矢野真千子のレビュー一覧

  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    イギリスで実際に起きた標本盗難事件の犯罪ルポ。
    2009年深夜、大英博物館の分館から鳥の標本が盗まれた。数ヶ月後、盗難犯として逮捕されたのは王立音楽院に所属する若きフルート奏者。輝かしい将来を約束された若者は何故道を踏み外したのか?

    読む前は犯罪ルポだしとっつきにくいんじゃないかと身構えたけど、美しい羽が盗まれた理由と執着と欲望の動機の構図がドラマチックで(犯罪を語るのに適した表現ではないけど)、ノンフィクションなのに小説のように引き込まれて夢中で読んだ。
    今まで全く知りもしなかった鳥の羽を巡る世界の話は起源から流行の背景までが興味深く読み応えあり。

    閉鎖的な界隈の中で横行している稀少な羽

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    2025年11月24日
  • あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた

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    アランナ・コリン氏は、イギリス出身の進化生物学者・サイエンスライター。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンおよびロンドン動物学協会で博士号を取得。腸内細菌の重要性をテーマとした『あなたの体は9割が細菌』は世界的なベストセラーとなった。BBCなどのメディアにも出演し、科学の普及活動にも積極的に取り組んでいる。
    本書は、著者が、マレーシアでのフィールドワーク中に感染症を患い、抗生物質治療を受けた経験をきっかけに、腸内細菌と健康の関係に強い関心を抱くようになり、人間の腸内微生物の重要性と現代病との関連を科学的に解き明かした作品で、2016年に出版、2021年に文庫化された。原書は『Gut:The In

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    2025年11月11日
  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    いやあ、この犯人最初は純粋無垢な感じで犯罪を犯してしまったように書かれているが、徐々に実情が明らかになっていくとともに、インタビューに応えた時などは、こいつひどいな、という感じになっていく。
    何か最後は正当に裁かれていない感があって、わだかまりが残るところがあるけど、読み応えがあった。

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    2025年11月03日
  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    犯罪ルポとしてはもちろん、色々な角度からめちゃくちゃおもしろかった!

    前代未聞の事件をどの見地で捉えるかで罪の軽重が全く変わる。科学や博物誌などのアカデミックな見地、法律的見地、もしくは金儲けとしての見地。それぞれの理が激突する。

    また、事件を超えて、狩猟採集にまつわる人間の業の深さや、犯罪にまつわる人間の心理など、非常に普遍的なテーマにまで射程が及んでいて、とても読み応えがあった。

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    2025年11月02日
  • 解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯

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    この人物に興味を持った契機は皆川博子さんの作品から。

    改めて数奇の意味を調べてみると、
    「不幸・不遇・境遇の変化が激しい」とあった。
    「運命の巡り会わせが悪い」という意味もあって、
    それはいちばん近いかな、という印象だけれど、
    悪い、というよりは時代の進行に較べて早すぎた人、という感じがした。

    過去において、命にかかる枕詞は「うつせみの」だった。
    現代での枕詞はおそらく、「かけがいのない」になると思う。
    命がかけがいのないものである、という風潮は今となっては揺るがない常識のように扱われる。
    とすると、ジョン・ハンターという人物は今の常識の基礎を築いた人物、ということになるかと思う。

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    2025年05月12日
  • 解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯

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    偉大な功績を得る人間はその分イカれていないといけないということがわかる。
    当時のイギリスの病気事情やどのように被験者を集めていたかなど興味深い視点からの説明も十分にある。

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    2024年11月22日
  • あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた

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    今まで全く意識してこなかった体内の細菌や微生物の役割についてまとめられていました

    細菌というとなんかイメージ悪い感じですが、全てが悪いわけではなくて、いいやつと悪いやつがいて、体内で縄張り争いをしている、ということでした

    縄張り争いには、日頃の食生活が絡んでいることがわかりました。日頃食しているあらゆる食べ物は、全て腸内で栄養としてダイレクトに取り込んでいるわけではなくて、細菌や微生物が餌として取り込んでエネルギーに変えてくれたり、血中へ送り込む量を調整してくれていたり、さまざまな役割をこなして貢献してくれていることがわかりました

    20世紀後半から、先進国を中心に増えて来ている糖尿病やア

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    2024年01月22日
  • あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた

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    ネタバレ

    副題、微生物の生態系が崩れ始めた。微生物研究の成果は、人の生活の何を変えていくのか。10% Human. How Your Body’s Microbes hold the key to Health and happiness.という原題なので、訳し方が全く逆になっているというのがポイントで、おそらく訳を見るかぎり、やや誤訳なのかもしれない。原書の方を読んでみたくなった。おそらく原書の作者は、(まだ原書を読んでいないけれど)、微生物こそが、10%しかない我々が認識している体、にとって最も大事な存在であって、性格や健康を左右する存在であるということなんだと思う。
    100兆以上の微生物が暮らす人

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    2022年09月05日
  • あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた

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    事例がどれも秀逸で、納得しながら読み進められる。
    微生物の視点で自分の身体や生活習慣を考えることになる。普段の自分の行動や思考を、自然と客観的にとらえて微生物との関係性、影響を想像している自分がいる。

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    2022年06月16日
  • あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた

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    おもしろかったし、とても勉強になった。
    食物繊維をしっかりとろう。
    あとボディーソープはあんまり使わなくてもいいかも。

