関根光宏のレビュー一覧
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アパラチア地方の田舎町ミドルタウン。隣に住むドラッグ中毒のシングルマザーが夜中に発狂したり、友達の父親が暴力沙汰で逮捕されるようなことが日常的に起こる町。
この本は未来に希望を見出すことのできない環境で育つと人はどんな思考回路になるのかを克明に伝えてくれる。そしてそんな環境から這い上がり、遂にはアメリカ副大統領にまでなってしまった男の自叙伝的小説である。
ミドルタウン程ではないにしろ、労働者階層の田舎町から都会に出てきた私としては共感する所がたくさんあった。
例えば"テストで良い点を取ることは女々しいことだと思っていた"とか、"〇〇大学は最初から受験しなかった。な -
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タイトルが気になって読んだ。
「パンダモニウム」とは、「パンダ」とブームという意味の「モニウム」をくっつけた語。
主人公が息子と組んだダンスユニットの名前だ。
現代のイギリスを舞台にした小説。
一年前、妻リズを事故で失ったダニーは、十一歳の息子のウィルと二人で暮らしている。
事故以来、ウィルは一切言葉を発しなくなった。
家族のためによかれとずっと外で働いてきたのに、息子とどう向き合っていいかわからないダニー。
二人ともそれぞれ悲しみにどう向き合っていいかわからないのだ。
妻と二人で働いてどうにかなってきた家計は火の車。
家賃を滞納して、用心棒を連れたイカれた大家に脅される日々。
家賃を取 -
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ネタバレ本書は、オハイオ州の小さな町で幼少期を過ごした著者のJ・D・ヴァンス氏が、自身の20代前半までの人生を振り返りながら、「ラストベルト(錆びれた地帯)」に住む人々がどのような価値観を持ち、どのような人生を送るかについて克明に記した作品であり、かつ彼自身がどのようにその環境から抜け出し、成功を掴んだのかについて克明に記した作品である。本書全体を通して非常にリアリティが高く、夢中になって読む事ができた。
著者謂く、「ラストベルト」に住む人々の価値観の根底には、消費主義、孤立、怒り、不信感の4つがあるという。そしてさらに、保守主義者たちの言動は、「ラストベルト」に暮らす人々が抱いている負の感情を煽 -
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2024年7月に感想を書いています。今年はアメリカ大統領選挙の年です。現職大統領を擁する民主党は現職大統領であるバイデンさんを党の代表に決め、共和党は前大統領であったトランプさんを党の代表に決めました。民主党では、バイデンさんのテレビ討論での失敗や、公式の場での失言が重なり、選挙戦からの撤退を表明し、現副大統領のハリスさんを党代表に掲げるようです。
前置きが長くなりましたが、共和党党大会でトランプさんが副大統領候補として選んだのが、J.D.ヴァンスさんでした。どんな人物なのかを知りたくて、日本でもノンフィクションとして話題にもなっていた『ヒルビリー・エレジー』の著者だったので、本書を手にしまし -
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読書録「世界しあわせ紀行」4
著者 エリック・ワイナー
訳 関根光宏
出版 早川書房
p365より引用
“結局のところ、先に古いものを手放さなけ
れば、新しいもの(たとえば仕事や、人間関
係、人生の進路など)を選ぶことはできない。
両手がふさがっているときに食べ物の袋に手
を伸ばしたところで、全てが音を立てて床に
落ち、両手に何も残らない結果に終わるのが
関の山だ。”
目次より抜粋引用
“オランダー幸せは数値
スイスー幸せは退屈
ブータンー幸せは国是
カタールー幸せは当たりくじ
アイスランドー幸せは失敗”
ジャーナリストである著者による、世界で
一番幸せな国を探す旅を綴った紀 -
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アメリカ人ジャーナリストの著者が幸せの秘密が見つかりそうな世界10カ国を訪問して幸せ探しをするルポルタージュ。アメリカの幸福度は世界23位で、生活は豊かになっても幸福感はここ50年変化がないそうだ。幸福に対してとてもネガティブなアメリカ人らしい著者が旅を通じて幸せのヒントを見つけていくところは面白い。インドやタイなどのアジア的な物の見方を知ることで視点を変わっていっている。日本人も昔はもっと幸せだったんだろうなと思う。思考がアメリカ的になるにつれて幸福度は後退するのだ。おそらく世界じゅうがそっちに向かっているのだ。自分が子供の頃からその予兆はあったけれど今はそれが当たり前になってきてること、そ
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ネタバレ長いー!!やっと読みおわった。文章うまいなあと思う。ジョークジョークジョーク、ぽんぽんと読めてつい笑ってしまう。たんなるお国事情だけではない、もっと根底にある何かを掴もうとして、もう一歩踏み込むところが面白い。
幸せはどこにある?という曖昧な、哲学的なテーマで旅をする記録を書いた、ノンフィクション。アメリカ人である目線から、しあわせ度の高い国や極端に低い国を巡る。
そもそも、最初の幸福研究の進んでいるオランダの取材で、著者は衝撃的なスタートを切る。幸福研究の第一人者から、「(自分は研究ができればよいので、)世の中が幸せになって欲しいとは別に願っていない」と言い切られるのである。
その前に -
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途中までしか読まなかったけど、それでいいか。
兎に角、この本によるとトランプは知性も品格もなく、そもそもヒラリーに勝つ気もなかった。それは周りも誰1人として負けることを疑ってなかった。が、アメリカ国民や世界にとって悲劇的なことに勝ってしまった。
そこからのドタバタ劇。
能ある鷹なんだろうとみんなどこかで思っているのだけど、本当に能がないという事を周りの人達はよく知っている。だから離れていく。残った人や新しく入った人はキャリアとしてホワイトハウスを加えたいだけ。
いやぁ、面白いけど、コレが原因で世界恐慌や戦争とか起こったらシャレにならん…そして、良心のマティスでさえ。 -
Posted by ブクログ
本書は、トランプ大統領の就任から約1年半という期間における、ホワイトハウスにおける筆者の取材に基づいて執筆されている。
最初、大統領当選が確定的になり、予想もしない結論に「幽霊を見たような顔」あるいは「恐怖にかられた表情」になるトランプが描かれる。「大統領選挙で接戦を演じた敗北」を選挙後に自分の商売に利用して利益を得ようと考えていた男が大統領になってしまったのだ。この本に描かれるその後のホワイトハウスでの日常も無茶苦茶である。これで国家が保てるのかと不安を通り越して戦慄を覚える。他国のこととはいえ、アメリカに依存せざるを得ない日本にとっては、深刻な気持ちにさせられる一冊であった。 -
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Posted by ブクログ
これだけの強い内容で未知の事柄が沢山並び、正に驚異の一言しかない書籍なのに、どうしても★5点に出来ないのは、たぶん著者が誠実さに欠けると感じるからだ。
例えばの話、「その場にいる誰もが*だと確信した。しかしトランプは」というような文章の際、バノン一人がどう思ったのかなら、後でバノンがそう思ったと言ったと内面の裏をとれるが、その場にいる人間が50人でも100人でもこの本では「誰もがそう確信した」と断言してしまう。ドラマとして書いているのか実はそんな細かいところまで裏がとれている物凄い本なのかが読者にはよく分からない。こういうノリが百回以上は出てくる。
だからトランプがいうように「デタラメな本 -