マイケル・ルイスのレビュー一覧
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セイバーメトリクスの古典としてリスペクトされる本書ですが、「マネー・ボール」なのであって「データ・ボール」ではありません。債券トレーダー出身のマイケル・ルイスはおそらく、割高な選手を売却して割安な選手を購入し、最安値のポートフォリオで最高の成果を出そうとするビリー・ビーンの姿にこそ興味を持ったのではないか、と思われます。
その割高・割安を弾き出す手段がデータ分析。債券の世界には価格を理論的に算出するモデルがあるが野球人には勘と目利きしかない。そこでビリー・ビーンのアスレチックスはオタク通信に過ぎなかったビル・ジェイムスの知見を掘り起こし、大卒アナリストに託した。そこからセイバーメトリクスというビジネスが立ち上がり、現在に繋がっていく。
今や、出塁率は打率より得点との相関が高いとか、単純なインサイトだけで勝つことはできない。 -
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マネーボールという映画になった本のことは、
何年も前から知っていました。
改めて、LearnBetterを読んでいて興味を惹かれて読んでみました。
この本は、ブラッドピッドが映画にしたことからも多くの方がご存知の通り、
メジャーリーグ球団をテーマにした
球団経営を巡るテーマが主眼です。
けれども、巻末の解説にあるとおり、
もっと大きなテーマとして、
既存の考え方に捉われるな!
という大きな問題提起をしていることから
米日英など世界各国で読まれた作品になりました。
経済でも、社会でも、既存のやり方を変えられずに、
停滞が続く世界が多数存在しますが、
それを打破するために必要なやり方は、
それを変えるための仮説を持って、それを実証し、
さらに世の中にあったやり方に繰り返し変えていくこと。
他人の力に頼らず、自らの手によって。
このことをこのノンフィクションは教えてくれました。
ビジョナリーカンパニーや、
イノベーションのジレンマなど、
優れたビジネス書は多くありますが、
人間の心理面にまで深く根ざした組織論を展開する
本は決して多くないと思います。
そういう意味で、日の当たらなかったプロ野球選手に
スポットを当てつつ、貧乏球団の快進撃を記した
この著書は一読に値するビジネス書なのではないでしょうか。
子どもの教育について考えるにも、
決して悪くない客観的視点を学べる一冊だと思います。 -
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・安倍政権は1000兆円にもなる国家債務を返す当てもないまま、さらに国債を発行し、大規模な公共事業を約束している。日本国政府はまるで借金が膨張していくことを気にも止めていないようだ。それにも拘らず、日本国債の値段は下がっていない。日本の銀行が、他に融資先がないので買い続けているからだ。しかし、こんなことが永遠に続かないのは明らかだ。いつか破綻するのだが、問題は、それが「いつか」ということだけである。アメリカの不動産バブルの崩壊を予測し、CDOをCDSで空売りして大儲けしたヘッジファンドのいくつかが、今度は日本国債に狙いを定めはじめているようだ
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去年だったか海外出張の際に機内で途中まで観た『マネー・ショート』の原作。著者は『マネー・ボール』のマイケル・ルイス。サブプライムの証券化の胡散臭さにいち早く気付き、その破綻に賭けた3人(3グループ)の勝ち組を追ったノンフィクション。「勝ち組」とはいえ、それぞれが訳ありな生い立ちを歩み、その人生観を反映してか、投資銀行、金融市場、格付け機関に対する不信感や疑念が彼らの行動の原動力になっており、市場や投資銀行の破綻が実現しても暗い影を落としており、金融市場に対する鋭い問題提起となっています。およそ10年前の話であり、私もリーマン・ショックの煽りで転職活動が苦戦したので、色々と思い入れを持って読み進めました。読み応えあるので、債券市場や証券化に関心ある方にオススメですが、それ以外の方も楽しめると思います。
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正直、CDSなどの仕組みについては、さっぱりわからないまま読み終えた。著者が巻末のエッセイで、自分の母親を念頭に、と書いているけど、ざんねんながら、お母さんも一度読んだだけではわからないだろう。でも、それでも読み続けると思う。それはやっぱりノンフィクション作家としてのマイケル・ルイスの腕、というか、あふれんばかりの才能というか。人物の描き方、時代の空気。仕組みがわからなくてもそのざわざわした……でも表面的には何一つ変わることのない、異様な景色が伝わってくる。
東江一紀氏の翻訳も秀逸。
「リップマンという人物をできるだけ当たり障りなく評するとすれば、“当たり障りだらけの男”ということになるだろう。……けっして無慈悲ではない。無礼ですらない。少なくとも、本人は無礼にふるまっているつもりはない。単に、他人(ひと)の悪感情を極度に刺激するところがあるというだけの話だ」
