【感想・ネタバレ】論語のレビュー

あらすじ

古代中国の大古典「四書」のひとつで、孔子とその弟子たちの言行を集録したもの。古い道徳主義のイメージをもつ人もあろうが、人間として守るべきまた行うべき、しごく当り前のことが簡潔な言葉で記されている。長年にわたって親しまれてきた岩波文庫版『論語』がさらに読みやすくなった改訂新版。

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Posted by ブクログ

そもそも2500年以上前の人が残した言葉を今読めるというだけで奇跡のようなことだと思うし、またその言葉には現代にも活かせるようなものが沢山あり、それもまた人間の普遍性に不思議を感じます。

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2025年09月30日

Posted by ブクログ


100%解釈出来たかと言えばおそらく全くだと思うが、基本的には「当たり前」の事が書かれていました。例えば「親を大事にする」とか「目上の人を敬う」だとか。しかし、当たり前だからこそ、実践出来ていないものや自分の生活に置き換えられるものが多く、好きなフレーズをチェックしておいて、教訓として読み返すことが出来ます。

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2024年09月29日

Posted by ブクログ

まえがきを読むだけで、いかに先人が大切にしてきた思想を丁寧に「翻訳」したのかが分かって感動する。
テキストの選定から、本邦の読み下し文、さらに和漢の解釈の検討・・・著者の金谷氏によると、奇説を避けて穏当な訳を心がけたそうで、まさに基本となる本だと思う。
読むたびに新しい発見がある。
この本でピンと来ないところも、より踏み込んだ解釈をしている論語本や、実業家による論語をベースにした人生訓みたいな本と比較しても面白い。
実際に、聖人と呼ばれた孔子も人間的なところがあり、いやむしろ、人間的な魅力に溢れた人だったからこそ、弟子や政治家との生き生きとした会話が何千年もの時を超えて今に伝えられているのではないだろうか。考えれてみれば、巷にいる「いい人」というのも、理想を持って「学」を好むかどうかという点の違いはあるが、聖人と本質的には違わない、大切な人なのかもしれないと思った。

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2024年08月03日

Posted by ブクログ

何度も読み返したい古典。読めば読むほど新しい発見があるとどなたかが仰っていたが、まさにその通りかと。
学生時代に読んだ時とはまた違った染み入り方をする。

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2024年01月08日

Posted by ブクログ

2,500年前の孔子の言葉を弟子たちがまとめた“論語“。

今読んでも共感できることが多くあります。

人を気にせず、周りの人を大切にし、謙虚に学び、実践し、また学んで、成長していく。

それが孔子の言う“仁“かなと思います。

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2025年04月16日

Posted by ブクログ

・いい意味で、思ってたよりも当たり前のことが書いてある。「他人には敬意を払おう」とか「くよくよせずに、おおらかでいよう」とか「音楽って最高!」とか。
・「上司や年上の言うことは絶対!」みたいな厳格なイメージだったけど、読んでみると意外とそんなことないな。むしろ「部下にはやさしくしましょう」って言ってるし。
・隠者に論破されそうになるところがおもしろかった。『荘子』で孔子のことが「社会的すぎる真面目な奴」として扱われてる理由がわかったよ。
・読む前と後で、孔子の印象がかなり変わった。おおらかでみんなに慕われてる学問と芸術が好きなおじいちゃんって感じの人だな。

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2023年06月12日

Posted by ブクログ

ビジネス書や教科書に採用される理由がよくわかった。ずばり簡潔でわかりやすく、思うことやアドバイスの内容が現代にも通じる。
論語は訳す人によって解釈が変わってくるので、同じ論語でも少しずつ違うのが面白いと思った。その中でもこの岩波文庫の論語は比較的忠実に訳し、解説を入れているので、少々わかりにくくても、自分で解釈を考えたり、余計な先入観を入れないという意味で最初に読む論語として適しているのではないかと思う。
私はアクティブラーニングと関連付けて読んでみたが、「生きるための論語」「アクティブラーニングとは何か」と一緒に読むと、より解釈を深められると思う。

