マイケル・ルイスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
資金力の乏しいメジャーリーグ球団であるアスレチックスのチーム作りを扱ったノンフィクション。
結局はアービトラージを狙う手法なので、ここに書かれてしまうとその効力はなくなってしまうだろうが、それまでの伝統的な手法、誰もが当たり前と疑わない勘と経験の世界に新しい科学的な方法を持ち込むことで成功を得ることができるというのは示唆に富む話だった。
そういう話も面白かったが、データ自体に意味があるものかどうかという視点は目から鱗だった。中でも、守備のデータは信頼性がない、つまり、エラーという人の判断が入るデータは、最初から諦めてしまえばエラーにならずヒットとなるし、役に立たないという話はなるほど、と唸 -
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Posted by ブクログ
マイケル・ルイスの本、はじめて手に取りましたが、予想をはるかに超えて面白かったです。2008年に引き起こされる世界金融危機の発端となるサブプライム・モーゲージ債。これが貸し手の金融機関と借り手(所得の低い米国人)の間だけでしたらここまで被害は大きくならなかったのでしょうか、いわゆる投資銀行と呼ばれる連中が、錬金術をはじめるわけです。しかもタチが悪いのが、錬金術をはじめた投資銀行のトップが、事態を全く理解しておらず、S&Pなどの格付け機関もその金融商品(CDSやCDO)について理解していないのです。
本書では、この錬金術に気づいた極めて少数派の人々が、その人物像も含めて丁寧に描かれてお -
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購入済み
錬金術に気づいた極めて少数派の人々が、その人物像も含めて丁寧に描かれており、とても興味深く読みました。また複雑な金融商品についても、素人にもわかりやすい説明がされているので、すらすら読めました。
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Posted by ブクログ
野球の見方だけでなく、慣習やしきたり、固定観念に対する意識が変わる一冊でした。
主人公のビリーは、それまでの野球界の常識とは異なる客観的な数字による尺度を用いて選手を評価し、乏しい資金の中で常勝チームを作り上げます。
球界だけではありません。
我々の身の回りにも慣習や、「伝統」という名の固定観念が溢れています。
最適解を求めようとしているのに、その判断基準はとても曖昧で、「慣習」からはみ出さないことを大切にして、いつの間にか最適から大きく外れたところに着地している。
慣習や伝統を見つめ直し、新たな常識を受け入れるのはとても難しいことです。
でも、変化の激しい昨今、その勇気が必要なのだとはた -
Posted by ブクログ
モーゲージ債: ローンをかき集めて証券化したもの.リスクとリターンを階層別に切り分ける
サブプライム:劣位
誰かの人間の資産は誰かの人間の負債→モーゲージ債はこの負債をこねくり回して証券化 流動性が高まり効率性が生まれ負債を抱える側も低金利でローンを借りられるようになるという一見するといい話
→経済の発展って「貸し借りの発展」なんだな
主人公のアイズマンは裏表がなく,ある意味”空気が読めない”ところがあるけど
他人に流されず,自分で考える力を持っているとも言える
金を貸す銀行側が正常な判断ができなくなることはある 少し前だったらスルガ銀行がいい例.返済能力が行き詰まる融資を見つけたら -
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・不遇な選手を偏見から解き放って、真の実力を示す機会を与えた
・人間社会における理性の可能性-と限界-を如実に表す縮図
・神々は、破滅させたい人間をまず「前途有望」と名づける。
・力まかせの剛速球ではなく、打者をあざむくテクニックにある。
・スカウトはつい、必要以上に自己経験と照らし合わせて考えようとする。
・自分の体験こそ典型的な体験だと思いがちだが、実際はそうでもない。
・心の奥深くにあるカジノで、賭け金を減らし始めた。
・いままで起こっていないことは、今後も起こらない。うまく対応できなかった事柄があるなら、そもそも対応能力がなかったのだ
・結果につながらない才能なんて、才能とは呼べない。 -
Posted by ブクログ
セイバーメトリクスの古典としてリスペクトされる本書ですが、「マネー・ボール」なのであって「データ・ボール」ではありません。債券トレーダー出身のマイケル・ルイスはおそらく、割高な選手を売却して割安な選手を購入し、最安値のポートフォリオで最高の成果を出そうとするビリー・ビーンの姿にこそ興味を持ったのではないか、と思われます。
その割高・割安を弾き出す手段がデータ分析。債券の世界には価格を理論的に算出するモデルがあるが野球人には勘と目利きしかない。そこでビリー・ビーンのアスレチックスはオタク通信に過ぎなかったビル・ジェイムスの知見を掘り起こし、大卒アナリストに託した。そこからセイバーメトリクスとい -
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マネーボールという映画になった本のことは、
何年も前から知っていました。
改めて、LearnBetterを読んでいて興味を惹かれて読んでみました。
この本は、ブラッドピッドが映画にしたことからも多くの方がご存知の通り、
メジャーリーグ球団をテーマにした
球団経営を巡るテーマが主眼です。
けれども、巻末の解説にあるとおり、
もっと大きなテーマとして、
既存の考え方に捉われるな!
という大きな問題提起をしていることから
米日英など世界各国で読まれた作品になりました。
経済でも、社会でも、既存のやり方を変えられずに、
停滞が続く世界が多数存在しますが、
それを打破するために必要なやり方は、
それ -
Posted by ブクログ
・安倍政権は1000兆円にもなる国家債務を返す当てもないまま、さらに国債を発行し、大規模な公共事業を約束している。日本国政府はまるで借金が膨張していくことを気にも止めていないようだ。それにも拘らず、日本国債の値段は下がっていない。日本の銀行が、他に融資先がないので買い続けているからだ。しかし、こんなことが永遠に続かないのは明らかだ。いつか破綻するのだが、問題は、それが「いつか」ということだけである。アメリカの不動産バブルの崩壊を予測し、CDOをCDSで空売りして大儲けしたヘッジファンドのいくつかが、今度は日本国債に狙いを定めはじめているようだ