「ジェイミー・マイは背が高く、はっとするような美男子で、天性の仕切り役というふうに映る。ただし、それも黙っていればの話で、口を開くと、日の出の方向から人類の未来に至るまで、すべてについて確信を持てずにいることが露呈してしまう」
――好きだ~(笑)
最後、著者が『ライアーズ・ポーカー』で辞任に追い込んだかつての上司、ソロモン・ブラザーズの元CEOだったジョン・グッドフレンドと会食をともにする場面は、静かでさりげないけれどエピローグとしてはまたとないものだった。「デビルド・エッグ」の話で結ぶなんてね。名前もいいし。
「素朴な卵がこれほど複雑な、それでいて魅惑的な商品になることに、誰が気づいたのだろう? わたしは手を伸ばし、ひとつ取った。空虚を装いで飾りたてたもの。その魅力はけっして色あせることがない」
――かっこいい。著者と訳者、才気の二重奏だ。 -
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『ライアーズ・ポーカー』『マネー・ボール』のマイケル・ルイスが、またしてもやってくれた。サブプライム問題によって引き起こされた金融システムの大混乱に乗じて見事に大金をせしめた 3人を描く、手に汗握る金融ノンフィクション。逆の立場から描かれたノンフィクション「リーマンショック・コンフィデンシャル」も昨年読んで面白かったが、それ以上の面白さで、ほとんど一気読み。
金融システムの崩壊で一儲けというと、人の不幸を飯の種にした酷い奴と聞こえるかもしれないが、実際には、投資銀行と彼らが発行する CDO (債券の寄せ集め)という巨大な化け物が、実はまやかしの存在でしかないことを見破って、それに賭けた男達(こういう莫迦なことをやるのは、いつも男だ)の熱い物語だ。 -
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合資会社を上場することの一番の効用は、財務上のリスクを株主に転嫁できることだ。言うまでもなく、株主だけの問題にはならない。ウォール街の投資銀行が大失敗をしでかせば、そのリスクは合衆国政府の問題になる。「深みにはまるまでは、レッセフェールだ」と、元CEO は喉の奥で小さく笑った。
マイケル・ルイスはこの壮大な物語を締めくくりとして、嘗て糾弾した旧ソロモンブラザーズのジョン・グッドフレンド元CEOとのランチのシーンを選んだ。彼がライアーズ・ポーカーで徹底的に糾弾した後も、金融資本主義は自己増殖を続け、遂に世界経済を破滅の淵に追いやることになった。
この壮大な賭けの相手方は誰なのか、本書を通して流れる一つのテーマである。バーリやアイズナーがサブプライムローンで仕組まれたCDOが破綻する側に賭けた時、相手方の投資銀行はそのポジションを他の投資家に売却したかのように見えた。実際、それが証券会社のビジネスモデルであり、AIG-FPのような無謀な投資家がいたからこそ初期の賭けは成り立っていた。しかしここでも金融資本主義の自己増殖の原則が働き、いつの間にか自らポジションを抱え込んでいた。彼らは高度なリスク管理モデルを持っていたはずだった。しかしそれは極めてナイーブな前提の上に成り立つ砂上の楼閣に過ぎなかったことを、筆者はメリルリンチの例を通じて描き出している。
あれから6年、国際金融規制強化の流れは今なお続く。規制・監督側はことある毎に「too big to fail」と呪文のように唱える。バーリやアイズナーは壮大な賭けに勝った。しかしその賭け金は結局のところ、アメリカ政府が負担したのではないか。その限りにおいて、マイケル・ルイスの長い旅は終わらないのだろう。最新作「フラッシュ・ボーイズ」を読むのが楽しみ。 -
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2008年のリーマン・ショックの際に巨額の空売りを仕掛け、空前の利益を上げた『金融アウトロー』の話です。登場人物が個性的なのと、著者の筆致のすばらしさに一気に読み終えてしまいました。
この本は以前からずっと読みたいと思っていました。そして昨日、1カ月かけてやっと読み終えました。いやぁ、すさまじい内容でした。
このノンフィクションで描かれている時代のころに僕は当時手がけていた自分の商売が破綻して、長い長い「蟄居生活」を送るハメになったのですが、まぁ、それはさておいて、株であれ商品であれ債券であれ為替であれ、市場と名のつくものに上げる下げる。いずれにせよ大きく動いたときには大きく損をした人と、その裏で巨額の利益を得た人間が必ずいるわけです。
ここに取り上げられている人間は2000年代に狂乱の宴を連想させるサブプライム・ローン及びCDSの活況が近いうちに破綻する、という考えに、基づいた三組の人間たちの戦いの記録です。
1組目は、「異端の株式アナリスト」、スティーブ・アイズマン。
2組目は個人投資家のジェイミー・マイとチャーリー・レドリーのコンビ。とその参謀を務めるベン・ポケット。
そして最後にアスペルガー症候群という病を抱える隻眼のバリュー投資家であるマイケル・バーリ。
この三者三様の戦いぶりがまさに『世界に対してケンカを売る』という行為そのもので、読んでいてゾクゾクさせられました。
特に、スティーブ・アイズマンの分析能力の冴えと、マイケル・バーリの顧客から『金を返せ』とすごまれてもCDSは必ず破綻するという信念に基づいて、本来だったら自分の専門外であるはずの債券市場に乗り込んですさまじいばかりのリスクを取り続けた姿には感動すら覚えました。
