矢野真千子のレビュー一覧

  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    ノンフィクションだけどミステリのようで面白いと聞いて読んでみたのですが、全然ミステリではないような…むしろ、現実はミステリのようにスパッと解決できないんだなぁ…と思ってしまいました。

    2009年、エドウィン・リストは博物館から299点もの鳥の剥製を盗んだ。
    エドウィンは毛針作りに魅了され、今では手に入れることがワシントン条約等で禁止されている美しい鳥の羽で作ったヴィクトリア時代の毛針に憧れ、鳥の羽を手に入れるために泥棒をしたのだ。
    しかし、信じられないことに、裁判ではアスペルガー症候群という診断のために執行猶予付きの判決が出てエドウィンは一度も収監されなかった。エドウィンの周りの人間は誰一人、エドウィンがアスペルガーだと感じた人はいなかったのに…だ。毛針コミュニティからは追放されたものの、音楽学校の学生だったエドウィンはその後フルート奏者として世界中で演奏を続けている。

    警察の捜査がザル過ぎて衝撃。博物館の来館名簿も調べない(下調べのために事前に来館しているだろうと推測できるのに)、鳥の名前でネット検索もしない(そのままの名前でネット販売されていたのに)…等々、イギリス警察の捜査がダメダメ過ぎてめっちゃイライラしました。これ、日本だったら速攻で捕まってたと思うのだが…なんと犯人が捕まったのは事件の507日後。
    そもそも、博物館が剥製が盗まれたことに気づいたのが犯行の1ヶ月以上後だったという…。

    身勝手な犯人、博物館のずさんな警備体制、無能な警察、信じられないような判決を下す司法…なんか全てが酷いんですよね。
    そこに突然乗り込んでいって、失われた剥製を取り戻す手伝いをすると言い出す著者も割と謎なんですが、本業の難民の救済事業での行き詰まりのストレスから逃れるため、失われた鳥たちの捜索に乗り出すのです。そんな理由で…?警察でもないのに…?と思いましたが、調査していく過程で次第に貴重な鳥の剥製が失われたことに憤りを感じて事件を追うようになります。

    それにしても、釣り用の毛針が芸術性の高さでそんなに人気があるなんて、全く知らない世界すぎました。そして、その鳥の羽を手に入れるために血眼になる人がこんなにいるのだということも全く知らず…。
    鳥の写真と毛針のカラー写真も載っているのですが、どう見ても毛針より生きてる鳥の方が美しい。ファッションのためにこの美しい鳥(の仲間たち)を乱獲し絶滅させた人間の欲望というものが本当に怖いです。人間って改めて恐ろしいほど愚かしいな…と感じました。

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    2026年03月15日
  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    2009年、毛針愛好家の青年が博物館に侵入し、大量の珍鳥標本を盗んだ。動機は身勝手だったが、発達障害と診断されたことで極めて軽い刑が言い渡された。事件は落着… と、ここから著者の「真相」究明が始まる。フィクションではない生々しい欲望と感情たちに膿む。長期的な英知と短期的な私欲による争いは、いつも後者が勝利をおさめる。という一節が印象的だった。

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    2025年10月31日
  • 植物はそこまで知っている 感覚に満ちた世界に生きる植物たち

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    学術論文に基づき植物の能力が詳細に書いてあります。これでもか、これでもか、と論文を用いて説明されるので、結論に辿り着くまで,時間がかかりますが、納得の行く一冊…。植物を育てることにこの知識が,どれだけ役にたつのかはわからないけれど,地球上に共に過ごす生物の一端を普段とは違う視点で考えてみることが出来る面白い本でした。(んでも、研究者の名前が多くて、混乱しっぱなし…)

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    2025年01月17日
  • ヒトはなぜ「がん」になるのか 進化が生んだ怪物

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    がんは生命システムそのものに備わったバグであり、避けようと思って避けられるものではない。

    ガンは本当に難しい。
    単に医学だけの範囲に留まらずに、進化生物学、遺伝学、分子生物学、免疫学など、物凄く広範な分野の学際的な研究が必要だ。

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    2024年10月16日
  • あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた

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    細菌と私達は切っても切れない縁がある。
    腸内フローラといい、常在菌に囲まれて生活しているのが私達だ。

    腸内が健全であれば、性格も明るくなるし、それは口腔と深く関わっている。

    赤ちゃんの免疫はお母さんから様々な菌を受け継ぐとこから始まるし、それは大切なことだ。

    衛生的に暮らすことは大事だけど、善玉菌、悪玉菌、日和見菌のバランスを心がける。

    菌との関わりも毎日の習慣だよね。

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    2024年09月23日
  • あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた

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    事実と著者の仮定が混ざった感じで展開されていくので、読み辛さはあったが面白かった

    微生物の影響
     腸内の微生物の影響
      肥満などの成人病
       肥満のラットに痩せ型のラットの腸内細菌を移植すると太る
        肥満は摂取カロリーだけでなくカロリー消費、貯蔵の影響も受ける
      心の疾患
       腸内バランスで回復する場合もあるが脳などの臓器に影響受けた場合は回復不可の場合もある
      アレルギー症状

    抗生物質
     共生微生物も排除する
      空白部分に悪性微生物が定着すると人体にも影響受ける
     細菌にしか効かないのに処方される場合もあるので注意

    食べ物
     人体には直接有益でなくても共生微生物には有益なものもある
      食べ物によって腸内微生物生態系が変わることも

    母親からの継承
     自然分娩、母乳は母親の共済微生物を継承する手段となっている可能性

    生態系の修復
     食事での微生物摂取
      人体内の微生物数に対して摂取数が少なすぎるので効果なさそう
     ふん便での摂取
      良い共生微生物生態系を取得できる可能性あり
       ドナーの健康状態、心理状態などに影響を受ける可能性はある
        アメリカではドナー管理などもされ始めている
      内視鏡カメラを使った腸への直接摂取

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    2022年06月23日
  • 植物はそこまで知っている 感覚に満ちた世界に生きる植物たち

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    科学者たちの研究を基に、植物の視覚、触覚、位置感覚が証明されています。
    植物を擬人化して語った内容ではありません。むしろ終盤でそれを批判しています。
    遺伝子にも触れた内容ですが、文系でも分かりやすかったです。

    観葉植物を育てる上でも参考になる点がいくつかありました
    ・葉の光受容体は光の合図を受けると、全身に伝わる信号を送り出す
    ・人間が毎日数秒触るだけで、葉の生長が遅れていた
    ・植物は細胞壁への圧力を調節するために、細胞の内外にポンプで水を出し入れする
    ・植物はクラシック音楽を聞いていない(ドロシー・レタラックの研究結果に科学的根拠はない)

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    2022年03月20日
  • 植物はそこまで知っている 感覚に満ちた世界に生きる植物たち

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    植物は世界をどう認識しているか。
    動物の視覚、聴覚、嗅覚、触覚、記憶などに相当するものはあるのか、あるとすればどういうメカニズムなのか。
    非常に興味深い内容で、擬人化を戒めつつ、植物にもいろいろな感覚があることを先人たちの研究成果を踏まえて解説している。

    優劣ではなく、別の形で世界認識をし、別の生き残り戦略をとった生物として、植物の能力に感心する。

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    2022年02月13日
  • 感染地図 歴史を変えた未知の病原体

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    これまた時代の雰囲気の読書ということで。

    19世紀なかばヴィクトリア時代のロンドン。人類はまだ細菌の存在を発見できておらずコレラの原因も「瘴気」であると考えられていた。そんな中、科学的アプローチでもってコレラの感染経路を突き止めた「疫学の父」ジョン・スノーを中心としたノンフィクション。

    スノーは自らの飲料水媒介説が世間に広く受け容れられるのを見届けずに亡くなったのだが、彼の説は再評価されて今でもちょっとした有名人である。本書の売りは、当時の原資料を渉猟して、スノーの仕事を可能にした他の人々の貢献ー 地域の人脈を駆使して感染状況をトレースした副牧師、死亡統計を整備した官僚 ーを明らかにして群像劇仕立てにしたあたりか。

    本筋もさることながら、衝撃的なのはウンコまみれといって過言でない当時のロンドンの不潔さ。大都市というのは維持不可能なものだと信じられていたという。それを可能にした下水道整備などの事業にも触れられている。

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    2020年05月30日
  • 植物はそこまで知っている 感覚に満ちた世界に生きる植物たち

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    いつごろからか植物にわりと話しかけることがある(まわりに人がいないとき。。)私の期待とは内容ちょと違って、我々の五感と対比して生物学的に論理的にどのように反応しているかを説明してくれた。

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    2019年06月23日
  • 解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯

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    ネタバレ

    冒頭にある出産直前の子宮内の胎児の描写が写真のようで思わず凝視した。人でも動物でも解剖しまくって、標本を作りまくった人の話。当時の外科治療方法や解剖用の死体の調達法などが興味深く普通に面白かった。

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    2015年02月09日