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2021年03月07日

Posted by ブクログ

仁・義・礼・智・信を教義に掲げた儒教の開祖孔子の教えを、孔子の死後弟子達がまとめた本。
孔子と弟子の問答を主としており、複数人から書かれたものであるが、孔子の人物像がひとつに浮かび上がる。
儒教は仁義を尽くし、よく勉強し、驕ることなく生きなさいという教え。
外から見ると利己的思想への批判、清貧の尊さが主軸にあるようにみえるが、『論語』を通すと孔子が実行を重要視していたことが明らかとなる。
根底にあるのは強い自責・自戒への意識。
「自分を認めてくれる人がいないことを気にかけず、認められるだけのことをしようと務めることだ」という言葉が度々に登場する。
歳上から心配されず、友人から信頼され、歳下からは慕われる人物像こそが仁のある人だとし、そこを目指して繰り返し自己を省みる。
「背中で示しなさい、ともすれば人は付いてくる」というスタンスが基調。
中盤で朝廷での孔子の姿が描かれているが、弟子は口を揃えて「主に礼を尽くしているが、反面して雰囲気は穏やかだ」と礼讃する。
これは自らの思想と自己(言動)が一致した人間が纏える雰囲気なのだろう。
また書物による勉学も重要視した。
「過ぎたるは及ばざるが如し」の言葉にあるように「中庸」であることが大事だとし、実行における「中庸」を見極めるためには勉学が必要と説く。
勇敢でも智が無いものは、乱暴になるといったように。
『論語』を通して映る孔子像がこんなにも明確なのは、弟子達のあらゆる角度からの問に対し、言葉を濁さずキッパリと応える姿にあるように感じる。
有名な「四十にして惑わず」という言葉から見えるように、この頃にどのような問いにも、自らの信念から回答できる確信を得たのだろうと思われる。
逆に「四十になっても憎まれるのでは、まあおしまいだろうね」という厳しい言葉も残している。
しかし、たまに挟むこの様な厳しい言葉にも、弟子、人民への仁愛が滲み出ていて、憎まれることなく広く慕われていただろうことが容易に想像できる。
中高の漢文でほんの一部触れたことがなかったけども、全体を通すことでそのフレーズの意味合いも変わって見えるのが面白かった。
現代語訳だけならばサラサラと読めるし、オススメの本です。

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2020年05月04日

Posted by ブクログ

『古代中国大古典四書の1つ』

▶︎要約
孔子と弟子のやり取りが描かれている。
弟子の問いに対し、孔子が答えるという流れだが、
その答えがとにかく奥が深い。
人としてどうあるべきか、生きる上でどうするべきか、
1つの答えがこの本には詰まっている。

▶︎ポイント
・仁=他人を思いやる心
・礼=仁を行動に移つこと
・義=人としての道を貫く
・智=経験や知識

▶︎学び
・表面的である人は威厳がない
・間違ってしまったときは正直に反省
・人が自分を知ってくれないことを気にかけず、
人を知らないことを気にかけること
・知っているというのは好むにかなわない。好むというのは楽しむにかなわない
・人に教えるには相手の能力を考えなければならない
・読書と実践と誠実と信義
・良い友は正直、誠実、物知りな人。
悪い友は体裁ぶった人、上辺だけの人、口だけの人
・君子に対して、まだ言うべきでないのに言ったり、言うべきなのに隠したり、顔つきを見ないで話すのは過ち
・怒りは後から面倒、疑わしいことは問う、利得を前にしたとき道義を思う、聞くときには細かく聞く、見るときにははっきり見る

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2020年03月28日

Posted by ブクログ

孔子って人生において、何となく感じたことや、感覚的に感じていること、親や書籍そして先輩や友達などが言っていることなどを分析して抽象化、汎化ができる人だと思ったよ。

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2016年04月04日

Posted by ブクログ

孔子の言葉、『古の人の言を出さざるや、身の及ばざることを恥ずればなり』は、老子の『多言なればしばしば窮まる』に繋がるように感じます。
孔子が左伝に登場する鄭の宰相子産を敬愛していたことでも、孔子の人間性が伺えます。
孫弟子の孟子のように、議論で相手を叩く人ではないんですよ。

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2016年04月12日

Posted by ブクログ

2025.11.24
学ぶものとして、人として耳が痛い言葉があった
全部に賛同できるわけではないが一度読んでみて良かった

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2025年11月24日

Posted by ブクログ

古典を読もうシリーズ、2冊目。
「不惑」とか「温故知新」とかの元ネタが出てきて、「古典を読んどるなあ!」という気分になった。
「親の年くらい覚えよう」とか、当たり前ながらなかなか実践のできてないことがいっぱい。
結構メモったけど、いまいちピンとこなくて読み飛ばしたとこに色々新しい気づきがあるのだろう

