金谷治のレビュー一覧
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仁・義・礼・智・信を教義に掲げた儒教の開祖孔子の教えを、孔子の死後弟子達がまとめた本。
孔子と弟子の問答を主としており、複数人から書かれたものであるが、孔子の人物像がひとつに浮かび上がる。
儒教は仁義を尽くし、よく勉強し、驕ることなく生きなさいという教え。
外から見ると利己的思想への批判、清貧の尊さが主軸にあるようにみえるが、『論語』を通すと孔子が実行を重要視していたことが明らかとなる。
根底にあるのは強い自責・自戒への意識。
「自分を認めてくれる人がいないことを気にかけず、認められるだけのことをしようと務めることだ」という言葉が度々に登場する。
歳上から心配されず、友人から信頼され、歳下か -
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『古代中国大古典四書の1つ』
▶︎要約
孔子と弟子のやり取りが描かれている。
弟子の問いに対し、孔子が答えるという流れだが、
その答えがとにかく奥が深い。
人としてどうあるべきか、生きる上でどうするべきか、
1つの答えがこの本には詰まっている。
▶︎ポイント
・仁=他人を思いやる心
・礼=仁を行動に移つこと
・義=人としての道を貫く
・智=経験や知識
▶︎学び
・表面的である人は威厳がない
・間違ってしまったときは正直に反省
・人が自分を知ってくれないことを気にかけず、
人を知らないことを気にかけること
・知っているというのは好むにかなわない。好むというのは楽しむにかなわない
・人に教え -
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「上善如水」が飲み物としても言葉としても好きだったのだけれど、言葉としての意味は恥ずかしながらネットの知識しかなかったため読んでみた。
「孫子」が読みやすくて個人的に好相性と感じた金谷治先生による老子道徳経の上篇・下篇、全81章の解釈と解説。
構成として、各章ごとに「意訳」「読み下し」「原文」「解説」となっていたり、副題?を付けてくれているなど、初心者にも読み進めやすい工夫が随所に凝らしてある。
この人の古典解説本、親切で本当にすき。
全体の率直な感想としては「老子、水、好きだなぁ」というのと「不幸な弱者がこれ言ったからってただの強がりにしかならんでしょ」。
たまに老子自身も「これ言って -
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古典を読むにあたり、西洋哲学と共に
東洋思想もバランス良く織り交ぜたい。
本書は、「論語」「孟子」と共に四書
と呼ばれる儒教の代表的経典。
「大学」は、政治の根本は己の修養で
ある「修己治人」を説き、「中庸」は、
道徳の実践として「中庸の徳」「誠」
を説く。
リーダーとして仕事をする上で、又広い
意味で生きる上で必要な、人徳や道の
考え方を、中国古典を通じて学べるのは
驚きである。
一方で、政治の世界は、徳治主義より
法治主義が主流である点も、事実として
受け入れる必要がある。
本書は、原文、書き下し文、注、翻訳
が併記され大変読み易い。
何度でも再読して一文一文を味わい
つくした -
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そもそも、良い馬をつけたけんこな車を、五十里ごとに1つずつ配置し、それを中程度の普通の御者に任せたなら、できるだけ速く、できるだけ遠くにゆくということも、達成できるわけである(なにも飛び抜けたものが必要なわけではない)
事実とは思わないことでも、十人が言うとあるいはと疑い、百人が言うとそうかもしれないと思い、千人になるとかたく信じこんでしまう
古い時代では、男でも耕作をしなかった。草木の実があって食物は十分だったからである。(中略)ところが、今、一人の人に五人の子供がいるのは多いとはいえないが、その子どもたちがまたご人ずつの子供を生むとなると、祖父が生きているうちに25人の孫ができることに -
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古代の聖王の仁義の徳を語っても、それで国を正すことができないのは、これはやはりそれで遊ぶことはできても、実際には国を治めることのできないものだからである
賢明な君主は、相手が自分に背かないことを頼みとはせず、相手がそむけないような自分であることを頼みとする。相手が自分を騙さないことを頼みとはせず、相手が騙せないような自分であることを頼みとする
上君のともにおるは皆その師なり、中は皆その友なり、下はことごとくその使なり
そもそも烏を馴らすには、その下羽を切り取ってしまう。下羽を切り取ると、必ず人に頼って餌を食べることになるから、どうしても人になれない訳にはいかない
君主は外国を手本にしよ -
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現代の日本では儒学の読物としては論語から入る人が多いと思いますが、僕はこの大学から読む事を強くお勧めします。
全文くまなく金言である!などとは思いませんが、冒頭部など儒学の原理を端的にわかりやすく説明している気がします。
逆にここを抑えた上で他の四書を読むと理解、共感の度合いが非常に増す気がしております。
それと文庫本であるというのもポイントが高いです。
こういう本は気軽に持ち歩けなければと思っていますので。
※金谷さん以外の訳にしっかり触れた事がないので、訳ではなく書物そのものに対してのレビューを書きました。
ただ金谷さんの訳や注で不満は持っていない事を付け加えておきます。 -
Posted by ブクログ
儒教の基礎と極意がセットになったお得な本。
儒教の有名どころは一通り読んでので再読。
大学は儒教を学ぶ者がすべきことが簡潔に書いてあり、
中庸には最終的に目指すべき人物像が書いてある。
大学は分かりやすく、中庸は分かりづらい。
大学は修己治人の教えが一貫して説かれるが、
中庸は最初のうちこそタイトルの通りの内容だけど、
話があっちこっちに飛び、突然孔子と弟子達の問答になり、
著者による誠に関する説明が始まったりする。
誠というのはつまり意識しなくても善き行動が取れる事であり、
それが出来るような人は聖人と呼ばれるようになり、
意識して善き行動を取れる者は君子であり、
聖人である誠に至る事