矢野真千子のレビュー一覧
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この本に書かれているのは事実であり史実である。人類の動物への大量虐殺の。
ワシントン条約の成り立ちと必要性も知ることができる。
進化論を全く信じない人々がいることや、自分の趣味のためにと絶滅危惧種の動物にこだわる人々がいることを知ることができる。
標本と、”いつ・どこで採取したという情報の”重要性も。
膨大な過去の紙の資料と、インターネットの渦から目的の書き込みや、窃盗品のスクリーンショットからによる記録。それらぼ裏付けによるノン・フィクションであり、ルポルタージュ。
前半は、一晩で約300もの鳥の剥製を盗んだ事件の話しと、なぜ標本が重要なのかの話し。楽しい読み物だ。
後半は、著者が、盗まれて未回収な剥製の行方を調査に動き出す。事件関係者への取材へ。ここからスリリングで俄然面白くなる。
自分の欲のために、きれいな鳥を執拗に巧妙に追い求めるヒトの生きざまは、他人ごとではなく、もしかしたら自分の中にもあるのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ドキュメンタリー小説としても面白いし、博物館がなぜ存在するのか・どんな意義があるのかという点に言及してくれているという意味でも読む意味があると思った。
目先の利益を追い求めたくなる欲求と、長期的な目で利益度外視で真実を追い求めていく学問との対立は、どこの国でも起こっていることなんだと感じた。この本では個人レベルの問題から切り込んでいるけれど、最近の博物館に利益を求める文化庁の要求を思い出してしまった。
あくまで博物館などの研究機関は”いつか”芽が出る”かもしれない”という可能性にかけて研究をしているし、そうやって薄い可能性に対して莫大なお金を注ぎ込まないと学問や技術は発展しようがない。社会の基盤のはずなのに、こんなにも現代社会と折り合いが悪い。 -
Posted by ブクログ
私の全く知らない世界のお話でした。毛針作成者が引き起こした事件です。釣りはしないけど毛針を作ることを趣味にする人がたくさんいるんですね。驚いた。
犯人は罪悪感がありません。彼は、米国のホームスクールなる制度で大学に入るまでは家庭で教育を受けた人だそうです。音楽や毛針作成のような好きなことだけをしてきたので、道徳観やら倫理観のようなものを身に付けずに大人になってしまったのでしょう。恐ろしいことです。
著者は盗難された珍鳥を探す旅に出ますが、結局は見つからず。今回の犯人に限らず、毛針作成を趣味にする人たちの中には、絶滅危惧種を憂うよりも自分の趣味を優先する人がいるのですね。撮り鉄のような世界です。 -
Posted by ブクログ
とてもとても面白い。
臨場感もあるし、現実を見るという意味でも素晴らしい切り口の本。文章も読みやすく、下手なミステリよりもはるかにミステリっぽい。
面白いのだが、読むのにすごく時間がかかった。その理由は、すげえ腹が立つから……もうね。この本に出てくる、この博物館の標本を盗んだヤツをね、二重三重にボコりたい。めちゃくちゃにボコりたい。ボッコボコにしたい。もうね。こんな感覚久しぶりですよ。こんなにも腹立たしくて、相手をボコりたくなったのは……
博物館に収蔵されている標本が、毛針愛好家の手によって盗まれて、良いようにバラバラにされて売りさばかれたっていう事件のルポルタージュなわけだけれど、この本の内容はただのルポルタージュには終わらない。
博物館という施設の歴史的背景、存在意義、それを支えた科学者、収集家たちのエピソード、それを私欲でぶっ壊した毛針愛好家の生育環境……
盗難事件であるが故に、犯人の罪は驚くほど軽く。罪が明るみになったとしても、その破壊による被害を取り戻すことは出来ない。まさに取り返しがつかないとはこのこと……やらかした人物とそのやらかした人物によって益を得た連中の厚顔無恥ぶりに、ものすごく腹が立つ。なにより腹が立つのは、この当事者というのがアスペルガー症候群を使い勝手の良い道具として使っていること……すげえ腹が立つぅぅぅぅ
いちいち腹が立つので精神衛生的には難しい本ではある。しかしまぎれようもない良書だ。『魚が存在しない理由』を読んだ方には特におすすめしたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ植物にも、視覚、嗅覚、触覚が備わっている。植物は案外、ヒトに近い存在なのかも知れない。
ヒトには1種の光の明暗を感じる細胞と、3種の光の色を感じる細胞があるのに対し、植物には11種類の視細胞を有している種がいる。青い光で体内時計を調節し、赤い光で活動を休止するなど、生息地を移動できないからこそ、より繊細に光を感じている。
植物は揮発生ガス(エチレン)に対応する受容体を有している。この他の受容体もあると考えられるが、まだ見つかっていない。エチレン受容体によって、ツル植物は寄生したい植物に優劣をつけ、小麦ではなくトマトの方へツルを伸ばす。
植物は刺激を感じると成長を止めることがある。これは外的環境が不安定なときは植物の丈を高くするのではなく、植物を頑丈にする方へシフトするからである。
また、植物の尖端にも平衡石があり、重力によって上と下を判断している。平衡石が接している側を早く成長させることで、植物は天に向かって伸びる。光を感じたほうの逆側を早く成長させることで、光に向かって伸びていく。ツルが接した方とは逆側を早く成長させることで、真っ直ぐ伸びていたツルは目的の植物に巻きつく。
聴覚は未だ発見されていないが、動物の難聴に関わる遺伝子が植物にもある。音楽を聞かせると植物はよく育つ言われているが、科学的な根拠はない。
ハエトリグサの閉じるための記憶はイオン濃度に由来する。また、親がストレスを経験したとき、これが遺伝子の活性箇所に影響し、それが子に遺伝して、ストレスに強い子が育つことがある。遺伝子の非活性は、糸状のヒストンタンパク質がDNA二重螺旋に絡み付くことで、転写が行われないために起こる。再活性化のメカニズムはまだ分かっていない。
祖先は同じだったため、植物はヒトと同じ遺伝子を保有している。植物も電気信号を使って情報を伝達している。
植物は成熟するとエチレンガスを放出し、これを検知した他の個体は一斉に果実を成熟させる。成熟タイミングを合わせることは、花粉・種子拡散生物を多く呼び寄せ、生存競争に有利に働く。害虫による侵食を検知した葉はある種のガスを放出することで、そのガスを検知した他の葉が対抗物質を生成し、害虫に食べれないようにする。
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購入済み
普段伝記は読まないのですが、複数のマンガや小説に名前が挙がっていて気になっていました。
ダーウィンより早く進化論に辿り着いた男だとか、ジーキル氏とハイド氏、またはドリトル先生のモデルだとか…
実際、人物がぶっ飛んでて面白い伝記でした。
常識や慣習に捕らわれずに科学的な手法を取るということは、誰が考えても正しい事です。
しかし実際行動してみようと思うと難しい事だと思います。自分としてはせいぜいエセ科学に引っかからないように生きていこうと思いました。