矢野真千子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
とてもとても面白い。
臨場感もあるし、現実を見るという意味でも素晴らしい切り口の本。文章も読みやすく、下手なミステリよりもはるかにミステリっぽい。
面白いのだが、読むのにすごく時間がかかった。その理由は、すげえ腹が立つから……もうね。この本に出てくる、この博物館の標本を盗んだヤツをね、二重三重にボコりたい。めちゃくちゃにボコりたい。ボッコボコにしたい。もうね。こんな感覚久しぶりですよ。こんなにも腹立たしくて、相手をボコりたくなったのは……
博物館に収蔵されている標本が、毛針愛好家の手によって盗まれて、良いようにバラバラにされて売りさばかれたっていう事件のルポルタージュなわけだけれど、この本の内 -
Posted by ブクログ
ネタバレ植物にも、視覚、嗅覚、触覚が備わっている。植物は案外、ヒトに近い存在なのかも知れない。
ヒトには1種の光の明暗を感じる細胞と、3種の光の色を感じる細胞があるのに対し、植物には11種類の視細胞を有している種がいる。青い光で体内時計を調節し、赤い光で活動を休止するなど、生息地を移動できないからこそ、より繊細に光を感じている。
植物は揮発生ガス(エチレン)に対応する受容体を有している。この他の受容体もあると考えられるが、まだ見つかっていない。エチレン受容体によって、ツル植物は寄生したい植物に優劣をつけ、小麦ではなくトマトの方へツルを伸ばす。
植物は刺激を感じると成長を止めることがある。これは -
Posted by ブクログ
日本人の3人に1人がガンで亡くなっている。ガン以外で死に難くなっているという事でもある。仕方ないもの、漠然とは不安なもの。もっと知っておきたいと思った。本著はそれに対して最適な本だった。理論と実用性のバランスが良い。また、周辺の話も面白い。
ウイルスや発ガン性物質、慢性炎症や伝染病のように感性するガンもあるらしい。馴染みがあるのは、ストレスによりガンになるという話だろうか。しかし、近親者の死別や離婚といったつよいストレスのかかる出来事ががんの発生率を高めるという関連性は確認されていない。社会的弱者が肥満、喫煙、飲酒、食生活によってガンになると思われがちだが、これで全てを語ることもできない。血 -
購入済み
普段伝記は読まないのですが、複数のマンガや小説に名前が挙がっていて気になっていました。
ダーウィンより早く進化論に辿り着いた男だとか、ジーキル氏とハイド氏、またはドリトル先生のモデルだとか…
実際、人物がぶっ飛んでて面白い伝記でした。
常識や慣習に捕らわれずに科学的な手法を取るということは、誰が考えても正しい事です。
しかし実際行動してみようと思うと難しい事だと思います。自分としてはせいぜいエセ科学に引っかからないように生きていこうと思いました。 -
Posted by ブクログ
著者 アランナ・コリン、イギリスのサイエンスライター
熱帯雨林にてコウモリを研究中ダニに噛まれ病原菌性の病に。治療のために用いた抗生物質により生じた身体の異常は腸内細菌の変化ではないかという思いと、研究観察から細菌と人間との関係性を追求する。
本書英語名は「10%HUMAN」、そのタイトル通り人体を成す90%が1000兆の微生物。微生物と人は共に進化してきたが、人が腸内細菌を見捨て、肥満や糖尿病を代表に21世紀病が蔓延、普通化してしまっていることに警鐘を鳴らす。
・虫垂は、人体が用意した微生物の隠れ家
・ニキビ、肥満、うつ病、セリアック病、過敏性腸症候群、虫垂炎、癌、、、
・糞便の重量の75 -
Posted by ブクログ
勝間和代さんの推薦本です。
友人のお母様が一昨年の年末にがんがみつかり、年明けにすぐ手術されましたが、既に手遅れで全身に転移されていたそうで、昨年の9月にはご逝去されてしまい、あまりのはやさにショックを受けていました。
それで、勝間さんの推薦本の中でこの本が気になり読みました。
はじめにで著者は『がんは、だれの身にもふりかかる病気だ。がんの診断を告げられたとき、「わかりました。がんとのつき合い方なら知っています」とだれもが答えられるようなそんな日が来ることを私は願っている』ー
とありますが、この本を全部読んでもがんから逃れたり、がんになってもよくなる方法が書いてある訳ではありませんでした -
Posted by ブクログ
日本では10年くらい前に「もやしもん」という漫画が流行し、わたしたちの体には無数の微生物が存在しするという細菌叢という概念の普及に大きく貢献しました。皮膚には常在菌がいて、普段は外界の細菌を排除している一方で、免疫力低下の際には猛威を振るうという日和見感染という言葉も知られています。しかし、本書のタイトルのように「9割が細菌」といわれたら顔をしかめる人も多いでしょう。この9割というのはもちろん重量ではなく細胞数ということなのでしょうが。
本書を読めば、多くの生物が微生物と共生関係にあり、場合によっては糞を子に食べさせることで微生物環境を受け渡すこともあるようです。人間も例外ではなく、妊娠時に特 -
Posted by ブクログ
英国がん研究機関「キャンサー・リサーチ・UK」に勤務経験のあるサイエンス・ライターが、進化論の見地からがんの本質を再検討し、がん治療従事者、製薬会社、そして患者らに対しがん治療に対する観点の抜本的見直しを迫る。奥深い内容ながら、文章にはディストラクティングなところがなく、何より訳が自然で読みやすい。翻訳物のポピュラー・サイエンスとしては最上の部類に属すると思う。
著者によれば、がんはわれわれ哺乳類などの多細胞生物と同様、体内環境による選択圧を受けながら漸進的に進化し、日々その生態を変化させている。この「動態的ながん」という視座なくては、正しい対処は覚束ないどころか却ってその勢いを増幅する