それにしてもソクラテスも孔子も自分で書いてないのね。紀元前からひろゆきやホリエモンみたいな手法で本は作られてた。

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2025年10月29日

Posted by ブクログ

孔子とその弟子とのやり取りやエピソードから、君子(人格者)として徳を積むことの大切さについて考えることができる。有名な言葉も多く、自分の中で行動を起こせる格言としていくつか心得ておきたい。
背景がわからないと解釈の難しい話も多く、全体を通した上で何度か読み返すと良いと思った。

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2025年08月16日

Posted by ブクログ

論語は古典中の古典である。

江戸時代の総ての知識人は論語から学びを始めて、読書百遍意自ずから通ず、そこから自分の立ち位置を考え、生活設計をした。

荻生徂徠は、朱子学から始めてそれを政治に活かして江戸封建思想の基礎を確立したが、それも論語を批判的に読んだものだ。

その政治を批判した大塩平八郎は陽明学を基礎としたが、それも論語を批判的に読んだものだ。

更にそこから派生して佐久間象山は技術は海外から学んだが、頭は儒学から抜け出していない。その「和魂洋才」が明治維新を成立せしめた。

一方で町人には「仁義礼智忠信孝悌」の「八犬伝」の様に、なんとなく「仁=愛」が最高哲学との理解がされた。

また、本来は徳川封建制度の理論的支柱だった身分制度を保証する「名分」論が、幕末には、尊王思想の支柱に転換するなどの変化が起きた。

だから、それら本となる「言葉」を知るのは大変意義があるだろう。

そもそも、日本の思想はアガペーとか、エロスとか、そういう思想ではない。玉ねぎを剥いでいけば、跡形もなくなる様な雑種文化だ。しかし、どういう皮を、どのように纏ってきたのか、日本人の思想をスケッチしようとすれば、その過程を記録するに如(し)くはない。

と、言うわけで(←前置きが長い!)初めて全面的に論語を読むことにした。昔人は人生を懸けて読んだので、曖昧には読めない。ずっと棚晒しにしてきたけど、オーディブルならば12時間で聴き取れる。と思った。もう完全に初心者なので、気がついたことしか、メモしない。しかし、聞き始めて直ぐに気がついた。これはテキストを傍らに置いて聞かないとさっぱりわからない(^^;)。而して、時に併読、時に黙読せり。

これは私の「独習」ノートである。
読み下し文の後には〈〉や()で、編者による現代文を付している場合がある。
←は、私の解釈、並びに気がついた事を書いた。
約6千文字になるので、当然無視したり、飛ばし読みOKです。が、元より論語は物語ではないので、拾い読みでも充分OKです。古典中の古典なので、コメント頂ければ、議論が深まって嬉しい。


巻第一
・「君子」とは徳の習得に励む人、又は出来上がった人、らしい。
・「孝」父母に支えること「悌」兄弟に仕える「仁」は最高の徳目
←君子は一種理想の人であり、君子政治家は果たして孔子の時代に存在していたのだろうか。
・子曰く、学びて時にこれを習う(適当な時期におさらいする)、亦た説(よろこ)ばしからずや。朋あり、遠方より来たる、亦た楽しからずや。人知らずして(人がわかってくれなくても)うらみず。亦君子ならずや。
・巧言令色すくなし仁 
〈言葉巧みの美男には殆ど無いものだよ、仁の徳は〉
・子曰く、われ十有五にして学を志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳したがう。七十にして心の欲するところに従って、のりをこえず〈道を外れないようになった〉。
・子曰く、古きを温めて新しきを知る。以て師となるべし。
・子曰く、学んで思わされば則ちくらし(ものごとはハッキリしない)。思うて学ばざれば則ちあやうし(独断に陥って危険である)。
・子曰く、その鬼に非ずしてこれを祭るは、諂(へつら)いなり。義を見てせざるは、勇なきなり。(ためらって決心がつかないのだから、臆病ものである)
←巻第一は、有名な言葉がとても多い。蓋し、最初の頃だけ十分に学んで熟読した者が多かった、「学びて時に習わ」ざる学究が多かったということだろう。

巻第ニ
「成二は説かず、遂事は諌めず、既往は咎めず」
←いたずらに物事を刺激してはならぬ、という意味らしい。

木鐸 振り子でできた小さい鐘で文教に使う。文化的な指導者の例え。
←「新聞は社会の木鐸」などと使われている。論語に出ていたのか!そうなっているのか?最近では、新聞人自身が「そんなの知らねー」という態度のような気がする。

