矢野真千子のレビュー一覧
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試し読み
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かつてスティーブ・ジョブズは「文系と理系の交差点に建てる人にこそ大きな価値がある」という話を聞いて、その道を志すことを決心したそうだ。すなわち人文科学と自然科学の交差するところに、自身の活路を見出したということである。
その感覚の正しさは、現在の世の中の趨勢を見れば火を見るより明らかなのだが、スティーブ・ジョブズが決心したのは、もう何十年も前のことである。以降、新しい交差点はいくつも出来て、中には消えていったものもある。
本書で紹介されている内容は、その新しく出来た交差点の中でも最もホットな領域にあたるのではないかと思う。それが生命科学と情報科学の交差点である。発端は2003年のヒトゲノム -
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大英自然史博物館のバックヤードで多くの鳥の標本が盗まれた。そこで盗まれたのはダーウィンの見つけたものなど歴史的な価値があるものではない標本達だった……
毛鉤の釣りをしているときにジャーナリストの著者がそんな不思議な盗難事件を聞き、そして「完全解決には至っていない」ところから興味を持って調べていく本。「美しい鳥の羽根がいかに人間を狂わせたか」が描かれる。
美しい「毛鉤」という文化があるのを初めて知った。とくに「アンティークと同じものを自らの手で作りたい(そのためには絶滅危惧種や絶滅した鳥の羽根を利用せねばならない)」という欲望について、ものすごい「文化内の規範」を感じた。面白く、そして怖かった。 -
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イギリスで実際に起きた標本盗難事件の犯罪ルポ。
2009年深夜、大英博物館の分館から鳥の標本が盗まれた。数ヶ月後、盗難犯として逮捕されたのは王立音楽院に所属する若きフルート奏者。輝かしい将来を約束された若者は何故道を踏み外したのか?
読む前は犯罪ルポだしとっつきにくいんじゃないかと身構えたけど、美しい羽が盗まれた理由と執着と欲望の動機の構図がドラマチックで(犯罪を語るのに適した表現ではないけど)、ノンフィクションなのに小説のように引き込まれて夢中で読んだ。
今まで全く知りもしなかった鳥の羽を巡る世界の話は起源から流行の背景までが興味深く読み応えあり。
閉鎖的な界隈の中で横行している稀少な羽 -
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アランナ・コリン氏は、イギリス出身の進化生物学者・サイエンスライター。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンおよびロンドン動物学協会で博士号を取得。腸内細菌の重要性をテーマとした『あなたの体は9割が細菌』は世界的なベストセラーとなった。BBCなどのメディアにも出演し、科学の普及活動にも積極的に取り組んでいる。
本書は、著者が、マレーシアでのフィールドワーク中に感染症を患い、抗生物質治療を受けた経験をきっかけに、腸内細菌と健康の関係に強い関心を抱くようになり、人間の腸内微生物の重要性と現代病との関連を科学的に解き明かした作品で、2016年に出版、2021年に文庫化された。原書は『Gut:The In -
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この人物に興味を持った契機は皆川博子さんの作品から。
改めて数奇の意味を調べてみると、
「不幸・不遇・境遇の変化が激しい」とあった。
「運命の巡り会わせが悪い」という意味もあって、
それはいちばん近いかな、という印象だけれど、
悪い、というよりは時代の進行に較べて早すぎた人、という感じがした。
過去において、命にかかる枕詞は「うつせみの」だった。
現代での枕詞はおそらく、「かけがいのない」になると思う。
命がかけがいのないものである、という風潮は今となっては揺るがない常識のように扱われる。
とすると、ジョン・ハンターという人物は今の常識の基礎を築いた人物、ということになるかと思う。 -
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今まで全く意識してこなかった体内の細菌や微生物の役割についてまとめられていました
細菌というとなんかイメージ悪い感じですが、全てが悪いわけではなくて、いいやつと悪いやつがいて、体内で縄張り争いをしている、ということでした
縄張り争いには、日頃の食生活が絡んでいることがわかりました。日頃食しているあらゆる食べ物は、全て腸内で栄養としてダイレクトに取り込んでいるわけではなくて、細菌や微生物が餌として取り込んでエネルギーに変えてくれたり、血中へ送り込む量を調整してくれていたり、さまざまな役割をこなして貢献してくれていることがわかりました
20世紀後半から、先進国を中心に増えて来ている糖尿病やア -
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ネタバレ副題、微生物の生態系が崩れ始めた。微生物研究の成果は、人の生活の何を変えていくのか。10% Human. How Your Body’s Microbes hold the key to Health and happiness.という原題なので、訳し方が全く逆になっているというのがポイントで、おそらく訳を見るかぎり、やや誤訳なのかもしれない。原書の方を読んでみたくなった。おそらく原書の作者は、(まだ原書を読んでいないけれど)、微生物こそが、10%しかない我々が認識している体、にとって最も大事な存在であって、性格や健康を左右する存在であるということなんだと思う。
100兆以上の微生物が暮らす人 -
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はじめに、にあるように、本書には、致死的な細菌と、超成長する都市、そして天賦の才をもった2人の男という四つの主役が登場する。
舞台となるのは、1854年8月末から一週間のロンドンはブロードストリート、このエリアをコレラが襲う。と言っても、コレラ菌が発見される30年も前のことであり、原因も治療法も分からない中、人がバタバタと死んでいく。
原因を探り当てていく過程は大変スリリングであり、特に井戸水のポンプを外させる場面などドラマチックで、読み応え抜群である。
ところでということになるが、主役の一人、ジョン・スノーは、1854年以前においてもコレラ禍の被害について様々な調査分析、考察を行っ