矢野真千子のレビュー一覧
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読み始めは(今の眼で見れば)残酷なシーンの連続でぞっとしたが、読み進めるうち、ジョン・ハンターという人物に魅了される。
確かに死体を泥棒して解剖したり、動物を生きたまま解剖したり、貧しい子どもの歯をぬいて金持ちの歯茎に植え込んだりしていて、現代の倫理観からすれば許されないことだが、当時は仕方なかったわけだし、何よりジョン・ハンターは私利私欲のためにそれをしたのではない。
ジョン・ハンターは奇人・変人だが変態ではない。あまりに強い好奇心と探求心が彼を動かしたのだ。
こういう天才がいて、医学が進歩したのだから、殺された動物や、解剖された人間に感謝し、冥福を祈る。
それまでの瀉血や催吐といった何の根拠もないどころか体に害のある治療が、彼によって大きく変わったのだから。
それにしても、現代に彼のような天才が生まれても、学校の勉強についていけないのだから、学者や医者にはなれないわけだよね。
そういう人たちの才能を生かす道を社会が用意してやるべきだと思う。
あとは、麻酔と消毒のある時代に生まれてこれたことを、深く感謝。
私には、麻酔なしの手術は、無理。 -
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アップルのコンピューターはガレージから生まれ、リナックスはオープンソースと言う新しい取り組みでプログラムを進化させた。バイオテクノロジーと言うと閉ざされた世界というイメージだが、バイオハッカーはコンピューターとバイオテクノロジーは似ているという。DNA検査はガレージで出来るし、ヒトゲノムのような遺伝子情報もオープンソースにしたほうが解読が進み世界に貢献すると言う立場だ。
今では自分の遺伝子情報を調べたければ、キットを買って綿棒で口の中をこすりそれを送るだけで出来る。さらにはDNAを複製することはそれなりの専門知識があれば自宅ででき、ケイ・オールは中古のサーマルサイクラー(温度を上げたり下げたりを繰り返す装置、炊飯釜と大差ない)100ドルちょっととwebで注文したDNA断片で自分で遺伝子検査を行った。
遺伝子組み換え作物に関するエピソードではインドの農民がモンサントの足元をすくった話が面白い。Btコットンと言う害虫を寄せ付けない成分を作るようになった綿はインドでは禁止されたが、ある種子はBt遺伝子を含んでいた。この種子を売った会社、インド政府、モンサントそれぞれの言い分に関係なく農民たちはこの種子をさらに交配させ元々のBtコットンより安くBestコットンという名で売られ続けている。インドでは遺伝子は特許性がなく政府もなすがままに遺伝子組み換え綿を承認し、Bestコットンは農民たちの共有財産となった。
バイオテクノロジーに対しては強硬に反対する人も多い。この理由は宗教的なものと、知らないものは怖いと言う心理、また新しい技術に対して慎重な立場などが有りそれぞれの言い分も理解はできる。しかしイノベーションは必ず起こるし一度起こればインドの農民同様成果を享受するだろう -
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目次
PARTⅠハック/オープン
第1章シンプルな遺伝子検査
第2章アウトサイダーのイノベーション
第3章バイオハッカーの源流
第4章自分で科学する
第5章途上国のためのバイオテクノロジー
第6章価格を下げてハードルを下げる
第7章遺伝子組み換え作物はだれのため?
第8章遺伝子操作の所有権はだれのもの?
