福永令三のレビュー一覧
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ネタバレp234で明かされる、人間と結婚したがる12妖怪の真相がなかなか悲しいものだった。
〜除草剤をまかれ、ロードローラーで地ならしされて高速道路にされてしまえば万事休す。そこで、むらさきの花々のなかで、人間の肉体に直接根をはって寄生しよう、と思いついた集団があらわれた。魔神、フーガの手によって、かのじょらは人間と直接結婚できるように、魅力的な女性につくりかえられた。そのさい、魔神は、植物たちが後悔できないようにと、すべての記憶を破壊した。
妖怪たちにうえつけられたのは、
「求愛、三々九度、リング、リング。」と、ひたすら結婚意欲をかきたてる合いことばと、
「コセキサカダチゴヨウジン。」という自戒を -
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ネタバレロペとキャベツの物語、
赤いぼうしの2作品収録。
ロペがうさぎの大好物であるはずのキャベツが嫌いだが、好物のくず草は冬に手に入らないので年中手に入るキャベツをどうにか食べさせたい飼い主(和尚ら)。
夢の世界で旅をしながら、赤い目をした可愛い兎と出会い、美味しいキャベツをすすめられて食べるが、あまりキャベツは好きでは無いのだなと勘づかれて気まずい雰囲気になり、こんなことなら和尚さんから貰ったキャベツを食べなれておくのだったと後悔するロペ。そしてキャベツを食べるようになる、という話。
後半の赤いぼうしは、公園に落ちていた赤いぼうしの持ち主を探す話だが、こちらの方が好みだった。
「うちのばあち -
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ネタバレ茶色の学校の廃校を巡り、パイプ破損を切り札になんとかできないか悩むおたま(主人公)。
古物商を呼んで学校の備品を売ろうとする校長。
おたまが何者かに誘拐され、孤島の小屋で縛られる。などミステリー展開。
終盤はミステリー小説の謎解きシーンのように、皆に振る舞われたきのこ鍋(クレヨン王国のきのこが入っており、正直に話したくなるきのこや、軽く酔っ払うきのこなどが入っていた)により、何人かから本音が漏れ、遂にパイプの破壊やおたまの誘拐まで指示を出していた犯人が名乗りでて告白し始める。
おたまに変身できるホルトダヌキと協力して廃校されないよう奮闘する、そんな二人のやりとりにほっこりする。
上巻は展 -
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ネタバレアトピー性皮膚炎に苦しむ女の子が湯治に行く話。湯治のために1ヶ月学校を休めたり、混浴なのでおじさんも入ってきてふざけながら女の子の体を見にきたり、時代を感じる。
表紙のホルトダヌキの絵が可愛い。
学校は刑務所みたいなもの。仕方なく過ごしているが、1人の人間として本当なら早く働きたい。みんなそう思ってると思う。自由な時間が欲しい。学校があるせいでアトピーになったのだろう。学校へ行かなくていい今が幸せ。このまま続けばいいのに。大人も1日学校へ通ってみればいい。うんざりするはず。
のようなことを語る場面があり、私も子供の頃は大いに共感しただろう。
大人になった今は、大人だけの学校なら素直に学ぶため -
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ネタバレ冒頭のファンレターにて、宛名が書いてなかったり、切手代わりにシールが貼ってあったり、封筒の中にそのまま小銭が入ってたり、児童文学作家あるあるな話で、手間だけど嬉しいだろうなと面白かった。そりゃあ受け取り拒否なんてできませんよね。
オタマジャクシや金魚先生の話かと思いきや、終盤はオタマジャクシを救うには水が必要で、そこへ現れた24色ゆめ列車に乗り、課題をクリアした絵を描くとご褒美が貰える(前半は水に因んだもの)が、尽く失敗。失敗し続けて車両を移動していくと、最終的には、幼い頃共に24色ゆめ列車を画用紙に描いた林くんがいた。
林くんは8人もの弟や妹を抱え、空襲の最中、火消しのため水を汲んでいて亡 -
