちょっと気になるところだ

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2024年02月02日

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ネタバレ

初夜のあとシャルルがむしろ処女だったみたいでエンマはスンとしてたのウケる
「彼女が知らない場所で寝るのはこれで四度目だった。(中略)そして、そのどれもが自分の人生に新たな段階の幕開けをもたらしてきた。場所が違うので、同じことがまたしても起こるかもしれないなどとは思えず、これまで体験してきた部分がなにしろ辛いものだったので、たぶんこれから味わうべきものは、もっとましになるだろう。」
「男の子を持つというこの思いは、これまでできなかったさまざまなことに対するひそかな復讐のようなものだった。少なくとも、男なら自由で、どのような情熱もたどれるし、いかなる国々も駆けめぐることができ、あらゆる障害をくぐりぬけ、どんなに遠くにある幸福でも食らいつくことだってできる。ところが女はしじゅう思うようにいかない。女は活発さに欠けるだけでなく従順だし、意に反して肉体の軟弱さを持ち、法に縛られやすい。」
「自分の魂を奪ってくれるなら、生活をまるごと消し飛ばしてくれるなら。どんな深い信仰にも身をささげてみようという気になっていた。」
「エンマもほかのどの情婦とも似たり寄ったりで、そして、目新しさの魅力は少しずつ剥げ落ち、衣服と同じことで、そうして目にする裸は、お定まりの恋情の単調さで、恋情はいつも同じ形をしており、同じ言葉づかいをするのだ。じっさいの経験をつんでいるこの男も、同じ表現を浴びせられると、感情の違いなど見きわめようもなかった。というのも、放埒な唇や金で買った唇にも同じ文句をささやかれていたからで、彼はエンマの言葉の純真さをろくすっぽ信じられず、凡庸な情熱を秘めている大げさな愛の言葉は割り引いて聞くべきだと思っていて、まるで心が充ち足りると、ときどきじつに空虚な比喩がこぼれでるようなもので、なにしろだれであれ自分の欲求や想念や苦悩が正確にどれほどのものか示すことなど決してできないからで、さらに人の言葉は音の狂ったひどい楽器のようなものだからで、空の星までほろりとさせようとしても、熊を踊らせる節回しを打ち鳴らすことにしかならないのだ。」←心当たりありすぎ

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2023年03月29日

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19世紀フランス文学の名作。モームの世界十大小説のひとつ。原文に忠実な訳文を目指したという日本語最新訳。

恋愛小説のような情熱的な恋に憧れていた少女が、うっかり平凡な結婚をしてしまった反動で引き起こしてしまう壮絶な不倫劇。不倫にまつわる情動の燃え上がりや苦悩の激しさをあますことなく描き切り、恋愛と結婚の本質に芸術的な迫力で切り込んでいる。こういうドロドロとした話を目にすると「昼ドラ」という単語が頭に浮かんでしまうが、内容そのものは実際、現代においては目新しいものではないのかもしれない。しかし酸いも甘いも噛み分けたようなフローベールの筆致は並みのエンタメでは味わえない凄まじさがあり、読み継がれるべき名作なのは間違いない。

この新潮文庫版、裏表紙の紹介文で盛大なネタバレをかましているので、これから初見の人は注意。いくら有名な古典といっても初めて触れる読者もいるだろうし、配慮がほしかったところ。

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2022年06月24日

Posted by ブクログ

装丁が水色で夫人の後ろ姿の後毛まで。
フローベールの文章に忠実に訳してあるそう。


ルルー氏のとりたてが執拗で、上乗せしてたんじゃないかなどど思った。378
エンマは、いいようにおだてられてしまったけど、このルルーの悪党ぶりには天罰でも降らないかと思ってしまう。

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2022年03月26日

Posted by ブクログ

吉田健一の『文学人生案内』第一章「文学に現われた男性像」に小説には女性が華やかに、かつ悲惨に焦点を当てられ中心になって描かれているのが多い、男性には光が当てられてない、 という記事にはわたしは目をひらかれる思いだった。

吉田氏はこの本の中で「フローベルの『ボヴァリー夫人』」という章で詳しく、文学論のような感想をも書いていてらっしゃるのだけど、第一章のように副主人公の男性ボヴァリー氏については掘り起こしていない。

ただ、「フローベルは人生など何ものでもなく、充実か虚無かのふたつであると思っている思想のもとに描いた」と結論付けている。

しかし先の「文学に現われた男性像」に吉田氏が触れられているのは、田舎娘エンマをボヴァリー夫人にするだけのボヴァリー氏ではない、読者に印象付けられる特異な人物なのであるという。

そう、ボヴァリー氏は脇役ではない、最初から最後まで登場するというだけではない、夢見るばかりで実人生をふわふわ追いかけ、きれいなものが好きで、浮気や浪費を限りなくするエンマ・ボヴァリー夫人を強烈に愛するエネルギーある人物なのである。