そして『リーマンショック』に端を発する世界経済の破綻。彼らは巨額の利益を手中にしましたが、それでハッピーエンドでした。チャンチャン。とは行かないところがこの本をすばらしいものにしています。
そして最後に作者が、かつての上司であるジョン・グッドフレンドと昼食を共にするシーンが書かれているのですが、この静かなシーンの中に、数十年にも及ぶ、狂乱の宴とその崩壊が、彼の下した決断によるものがその発端だったというくだりに、『ニンゲンの業』の深さを感じました。 -
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サム・バンクマン・フリードと言われてピンとくる人っていますかねえ。全く知らなかったが、この人は仮想通貨トレードで巨万の富を築いた後に顧客の金を流用したことが発覚して現在刑務所にいる。それだけ聞けばなんと悪いやつ!ということになりそうだが、彼の面白いのは彼の思想にある。それが効果的利他主義。稼げるだけ稼いで寄付するというもので、最大多数の幸福のためには目先の支援はしないというか。その思想のもとでは、今苦しんでいる多くの人を助けるよりも将来の人類のために何かを為すことのほうが期待値は大きく、またそのためには圧倒的に稼ぐ必要があり、かつ手段は正当化される、と言っていいような振る舞いを彼はしていた。効果的利他主義の考え自体は崇高とも言えるもので、実際彼は服装にも無頓着だったし、彼自身は贅沢を考えていなかった。周囲は忖度して彼の住まいなどに贅沢な仕様を施していたが⋯。ただ彼の致命的欠点は共感性の無いこと、でもそれを隠し、上手く善意の人間に見せることには長けていたこと、かな。効果的利他主義という考え自体本書で初めて知ったが、理念の崇高さとそれを実行する結果(お金儲け)が伴ったとしても、人の生き方というのはままならないのだなと。本書の面白いのは著名なジャーナリストである著者が、彼の成功と転落にリアルタイムでその側にいたことだろう。一週間前には世界に名だたる資産持ちだった彼が一夜にして全てを失う後半は圧巻であり、また虚しさを感じてしまう。
ということでぼやっとした感想しか持てていないのは内容を完全に理解できていないため。彼の天才エピソードと効果的利他主義の話は面白かったが、間のどうやって儲けたかというスキームはよくわからなかったのでまた読もうかな。とりあえず私自身はビットコインのブームに乗って1ビットコイン手に入れていたのにその後の暴落で手放してしまい、再度の値上がりに乗れなかったのはとても大きな後悔であり、どうやらその時の相場の動きにサムが関わっていたらしいので、ちょっと恨んでもいいのかもと漠然と思ってはいますよ。 -
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積読本は、ある日唐突に読むタイミングが訪れるのかもしれません。今回の積読本消化着手のきっかけは、9/27の報道【MLBア・リーグ西地区のアスレチックスが、本拠地オークランド・コロシアムでのラストゲームに勝利し有終の美(ラスベガスへの本拠地移転が決定済み)】でした。
そうです。本書は、アスレチックスの復活物語だけでなく、メジャーリーグの常識を覆した真実の物語です。
選手からフロントに転身、アスレチックスのGMとなったビリー・ビーン。彼はデータ重視の運営論に、貧乏球団が勝つための突破口を見出し、熱い信念と挑戦する勇気が奇跡を起こします。
アスレチックスは、かつて9度の世界一に輝きながらも、浮き沈みを繰り返し、90年代以降に成績がまた低迷します。90年代末から2000年代前半、また復活を遂げる中身が、ズバリ本書の内容です。
メジャーリーグの歴史と進化の変遷も詳細に綴られながら、攻撃力の目安となる様々な指標づくり、予算、経営など、題材は野球なのですが、内容は緻密なビジネス書の観もある印象です。
人が観ていない部分に着目し深掘り・評価するという視点は、集団の先頭に立って経営する、人材育成する上で欠かせない条件になる気がします。
チームづくりに統計学を用いる視点は、当時としては革新的なアプローチだったんでしょうね。何よりも、資金が潤沢なチームが勝つとは限らないことを証明してくれています。
原作読んでも映画を観ない派を公言してますが、ブラッド・ピット主演の映画(2011年公開)を、ネット配信で観てしまいました。やはり原作ほどの深みはないものの、これはこれで楽しめました。 -
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野球に統計や経営の概念を取り入れることの優位性。
既成概念に囚われないアプローチ。
新しいことに対するアレルギー反応に臆することなく、信念を持って取り組み、それに結果も伴っているわけで、今ではOPSという概念は日本での浸透度は高い。
今年は阪神の岡田監督が四球の査定を上げたことで、優勝するまでチームが変わったことは有名である。
勝つために足りていないと思うことをインセンティブで補ったわけであるが、我々一般企業ではどう考えれば良いのだろう。
個人商店ではないので、インセンティブとは?
インセンティブでのやる気は長続きするだろうか?
モチベーションとの相関性は?
色々と考えさせてくれた。良書である。