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Posted by ブクログ
第3巻でも引き続き現実主義に立って、理想論ではなく現実の統治とはいかなるものかを説いている。
前半の説話集では、宋襄の仁や矛盾などの説話が語られている。宋襄の仁は、まさに孔子が理想とする仁の発想が、リアルな政治の現実では役に立たないことも多いことを示している。また、全体として、完全無欠ではない君主が利益に左右される臣下をいかに統率して行くかという点に重きが置かれている。理想論よりは、今の現実社会にも妥当するのでは無いかと思う。
後半の難とされる一連の章では、議論の様相がディベートとなる。前提として過去の説話を紹介した上で、或るひと曰く、という形で別の現実的な視点から批評する。最後の方の章では、批評が二段構え(別々の視点から批評を二回)となっており、奥深さを増している。言いがかりでは?という項目もなきにしもあらずだが、議論の立て方を学ぶ上でも参考になると思う。また、批評の対象として理想の君主であった斉の桓公やその宰相の管仲がかなりの頻度で槍玉に上がっており、題材の選び方も面白かった。
Posted by ブクログ
古代の聖王の仁義の徳を語っても、それで国を正すことができないのは、これはやはりそれで遊ぶことはできても、実際には国を治めることのできないものだからである
賢明な君主は、相手が自分に背かないことを頼みとはせず、相手がそむけないような自分であることを頼みとする。相手が自分を騙さないことを頼みとはせず、相手が騙せないような自分であることを頼みとする
上君のともにおるは皆その師なり、中は皆その友なり、下はことごとくその使なり
そもそも烏を馴らすには、その下羽を切り取ってしまう。下羽を切り取ると、必ず人に頼って餌を食べることになるから、どうしても人になれない訳にはいかない
君主は外国を手本にしようとするものだが、外国の事情が正しく伝えられなければ事は成功しない。君主は古代を手本にしようとするものだが、学者の説明が適切でなければ名誉は上がらない
お前の身に利益を得たいと思ったら、まずお前の主君が利益を得るようにすることだ
Posted by ブクログ
韓非子第三冊。矛盾・良薬口に苦しは本書に収録されている。
第二冊に書いたように、信賞必罰・上下関係の絶対がくどいくらいに書かれている。正直、やりすぎだと感じるような一節も目に付く。たとえば、秦が飢饉になった時に、臣下が民のために五つの御苑の野草や野菜・橡の実や棗・栗を開放するように進言したのに対し、
「わが秦国のほうでは、民は功績があれば賞を受け、罪があれば罪を受けるのだ。今、五つの御苑の野菜や木の実を開放すると、民は功績のある者も功績のない者もともに賞を得たことになる。そもそも、功績のある者もない者も、みな一緒にして民に賞を得させるというのは、これは国の乱れるもとである。まずは、五つの御苑を開放してそれで国が乱れるよりは、棗や野菜をすててもそれで国が収まるに越したことはない」…シビアすぎる。他にも共感できないシビアすぎる事例が散見された。
一方、印象に残った一節は以下。
「人のためにしているという心を持っていると、人を責めたり恨んだりすることになる。自分のためだと思えば、事は順調にはこぶ。」昔教育実習で来ていた先生が、お別れの言葉で「努力は人のためにするものではない。自分のためにするものである」と言っていたことを思い出した。
「『尭が舜のすぐれているのを見ぬいたというのは、とくに難しいということではない。あの諌める者を殺してまでして、舜に譲ることをつらぬいたということ、それこそが難しいことだ』。別の伝えでは、こうある。『疑う者がいるからといって、それで自分の見ぬいたことをあきらめないというのは、難しいことだ』。」全くその通り!君主でさえ難しいのだから、一般人にはさらに難しいことだと痛く共感した。
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