子の曰く、ただ仁者のみよく人を好み、よく人を悪む。
〈私心がないから、人を愛することも出来、人を憎むことも出来る。〉
←「好み」を編者は「愛する」と訳している。

子の曰く、朝に道を聞きては、夕べに死すとも可なり。
←覚えておきたい。

子の曰く、君子は徳を懷い、小人は土を懷う。君子は刑を懷い、小人は惠を懷う。
〈荻生徂徠「治者が徳を思えば被治者は土地に安住し、治者が刑罰を思えば被治者はお情けを思う」〉
←徂徠の解釈は、どれも突飛。

曾子の曰く、夫子の道は忠恕のみ
←注 忠は内なるまごころに背かぬこと、恕はまごころによる他人への思いやり。

子の曰く、3年、父の道を改むること無きを、孝というべし。
〈(死亡から)3年、父の方針を変えてはならない〉
←かなり厳しい掟。喪の期間は3年。北朝鮮将軍様でさえ、3年間喪にふくした。しかしながら、孔子は「喪を一年で終わらせてもいいですか」との問いに「お前がそうしたいならすればいい」と答えている(巻第9)。唯だ「父親が死んだら、3年間何食べても美味しくないのが自然ではないかね」と釘も刺している。

子の曰く、徳は孤ならず、必ず隣あり
〈道徳ある者は孤立しない。必ず仲間があるものだ。〉
←「徳」を「道徳ある者」と訳するのは疑問あり。

第三
子貢を評して 器という
〈「器物として限界はあるが、有用な人材としてどこにでも推薦出来る」〉
←そういう弟子っているよね。

子、子産をのたまわく、君子の道四つあり。その己れを行うや恭、その上につかうるや敬、その民を養うや恵、その民を使うや義。
〈恭しく、慎み深く、情け深く、正しいやり方。〉

李文子、三度思いてしかるのちに行う。子、これを聞いて曰く、再びせばこれ可なり。
←(考えすぎは良くないよ)

子曰く、「賢なるかな回や。一箪の食、一瓢の飲、陋巷にあり」
〈「えらいものだね、回は。竹のわりご一杯の飯と瓢のお椀一杯の飲み物で、狭い路地の暮らしだ。」〉
←「陋巷にあり」という本は顔回についての小説だったのか!

子曰く、これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。
←楽しむ>好む>知る
「知識だけではダメなんだよ」という事らしい。

子曰く。知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ。知者は動き、仁者は静かなり。知者は楽しみ、仁者は寿(いのちなが)し。
←知者は流動的な世界を好んで、動き過ぎ、楽しみすぎて短命である、といっているようだ。でも、仁者が長生きするというのはどうだろう。顔回は短命だったのである。

第四
子、怪力乱神を語らず。
〈先生は、怪異と力わざと不倫と神秘は、口にされなかった。〉
←不倫!!

子曰く、我3人行えば必ず我が師を得。
〈3人で行動すれば、きっとそこに自分の師を見つける。〉

子曰く。奢れば則ち不遜、倹なれば則ちいやし、その不遜ならんよりは寧ろいやし勿れ。
〈贅沢していると尊大になり、倹約していると頑固になるが、尊大であるよりはむしろ頑固の方が良い〉
←贅沢の方がケチより害が大きい。夫婦間でいろいろ使えそうではある。

子の曰く、君子はたいらかに蕩々たり。小人は長(とこし)えに戚戚(せきせき)たり。
〈君子は平安でのびのびしているが、小人はいつでもくよくよしている〉

泰伯第八
泰伯‥‥周の文王の父の李歴の兄で、かれらの父の大王が孫の文王の優秀さによってその父の方に位を伝えたいと思っているのを見てとり、国を棄てて南方の呉の国に亡命した。

子曰く、詩に興り、礼に立ち、楽に成る
〈人間の教養は詩によって奮い立ち、礼によって安定し、音楽によって完成する〉

子曰く、民はこれに由らしむべし。これを知らしむべからず。
〈人民は従わせることはできるが、その理由を知らせることはできない〉
←現代の理解と違う。日本国語大辞典には「人民というものは、指導して従わせることはできるが、その道理を説いて理解させることはむずかしい。また、人民というものは命令によって従わせればよいので、原理・方針を説明する必要はないの意でも用いる(←初出「町民嚢」1691)。」とある。つまり、江戸時代に歪んで解釈されたのである。確かに、現代でもファスト読書が流行るように、人民は難しいことを避けて単純な理解に陥りやすい。だからと言って、政治を司る立場の人間は「原理・方針の説明」を決して怠ってはならないと思う。それは、孔子の言っていることでもないのである。現代のエライ人が論語の此処を引用するときは、たいてい後者の意味だから「それって、江戸時代以降の解釈ですよ」とたしなめてあげましょう。

