城繁幸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
前著の「若者はなぜ3年で辞めるのか?」がその理由の分析主体であったのに対し、本書は実際に辞めた人間のケースレポートを軸に論を展開している.
いずれの登場人物も年功序列制度などの「昭和的価値観」に対してノーを実行に移した人達である.
著者は構造改革や自由競争に対して肯定的意見を述べる.
搾取された若者を実力に応じた条件で働かせるためには、既得権益者である年功序列制度で高給を取っている年長者の給与を分配しないといけないのだと言う.
上記の論に対して左翼が反対するが、対案を出すことができないという著者の意見には同意できた.
構造改革でパイの奪い合いになって、市場が衰退してしまい、正直者が駆逐されてしまうというのを藤井 聡の「なぜ正直者は得をするのか―「損」と「得」のジレンマ」が述べていたが、著者の論からは実力主義、職務給が正当であるとのことなので、能力のないものの薄給はやむを得ないのであろう.
(不当に高給をもらっている年長者に対しての批判は本書の中でも見られた)
現在、フリーター、非正規雇用層のどの程度の人間がどの程度の実力が発揮できるかどうかは社会全体がうまく舞台を用意していくべきなのだろうと思った. -
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≪目次≫
第1章 キャリア編 ~昭和的価値観
①「若者は、ただ上に従うこと」
②「実力主義の会社は厳しく、終身雇用は安定しているということ」
③「仕事の目的は、出世であること」
④「IT業界は3Kであるということ」
⑤「就職先は会社の名前で決めること」
⑥「女性は家庭に入ること」
⑦「言われたことは、何でもやること」
⑧「学歴に頼ること」
⑨「留学なんて意味がないということ」
第2章 独立編
⑩「失敗を恐れること」
⑪「公私混同はしないこと」
⑫「盆暮れ正月以外、お墓参りに行かないこと」
⑬「酒を飲んでも飲まれないこと」
⑭「フリーターは負け組だということ」
⑮「官僚は現状維持にしか興味がないということ」
⑯「新卒以外は採らないこと」
コラム①企業に求められる多様化とは
⑰「人生の大半を会社で過ごすこと」
⑱「大学生は遊んでいてもいいということ」
コラム②二十一世紀の大学システム
⑲「最近の若者は元気がないということ」
⑳「ニートは負け組だということ」
第3章 新世代編
21「新聞を読まない人間はバカであるとうこと」
22「左翼は労働者の見方であるということ」
コラム③格差のなくし方 -
Posted by ブクログ
元富士通の人事で、終身雇用とか世代格差についての本をよく書いている著者の最新作。
基本的には、「このまま日本的雇用(=終身雇用と調整弁としての非正規雇用)を続けるのではなく、職務給に移行すべき」という主張が分かりやすく書いてあります。
確かにその意見は正しいんだろうけど、今の日本って・・・と考えてしまいますね。
実際、既に職務上は仕事のない課長さんや部長さんがいる一方、ものすごく働いている若手もいるわけで。
職務を何と規定するかによっても違いますが、管理するフリだけでは、マネージャーとして失格なわけで。
そういう日本風土ではなかなか受け入れられないんだろうなあ・・・ -
Posted by ブクログ
ネタバレ経済学や政治学等の分野における気鋭の若手の学者さんたちの共著。世代間格差をデータとして示し、それが顕著である領域において各著者が提言を述べていた。雇用の流動化、社会保障の積立・税の財源化、若者の政治参加、子供の福祉への重点化など提言のポイント自体は、既視感を覚えるものだった。ただ気になったのは、社会保障の箇所で提案されていた世代間公平委員会である。これは、これからの未来を持続的に発展・豊かにする上で必要であると共感したが、その民主主義という枠組みを超えた「硬直」的なシステム作りへの懸念もある。世代や利益などの定義、考慮する世代の範囲、委員会の政治プロセスなど関しては時代や社会背景に応じて、その中身や適切さは変化するものだと考えられるので、柔軟かつ社会的に許容できる制度設計が望まれる。最後の言葉は自分としても重く受け止めたい。「不利益な政策をしても、唯一文句を言わないのはワカモノだけだ」
