杉山登志郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
子育てのhow to本と思って読むとちょっと違うと思うだろう。
要は愛着形成が大事ということなのだけど、描かれる内容のほとんどが発達障害や子ども虐待を取り巻く現状の不備や著者の怒り等で読んでいてやや重い(架空の人物による対話形式で語り口は軽いけれど)
この本を読もうと思う親はちゃんと子どもに愛情を持って接していると思うので「第4の発達障害」と著者がいう虐待による愛着障害には当てはまらないだろう。なので子育て前に読むか、発達障害について少し勉強してみたいという人向けではないだろうか。
突飛な発想やまだ説としては研究中のものも載っているので考えながら読むのがいい。 -
Posted by ブクログ
べたなタイトルと思いましたが、内容は一般向けでも発達障害の専門的な内容を扱っていてなかなか面白かったです。
対話形式なので、冗長な部分もありますが、理解もしやすいです。
各章のまとめも、各章の最後のページにあります。
近年は、愛着障害による発達障害が増えてきているとのこと(あるいは発達障害の定義が広がってきたのもある)。
愛着の形成は3歳ごろまでに完成して(脳の発達にも影響する。脳の神経発達自体は、5~6歳で一定の完成)、これが、社会的な行動の土台になるそうです。
三つ子の魂百までは、本当なんですね。
最近1人でベビをお風呂に入れ、保湿剤とステロイドを嫌がるベビに -
Posted by ブクログ
いままで読んだ3冊の発達障害の新書のうち、2冊はいい加減なゴミだったが、こちらの本はとてもよくて、まともな本だった。真摯に臨床にあたった豊富な経験と研鑽、知識から、叙述されているのはこの先生の本だけだった。
・トラウマの解消 EMDRの方法 (P124)
治療者が患者の目の前に指を2本たて(人差し指、中指)、その指を左右にふる。患者は目で指を追う。その眼球運動とともに、トラウマになっている記憶の想起をおこなうと、なぜかその記憶との間に心理的な距離がとれるようになる。
・療育の目標はトラウマを作らないこと。
体罰を避け、大きな声で怒鳴るのは極力避けたい。強く叱責されたときは周囲の情報が飛 -
-
-
-
Posted by ブクログ
ネタバレ発達障害は遺伝的要素と環境的要素があり、適切な介入により緩和(完治ではない)できる、というのが本書の趣旨であると思う。
2001年から2010年まであいち小児保健医療総合センターで心療科(児童精神科)部長として赴任した著者が、その臨床の中で得た知見をまとめた本書は、2011年現在の「発達障害のいま」を伝えてくれる。もちろんこの世界は日進月歩で2017年現在には2017年の「いま」があるわけだが、まずは知る所から始めたい。
「発達障害」というのは法律で決められた用語であるのだが、その「障害」という字面から重く、しかも悪いものと受け止められがちである。しかし必ずしも自立した生活が営めないわ -
-
Posted by ブクログ
人生の早期に子供に挫折経験を与えて良いことは一つもない。 p.22
この受精に始まる一連の過程は、それ自体、様々なリスクをはらんでいることに留意してほしい。一対の遺伝情報が二つに分かれ、その片割れ同士がくっついて新たな遺伝子の一対を組み上げるのであるから、その最初の作業自体がさまざまな困難をはらんだ仕事である。
そもそも何のために、このような危ないことを世代毎に行わなくてはならないのか。これについて、固定した遺伝子は状況の変化に対応できないから、という説明がなされている。少しずつ変化するためにこそ、このような危ない橋を渡るのである。言い換えると、この段階で、すでに様々な突発的な変異が起きるこ -
-
Posted by ブクログ
明解なフレームワークを得るまではいたらず。しかし概要はつかめた感じ。
「躾と思ってやった」
虐待で子供を殺めてしまった親のかなりの割合がこれを言う。もちろん子育てにおいて躾が要らないとかそういう話ではないが、どうしても適応が難しい子供もいる事。そういうのが明らかになってきたというのがこの発達障害というもののようだ。そしてしかるべき対応は、もちろん本人のためでもあるし、その家族、大きくは社会のためでもある。
本著終盤に出てくる市井三郎氏の一言は、まさにこの点をさしている。
「歴史の進歩とは、自らに責任のない問題で苦痛を受ける割合が減ることによって実現される」 -
-