乾石智子のレビュー一覧

  • 魔道師の月

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    前作の悪かったところがちょっと良くなっている。
    このまま良くなり続けていけばいい感じになるのでは。

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    2017年05月16日
  • 魔道師の月

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    ここで闇と呼ばれているものは何だろうと考えると、生命力そのものではないか、と思った。
    大地から生える黒い樹。太古の闇。無ではなくカオスをイメージする表現だ。何もないのではなく、すべてが混沌としている。

    魔導師は闇を持たなければならないと作中では言われる。魔法とは、世界に干渉して世界をーー価値をーー変容させる、意志の力だ。生きることで必然的に抱える善悪の相克を見据え、とりもなおさず自分の座標を定める、その覚悟がなければ、モノの価値を変えることなどできない。

    生きているものは生きなければならない。生き続けなければならない。
    どんな存在もこの世に生じた瞬間から呪縛される。生命が持つ絶対的な指向の

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    2017年04月17日
  • 紐結びの魔道師

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    紐結びの魔導師リクエンシスを主人公にした6編の短編集.
    エンスの茶目っ気のあるおおらかな人間性,魅力満載です.相棒のリコも味のある愛すべき爺さんである.

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    2017年02月13日
  • 魔道師の月

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    若い頃のギデスディン魔導師が、暗樹という敵を前に倒すために奔走する話。若いからかはじめの頃はとてもやんちゃでしたが、テイバドールの記憶を見てからは一気に大人に、その辺の大人より達観した人間になります。今回もなかなかはらはらさせられて先に核心を読んでしまいたくなります。一作目も読み応えありましたが、話としてはこっちの方が好きです。

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    2016年12月21日
  • 紐結びの魔道師

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    “オーリエラントの魔道師”シリーズと銘打たれていて、 前に読んだ「夜の写本師」と同じ歴史の流れと世界観に属するこの本、紐を様々に結ぶことで魔法をかけていく紐結びの魔道師リクエンシスの冒険譚。
    冒険と書いたものの派手な活劇の場面は少なく、どちらかと言えば、悠久の時を生きる魔道師の人生と彼とともに生きた人に対する振り返りのお話。
    後半に行くに従って内省の色が濃くなるが、300年もの生を受け、自分より後に生まれたものに先立たれ、人生を回顧し、その生の虚しさに倦んだエンスが、再び生への執念を燃やす『子孫』や『魔道師の憂鬱』が味わい深くて良かった。

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    2016年12月04日
  • ディアスと月の誓約

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    ネタバレ

    寒い土地に暮らす人々のために月をおろし、緑豊かな土地に変えようとひとりの人間が、月を守るサルヴィを殺したことで、その土地は繁栄と共に呪いを受け継ぐことになった。そして、人間の血筋であるディアスが、延々と続く呪いに終止符を打つために、半ば強制的にですが、役目を負うことになり、南へ旅立ちます。
    とても話は魅力的なのですが、淡々としていたような感があります。最後はこれから新たな呪いを背負った子達が生まれるのでしょうが、170年分どれだけの人数で分け合ったのか、一回で終わればいいですが、なかなか平和は遠いですね。

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    2016年09月01日
  • ディアスと月の誓約

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    ネタバレ

    ディアスが国を離れてからの展開が
    早すぎる気もしたが、この物語で
    最も心惹かれたのは ファンズと
    共に生きる北の民の限りない誠実さと
    その暮らしの掛け値ない正しさ。

    アラスカの原住民族から着想したのだと
    思われるが それ以上の生命力と誠実さに
    本当に心が洗われた。

    ディアスとイェイルの交感の中で
    このファンタジーを貫く生と死の思想が
    幻想的に語られる。

    …そんなこんなよりも気になったことを
    やはりどうしても書きたくなった。

    この物語に出てくる架空の食事たちが
    やたらに美味しそうに見えるのですよ。

    それからディアスが南に向かう時
    イショーイが寄こしてくれた護衛の名は
    タンダとい

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    2016年06月27日
  • 太陽の石

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    具体的にどういうことなのかさっぱりわかんないけど、「こまけぇことはいいんだよ!(AA略」みたいな美しい文章にうっとりする。目と脳が喜ぶ一冊。

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    2016年05月12日
  • 双頭の蜥蜴

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    ネタバレ

    母親と折り合いの悪い少女が、異世界にいき「石の司」として、蛇紋岩を悪用するものと戦い成長し、地球に戻る話。
    終盤の水晶洞窟など個々に良い場面があるが、全体的にジュブナイル風で薄味。児童文学の扱いなのかも。

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    2016年02月12日
  • 双頭の蜥蜴

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    心のダークな部分がチクチクする。
    ライトで唐突な印象だけれど、感情や心の変化、世界観が良いなあ。
    石のこと、もっと知りたくなる。

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    2015年12月28日
  • 双頭の蜥蜴

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    ネタバレ

    読んで良かった。結局、何が主題なのかが分からないのだけど。個人的には、母親が少しデレた瞬間はあったと思うのだけど。すれ違ったままの終結が心劣りしてしまう。楽しかったのだけど。

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    2015年11月04日
  • 双頭の蜥蜴

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    著者が今書く作品としては違和感がある。わかりやすく、表層的になった。もちろんストーリーは面白いし、脇を固めるキャラがしっかりしていて安心できるのだけれど。

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    2015年09月12日
  • ディアスと月の誓約

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    初乾石作品。
    とても現実的で真摯。
    自然とその中で生きるもののあり方についての描写が神秘的で美しい。
    読み込みたいところに限って薄く感じられたのが残念だけど、その世界観は素敵。

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    2015年07月30日
  • 夜の写本師

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    多彩な人間模様が魅力。“生まれ変わり”のロマンとどんな人間にも闇と救いがある緻密なファンタジーの著者の世界は、日々の現実に縮こまった気持ちを一気に開放してくれる。
    対抗する度に敗北してしまう展開と見え隠れする複雑な女心にやきもきしたが、男同士の終盤の決戦は落ち着いて読めた。シルヴァインの真っ直ぐな愛に彼が救われて、あのラストになったと信じたい。

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    2022年07月23日