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Posted by ブクログ
ネタバレ今月読んだ本について感想をつらつらと。
1.「世代間格差ってなんだ」 著:城繁幸、大黒一正、高橋亮平 PHP新書 2010年
タイトルどおり日本人の若者やご年配、さらには将来世代の間の「格差」を明らかにして、大きく以下の4つの「格差」をテーマに、格差是正の方法を主張している。
1.雇用問題
2.社会保障
3.政治参加
4.子育て、教育、家族
感じたことを纏めた。
1.雇用問題
この章ではおなじみの「終身雇用」と「年功序列」が今の若者にとって非常に不利に働いているということを述べている。若者というより、非正規や50代以上の転職者など、いわば日本の社会人の「王道」のレールから(望む望まないに関わらず)外れてしまった人たちにとっても不利になっているという方が適切かな。
ここでの問題は、要は一度正規で雇うとなかなか解雇しづらくなるから、新卒を始め非正規社員もなかなか正規雇用の枠がなくなってくることと、たとえば40代以上の転職希望者については年功序列制度の影響で年齢に応じた給料で雇うことを嫌う(要は高コストの新規正社員は雇いたくない)企業の傾向で就職口が少なく、結果として日本の社会全体での人材の流動化が進まない、ということ。
筆者の主張としては、人材の流動化の為に、解雇ルールの明文化(金銭解雇を認めるなど規制の緩和)と、同一労働同一賃金を実現すべき、非正規労働者からの採用枠を義務化する、というのが主な内容かと。
これについては自分もほとんど異論がなくて、もしこれを法律として明文化できれば日本の企業は一斉に人材の流動化に舵を切るしかないだろう。「雇用の安定が損なわれる」という反論はあるだろうけど、たとえば解雇されて非正規になったとしても同一労働同一賃金の制度上であれば、極端な賃金のダウンは免れるのではないか?(その人にスキルがなくてどこの企業も前と同じ賃金で雇いたくないというのならば仕方ないことだが。)
終身雇用と年功序列の制度の下で保護されてきた既得権益者にとっては受け入れがたいものだけど、これは今まで既得権益の恩恵を受けられなかった人たちからすると、「個々人の能力に応じて、適正な賃金と雇用を保証する」極めて平等なものだと思いませんか?
さらにこの制度であれば、今みたいに新卒で正規になれなかった人は一生非正規でしか職がない、という事態も解決できるのではないかと思う。つまりはどの世代の誰にでも、「王道」のレールから外れてしまっても、再チャレンジすることができる社会が実現するのだ。
後は、厚生年金とか福利厚生の点で、正規と非正規の区別を撤廃することができれば完全にフラットな雇用制度になるかな。
2.社会保障
これは主に年金についての議論。色々議論はあるが、本書では平成17年度版の年次経済財政報告から「世代ごとの受益と負担」のデータを引用しており、それによると今の60歳以上は支払いに対して受け取りが約5000万円だが、20代だと支払いに対して受け取りの方が少なく、1600万円以上の支払い超過になってしまう。さらに将来世代はもっと悲惨で4500万円あまりの支払い超過となり、今の60歳以上世代よりもおよそ9000万円の差があるのだ。
本書ではこの原因を「賦課制度(現役世代が収めた保険料を現在の受給者に支払う制度)」にあると見て、少子高齢化が進む中でこの方法はもはや「持続可能性」がないとしている。そして、その解決策として「事前積立(現役の納税者と受益者の負担と受益が同じになる制度)」を導入すべきとしている。
まず、これは事前積立と言って良いのか疑問はあった。事前積み立てというと、どうも個人が現役時代に納付して、将来そのお金を取り崩す、という個人での運用をイメージしてしまうからだ。(企業年金の401kみたいなもの?)もちろんそんな制度だと、そもそも社会の相互扶助という福祉の理念とは違うので、どうかと思うが。
