G・フローベールのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
翻訳が馴染まないと思って読んでいた。解説に、著者と同じ読点を使ったと書いてあり納得。原文の雰囲気を取るか、日本語にした時の自然さを取るかは難しいところだ。ボヴァリー夫人も、もう少し落ち着いた口調の方が合うのではとか、物語以外のことをたくさん考えてしまった。海外文学は翻訳で登場人物のパーソナリティも全てが変わる。他の翻訳も読んでみたいと思った。
鹿島茂の本に、ボヴァリー夫人は3人いる、と書いてあった。そういえば、初めの方に何人もボヴァリー夫人がいて混乱した。シャルルの母、最初の妻、後の妻だ。この3人が凡庸なシャルルを成功させようとする物語という見方もあるという論に、本作の深さを感じた。 -
Posted by ブクログ
情熱的な恋を夢みるボヴァリー夫人(エンマ)の物語です。夫シャルルは優しくて一途で、エンマも彼のことを好きになれたら普通の幸せを手に入れることができたのだろうと思います。
けれども現実はそうはいかず、エンマは浮気をし、莫大な借金を抱え、服毒自殺をしてしまいます。エンマは幸せを追い求め続けていましたが、決して幸せだとは思えませんでした。彼女にとっての幸せとは何だったのか、よくわかりませんでした。
また、解説を読んで、フローベールが「自由間接話法」を用いて「神の視点」を排除したと知りました。この“表象の革命に値する(p656)”話法には、感心しました。 -
Posted by ブクログ
2部までは読むのが少々しんどかったが、3部はすらすら読めた。主人公のエマも勿論愚かだけど、夫も不倫相手も出入りの商人も隣人も俗物ばかり。最後は低俗な薬剤師オメーと俗悪な商人ルウルーだけが幸運に見舞われ、残りの人々は哀しい結末を迎える。これが人生か!となんとも遣る瀬無い。
エマが無駄遣いに歯止めが効かなくなるのはあり得る事だと思うが、愛人に去られた後何ヶ月も寝込むというのが解せない。男目線でそうあってくれたら可愛いのかもしれないが、普通の女は1週間もしたら過去は水に流して未来に目を向けるのではないか?
確かにこの時代の主婦は仕事もないが、家事や育児すら自分でやらず、夫の仕事も発展がないとなる -
Posted by ブクログ
なに不自由ない生活を送ってきた一人の女が不倫の恋に身を焦がしやがて破滅していく様を、淡々と、そして詳細に描写していく。
ボヴァリー夫人は、バカな女といえばまあバカな女ではある。物語にあるような恋愛に憧れ、身の丈に合わない不倫をし、分不相応な享楽を得て、結局は恋人には棄てられ全てを失い死ぬ。誰かに騙されたわけでもそういう運命であったわけでもない。自らそうした破滅に向かっていく。それはあまりにも不用意で擁護の使用がないほど愚かな姿。
でも、それはまた、どこにでもいる平凡な女の姿(男でもいい)でもある。多少なりとも空想的であったり、無い物ねだりをしたり、後先を考えずに行動したり、それらは決して特異な -
Posted by ブクログ
ネタバレ海外の名作です~。
かなーり長い名作でしたぁ。
でもね、長いわりに飽きるってことはなかったなぁ~。
ストーリーは
田舎の医師ボヴァリーの後妻になったエマの不倫や借金地獄、そして自殺。を描いた長編小説。
うーん、エマっていう女性は、私からみるとわがままで自分のことしか考えられず、気分屋だし、夢見る夢子ちゃん。
私としてはそんなに好感持てなかったんだけど、でもね、読んでるうちにエマの心が分からないでもないのよ。旦那に退屈して、毎日の生活に退屈して、不倫に走っちゃう。でもって、入りこみすぎて相手に逃げられちゃう。なんか、どこかで聞いたような。。。。。
家族、家庭を壊してまでやってないいけないでし -
Posted by ブクログ
「ぼく自身のつくりあげた言葉はひとつも見当たらず、だれでも一度これを読んだなら、そこに書いてある通りをうっかり口にするのではないかと心配になる」ような辞典、とフローベール自身が称したそうだ。フランスにある森羅万象について、俗説や偏見や紋切型表現を集めた本。
揶揄と諷刺を目的とした辞典といえばビアスの「悪魔の辞典」だが、あちらが攻撃的な文章ににやりとさせられる、けれんみあふれる読み物とするなら、この「紋切型辞典」にはそういったけれんが皆無である。はっきり言えば、読んでもあんまり面白くない。諷刺が直接的ではないので、さらっと読んでもよく伝わってこないのだ。攻撃対象への悪意と侮蔑が、二重三重に屈折