どうしょうもない女性を愛してしまったら、一緒に奈落に落ちるしかない、強い強い男性なのである。だからエンマが破産して自殺してしまったら、抜け殻となり死んでしまう、生ききった男性主人公なのである。

それで「ボヴァリー夫人はわたしだ」と作者は言ったのだと思う。

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2020年02月09日

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ネタバレ

レオンとの関係が冷め、しかし借金はかさみ、のっぴきならなくなり、薬剤師の鍵付き倉庫を開けさせて、無理やり砒素をあおる。
自らが招いた、破滅。
夫である医師シャルルは、後に、手紙を発見し、妻の不倫を知る。その後しばらくして亡くなる。

前半は、退屈で、挫折しそうになった。後半から急に話が動き出し、次第に追い詰められていくエンマの様子に夢中でページをめくった。エンマが亡くなって即、物語が終わると予想していたんだが、その後の描写も予想外に長かった。そして、あっけなくシャルルが亡くなったのには、ビックリ。

あとがきを読んでビックリしたのは、実際にあった話を元に小説が書かれた、ということ。こんなことが実際にあったんだ。

660pと長いし、前半退屈だったので、やや飛ばし気味で読んだ。キチンと読み解けているかというと、細部にまでは自信がない。全体は大掴みできたが。
音楽で言うところの、ラベルのボレロみたいな感じかな。
盛り上げるだけ盛り上げて急にガクンと、終わるような。

モームが世界十大小説にあげているが、そこまで面白いとは思わなかった。感情教育は、読んでみたい

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2025年04月15日

Posted by ブクログ

  主人公エンマは自分が既に持っているもの、手を伸ばせば届くものには幸せを見出さず、だからこそ遠くにあるもの、かけ離れたもの、失ったもの、身分不相応のものを追い求める。その気質は奇しくも彼女の忌み嫌う市民的な平凡さそのものとして描かれているように感じた。おそらくフローベールもそのように意図して書いているのだろうと思われた。
 対して夫シャルルには特別の同情を禁じ得なかった。ただただ可哀想だった。
 また文体や自然描写は悪くはないけれど、一文一文が長くて難解なため、もう一回読まないと全然分からないと思う。フローベールは自由間接話法を初めて小説に取り入れたとされているそうだ。私は語り手と登場人物が一体となり、臨場感のあるこの文体が結構好きだった。

追記: シャルルはエンマのことを本当の意味で思いやったことはあるのだろうかと疑問に思った。実はかなり自分本位な人で、時代背景を考慮する必要はあるのだろうが、結婚までの過程を思い返すとエゴイスティックな感じも垣間うかがえるために、シャルルを愚鈍な夫と形容することは真なのかもしれない。

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2024年03月19日

Posted by ブクログ

田舎の退屈さに倦む恋多きエンマの破滅への道。つけ入るロドルフ、レオンはやがては退いてしまう。狡猾なルルーに莫大な借金を負わされ服毒する。献身的な夫シャルルが哀れ。推敲を重ねた文体からの翻訳が馴染まないのか読み終えるのに随分かかったが満足。2023.3.21

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2023年03月21日

Posted by ブクログ

途中棄権。ストーリーの流れよりもその場その場の情景描写が緻密すぎて、読んでいて少し疲れました。さっと脳に入ってこない。翻訳だから仕方ない部分もあるし、もちろんこれがこの作品の凄さの一つなんだろうけど。話がずっと足踏みしてなかなか進まない印象。あまり物語に入り込めませんでした。

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2021年02月27日

Posted by ブクログ

翻訳が馴染まないと思って読んでいた。解説に、著者と同じ読点を使ったと書いてあり納得。原文の雰囲気を取るか、日本語にした時の自然さを取るかは難しいところだ。ボヴァリー夫人も、もう少し落ち着いた口調の方が合うのではとか、物語以外のことをたくさん考えてしまった。海外文学は翻訳で登場人物のパーソナリティも全てが変わる。他の翻訳も読んでみたいと思った。

鹿島茂の本に、ボヴァリー夫人は3人いる、と書いてあった。そういえば、初めの方に何人もボヴァリー夫人がいて混乱した。シャルルの母、最初の妻、後の妻だ。この3人が凡庸なシャルルを成功させようとする物語という見方もあるという論に、本作の深さを感じた。

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2020年04月26日

Posted by ブクログ

情熱的な恋を夢みるボヴァリー夫人(エンマ)の物語です。夫シャルルは優しくて一途で、エンマも彼のことを好きになれたら普通の幸せを手に入れることができたのだろうと思います。
けれども現実はそうはいかず、エンマは浮気をし、莫大な借金を抱え、服毒自殺をしてしまいます。エンマは幸せを追い求め続けていましたが、決して幸せだとは思えませんでした。彼女にとっての幸せとは何だったのか、よくわかりませんでした。

また、解説を読んで、フローベールが「自由間接話法」を用いて「神の視点」を排除したと知りました。この“表象の革命に値する(p656)”話法には、感心しました。

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2017年07月08日

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