ただ、ここで筆者が言いたいのは、今の受給者が得で、将来世代は損をするという現在の構図を解決する為には、今この時点で一度現役世代も将来世代も、負担と利益をまったく同じにするべき、ということだろう。
将来世代が4500万円超の支払い超過となるならば、彼らの不利にならないように利益を受けている人たちもちょっと我慢してね、ということなのだ。
年金から離れるが、自民党政権時代に後期高齢者医療制度という形で、医療費用の一部の負担を受益者に求めることで負担者側との格差是正の方向に向かったが、「姥捨て山だ」とか「高齢者の切捨てだ」という批判があって頓挫してしまった。
いつも思うのだが、今の高齢者に負担を強いると問題になるけど、じゃあ将来世代に負担を強いるのはいいのか?この考え方こそ、世代を超えた社会保障差別ではないのか、と。本当に生活に困窮している者は、年金で保護されるのではなく、生活保護など別の制度で保護されるべきものであって、このように世代を跨いだ制度でカバーするのは適切ではないと思う。将来世代は年金だけでなく医療保障も十分に受けられない可能性だってあるのだから。
「持続可能」な社会保障制度の為に、時代に応じた「負担と利益の調整」を行う必要があるという本書の主張には傾聴の価値有りだと思う。
3.政治参加
主に「シルバー・デモクラシー」についての現状認識と「持続可能」な社会実現の為に、「ユース・デモクラシー」を政治の場に届けるべきだ、という主張。
総務省が集計した「目で見る投票率」「人口推計」によると、2007年参議院選挙では20~30歳代の人口比率が26.5%なのに対し、実際投票者の比率では23.5%しかない。一方で60歳以上の人口比率は28.1%に対し、投票者比率は40.4%にもなる。これは若者が投票に行かないことが一因であるものの、実際の人口でも高齢者のほうが多く、今後高齢化にともなってますますこの傾向は大きくなるだろう、とのこと。
こうなった場合に起こるのが、政治家は最大の票田となる高齢者に配慮した政治しか出来なくなるという結果である。全ての高齢者が自分たちの世代のことしか考えていないとは言わないけれども、自分たちにとって不都合なことばかりだとやはり票は回らなくなる。だからいつまでたっても若者に不利な政治しかできなくなるのだ。
ここで著者は「ユース・デモクラシー」の構築を掲げており、もっと若者の声を政治に届ける仕組みを構築すべきと主張している。それは法律であったり、内閣に担当大臣を置くなど様々あるが、なによりもこれは若者が「得」をする制度を作りたいのではなく、「持続可能」であり「公平」な制度を望んでいるだけ、ということを理解しなければならない。
この章で一番印象に残ったのは政治に挑戦するリスクの引き下げ、という主張で、もっと若い人が政治参加しやすいように、会社勤めの人や公務員が選挙に出る際には、一時休職の制度を法律で設けて、仮に選挙に落ちたり後に議員を辞めた後にでも元の会社に戻れるようにすれば、政治参加が「人生を賭けた、イチかバチか」のものではなくなり、若者に限らず色々な世代の多様な経験を持つ人たちが政治参画できるようになるのでは、という議論には賛同したい。若者に限った制度ではないけれどもね。
後は若者が自発的にコミュニティを築いて政治への関心を高めて、たとえばNPOのような組織になって政治への影響力を持つ、ということをやらなければだめだと思う。そういう意味では筆者たちが行っている「ワカモノマニフェスト」の活動はすばらしいアイデアだと思う。
4.子育て、教育、家族
ここでは「人生前半の社会保障」として2項の年金など人生後半の社会保障とは区別された、子育てや教育など20~30代向けの社会保障について考察している。
ただ、日本は教育に関する支出の割合が他の国に比べて低いとよく聞くけれど、金額自体の増額だけでいいのか?と思う。自分の経験からすると、本書の中で自分は間違いなく最下層の所得帯にいるけど、ちゃんと大学出れましたけど?と思う。地方なので都会部と比べて公立学校の教育がそれなりにレベルが高いという事情もあるのかな。ただ、ひとつ思うのは、少人数教育とか先生の教育大学院出身者の育成とかそんなものじゃなくて、ちゃんと子供に勉強に集中できる環境を与えてあげればよいのではないかと。