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ネタバレ一円玉を身体に貼り付けた人々がパニックになる"死魚の豪雨"はなかなか残酷だった。冒頭では怒りに支配されていたカッちゃんだが、運動が苦手であるエピソードに凄く共感した。水色と黒色のクレヨンらは暗い話を少し明るくする担当。
月のたまごに登場した開祖ダミャーニナ師や愛馬スーダンの像や、住まいだった青目庵、今では二代目庵主になったオルガ、文化財保護局長のキラップなど、懐かしい面々が登場したのは嬉しい。
クライマックスとも言える死魚の豪雨自体がこの本の殆ど終盤であり、そこから護符を大ナマズに渡して現実に帰ることになるが、終わり方が駆け足という感じであっという間で物足りなかった。これ -
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ネタバレ鏡の森の城に主要メンバーが集まり始め、それをダガーがもろとも燃やそうとする。
アラエッサとストンストンの俳句大会や祭りの参加はつかの間の明るい話だったが、最終巻に向けて緊張が高まっていく。
アラエッサとストンは祭りに参加するとアラエッサの昔馴染みのケンちゃんと再会し、仕事を手伝うことになり、鏡の森の城へ絵画を取りに自転車をこぐ。途中、病院に向かう青ころり罹患者に会い、月のたまごという薬の話を聞いてまゆみがいると知り、病院へ急ぐ。到着するも、まゆみは城へ行ったきり帰ってこず3日ほど経ったことを知り、付近で健康そうな者もいたので志願者を募り、20名ほどを連れて城へ向かう。
まゆみは指輪から三郎の -
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ネタバレダマーニナやダガーらのそれぞれの思惑などが語られ、実際にはどうゆう展開になってくるか。
三郎は子馬に導かれて沼に潜り、水色のたまごのようなものに近寄ると海の小人達が暮らしていた。
エビやカニを養殖して町を作ろうとしていた。
巧みな筆遣いで紙に絵を描き三郎に情報を伝える。月からタマゴラインで水色のもやの宇宙船に乗り沼に来たこと、人間は元々陸の小人であり海の小人と兄弟であること、人間によりたくさんの小人が犠牲になっていること、月のたまごがあれば双方が仲良く暮らしていけること。
しばらくまゆみと過ごしていた目が見えなかった白い子馬は、たまたま居合わせたマート=ブランカ大尉に手術ですぐ治ると言われ、 -
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ネタバレ冒頭から、
「夏休みの宿題の代わりに夏休みの歌を完成させなさい。( )の中に1番嫌いな曜日と嫌いな理由を書きなさい。」
と先生がプリントを配り、みんな様々な理由を考えて提出していくのだが、私からしたら断然"体育"である。
しかし歌の後半では、
〜平気になろう( )なんか
やっつけちゃおう( )なんか〜
とあり、いかにも嫌いなものの克服が課題のようで、運動が苦手な人間が夏休み中にそれを克服するなんでよっぽどのことだぞと、不満しかない。
生まれつき心肺機能が弱くて、未だに一定時間走ると息切れが酷いのに。
小学生の頃にこの本を読んでいたら、ここで読むのをやめていたかも -
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ネタバレ子供の頃に読んで、難しいことはよくわからないなりにラストシーンの切なさやアオザメオニの怖さだけ記憶に残ってた。
大人になって改めて読むと、かなりしっかりと環境問題をテーマにしてることに驚いた。
書かれた当時は80年代、まだ公害問題も過去の話ではなかった時代だもんね。作中で書かれてるような再開発推進派と反対派の対立も、当時なら子供にとってもニュースで聞いたりしてまぁまぁ身近なものだったんだと思う。
たぶん発売された時代の子供の感覚で読んでたら「こんな環境破壊なんてひどい!」って感想を抱いたんだと思うけど、令和の大人の立場で読むと「人間の生活水準維持と自然の保持、両立させられる道があれば本当に素敵