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    2022年01月07日
  • 解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯

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    熱傷治療のため自宅療養しながら読んだ。整形外科に通院しながら、待合室で読んだので、余計に生々しく感じた。

    実話ベース、伝記であるが、内容が衝撃的であるがために読む人を選ぶだろう。
    ドクタードリトルのモデルであり、ジキル氏とハイド氏の館のモデルにもなったという実在の外科医。外科医の地位が低かった当時、さまざまな実験や解剖を行い、今の医学の基礎を築いた。秀でた人は、いつの時代も叩かれるし、変人扱いを受けるが、彼の考え方は100年ほど早かったがために、波乱万丈の人生を歩んでいる。類稀なる才能の持ち主は、今の世にも出現するのだろうか。

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    2021年04月19日
  • あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた

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    この本は、「人間はほぼ細菌で出来ている❕」という衝撃の内容です。
    細菌は、人間の体調だけでなく精神状態や脳にも影響を与えるらしいです。
    恐るべし!細菌!!
    「便の移植の勧め❕」など、なかなか濃い内容です(笑)
    ぜひぜひ読んでみてください

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    2021年04月05日
  • あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた

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    この本が私に教えてくれたことは2つ。
    1. 遺伝子調査だけでは人間含む人間を理解できない理由と事例
    2. 細菌と付き合うための教養

    とても丁寧解説されていて、読みやすい。価格も情報量に対してお手頃。

    概要だけ知りたい人には詳細だと思う。生物学に対する踏み込んだ知識欲は必須!
    読者層の制限はないと思うけど、バクテリアと人間を構成する細胞の知識はあった方が面白く読めると思います!

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    2021年02月28日
  • 感染地図 歴史を変えた未知の病原体

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    はじめに、にあるように、本書には、致死的な細菌と、超成長する都市、そして天賦の才をもった2人の男という四つの主役が登場する。
    舞台となるのは、1854年8月末から一週間のロンドンはブロードストリート、このエリアをコレラが襲う。と言っても、コレラ菌が発見される30年も前のことであり、原因も治療法も分からない中、人がバタバタと死んでいく。
     原因を探り当てていく過程は大変スリリングであり、特に井戸水のポンプを外させる場面などドラマチックで、読み応え抜群である。

     
     ところでということになるが、主役の一人、ジョン・スノーは、1854年以前においてもコレラ禍の被害について様々な調査分析、考察を行っ

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    2020年07月20日
  • 感染地図 歴史を変えた未知の病原体

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    仲野徹さんの帯を見て購入。面白かった。
    疫学の走りといっていいんだろうな。病原菌がまだ検鏡で理解できなかった時代に、丹念な調査で病原を特定、解明し、被害を抑えていく。
    8割おじさんが欧州時代に、疫学が何万人もの命を左右するものだと教えられたとテレビでみたけど、こういう歴史の上に学問があることを感じて、ちょっと感激した。

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    2020年04月27日
  • 解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯

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    2世紀以上前の一個人の伝記が、よくぞここまで再現されているものだと思う。好奇心の塊だけに、その生涯はアンビリバボーな刺激でいっぱい。外科医としての業績はもちろんのこと、実験対象はあらゆる動植物に及び、次々登場する意外な標的に、ただ唖然とさせられる。ジェンナーとの交流とかも興味深いけど、有名税みたいな感じでつきまとう、周りの困ったちゃんについても、物語を盛り上げるという点では、それなりの役割を果たしている。ジキル・ハイドのモデルにもなったという博物館、一度行ってみたいです。

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    2019年09月11日
  • 感染地図 歴史を変えた未知の病原体

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    ところどころ同意できなかったり、よくわからない部分もあったけど、だいたいは面白かった。医学、疫学プラス社会学の勝利。都市論。現在のソーホーを歩いて過去を想像する最後のくだりも好き。

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    2018年03月03日
  • 植物はそこまで知っている 感覚に満ちた世界に生きる植物たち

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    人のように見て聞いて嗅いで感じるわけではない。それでも同種の認識とか知覚はあるんだね。面白い。植物の知覚を感覚的に体験できる時が来るだろうか‥‥

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    2017年06月16日
  • 解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯

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    18世紀イギリスの外科医療に携わるジョン・ハンターは大工出身だと。夜な夜な墓泥棒から死体を手に入れ、解剖にいそしみ、さらには博物学の知識ももち、自宅に様々なコレクションを有しているというからドリトル先生のモデルだといわれ、その家はジキル博士とハイド氏もモデルになったといわれるのもなるほど納得。

    医療が宗教と密接に結びついていた当時、宗教観を覆すような意見を発表し、医療を科学に押し上げたジョン・ハンターは相当な変わり者だったようだ。梅毒患者の膿をつけたメスで自分のペニスにキズをつけて経過観察した記録も残っているというから、推して知るべし(対象が本人かどうかは記述が無いそうだが、状況から推理して

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    2016年06月07日
  • 解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯

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    労作であることがよくわかる。じっくり読まないと申し訳ない気になるくらい。
    単に偉業をたたえるだけでなくて、ジョン・ハンターのエキセントリックさもきっちり伝えている所がいいよね。この人、相当な変人だなあ。

    山形さんの解説も考えさせられる。なるほど。

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    2015年10月31日