その為には、勉強したい子にはきちんと勉強させてあげること。たとえば家が貧しくても奨学金で学校に行けるとか、家族とは離れてしまうけど、高校から寮をつくって希望する子は入寮させるとか、生活環境を整えてあげることも一案かと思う。そうすれば生まれた家庭環境で教育の格差が生まれることはないのではないかと思う。大人になってからの結果は本人に帰するものがあるから平等でなくて当たり前なのだが(しかし最近はここを平等にしろという風潮な気がする)、少なくとも入り口については、どんなところで生まれても平等に機会を与えられるべきだと思う。
全体としては、本書は世代間格差、特に若者への不利な状況にフォーカスを絞って述べているが、主張していることは日本が「持続可能」な社会であり続ける為の方策であると思う。誰が存するとか得するとかじゃなく、将来にわたって日本があり続ける為には何十年も前に設計された今の制度は明らかに制度疲労を起こしており、時代に即した制度の見直しを図るべきということを、本書は言いたいのだと思う。
長いレビューになった。。。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
すでに平成二〇年。
いまだに、多くの会社で、昭和の時代から続く風習や決まりごと、働き方が支配している。
『若者はなぜ3年で辞めるのか?』でその状況を描いた著者が、辞めた後の、いわば「平成的な生き方」とは何なのかを指南する。
“完全実力主義の企業で数千万円稼ぐ若者”“建築現場から人事部長に転身した若者”など、アウトサイダーたちの挑戦と本音が語られる。
自分がいかに昭和的価値観にとらわれているか、そして、時代が本当に変わりつつあることを実感できる。
[ 目次 ]
第1章 キャリア編(「若者は、ただ上に従うこと」―大手流通企業から外資系生保に転職、年収が二〇倍になった彼 「実力主義の会社は厳しく、終身雇用は安定しているということ」―新卒で、外資系投資銀行を選んだ理由 「仕事の目的とは、出世であること」―大新聞社の文化部記者という生き方 ほか)
第2章 独立編(「失敗を恐れること」―大企業からNFLへ 「公私混同はしないこと」―サラリーマンからベストセラー作家になった山田真哉氏 「盆暮れ正月以外、お墓参りには行かないこと」―赤門から仏門へ、東大卒業後、出家した彼の人生 ほか)
第3章 新世代編(「新聞を読まない人間はバカであるということ」―情報のイニシアチブは、大衆に移りつつある 「左翼は労働者の味方であるということ」―二一世紀の労働運動の目指すべき道とは)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
ネタバレ購入:湖浜
タイトルが気になってつい購入してしまいました。
たとえ話のストーリーのおかげで、雇用と経済の問題がとてもわかりやすく理解できました。 今すぐ何か自分にできるかどうかは別として、考えるきっかけになった一冊。 面白かったです。
貸出:吉田 裕(2010.05.07)
日本の雇用問題の本質が見えてきます。終身雇用への幻想に誰しもが気づく一冊でしょう。。。がんばろ。
貸出:中山(2010.10.23)
昔、フリーターしてました。もし、フリーターのままだったら、と思うとゾッとします。社員として雇ってもらっているガモウ関西に感謝です。
貸出:石賀(2010.11.1)
日本の良さだと思っていたのに終身雇用。。。美容室の終身雇用を考えいましょうと言っている自分が怖い。
渕口(2011.12.30)
とりあえず今正社員として働けてる事に感謝です。政治の根本から見直さないといけないような気がします。
誠 2012.08
終身雇用が悪い訳ではなく、年功序列と既得権益がセットになってるから問題な訳で。弱者に厳しく、強者に甘い世の中であることは再認識しました。ゆゆしき問題です。