巻第五
子、四を絶つ。意なく、必なく、個なく、我なし。
〈勝手な心を持たず、無理おしをせず、執着をせず、我を張らない〉
←と、弟子は先生を評価しているが、本当だろうか。

子曰く、後生畏るべし。いずくんぞ来者の今に如かざるを知らんや。四十五十にして聞ゆること無くんば、斯れ亦畏るるに足らざるのみ。
〈青年は恐るべきだ。これからの人が今(の自分)に及ばないなどと、どうしてわかるものか。ただ四十五十の年になっても評判がたたないとすれば、それはもう恐れるまでもないものだよ〉
←「後生おそるべし」は青年のことを言ったのか!

子曰く、忠信を主とし、己れに如かざる者を友とすることなかれ。過てば則ち改むるに憚ること勿れ。
〈忠と信とを第一にして、自分より劣ったものを友だちにはするな。あやまちがあれば、ぐずぐずせずに改めよ〉
←友を選べ、という。まぁ確かにそうなんだけど、言われたくないよねー。

子曰く、三軍も師を奪うべきなり。匹夫も志しを奪うべからず。
〈大軍でも総大将を奪い取ることはできるが、1人の男でも、その志を奪いとることはできない〉
←江戸時代、浪人者のドラマに使えそうなセリフ。

巻第六
曾子曰く、君子は文を以て友を会し、友を以て仁を輔く。
〈曾子が言われた「君子は文事(詩書礼楽)によって友だちを集め、友だちによって仁の徳(の成長)を助ける〉
←結局、良き「友だち」を集めよ、という。類は友を呼ぶ、は果たして出典は何処か知らないが、論語からは遠くないだろう。

齊の景公政を孔子に問ふ。孔子對へて曰く、君は君たり、臣は臣たり、父は父たり、子は子たり。公曰く、善きかな、信に如し君君たらず、臣臣たらず、父父たらず、子子たら、吾得て諸を。
←論語において、「名分」論が書かれているのはここのみと言われている。後に「名分」を明確に論じたのは「荘子」なのだから、仕方ない。しかし、この言葉が後に封建社会の身分制度をかなりきつく縛ったのだから、ちゃんと見る必要がある。

巻第七
子路曰く、衛君、子を待って政を為す。子将に奚をか先にせんとす。子曰く、必ずや名を正さんか。子路曰く、是れ有るかな子の迂なる、奚ぞ其れ正さん。子曰く、野なるかな由や。君子は其の知らざる所に於て、蓋し欠如するなり。名正しからざれば、則ち言順ならず。言順ならざれば、則ち事成らず。事成らざれば、則ち礼楽興らず。礼楽興らざれば、則ち刑罰中らず。刑罰中らざれば、則ち民手足を措く所無し。故に君子之を名づくれば必ず言ふ可くす。之を言へば必ず行ふ可くす。君子は其言に於て、苟もする所無きのみ。
←いわゆる、「正名」論である。
優先順位の1番上に「名を正す」ことを置く、孔子の思想の根幹だと言えよう、ここから「名分」論が派生し、「大義名分」思想に移り、果ては幕末の尊王思想に移ることを考えれば、何度でも吟味すべき言葉だと言える。
また、韓国では「論語読み」が近代まで続き、果ては国民全員に広がった。結果的に「白黒をハッキリさせる」という事が、国民的体質にまでなった。大統領罷免運動などは、その最たるもの。従軍慰安婦問題なども、そこから来ているだろう。

小人なるかな、燓須や。上礼を好めば、民は敢えて敬せざること莫し。上義(正義)を好めば、則ち民は敢えて服せざること莫し。上信(誠実)を好めば、則ち民は敢えて情を用いざること莫し(真心を働かせる)。それかくの如くんば、則ち四方の民はその子を襁負して(おぶって)至らん。焉(いずく)んぞ稼(か=穀物つくり)を用いん。
←論語の本質は、民の心構えではなく、あくまでも支配者の心構えであったに違いない。