第9章リスクのない医学の発展はない
第10章キッチン発のイノベーション
PARTⅡリード/ライト
第11章生命の言語を読む
第12章生命の言語を書く
PARTⅢセイフティ/リスク
第13章バイオテロ
第14章アウトブレイク
PARTⅣライフ/サイエンス -
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<キッチンからバイオを! 「日曜大工」研究の裾野を広げよう!>
タイトルも副題も余り親切ではないと思うのだが、つまりは、公的機関や企業などの大きな組織に属さないアウトサイダー科学者としてバイオ研究を実践している人々についてのレポートである。自由な発想で新しいバイオ研究を行っている多くの「DIY」研究者を追う、なかなかエキサイティングな1冊である。
どの分野でもおそらくそうなのだろうが、組織に属して研究を行うということは、時に、さまざまなしがらみを背負い、承認やら申請やら予算やらといった諸々のことに縛られる一面を持つ。
コンピュータ業界に関していえば、ジョブズは元々ハッカー集団の一員だった。リナックスはオープンソースで無料だ。ならばバイオもそれに倣おう!というわけである。そのためには、どこでも誰でもできるように、それこそ「趣味」としても楽しめるようにしようというのが、「バイオハッカー」の狙いである。
ここでハッカーと言っているのは、システムに不正に侵入したりといったネガティブな意味ではなく、知恵に頼って自力で創造的に問題を解決することを指す。そのためには、多くの人がツールを使用し、知識を得ることができるようにしよう、ということである。
プログラミングや数学と比べて、組織に属さないアウトサイダー・バイオが一般的でないのは、1つはコストの問題があるからだろう。ドライと違ってとにかくウェットはカネが掛かる。装置は自作すればかなり低価格で作れたとしても、酵素や試薬といった消耗品のコストをどう下げていくのかが重要だろう。本書の中には核酸増幅に必要な酵素を自分で抽出したというツワモノも出てきてすごいのだが、まぁそれにしても抽出にもカネが掛かるしね・・・。
あとは、「バイオ」というと、どうも「アヤしい」「アブない」と思われがちなこともあるのだろう。「生物兵器」とか、「バイオテロ」とかとすぐ連想されがちな。
しかし、DIYバイオはまだそこまではいたっておらず、テロを実践するのであれば、既知の天然毒物(炭疽やリシン等)を使うほうがよほど現実的なのだとか。
バイオについては、研究者と一般市民の間の意識の乖離が特に大きいような気は確かにする。
鳥インフルエンザの感染性に関わる突然変異の論文を雑誌に載せる載せないでモメていたが、ようやく掲載されたようだ。
悪用を心配するよりも、知識を共有して、後の研究に役立てた方がよいということだろう。
インサイダー・アウトサイダーに関わりなく、知識を囲い込むのではなく、オープンにして皆で議論しようという姿勢は大切なものなのだろう。
DIYバイオを実践するには、現実面で乗り越えなければならない問題が多々あると思うが、大切なのは、「気概」だ。
個々の人物がなぜそれほどDIYでバイオをやりたいのか、個人的にはいまひとつ納得しきれなかったのだが、裾野が広げること自体は、すばらしいことだと思う。
日経サイエンス6月号に掲載された本書に関する書評(渡辺正隆氏)がアツかった。
私はそこまでアツくなれなかったけれど、おもしろい見方をくれる1冊である。
*PCRを手軽に行えるようにして、感染症が蔓延している地域で即時診断できるようにしよう、という話が一番印象に残った。これはすごいと思う。
*タイトルは「バイオバンク」じゃなく、「パンク」です。もうここからしてすでに象徴的だが、重要な概念となる原語をそのままカタカナ用語にしているものが目立ち(私も今、つられて「キー・コンセプト」と書きそうになった(^^;))、取っつきにくい感を与えていると思う。パンクとかギークとかハックとか、確かに日本語にしにくい言葉だと思うが、何とかならなかったものなのか。
著者が(多分)ITベースの人で、コンピュータ業界ではよく使う言葉なのもあるのではないかと思うのだが。でもそれを日本語としてそのまま持ってくるのはどうなんだ・・・?
