三浦佑之のレビュー一覧
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日本最古の仏教説話集『日本霊異記』は、景戒という僧によって9世紀初頭に編纂された。収められた話の多くは、律令と仏教が日本列島に定着することによって大変貌を遂げようとする8世紀という時代を背景にもち、そのなかで生きる多彩な人びとの不思議な日常を姿を描いている。仏教を信じる人も、仏教を謗る人も、仏教なんて関係ないという人もいて、みな、時代のなかでたくましく必死で生きている。8世紀という時代と、平城京およびその周辺のごくふつうの生活を知りたいのなら、『日本霊異記』を読むのがいちばんいいのではないかと思う。その導入として、お勧めしたい一冊である。
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試し読み
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ネタバレ店頭に並ぶのは10月15日以降ですが、わたし著者なので、もう何度か読みました。校了しまして、現在印刷製本の真っ最中です。まだ書店にならんでもいないのに申し上げるのはなんですが、この本は「買い」です。今まで、風土記に関してこのようなかたちで、小さな項目まで取りあげて周辺の情報も含めて読むというようなことは、ありませんでした。しかも今回の本では、自然やくらしなどの日常的な世界がていねいに紹介されていますので、古代の人びとの生活も想像することができると思います。とくに事件があるわけでもなく、有名人が出てくるわけでもありませんが、そのぶん、親しみがわくこと請け合いです。本屋に並びましたら、ぜひ、お手と
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匿名
購入済み入門本としてはいいかも。
スーパー歌舞伎で「ヤマトタケル」を観るため、周辺知識の予習で読みました。
今まで知らなかった観点(筆者の意見が定説なのかはわからないのでこの言い方です。)を知ることもでき、
勉強になりました。 -
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『古事記』と『日本書紀』を中心に考察をおこない、古代の日本人がそのなかに生きていた世界観を解明している本です。
本書は二部構成となっており、第一部「歴史叙述の方法」では、『古事記』と『日本書紀』のそれぞれが、どのようなしかたで歴史を物語っているのかということを主題としています。『日本書紀』は、中国の歴史書のスタイルを踏襲し、編年体というかたちを採用することで、国家の時間と空間を一定の秩序のもとに統一的に語っているとみなすことができます。これに対して『古事記』には、そうした明白な歴史叙述の統一原理が存在せず、むしろさまざまな伝承をそのうちに抱え込むことで、国家の歴史という枠組みそのものを内側か -
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昨年9月刊行。現在の三浦史観の集大成。「古代ヤポネシア表通りをゆく」という副題がつく。ヤポネシアは作家・島尾敏雄が日本列島を言い表した造語。著者は更に、古代では日本海に面した列島の海岸沿いこそは表通りだったと喝破する。ヤポネシアという名称はちょっと突飛過ぎてなかなか人口に膾炙しないかもしれないが、古代に未だ日本という名前は無く、自ら倭国と卑下するのもおかしく、国際的に当時の列島を言い表すならば良い名前かもしれない。そして地図上で、列島を大陸を下にして置いてみれば、正に日本海を通じて、北九州、山陰、北陸が表玄関だったことにガッテンがゆくだろう。
三浦祐之氏は、日本を代表する古事記研究者である。 -
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三浦佑之さんは以前紹介した「日本の神様図鑑(大塚和彦)」のようななんちゃって古事記研究者ではなく、私の信頼するガチの専門家である。神話時代と弥生時代を一緒に記述する学者が多い中で、三浦さんはキチンと分けている。
本書は三浦さんのガチの古事記研究書である。古事記は日本の最古の歴史書であり、弥生時代研究にも、やはり重要参考書であることは間違いない。
三浦さんは天武天皇が勅選して作らせたという記述がある古事記の「序」は9世紀の偽造だと主張する。さらには明治政府は、国家を安定させ永続させるためには、「法」とともに、国家の精神的な支柱になる幻想が必要だと考えた。それが「記紀神話」として一括宣伝した理