子曰く。如し(天命を受けた)王者あらば、(今の乱世では)必ず世にして後に(一代30年経って)仁ならん。
←「十二国世界」で王者出現30年後に政治が安定したのは、これを言うか。

子の曰く、速やかならん(早く成果をあげる)と欲する勿れ。小利を見ること勿れ。
←孔子は、魯の町の取り締まりになって政治のことを聴いてこたえているので。もしかしたらかなり具体的な答えだったのかもしれないが、使い勝手のいい言葉で広がっている。

子曰く、君子は上達す。小人は下達す。
〈君子は高尚なことに通じるが、小人は下賎なことに通じる〉
←まぁ現代でも同じ。わたしも下賎に通じている。

子曰く、古の学者は己れの為にし、今の学者は人の為に(人に知られたい為に)する。
←普通に読めば勘違いするような箴言。

子曰く、人の己れを、知らざることをうれえず、己れの能なきをうれう。
←古今東西、多くの努力の人が、ここを読んで自らを慰めたに違いない。

巻第八
子曰く、君子は能なきことを病(うれ)う。人の己を知らざることを病えず。
←巻7の32と同じ事を言っている。論語にはこういう繰り返しが多い。つまり、承認欲求を捨てよ。とのお言葉である。しかし、一方で、

子曰く、君子は世を没えて名の称せられざることを疾(にく)む。
←今の名声のために気を配るのは良くないが、いつかは真価が認められるようにと自分を磨くべきだ。という。

子貢問うて曰く、一言にして以て終身これを行うべき者有りや。子曰く、それ恕か。己の欲せざる所、人に施すこと勿れ。
←この場合、「者」は「こと」と解している。「恕」とは「思いやり」である。蓋し、この2500年間、いったい何億何千万人が、この言葉を胸に人生を過ごして来たことか。但し、原典で孔子は「まぁ恕だね」と、珍しく断定口調で言っていないことは、発見である。

子曰く、人能く道を弘む。道、人を弘むるに非ず。
〈先生が言われた「人間こそが道を広める事ができるのだ。道が人間を広めるのではない」〉
←なんと、これはAI時代における、人間とAIとの関係の如し。

子曰く、過(あやま)ちて改めざる。これを過ちと謂う。
←「過ちをしても改めない、これを本当の過ちと言うのだ」又はこうも言っている。「「小人の過つや、必ず文(かざ)る」…必ずとな!誤魔化すとな!自らを省みて我小人也か。

李氏第16は、突然の長文で、ここで書き写せない。しかし、内容は重要。何となれば、平和外交論であるから。
「遠人、服せざれば則ち文徳を修めて以てこれを来たし、既にこれを来たせば則ちこれを安んず」〈遠方の人が従わない場合には、武力に頼らないで文の徳を修めてそれをなつけ、なつけてからそれを安定させるのだ〉それを発展させて、〈国内について、公平と和合と安定を努めるのでなければ、内乱が起こるぞ〉とも助言している。子路とせん有という弟子が小国の家臣になっていたのでの助言なので、かなり具体的。
←孔子は戦争を否定していない。けれども決して勧めない。

孔子曰く、天下道あれば、則ち礼楽征伐、天子より出ず。天下道なければ、則ち礼楽征伐、諸侯より出ず。(以下略)
←礼楽と戦争が、同列に論じられているのが、論語なのである。

巻第九
子曰く、性、相近し。習えば遠し。
〈生まれつきは似通っているが、しつけ(習慣や教養)で隔たる〉
子曰く、唯だ上知と下愚とは移らず。
〈誰でも習いによって善くも悪くもなるものだが、唯だとびきりの賢い者とどんじりの愚か者とは変わらない〉
←思えば、此処からエリート教育主義がおそらく数千年間行われたと思われる。

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2024年06月26日

Posted by ブクログ

孔子は、至極最もな当たり前のことを話す。
愚か者と突き放すこともある。しかし、全体を読むと、愚か者・学のない者=過ちを改めない者・学ばない者のことを指していることに気づく。
気に入った言葉トップ3
『冉求が「先生の道を[学ぶことを]うれしく思わないわけではありませんが、力が足りないのです。」といったので、先生はいわれた「力の足りない者は[進めるだけ進んで]中途でやめることになるが、今お前は自分から見切りをつけている。」』-p.113-
『先生がいわれた、「教育[による違い]はあるが、[生まれつきの]類別はない。[誰でも教育によって立派になる。]」』-p.323-
『季文子は三度考えてからはじめて実行した。先生はそれを聞かれると「二度考えたらそれでよろしいよ。[考えすぎはよくない]」といわれた。-p.98-
当たり前のことを見直させてくれる良い本だった。