*うげげ、長くなってしまった・・・。読んでくれた方、ありがとうございます&すみません・・・。 -
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ノンフィクションだけどミステリのようで面白いと聞いて読んでみたのですが、全然ミステリではないような…むしろ、現実はミステリのようにスパッと解決できないんだなぁ…と思ってしまいました。
2009年、エドウィン・リストは博物館から299点もの鳥の剥製を盗んだ。
エドウィンは毛針作りに魅了され、今では手に入れることがワシントン条約等で禁止されている美しい鳥の羽で作ったヴィクトリア時代の毛針に憧れ、鳥の羽を手に入れるために泥棒をしたのだ。
しかし、信じられないことに、裁判ではアスペルガー症候群という診断のために執行猶予付きの判決が出てエドウィンは一度も収監されなかった。エドウィンの周りの人間は誰一人、エドウィンがアスペルガーだと感じた人はいなかったのに…だ。毛針コミュニティからは追放されたものの、音楽学校の学生だったエドウィンはその後フルート奏者として世界中で演奏を続けている。
警察の捜査がザル過ぎて衝撃。博物館の来館名簿も調べない(下調べのために事前に来館しているだろうと推測できるのに)、鳥の名前でネット検索もしない(そのままの名前でネット販売されていたのに)…等々、イギリス警察の捜査がダメダメ過ぎてめっちゃイライラしました。これ、日本だったら速攻で捕まってたと思うのだが…なんと犯人が捕まったのは事件の507日後。
そもそも、博物館が剥製が盗まれたことに気づいたのが犯行の1ヶ月以上後だったという…。
身勝手な犯人、博物館のずさんな警備体制、無能な警察、信じられないような判決を下す司法…なんか全てが酷いんですよね。
そこに突然乗り込んでいって、失われた剥製を取り戻す手伝いをすると言い出す著者も割と謎なんですが、本業の難民の救済事業での行き詰まりのストレスから逃れるため、失われた鳥たちの捜索に乗り出すのです。そんな理由で…?警察でもないのに…?と思いましたが、調査していく過程で次第に貴重な鳥の剥製が失われたことに憤りを感じて事件を追うようになります。
それにしても、釣り用の毛針が芸術性の高さでそんなに人気があるなんて、全く知らない世界すぎました。そして、その鳥の羽を手に入れるために血眼になる人がこんなにいるのだということも全く知らず…。
鳥の写真と毛針のカラー写真も載っているのですが、どう見ても毛針より生きてる鳥の方が美しい。ファッションのためにこの美しい鳥(の仲間たち)を乱獲し絶滅させた人間の欲望というものが本当に怖いです。人間って改めて恐ろしいほど愚かしいな…と感じました。 -
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事実と著者の仮定が混ざった感じで展開されていくので、読み辛さはあったが面白かった
微生物の影響
腸内の微生物の影響
肥満などの成人病
肥満のラットに痩せ型のラットの腸内細菌を移植すると太る
肥満は摂取カロリーだけでなくカロリー消費、貯蔵の影響も受ける
心の疾患
腸内バランスで回復する場合もあるが脳などの臓器に影響受けた場合は回復不可の場合もある
アレルギー症状
抗生物質
共生微生物も排除する
空白部分に悪性微生物が定着すると人体にも影響受ける
細菌にしか効かないのに処方される場合もあるので注意
食べ物
人体には直接有益でなくても共生微生物には有益なものもある
食べ物によって腸内微生物生態系が変わることも
母親からの継承
自然分娩、母乳は母親の共済微生物を継承する手段となっている可能性
生態系の修復
食事での微生物摂取
人体内の微生物数に対して摂取数が少なすぎるので効果なさそう
ふん便での摂取
良い共生微生物生態系を取得できる可能性あり
ドナーの健康状態、心理状態などに影響を受ける可能性はある
アメリカではドナー管理などもされ始めている
内視鏡カメラを使った腸への直接摂取 -
Posted by ブクログ
科学者たちの研究を基に、植物の視覚、触覚、位置感覚が証明されています。
植物を擬人化して語った内容ではありません。むしろ終盤でそれを批判しています。
遺伝子にも触れた内容ですが、文系でも分かりやすかったです。
観葉植物を育てる上でも参考になる点がいくつかありました
・葉の光受容体は光の合図を受けると、全身に伝わる信号を送り出す
・人間が毎日数秒触るだけで、葉の生長が遅れていた
・植物は細胞壁への圧力を調節するために、細胞の内外にポンプで水を出し入れする
・植物はクラシック音楽を聞いていない(ドロシー・レタラックの研究結果に科学的根拠はない) -
Posted by ブクログ
これまた時代の雰囲気の読書ということで。
19世紀なかばヴィクトリア時代のロンドン。人類はまだ細菌の存在を発見できておらずコレラの原因も「瘴気」であると考えられていた。そんな中、科学的アプローチでもってコレラの感染経路を突き止めた「疫学の父」ジョン・スノーを中心としたノンフィクション。
スノーは自らの飲料水媒介説が世間に広く受け容れられるのを見届けずに亡くなったのだが、彼の説は再評価されて今でもちょっとした有名人である。本書の売りは、当時の原資料を渉猟して、スノーの仕事を可能にした他の人々の貢献ー 地域の人脈を駆使して感染状況をトレースした副牧師、死亡統計を整備した官僚 ーを明らかにして群像劇仕立てにしたあたりか。
本筋もさることながら、衝撃的なのはウンコまみれといって過言でない当時のロンドンの不潔さ。大都市というのは維持不可能なものだと信じられていたという。それを可能にした下水道整備などの事業にも触れられている。