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2023年07月10日

Posted by ブクログ

カタチとキモチは結びついている。「ありがとう」と言ったり、お辞儀をするのが礼(カタチ)。そこに感謝の気持ちを込めることが仁(キモチ)。仁の気持ちを持てば、それは礼に現れる。礼を実践することは、仁の実践につながる。▼仁を持っていれば、親や年長者を敬うはず。身近な人への愛情を他の人にも広げていくことが仁の実践。▼仁や礼を体現するような人が為政者にふさわしい。法や刑罰による統治では、人々の人間性の向上につながらない。為政者の徳が重要だ。孔子

春秋時代、周の権力が衰え、下剋上。無秩序。正しい秩序があれば、政治、文化、教育、軍事は天子の権利だが、正しい秩序がなくなると、諸侯の権利になり、大夫の権利になり、やがて諸侯の陪臣の権利となり、とても無秩序になる。孔子

君子は誰とでも協調できるが、どんな意見にも同調するわけではない。小人は人の意見に簡単に同調するが、協調しようとしない。孔子

(他から)學びて(自分で)思はざれば則ち罔(くら)し。(自分だけで)思ひて(他から)學ばざれば則ち殆(あやう)し。孔子

巧言(こうげん)令色(れいしょく)鮮(すくな)し仁(じん) 。巧みな言葉を用い、表情を取り繕う者は仁の心を欠く。

過ちて改めざる。これを過ちという。孔子

子曰わく、吾十有五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳順(した)がう。七十にして心の欲する所に従って矩(のり)を踰(こ)えず。※耳したがう(人の言葉を偏見無く聴く事が出来る)。自分の心のままに行動しても人道を踏み外す事がない。孔子

女と子どもは甘い顔をするとつけ上がり、構わないでいると怨んでくる。孔子『論語』

今かりに幼児が井戸に落ちそうなのを見れば、だれでもはっと驚き深く哀れむ気持ちが起こって助けようとする。利害損得ではない、反射的に起こる。人間の本性が善であるからだ。人間は善になる種タネを生まれながらに持っている。▼為政者は思いやりと正義にもとづいて、民衆の幸福を第一に考えるべき。そうすれば民衆は自然と服従するはずだ。▼思いやり(キモチ)と正義(仁義)のない為政者は、王である資格を失っており、討伐されるのが天の意志だ。天命が革まる(天の意志があらたまる)。革命。天子の姓が易わる(かわる)。易姓。仁と義が大切。孟子
*去る者は追わず、来る者は拒まず。
*本に書かれていることをすべて信じて疑わないなら本を読まない方がよい。
*人の言動に違いがあるのは、地位や境遇が違うからだ。

人間はまず自分の空腹を充たすことを考える。他人の空腹を優先させることもあるが、それは後から学ぶもの。人間は生まれながらにして自分の利益を求めるものだ。カタチ礼と義が大切。▼高山に登らざれば、天の高きを知らず、 深谿に臨まざれば、地の厚きをしらず、 先王の遺言を聞かざれば、学問の大なるを知らざるなり。▼青は藍より出て、藍より青し。荀子

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異民族ツングース人に滅ぼされた漢民族の王朝・北宋。漢民族の王が南に逃れて作ったのが南宋。異民族に蹂躙・抑圧される漢民族。異民族よりも漢民族の方が上だ、と言いたい。上下関係がある、と言いたい。大義名分論(上下関係)、朱子学の誕生。

朱熹の朱子学 1100年代
江戸の朱子学 1600年代

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2025年08月01日

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周礼を理想として生きる孔子とその弟子とのやりとり。時代は違えど孔子の伝えたかったまごころは現代にも伝わってきます。平時ならよかったのに。

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2022年01月01日

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漢文、日本語読み、現代語訳が一緒になっているものをさがしていたので、最適だった。

現代語訳は他の本の方が詳しかったりするけど、十分。

今の自分が気になったのは自分の身の振る舞い方に関するものがほとんど。

思いやりを持って相手に接して、へつらうのではなく敬意を払い、正義を貫くのが大切と、今の自分は感じた。

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2021年08月12日

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論語を訳した書籍はいくつもあるけれど、こちらはおそらく初心者向け。

人が生きる上で最も必要な「道徳」を学べる本です。自身の今の考え方や思想の基盤にもなっています。

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2021年05月28日

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四書(『論語』『孟子』『大学』『中庸』)代表格というべき『論語』。原文、読み下し文、現代語訳と簡単な注で構成されている。岩波文庫 金谷治訳注の『論語』は、朱子の「集注」(いわゆる新注)でなく、古注である。ただし、重要な異説は注として併収されている。

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2019年01月13日

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日本における道徳心や文化、価値感などに大きな影響を与えている。時が経っても社会や人間の本質が変化していないことがわかる。

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2017年03月14日

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小籔さんが大説教イベントでお勧めしてたのをきっかけに読み始めた。
この本は価値があるわ。
子曰がポイントやね。礼や徳を追求した孔子は自分でひけらかそうと書物にすることはなかったけれども、それによって育った弟子たちの語りが留まることを知らんね。
21歳の私でも今まで生きてきた中で感じてきた社会の違和感があって、それがおかしいことなんやとこの本によって心の奥深くに染み込むように教えられた。
何より自分がどう生きるかの指針となってくれる名著。

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2016年05月17日

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ネタバレ

江戸時代に武士のみならず庶民の価値観にも影響を及ぼした孔子の教え、孔子が何を曰ったのかが掲載された一冊。
孔子の言った言葉、弟子とのやりとりが、まず漢文で書かれ、その下に現代漢字への書き起こしがあり、さらにそれを現代語訳、および単語の注釈が一つのブロックになっている。
ただし、その意味するところは解説がないので、彼の言ったことの真意はよく分からない文章が多い。

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2025年08月14日

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新しいことを言っているのでなく、何年も繰り返し語り継がれるだけある当然のこと、常識的なこと、人としてあるべきことが列挙されている。新しい知識が増えるわけではないが、数千年前の話でも現代まで残っているという歴史的事実がその正しさを証明しているということを認識できたのが、自分の中での発見と言えるか…

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2025年05月24日

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もっとぐいぐい人生訓が押し寄せるのかと思いきや
当時の時代でなければ意味のないようなことや
単に孔子はこう思った程度のことや
あまりにも雑然としている
これを繰り返し読むとかちょっと理解できない
ただ生き残っている古典中の古典
繰り返して読むのが良いのかもっと安直な解説本に
当たる方が良いのか

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2021年07月22日

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読書会課題本。言うまでもなく儒教の主要書。本書は孔子がどんな人柄だったかを教えてくれる。しかし、個人的にはその孔子の人間的魅力がよくわからないままで、消化不良に終わった。

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2021年04月27日

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難しい哲理が書いてあると思ったが、平易な言葉で、人の取るべき行動や姿勢が語られていて、あっけないほど。

日本語翻訳がなければ、100ページにも満たない文章。
後世に非常な影響を与えた儒教のおおもとが、これだけとはね。
ちょっと信じがたいほどです。

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2020年05月08日

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古代中国の大古典「四書」のひとつで、孔子とその弟子だちの言行を集録したものになります。

原文、読み下し文、訳文で記載された構成になっており、読みやすいです。
原文を読みたい方には最適だと思います。
私は訳文のみを読みました。

論語は体系的にまとめられたものだと思っていましたが、孔子やその弟子の言行をメモして集めたもので内容がバラバラに集められているのには少し驚きました。
でも、紀元前の話ですから、それが伝聞されているだけも素晴らしいことですね。

孔子が弟子を批判したり、褒めたりしている内容も多く、人間らしさが感じられたのも新鮮でした。

論語といえば、
子曰く 「吾れ十有五にして学を志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳従う。七十にして心の欲する所に従って、矩を踰えず。」
しか知りませんでした。

今回、読んでみて有用な言葉を他にも見つけることができました。
やはり、長く読まれているものは有用です。
みなさんも自分なりの良い言葉を見つけられると思います。

ただ、個人的にはピンとこないというか、どうでも良さそうなものも集録されているので、玉石混合的なのは、面白さでもあり、短所でもあるかなと。。。

なので、評価的には平均にしました。

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2020年02月01日

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本や古典好きではない自分が、いきなり「論語」を読むには無理があった。

「論語物語」などの入門書を経て、論語の基礎知識を得た段階で1日1行ずつ読むにはいいかも知れない。「人生は論語に窮まる」を読んで、再トライしよう。

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2016年09月12日

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